Fate/Grand Order 唯就職したかったんです。 作:B-in
聖杯戦争
実感はわかなかった。唯、危機感だけが在った。命の危機と言うのは魔術師にとっては、当たり前の様に隣にあるモノで、謂わば友人の様なものだ。悪友だけども。
突然、参加する権利をポンと渡されてしまった俺には困惑しか無かった。
当然、真っ当な魔術師ならばソレを受け止め、歓び、呼び出す英霊を考え、触媒探しに躍起に成って居ただろう。だが、俺の生まれた【器港】と言う家は真っ当とは程遠い。研鑽なんてしてないし、探究なんてしていない。俺はそう教えられたし、鍛えて居るのは自衛に使える魔術とか、掃除に便利とかそう要ったモノだ。
魔法使い? 童貞で30歳に成れば良いんだよ!!
つい、さっきまでの俺はこんな感じだ。絶対に怒られるわな。
聖杯戦争なんてのは、俺に必要ないモノだ。調べれば調べる程、過程と結果が俺に対しては合っていない。願い事何てモノは既に叶って居るも同然なのだから。
(時期取締役よ? そうじゃ無くても株主だし、今から頑張ってるから、例え就職氷河期が来ても乗り越えられる筈!!)
だが、いざ、不本意だが、戦争に参加する為に英霊召喚の魔法陣を描いていると…興奮して来ている自分が居るのを自覚する。
英霊とは人類の抑止の最高峰であり、本来召喚するのは世界以外には無理な存在なのだ。ソレの側面を切り取り、クラスに押し込めて限界させる。
本来ならば魔力の関係で余程の魔力が無ければ召喚する事は無理な存在なのだ、ソレが聖杯戦争に置いては違う。聖杯が補助する為、例え一般人でも召喚する事が可能であり、その後の現界させる魔力さえどうにかなるなら、勝ち残る事もできる。が…
「はぁ、コレ程この戦争儀式を作り上げた御三家に有利な事は無いな」
遠坂、間桐、アインツベルン。遠坂が土地を、間桐が令呪と言ったシステムを、アインツベルンが聖杯を互いに提供して出来あがったのだ。
遠坂は何処の霊地が一番なのか、間桐はシステムの裏技を、アインツベルンが聖杯その物への干渉を行える。押さえる事が出来る。
(何でこいつ等、今まで優勝した事が無いの?)
ふと、そう思う。思ったのが、今回の聖杯戦争での生き延びる為のヒントに成るだろう。漠然とだがそう思う。こういった勘は大事だ。前世でもエドの野郎が言ってた。アイツの勘も凄かったし。悪い方には…
「考えても仕方なし、とっと召喚して寝よう」
アサシン来い、アサシン来い、アサシン来い、アサシン来い!!
『素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には器、万事を収める大器を。
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。閉じよ(みたせ)。
繰り返すつどに五度
ただ、満たされる刻を破却する
―――――Anfang(セット)
――――――告げる
――――告げる
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者
汝三大の言霊を纏う七天
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』
「サーヴァント・アーチャー。聖杯の因るべに従い此処に参上した。君が私の…」
「外れ引いた―!!!!!」
「なっ?!行き成り何を!!」
「もうヤダ、もう寝る!! 三騎士と現場に直行じゃないか、御家かえりゅぅぅぅう!!アサシン来いってお願いしたでしょ!!」
アサシンってお願いしただろうが!! 三騎士の内の一騎とか馬鹿なの?! 甞めてんの?! 絶対ゆるさねぇぞ御三家ぇぇ!!
「待ちたまえ、まだ話は「お話しは明日!! 俺はもう寝る!!」…まだ午後7時前だが?」
知らん。
Side out
「ブフッ!!」
何処かで誰かが噴き出した。
Side out
―――――――また、呼ばれる。
そう感じた瞬間に、私はコテージの一室に召喚された。聖杯による知識の受け渡しにより、限界した瞬間に此処が自分の生前の故郷だと理解し、聖杯の破壊と言う目的が頭に過る。
歪な鏡を見せられたような戦いを行った。善戦空しく、時間稼ぎしか出来なかったが勝利に貢献する事しか出来なかった戦いを行った。自分とは違う道を歩き始めた自分に、力を託してやった事も有った。
鮮烈なまでに焼き付けられた、聖なる光、世界を切り裂く原初の一、憧れてしまう程の勇猛にして高潔なる雄姿、腐れ縁とも成った蒼き戦士、様々な先達と刃を交えた。
此度のマスターも彼女だろうか?そうで在って欲しいと思い、彼女意外に引き寄せられる縁が小僧以外には無い事に笑みが零れそうに成る。なぜなら、小僧はどうあってもセイバーを引き当ててしまうからだ。その身の内に鞘が在る限りは。気楽なモノだと自分で想い、気を引き締め、膝を突き礼をする。
口上を述べ目にしたのは
私の腰程までしか無い、子供だった。
「外れ引いた――――!!」
しかも、これだ。侵害にも程が在る。セイバー程では無いにしても、クラスは三騎士が一つであり、戦い方さえ嵌ってしまえば倒せない敵はいない言う自負がある。何よりも…
(何故、アサシンなのだ!!)
ソレで在る。確かにイレギュラーなアサシンとして、技術で魔法に至った規格外を知ってはいるが、アレには運の要素に縁と成るモノが必要なのだ。恐らくだが山の老翁が本命だったのだろう。ともすれば、あの子供な外見のマスターは実はそれなりに年を経て居る現実主義者か、徹底した戦闘を行えるよう教育を受けたモノなのかも知れない。
「唯の子供の癇癪にしか見えんが…まさかな。流れてくる魔力の質・量ともに一級品…まさか、凛の同位体か? いや、ソレでは年齢が合わない。」
まさか!? 女性として足りなかった分が、身長として現れたのか?!
「………何も起こらないな。彼女ならば理不尽なまでに何かを察知する筈だ」
溜息しか出ない。が、召喚された身だ。マスターの護衛はしなければならない。正真正銘の子供ならば護らなくては成るまい。
「故にだ。覗き見は好い加減にして貰おう。」
袖から取り出したかの様に見せかけながら、短剣を部屋の隅に投げる。
「ヤモリか…また、小賢しい真似をするモノだ。」
直ぐにでも、安全な隠れ家を確保しなければ今夜中に攻め込まれる可能性もある。私が最後の一騎だった場合は特にだ。
魔力の繋がりを追い、マスターであろう少年の部屋の前に移動する。霊体化し部屋に入ろうかとも思ったが、ソレは戸惑われる。
「あー、あーーー、あーーーー」
悲しげな声と共にバタバタと何かを叩きつける音がするからだ。
(ぐっ、しかし…此処にはあの少年以外は居ないようだ。つまりは、あの少年は聖杯戦争を知っている魔術師だ。)
だから、どうしろと言うのだ!! ええい、埒があかん!! パスは繋がっているんだ、大きめの念話で…
(なんだ? 魔力の流れが変わっ?! 引き寄せられているだと? 拙い意識が)
ドアを粉砕し、部屋に転がり込む其処に居たのは。
寝息を立てて眠る、少…年…の…
Side out
引き込まれる様に眠りに落ちる。ソレは耐えがたいモノでは無く、包みこまれる様な、内側から招かれている様な感じだった。上も、下も無く。明るくも、暗くも無い。
だが、其処には安心感が在る。此処に、敵意は無く、寧ろ愛情がある。
「まるで実家の様な安心感」
「宣うなマスター」
どないしっろちゅうんじゃ!!
「んー……裏切られた可能性がある。」
「ほう、既に他のマスターと同盟を結んでいたのか。成るほど、合点がいった。つまり、最後には裏切り同盟方のマスターを暗殺するつもりだったんだな?」
ちょっ?! そんな事はちょっとしか考えてねぇーよ!! 人を勝手に悪人にしないでくれませんかね!!
「ははは、それはちょっとしか考えてないよサーヴァント君。」
金髪碧眼の優男が笑いながら言った。
思わず身を引こうとすれば、アーチャーに抱えられ、男から遥か後方に移動していた。
(サーヴァントってすげぇ)
「おやおや、僕に君達に危害を加える気は無いよ。ただ、今代とお話ししに来ただけさ。」
「ソレが信じられると思って居ないだろう。この戯け」
「だろうね。僕だってそう思う。誰だってそう思う。お話しの前にコレは覚えておきなさい、僕みたいな雰囲気の奴は基本疑って掛かるんだ。時代に適応する魔術師ほど面倒臭いのは居ないからね?」
腰を曲げ、ウインク一つ。整った顔立ちと、均等のとれた体系。優しげで爽やかな声。うわ、コイツ胡散臭ぇ
「うん、だろうね。知っててやってるでしょ君? おじいちゃんコレでも心はガラスの様に繊細だから労わって。」
「マスター…コレが君の祖父か?」
「多分、ソレが家の家系の初代かな?」
「そう言う事だよ。さて、では継承を始めよう。」
その前に、幾つかの質問には答えてあげるよ? 誠実にね?
その男は、やっぱり魔術師らしい嫌な顔で笑った。
このアーチャーは、あのアーチャーです。そして、ちょっとはっちゃけてます。
さて、アーチャーなら、なんて質問するかしら? 考えなきゃ(震え声)
お休みなさい。
あ、次回とその次でプロローグが略終わります。ラストはダイジェストです。