Fate/Grand Order 唯就職したかったんです。 作:B-in
100連の結果。
10連→フィン、エリザベート(槍)マリー、礼装
20連→爆死
30連→爆死
40連→エルドラ×2、ネロ(水着)
50錬→ニトクリス(水着)×2ノッブ(水着)
60連→ニトクリス(水着)、御前
70連→エルドラ、フィン
80連→エリザベート(槍)デオン
90連→爆死
100連→フランちゃんかわいいヤッター!!
フランちゃんもう一人来てよかったのよ? ニトはポンコツカワイイ。
器港 雷堂
1996年生まれ。調査当時の年齢は18歳(2014.12/11~2015.1/10)
第三次聖杯戦争の勝利者。天体科の懐刀。協会と教会の調停者。魔術師狩り。
器港の11代目当主。天体科の前ロードであるマリスビリー・アニムスフィアの弟子でもあり、人理継続保障機関フィニス・カルデアにも一時所属していた魔術師。
カルデアでは主に経理・厨房を担当し、当時の所長であるマリスビリーとは協力関係であったが、デミ・サーヴァント実験に否定的であり、マリスビリーとは衝突していた。
が、その可能性を提示し、カルデアに加入時に術式を訂正し編集、完成させたのは器港である。(別項参照:魔術)
前所長が死亡する一年前にカルデアを辞去。
その後は生家に戻り、稼業の手伝いをしている。(別項参照:戦闘記録)
蛇足に成るが、カルデアを辞去後も器港の席は残っており、本人も年に幾度か顔を出し友人であるロマニ・アーキマンと談笑している姿を目撃されている。(別項参照:人物関係)
辞去後も執行者として代行者としての仕事の報告を師である前所長にしている為、義理堅い人間性がみられる。
カルデア所属当時は、その年齢からマスコットの様な扱いを受けて居たらしいが、飛び抜けた実務能力によりその認識は払拭されている。
カルデア所属当時の人間関係は良好そのものであり、本人も潤滑油に成る様に振舞っていた節が在る。現在でも彼を知る職員は多く、お中元や暑中見舞い等の贈り物も欠かさず行っている。
魔術師としては一流の技能を有しており、戦闘者としては協会では5指に入ると言われている。実際に封印指定狩りや、違法魔術師の捕獲・討伐もかなりの数をこなしている。(別項参照:戦闘記録)
2014年に行われた死都浄化作戦では白翼公直系の子を単身にて撃破、そのまま領地に突撃し、白翼公と激突、討伐は出来なかったが今後百年は行動は出来ないだろう傷をつけ逃走。その後、半年は教会の代行者達に警護されながらバチカンのICUで過ごす。(別項参照:戦闘記録)
2015年現在は子会社の在る冬木にて生活をしている。
魔術師としての功績は秘匿情報であり、閲覧出来るのはロードのみな事から、封印指定されても可笑しくないモノを時計塔に収めた可能性が高い。
オルガマリーは溜息を吐きながら報告書をざっと纏めたモノを読み返して頭を抱えた。
(席が残ってるんだから召還しなさいよ!! お父様も何で残したままにしてるのよ?! 自分の弟子なんだからギアスで縛るとかイロイロ出来たでしょうに!!)
「あの子もあの子よ、何よ死都浄化作戦って…聞いてないわよそんなの」
事実、オルガマリーは器港雷堂の事を父の弟子で騒がしい弟分と言う認識しかなかった。聖杯戦争の勝利者と言う事は知っているが、ソレは父の助けが在ったからこそと知っていた。実際ははぐらかされそう思う様に丸めこまれた為、事実は知らないのだが。
だからこそ、まぁ、困ってたら手を差し伸べてやるかと思えるぐらいには親しい付き合いをしていた。
イギリスのあちこちを案内してあげたり、ショッピングに突き合わせたり…
現実には理不尽な姉に連れ回される弟なのだが、そんな時間を過ごしていた。
だからこそ、今亡き父の後を継いだ身である自分は本当なら知る事もなかったであろう情報を知ってしまった。
カルデアには有能な人間が足りない。今現在、働いてくれているのは皆優秀な職員だ。彼等の能力があり、カルデアは運営されている。
だが、それだけではダメなのだ。
カルデアは人理保障機関である。コレから先の人理が在ると保障する為の機関なのだ。故に、これから先の人理が観測できなくなれば、その異常を取り除き、正常な状態に戻さなくては成らない。
その為のカルデア、その為の機関なのだ。
「ホントっ…何で私がこんな目に会わなきゃならないのよ」
オルガマリー・アニムスフィアへの重圧は想像以上に重い。
自身にマスター適正が無いから軽んじられる。父が偉大すぎた為に下に見られる、比較される。オルガマリー自身は優秀な魔術師である。ソレが認められないと言う状況が創られている。
父を怨んではいない、寧ろ愛されていたと言う想いがある。ただ、もう少し、自分に流石は父の娘だと言われるだけの経験と結果を積み重ねさせて欲しかった。
最初から父の研究に関わらせて欲しかった。それさえあれば、自分はもっと頼られていた、認められていただろう。そんな想いが確かにあった。
「馬鹿ライドウ…扱使ってやるから覚悟してなさい。」
オルガマリーは小声でそう呟き、目を閉じた。
日本まで後、5時間。空の度は快適そのものだった。
Side out
器港雷堂。この名前は企業にとっては重大な名前と成っている。何故か?
某ショックを上手い事かわし、大きな黒字を取ったからと言うのも有る。今や大企業と成った会社の後取りであると言う事も有る。若干13歳で大学へ飛び級、その後も一年たたない内に卒業したと言うのも有る。
一番の理由は、彼が企業人達から恐れられる交渉人であると言う事だ。
契約以上の事飲まされた、だが、契約のみの時よりも儲けさせられた。
こんな事言う人間は先ず居ないが、ソレを実現させてしまったのが理由だ。
そんな彼は今
「オーダー!! 7番テーブル本日のお勧めフレンチフルコースでーす!!」
「オーダー!! 10番テーブル、本日お勧めルーマニアA定食二つ!!」
「士郎兄ぃ!! 7番お願い!!」
「任せろ!! 10番頼む!!」
アルバイトに精を出していた。
さて、時間は巻戻るが、衛宮士郎は聖杯戦争の参加者であり、器港雷堂の従兄弟でも在る。が、衛宮士郎はその事を覚えて居ない。
魔術回路の起動の仕方は忘れさせられ、身体に溶け込んでいた異物も綺麗に取り除かれ、回路も厳重に封印されている。
だが、何故か胆の据わった男に成っていた。と言うのだから、雷堂は冷や汗ものだったりした。事実、衛宮士郎は以前よりも物事を考える…自身の安全を考える様になった。
暗示等を駆使し、記憶も魔術的に消し去ったのだから当たり前と言えば当たり前なのだが、だからこそ、以前と違う胆の据わりように自身の失敗を予感していたのだが、ソレは結局杞憂に終わった。その時は案外早く、雷堂が13歳、つまり、聖杯戦争から5年たった時に衛宮士郎が結婚したからだ。
まぁ、そう仕向けたのは雷堂自身なのだから本人はアフターケアのつもりでも在ったし、身内が血の繋がらない妹の誘惑がヤバいと、真剣に相談し来るぐらいに切羽詰まってたからというのもある。
そんな彼も今や三十路前、子宝にも恵まれ立派な親馬鹿に成っていた。だからこそ、そろそろ、距離を取っとこうと考えたのだが、欲しくないモノを与えられてしまった結果、離れられずに居るのが現状だ。
転機が来たと言えば聞こえが良いだろう。
雷堂はそう思った。だが、ソレは自身の運命を受け入れると言う事に他ならない。故に迷う。
自室のマホガニー製の机に手紙を置く。その姿、どこぞの重役の様だと思う人間が大半だろう。事実そうなるのだから仕方が無い。
半年以上動けない時期が在ったにも拘らず、企業に利益を与え続けたその成果が今だ。
魔術師として神秘の秘匿、人としてバケモノの抹殺、裏の人間としての調停。表でも裏でも重苦しい立場に成ってしまったのだから、僅かに希望を持っていた。
戦いなど無いのだと。あの日に告げられた苦難の道は無いのだと。人類の終焉はまだまだ先なのだと思っていたのだ。
マリスビリーが自殺したと知った時までは。
「…厄介事残しやがって、クソ爺が。自分で責任持てよな…ホント…」
器港雷堂は溜息を吐いた。明日は、懐かしい顔が見れる。だが、以前の様には行かないのだろう。それが、驚くほどに心苦しい。
Side out
彼はどんな人間かと、問われれば。大概の人間は良い人と答えるだろう。
もっと突っ込んで聞けばチキンと言われ、更に聞けばドルオタと言われる。そんな男、ロマニ・アーキマンは基本的にカルデアから離れる事は無い。
以前は違ったが、今は見なくてはいけない子がいるのだから仕方が無い。
少し特殊な事情を抱えたその子を放って置く事は出来ないし、その子に何かが合っても大変だから…と普段の彼ならそう言う。
だが、今回ばかりは彼は重い腰を上げた。連れていけるならば、連れて行きたいがそれが出来ない事情が在るのだから仕方が無い。
最長で2日程開ける旨を伝えるへ、同僚にケアを頼み飛ぶように出て行った。
彼にも事情があり、ソレを知る者はもう誰も居ない。
誰かに打ち明けれればソレは楽な事だろう。だが、ソレを打ち明ける事は無いだろう。
ロマニ・アーキマンは人が信じられない臆病者なのだ。八方美人と言われればそれまでだが、誰とも深い付き合いをしようとは思わないし、実行に移せない。
唯一、古なじみの腐れ縁には遠慮なく物事を言う事もあるが、ソレはその人物の事をよく知っており、既に10年以上の付き合いが在り、どんな人間かを良く知っているからだ。
実際の所、彼自身も今の自分の抱いている感情に戸惑いを覚えて居る。
強い、強い怒りだ。
所長直々にスカウトに出かけると聞けば、それは凄い事なのだろうと理解出来る。相当な人物が来る筈だと期待する。
だが、確実にスカウト出来るかと言われれば彼は首を横に振る事しかできない。
何よりも、ロマニが知る男とはオルガマリーに甘い所があるが言う事はきっぱりと言う。そして、スカウトに行ったオルガマリー自身が彼に劣等感を持っている上に嫉妬の心も持ち合わせている。
同時に親愛の情も持っているのだから、拗れると大変なのだ。
何よりも、彼の重要性と適性を最初から知っているからこそ優先させなければならない。オルガマリーも根回しは確りとしている。だが、彼の柵を正確に把握はしていない。
だから、最初から自分が行くのが正解だったのだ。何よりも定期的に顔を出している彼に一番会って、話しているのは自分である。古い付き合いでも在るし、一番話し易いのも自分なのだ。
強行軍だった。先に出たオルガマリーに追いつくのは…不眠なのは当たり前で、オルガマリーが調べさせていた事を確認すれば頭が痛く成った。
第三次聖杯戦争の勝利者? 確かにそうだろう。彼は自身の目的を完遂した。
天体科の懐刀? 確かにそうだろう。そう言う契約をしていたし、在る意味では自身の家を護る為に必要な行為だからだ。
協会と教会の調停者? そうしなければバランスが崩れるし、彼の家の商売相手なのだから間に立つ形に成っただけである。
カルデア出の事は概ね事実であるが、ハッキリ言って抜けが多い。
自身が機密を知り過ぎて居る事もあるが、これだけでは唯の凄腕武闘派魔術師としか思えない様な無い様だ。
埋葬機関との関わり、他のロードとの関わり、日本と言う国の裏側との関わり、そう言ったモノが抜けて居る。
(上位死徒と敵対とか馬鹿じゃないのか彼は!!)
唯一知らなかった事に驚き、怒りが沸き上がったのには自分でも驚いたが、彼は戦力なのだ。サーヴァントを従えた事もあり、敵対した事もあり、戦った事もある。
何よりも、マリスビリーが最後にしかけた嫌がらせの所為で誰もが手を出したいが、出せない。微妙な位置に居る。
ソレを此方から引き入れてしまえば、オルガマリーも彼も、どうなるか分からない。
済し崩しで無ければ成らないのだ。古巣の友人に会いに来たら巻き込まれてしまいましたじゃないと厳しいのだ。それだってかなり苦しい言い訳でしかない。
その為に彼は辞去したのだ、その為に度々カルデアに来ていたのだ。その為に多くの職員と繋がりを保っていたのだ。
彼はソレが無駄に成る事を望んでいた。だが、その望みは断たれてしまった。機関はあの手この手で優秀なマスター適性を持つモノを集めている。
だが、手を出してはいけない立場の人間も居るのだ。
ロマニ・アーキマンは息を切らせて、早朝のホテルに駆けこんだ。
目当ての人物が、ロビーのカフェで紅茶を啜っているのを目にし、安堵の息が漏れる。
「やぁ、マリー。間に合ってよかったよ」
「ロマニ?! 貴方、何で居るの!!」
その言い方は酷いんじゃないかなぁとロマニは頬を引き攣らせた。
Side out
閑散としたカフェテリアに、一人の男が座っていた。
冬木の新都に在る、その店は本来ならば人で溢れている筈の場所だった。春が近いが季節は未だ冬であり、日が射していても吹く風は冷たい。
待ち合わせには今だ時間があり、運ばれたばかりのコーヒーは白い湯気を、落ち着く香りと共に漂わせていた。本来ならば、読書にでも興じる所だが、ソレを行うにしてもまだ温かい店内に入る。
態々寒い外に座っているのはそうした方が都合が良いからでしかない。自制を促す為でも在る。
自分はそれなりには短気なのだ。熱く成り易いと言うのが在る。
自然な動きで胸元に手が伸びるのに気づく、煙草は持って居ない。年齢制限が在るのもそうだが、どうにも合わない。海外に居れば大麻を吸っていたが、アレも基本的には煙草に少量を混ぜて使用するモノだ。
戦いの前には良い気づけになる。気にせずに、日本国内でも吸おうと思えば吸えるが、国家権力に見つかると厄介だし、スキャンダルに成る様な事は控えなければ成らない。
苦笑し、腕時計を確認する。
「ちょっと早く来すぎ…げっ、ロマニ!!」
器港雷堂は、久しぶりに見た友人を見て余りにもな言葉を吐いた。
Side out
少し時間を巻き戻そう。
オルガマリーとロマニ・アーキマンがホテルを出てレンタカーに乗りこんだ所だ。
「冬木までは大体1時間位だから、その間にちょっと話を詰めようか?」
「詰めるも何も、カルデアに席を残して有るしアイツが来ない訳無いじゃない。」
エンジン音に紛れ込ませるようにロマニは小さく息を吐いた。
「マリー…君が調べさせた情報だけど、かなりのモノが抜けている。正確には欺瞞情報と調べてる周りの人間が見当はずれにも程が在る。」
「はぁ?! それこそどういう事よ!! こっちは専門の魔術師と探偵に依頼してるのよ?!」
頭からの否定にオルガマリーは声を上げた。それはそうだろう。専門、その道のプロに頼んだ結果を更に専門の人間に精査させて得た情報が不出来なモノだと言われているのだ。雇った人間としての、人を見る目を否定されたと思ってしまう。其処は彼女の劣等感が生み出したネガティブな思考の所為なのだが、人間、自分の劣っている場所を受け入れる事が難しいのだ。彼女の場合はその背景にも問題が在るのだから、ロマニには手の打ちようが無い。
事実、これまでスカウトした魔術師は彼女がカルデアの所長で在るから指示に従っているに過ぎない。実際に現場に出てしまえば在る程度は自分の好きに動いてしまうだろう。
ロマニは彼等がそう言う人種である事を知っている。
「何故、他のロードに意見を聞かないんだい? 彼と近しいロードなら絶対に教えてくれた筈だ。彼は魔術師だが、人間臭いし良心もある。敢えて名前は出さないよ? 君の雇ったプロは確かにプロだった。でも、彼等は自分の命と名誉を守る為に一部の調査を程々で済ましている。」
「ロードって…貴方!!お父様が創り上げたカルデアに今更他のロード干渉させる訳ないでしょ!!」
事実、他のロードの妨害や干渉を受けないようにする為に聖杯戦争に挑み、他のロード達の注目を集め、逸らす為に器港雷堂を弟子にし、自分の傍に置いたのだ。それ以外にも目的は在ったが。その事を知るのは既に故人と成っているマリスビリーと唯の人間のロマニに、協力者である雷堂だけだ。他のロードは勿論、魔術師、教会も知らない。
「そうだよ。ソレは正しい。でもね? 君の父上の妨害をせず、利を提供すれば協力してくれるロードは居たよ? でも、もう終わった話だ。マリー、良く聞いてくれ。君の中では、彼は…雷堂は家族に近い弟分なのかもしれない。」
「………まぁ、そうね。小うるさいし、文句も言うし、腹立つ事も多いけど」
オルガマリーは文句を呑み込んで、自分の中の印象を言う。その姿にロマニは安堵した。
(よし、少し落ち着いた。マリーも直ぐにヒステリック成るのを治せば本当に優秀なんだけどなぁ)
「何よ?」
「いいや、本当にマリーは雷堂の事をそう思っている事にちょっと嬉しく成っただけだよ。」
「べ、別にアイツは使い勝手が良いから、私が扱使ってるだけよ」
「うん、あの頃は楽しかったなぁ。君が雷堂を引っ張って、その後を僕が着いて行ってロンドン観光したのは良い思い出だよ。でもね、彼ももう立派な魔術師で人間なんだ。その事を踏まえて言うよ?」
「それくらい分かってるわよ。アイツももう19に成るし」
ロマニは少し、息を整えて言う。
「彼は、本当の意味でこの日本と言う国の調停者だ。」
「…?…は?」
ロマニは後に語る。人間どうしようもなく驚いた時はあんなにも間抜けな顔になるんだなぁと
車が冬木に入る少し前に、聞いた内容を頭の中で整理したオルガマリーは震える声でロマニに確認する。オルガマリーはそのこと自体が、自分がその内容を受け入れる為、または否定して欲しいと言う気持ちの発露だと自覚しながら口を開く。
「ライドウは、日本の混血系列の家と退魔士の中を取り持つ人間である。えっと、この退魔士って言うのは日本版の代行者みたいなモノよね?」
「そうだね、大体その認識で在ってるよ。更に言えば極東の魔術師、代行者の橋渡しとかもしてる。」
「そして、決められたルールを破った両者の制裁や討伐の斡旋、時には自分が直接滅ぼしたり、抹消しに行ったりする立場の人間で、そのバックにはエンペラーの権威とかがある?」
「雷堂は正確には宮様って言ってたよ」
つまりは皇族。
「そっそれって、現エンペラーの直系の方々よね?」
声が震える。ソレもそうだろう。この日本と言う国の皇帝の一族は約2000年以上、血を絶やす事なく今も尚続いているのだ。
はっきり言ってしまえば、魔術師からすればとんでもないお宝である。その血の尊さ、その家柄、その存在は今も尚、この国の人間が無意識に信仰してしまっている。
在る意味で現人神。終戦の際に人に戻ると宣言されているが、その身に宿るモノの凄まじさは想像も出来ない。
もし、エンペラーが魔術の使い手だったとしたらと考えると震えが止まらない。
「そうだね。分かるかい? カルデアがしでかしそうに成っていた最大の失態が」
「表では騒ぎには成らないけど、裏からしたらとんでもない暴挙じゃないの!! 私知ってるわよ? 退魔四家とか言う頭のオカシイ化け物集団が居る事とか、混血の財閥とかが在るって!!」
「うん、ハッキリ言ってカルデアが人理修復する前に滅ぼされるよ? 」
実際の所、滅びている家も有るがソレを補って能力がヤバい集団も居るので法螺話にも成りはしない。
「…私が日本に来たのは、スカウトじゃ無くて姉貴分として弟分の顔を見に来た。序に生前の父の研究の話を聞きに来た。そうよね、ロマニ?」
「うん、そう言う事だね。僕も友人に届けモノを渡しに来ただけで、途中で一緒に成ったから、僕が車をレンタルした。」
此処に護身は完成た。保身ともいう。
「ねぇ、他の事も本当?」
「うん、少なくとも教会も協会も彼には大きく貸し付けられているモノが在るから…本当に間に合ってよかった」
「私、今ほど貴方が頼りに成った事は無いって感じて居るわ。」
「ねぇ、何で僕の評価が其処まで低いの? ねぇ?」
だってロマニだもの。
冬木に着き、適当なパーキングに車を止め、少し重い足取りで歩を進める二人の視界に目的の人物が映った。湯気を上げるコーヒー片手に、此方を見て驚いた様子に、オルガマリーは少しだけ胸が軽く成った。
本当ならば、予定の時間より大分早い。何故なら、此処で圧力を掛けて置きたかったからだ。軽い心理戦で弟分の成長を見てやろうと言う姉心だったのだが、今現在はそんな心境に成れない。
一国の裏面に全力で喧嘩を吹っ掛ける所だったのだ。
面子、経済、力関係、そして秩序。何処ででも押さえておかねば成らぬその要に粉を掛ける。消されても何も言えない。
同時に、ロマニは安心していた。オルガマリーと雷堂の関係にである。少なくとも雷堂はオルガマリーの事を知っているし、在る程度理解出来ている。
魔術師だし、良い人でも在るが悪人。劣等感の強い小心者のダメな姉貴分。そう理解している。自分もそうだ。少なくともロマニ・アーキマンと器港雷堂はオルガマリー・アニムスフィアを色目無く、優秀であると認めている。
そして、ロマニ・アーキマンは安心する。小心者のオルガマリーに、姉貴分に少し甘い雷堂に。
「レディより早く来て、待っているのは紳士として合格ね。」
「久しぶり、ちょっとお話ししたい事が在るんだけどね?」
「お、おう。(え?スカウトの話じゃないの? 何でロマニが居るの?アレ? マシュ大丈夫?)」
これより三十分程、お説教と言う名の針の筵に成る事を雷堂は知らない。
さて、開幕お説教と言う在る意味では自業自得な状況に陥った器港雷堂は、自身の姉貴分のちょっとした成長に喜びながらもゲンナリしていた。
確かに、一時のプッツンで上位死徒と敵対とかしてしまった事は自身の不徳と致すところ…と誤魔化せれば良いが、そんな甘い話は無い。実際、もし討ち取ってしまって居ればバランスが崩れる。
そうすれば直に埋葬機関やらなんやらと会談と言う名の怪談が開かれる事に成るだろうし、その間、そちらに掛かりきりに成ってしまうのは拙い。
(ソレもコレもご先祖が悪い。何で皇室との繋がりが家に在るのさ)
長い歴史の在る家ほど柵が多いし、訳の解らない繋がりが在ったりする。自身の初代しかり、本当の意味での初代しかり、厄介な事ばかりだ。
冷めたコーヒーを啜る。他の二人、アツアツのアップルパイにバニラアイスを乗っけて、サクサクホクホク食べている。雷堂は、その姿に若干の怒りを覚えながら口を開いた。
「で? お説教大会しに来ただけじゃないんだろ? あんな人里離れた僻地から、何しに来たんだよ? 特にロマニ。」
その言葉に、ジト目を向けてロマニは言う
「お説教。あのね、この際だから言うけど自分の希少価値を理解してるかい?」
そう言われてしまえば、グゥの音も出ない。
「君が居ないと言う事が、ドレだけカルデアに取っての損失に成るか理解してる?」
心なしかロマニの声に冷たさが混じって来ている事に、雷堂は冷や汗を流した。
「君が連れて来てくれた、解析班の子とか、君がひっそりと投資してくれている額で補ってる厨房やらリラクゼーション室の一部の物品とか…ねぇ? 分かってる? 宣伝が目的名の知ってるけど、国連主要国家の裏の人間が、『器港』の名前のお陰で手出しでき無いの知ってるよね? 君が抑止力に成ってるの解ってる?」
「はい、すみません。私が悪かったです。」
白旗を上げた雷堂。何処か満足そうなロマニ、ソレを見てオルガマリーは確信する。
(…ロマニは怒らせないでおこう)
まぁ、ロマニ・アーキマンが此処まで言うのは誇張なく、器港雷堂が戦力であり、抑止力であり、今亡きマリスビリーの協力者であり、カルデアの機密の大部分を理解しているからであり、気心しれた仲であるからなので、基本的には他の人間にはヘタレチキン八方美人である。オルガマリーの心配と決意は無駄であろう。
「それにしても、アンタ、本当にヤバイわねぇ」
背景を知ってしまうと、こうも清々しい気分に成れるモノなのかと思いながらオルガマリーは口を開いた。
「好きでこんな立場に成ったんじゃないんですけどねぇ。マジで勘弁して欲しい。まぁ、こんな時間を作れる程度には、日本は平和だよ。自浄作用もしっかり働いてるから、基本的には出番はないし…外来の奴等が何もしなければだけど」
ソレをしそうに成っていた事に遠い目をしながら、話題を探す。他愛の無い事を話しながら、心が軽くなるのを自覚する。
「そろそろ時間ね。アンタも知ってると思うけど、暫くは関係者以外はカルデアには連絡も取れないから。マスターも47人揃えたし、来週には補欠枠も来るから、アンタが来ても構ってあげられないからね?」
「構ってチャンじゃないんだから、行かないよ。マリー姉ちゃん、てかそろそろ良い人見つけた? アニムスフィアの当主なんだから次代を残す事も考えてる?」
「五月蠅いわね!! 成人もしてない餓鬼に言われたくないわよ!!ったくもう…そろそろ戻るわ、アンタも元気で無茶せずやりなさいよ? アンタは名前だけ置いとけば、ソレが役に立つんだからじっとしときなさい。それに、アンタこそ次代の為に良い人見つけなさいよ。それじゃぁね。」
「あ、マリー僕は少し用事が在るから送れないけど大丈夫?」
「タクシー捕まえるから大丈夫よ。今日の夜には空港だしね。貴方も早く戻りなさいよ? まぁ、言われなくとも分かっているのでしょうけど。後、隈ぐらいもう少し上手く隠しなさい。モテないわよ?」
そう言い、何事もなく去るオルガマリーを見ながら男二人は思った。
((誰だアレ))
失礼にも程が在る。
「え~…マリー姉ちゃんどうしたのアレ?」
「いや~…多分だけど、一旦リセット出来たからじゃないかなぁ?」
「そんなに立場悪いか?」
雷堂の言葉にロマニは首を振りながら零す。
「悪い訳じゃないんだけど…彼女は他力本願な所が在るし、突発的な事にも弱いし何よりもコンプレックスの塊だ。被害妄想もそれなりに有る。君と久しぶりに会って持ち直したんじゃないかな?」
その言葉に雷堂は思った事をそのまま口にした。
「アカン」
「え?」
「え?じゃなくて、ダメ過ぎるだろ? 本格的にヤバいぞ、つまり、姉ちゃんは他のマスター共の手綱を握れてないんだろ?」
「…あ。いや、その分レフが居るから…いや、でも…今後の事を考えると…」
ロマニは自分の血の引く音が聞こえた。
「正直、姉ちゃんは頼れる人間には頼りまくるって言うか依存しがちな人間だ。序に乙女を少し拗らしてる節が在る。分かってると思うけども、マスターと言えども魔術師って言う人種は信用成らない。任務中でも自身の研究に必要なモノが有ればソレを優先しちまう奴だって居る。ロマニの考えてるモノの斜め上のレベルで信用成らない。おい、今のカルデアのマスター共はどんな感じだ?」
「………何時カルデアに来るの?」
「おい…おい…」
「姉ちゃん人望薄すぎ」と顔を両手覆ってしまった雷堂にロマニは「本当に優秀なんだよマリーは」と白く成って呟く。
「何とか身の回り整理して、行くわ」
「…ごめん。本当にごめん。」
そう言う事に成った。
器港の先代達が戦時中に頑張り過ぎた為、目を付けられまくりと言う厄。
実際の所、戦時中に捕虜として紛れ込んだヤツや、終戦後にGHQに紛れたり、扮したりしてやって来た奴等を抹殺したりしてたし、お隣から火事場泥棒しに来たやつらコロコロしてたら、ソラ目も付けられるわ。
取りあえず、ニトを宝具3にしてサポに設定しますた。