モノクロの世界   作:琲世。

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ウルside

───────遡ること、数時間前。

 

頭の中でベルの音がなり俺はサイレン世界へときていた。

 

ウル「新一は…いないのか?」

 

俺も来てるなら、新一もいるはずだが

キョロキョロと辺りを見渡していると、遠くの方から笑い声が聞こえる

 

ウル「この声間違いない、新一か」

 

声の聞こえる方へ走って行くと「禁人種(タヴー)」と戦闘を楽しんでいる新一を見つける。

 

ウル「新一!」

 

声をかけるが戦闘に夢中なのか俺の声は届かず、壊れたように嗤いながら既に死んで灰になった「禁人種(タヴー)」を何度も何度も何度も斬って斬って斬りまくる。チッ、と小さく舌打ちをして新一の背後にまわり肩を少し強めに叩く。するとやっと我にかえったのか戸惑ったような表情で振り返り俺をみてホッと息を吐く

 

ウル「おい、新一大丈夫か?」

 

コイツ、今、完全に理性が飛んでやがった…

俺が心配そうに顔を覗き込めば、新一は歯切れの悪い返事をする

 

新一「あ、ああ。大丈夫だ」

 

すまん、と言って苦笑いを浮かべる新一に俺は「別に、謝ることじゃねえよ」と言って視線を外す

 

やっぱり、今までの記憶がないのか?新一の今の表情から察するに今までの行為は無意識のうちにしていたってとこか?

 

ウル「…そうか。しかし最近こっちの世界にしょっちゅう来てるな」

 

俺は話題を変えるように言葉にすると、「そうだな」と素っ気ない返事がくる。その間も俺は新一から目を離さないようにジッと観察するようにみる

 

新一「…そう言えば、今回はアイツ等はいねえみてぇだな」

 

新一が柔らかい笑みを浮かべ俺にそんなことを話してくる

 

ウル「アイツ等って、あの少年達か。

そうみたいだな今回はオレ達だけのようだな…。

まあ、いいじゃねえか?その方が気楽だし」

 

新一「ふっ、そうだな。アイツ等がいたら邪魔にしかならないからな」

 

ふっ、と人を小馬鹿にしたような嘲笑をする新一に

 

アゲハ「邪魔で悪かったな!!」

 

聞き覚えのありすぎる声が聞こえ俺と新一は顔を見合わせ一緒に後ろを振り向き、そして何事もなかったかのように前を見る

 

アゲハ「いや、なんで無視?!」

 

ウル「おい、新一誰だあの困ったちゃんは」

 

俺が新一にコソコソと話すと新一も後ろにいる少年をチラチラと見ながらコソコソと話す

 

新一「俺も知らねえな、会ったことあるっけ?」

 

アゲハ「いや、全部聞こえてるから?!

って、アンタ等俺に対して酷くない!!」

 

この少年はよ く喋るし、よくツッコむ。

 

あ、新一に殴られた。頭に大きな大きなたんこぶを作って目には微かに涙が浮かんでいる そして、そんな少年を憐れむ眼差しでみているのは勿論新一と俺だ。しかし、あの少年は面白い。なかなかにタフだったしオモチャには最適だ

 

新一「それで、お前等なんでここに来た?今すぐ帰れ。お前等ならすぐにでも帰れるだろ?」

 

少年たちが来た理由はなんとなくわかるが、今は大人しく帰ったほうがいい。俺の楽しみがなくなるからな

 

アゲハ「俺達は、新一さん達を助けに来ました」

 

ぷっ、思わず吹き出してしまったがこの少年本気か?くくっ、やはり面白いな。まさか、俺達を助けるなんて。ほんと、笑えるぜ

 

新一「助け?てめえ等如きが俺達を助けるだと?ぷっはは、おい聞いたかよウル!コイツ等マジで頭イカれてやがるぜ、くくくっ」

 

多分、少年達のことだろうから新一の方がイカれてるって思ってんだろうな。

 

ウル「くくっ、そりゃ面白い。でも、オレ達に助けなんて必要ねえんだよ」

 

雨宮「わかってます。私達はお二人の邪魔にならないように戦います」

 

新一「…いらねぇよ。てめえ等の助けなんて」

 

アゲハ「いらねぇってことはねえだろ!」

 

新一「余計なお世話なんだよ」

 

あはは、面白い最高だよ!くくっ、いつ見てもこのやり取りには飽き ない。二人の漫才みたいな掛け合いを遠目で楽しそうに見てるとげんなり顔の新一が俺に話しかけてくる

 

新一「…さて、と。

ウルお前快斗と最後にあったのはいつだ?」

 

いきなり、話が変わったな。

マジック少年と最後にあったのは

 

ウル「オレがこっちに飛ばされる直前まで」

 

いきなり呼ばれたからな、まああのマジック少年なら大丈夫だろう。あの少年もなかなかに面白い奴だったもんな。また、一緒にトランプをしたいものだ。まあ、本当は命を賭けた戦いとかが燃えるけど

 

新一「アイツが危ない」

 

新一が柄にもなく慌てたように舌打ちをし走り出す

 

アゲハ「ちょっ、え?!アイツって誰?!」

 

ウル「まさかあのマジック少年が…」

 

まさか、と呟き新一の後を追いかけるように走り出す。俺がこっちに来た時マジック少年も一緒に連れて来たのか?もし、そうだとしたらちょっとばかしやばいかもしれない。ここにいる「禁人種(タヴー)」は俺や新一にとったら雑魚同然だが、なんの能力も持たないマジック少年にしたら危険だ

 

アゲハ「いや、だからそのマジック少年って誰よ?!」

 

雨宮「誰かわからないけど、新一さんのあの様子じゃよっぽどの人よ。私達も行きましょ!!」

 

カブト「そうだね、リトルバニー!!

安心して、リトルバニーのことは俺の命にかえても守ってあげるからさ!!」

 

雨宮「…あなたの命にそれだけの価値があるんですか?」

 

アゲハ「おい、二人とも早く追わねぇと見失うぞ!!」

 

新一と並ぶように荒野を走っていると、50m先にある木造建築にわらわらと集まる「禁人種(ダヴー)」を見つける

 

ウル「いかにもって感じだな」

 

新一「ああ、一気に片付けるぞ!」

 

「禁人種(ダヴー)」も俺達を見つけ一斉に襲い掛かってくる

 

ウル「───穿て 銀陰」

 

俺がそう唱えたと同時に空から雪が舞い氷の結晶が床に落ちた瞬間眩い光に包まれる、そこから浮かび上がるように氷と電撃を纏った花の刃を召喚し構える。

 

新一「───水天逆巻け 捩花」

 

ふわっと自ら風を起こすように髪や服が舞い上がる。鞘から出した刀は三叉の槍(矛)に変化し、同時に多量の水を発生させる。

 

新一「いくぞ、ウル」

 

ウル「おう、相棒」

 

新一と背中合わせになるように迎え撃ち、

氷と電撃を纏った刃で「禁人種(タヴー)」を

戦闘不能にする。後ろで戦う新一を横目で見るが今はまだ理性を保てているのかいつもと変わらない戦いをしている

 

新一「ウル、お前は外で待っててくれ。

お前まできたら厄介なことになるからな」

 

瞬殺という言葉がぴったりだろう、何十体もいた「禁人種(タヴー)」は一分足らずで白い灰となる

 

ウル「そうだな。オレは外で少年達を待ってよう」

 

マジック少年は恐ろしく勘の鋭い男だ。だからこそ、俺と新一の関係がバレてはならない。それは新一にとっても厄介だろうしな。

 

ドアをダンッ!!と勢い良く蹴り中に入っていく新一を見ながら壁にもたれかかるように立ち少年達を待つ

 

あれからどれくらいの時間が経っ ただろうか、なかなか出てこない新一を心配し俺はそっと扉を開き中に立ちつくす新一に声をかける

 

新一「これは…」

 

ウル「新一、マジック少年はいたか?」

 

新一「いや、快斗はいなかった」

 

マジック少年はいなかったのか、自分で逃げたかあるいはもう既に「禁人種(タヴー)」によって殺されたか。でも、血の匂いも何もしないってことは危険を感じて何処かに逃げた可能性が高いな

 

ウル「そうか。じゃあ他の場所を探すしかないな

新一、その手に持ってるものはなんだ?」

 

大事そうに何かを持つ新一に声をかけると、俺とその何かを交互に見て首を傾げながら呟く

 

新一「ああ、これか?そこで拾ったものはなんだが…トランプみたいだな」

 

ウル「トランプ?新一、ちょっとそれいいか?」

 

神妙な面持ちで新一から受け取ったトランプをみる。どこにでもあるなんの変哲もないトランプだ。スペードのAの書かれたトランプをみて「これは…」とひとり言のように呟く

 

ウル「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

新一「は?」

 

意味のわからないというような表情をする新一に俺はマジック少年としたポーカーの話をする

 

ウル「あ、いや。新一達が遊んでるときオレもマジック少年とポーカーをしてたんだ。

 

それで、このカードはオレが最後にマジック少年と勝負して勝っ た一枚だ。スペードの10、J、Q、K、Aのロイヤルストレートフラッシュでな」

 

新一「なるほど、な。

それがあるってことはここにいたのは確かだな」

 

それに頷き、新一と共に部屋を出るとやっと俺達に追いついたであろう少年達が腰に手をあてぜえぜえと苦しそうに息をする

 

アゲハ「はあ、はあ、っはあ…アンタ等早すぎ!

やっと追いついたし…はあ、っ…疲れたぁ。

ってあれ?二人しかいないってことは見つからなかったのか?」

 

少年の言葉に耳を傾けながらも俺と新一の視線はその後ろへと流れる。

 

アゲハ「いや、だから無視は酷くね?!俺の話聞いてる?!」

 

新一「ああ、聞いてるよ。

でも、どうやら今は悠長に話している暇はなさそうだぜ」

 

今からお祭りが始まると言わんばかりのテンションで新一はウズウズと胸を躍らせ今にも敵陣に飛びかからんとする。 そんな新一のどこか壊れたような笑みを見て察したのか少年がカクカクと変な動きをしながら後ろを振り向く。

 

アゲハ「マジ、かよ…嘘だろ?!

なんで、あんなに「禁人種(タヴー)」がいんだよ?!」

 

目の前には、何十、何百と何処からわいて出て来たのか種類も様々だが、中には人型の「禁人種(タヴー)」までいる。

 

アゲハ「これじゃまるであの時と一緒じゃないか…」

 

と、その時「禁人種(タヴー)」の一体が少年に向け襲いかかる。それを少年より早い動きで「禁人種(タヴー)」をぶった斬る

 

ウル「おい、ボサッとしてんな少年!

余所見をしてたら、死ぬぞ」

 

アゲハ「ッわかってるよ!言われなくても!ってあれ?新一さんは…?」

 

ウル「チッ、マズイな…

理性が飛びかけてやがる。

 

おい、少年それとお嬢ちゃん達、新一の巻き添えを食らいたくなければ下手に近付くな。死ぬぞ」

 

いいな?と念をおすようにいって新一の精神世界へと戻る

 

アゲハ「理性が飛びかかってるってあの時みたいに?!」

 

誰よりも早く敵陣に突っ込み狂ったように笑いながら黒鎌で「禁人種(タヴー)」を瞬殺する新一。

 

目の焦点はあってなく本能だけで動いてるようだ

 

新一「あ ッははハハはははは!!!死ね死ね死ねエッ!!」

 

─────おい、新一、落ち着け!

 

新一「お前等全員弱すぎンだよッ!!

弱い奴に興味はねエ。強い奴だけこい!もっと俺を楽しませろ!!」

 

─────クソッ、俺の声が全く聞こえてねえ 既に何百といた「禁人種(タヴー)」は新一の手により瞬殺され辺りを真っ白に染めている。

 

新一「はあァ、足りねえな全ッ然足りねえよ。

まだまだマダ殺リ足りねえンだよォ!!!!」

 

───────新一、もう戦闘は終わった。

とりあえず、落ち着け!!おい、聞いてんのか新一!

 

新一はケタケタと笑いながら黒鎌と捩花を両手に顔を空に向けゆらゆらと揺れる

 

アゲハ「やばいよ、新一さん完全理性ぶっ飛んでる」

 

カブト「というか、最初の目的を忘れてるような」

 

アゲハ「そうだよ!誰かを助けるんじゃなかったけ?!」

 

カブト「新一さん、楽しんでるもんなー

ありゃ、完璧忘れてるぞ。その人のこと」

 

アゲハ「ここは俺達でどうにかするしかねえな」

 

少年達、マジック少年を助けに行くつもりか?確かにそれは有りがたいが今は新一がこんな状態だからコイツを元に戻すのが先だ。

 

カブト「はにゃ?おい、あそこ誰かいねえか?」

 

バンダナ少年が100m先くらいにある電柱を指差し「ほらあそこ、誰かいるって絶対!」と必死に俺達に言ってくる。

 

───────あれは…マジック少年か?!

しかも、「禁人種(タヴー)」に襲われかけてんじゃねえか!チ ッ、クソッ最終手段だ新一を無理矢理精神世界に眠らせて俺が…!!

 

アゲハ「え、ちょっ新一さん?!」

 

カブト「あ、おいっ!! そっちには人がっ!!」

 

新一は誰よりも早くその場からマジック少年のとこまで行くと、マジック少年を襲おうとする「禁人種(タヴー)」を壊れたような笑みでぶった斬る

 

新一「アッハハハハハハハハ!!もっとだもっと!!もっとコイ!!楽しい楽しいッ時間はこれからだろおおおお!!くっふはははははッ!!!」

 

快斗「え?え?え?ちょっと待って、え?

し、新一だよな?新一なんだよな!おまっ、なんでここにっ…てか、お前やっぱ新一じゃねえだろ!!」

 

───────新一、てめえいい加減にしねえとこの身体俺が乗っ取るぞ!!

 

その言葉で新一の動きがピタリと止まる。

 

───────すまん、また理性が飛びかかってた

 

いや、飛びかかってたてかというか半分飛んでたぞバカ。

 

新一「……あれ、快斗お前いつからいたの?

影薄すぎて気付かなかったわ、ごめん」

 

新一は後ろで腰を抜かしたように地面に伏せるマジック少年をみて、全く感情のこもってない声で謝罪の言葉を口にする

 

快斗「お前な…!!大体、新一お前のせいで俺はこんな意味不明な場所に連れて来られたんだぞ?!

それにさっきのバケモノはなんだよ!例えあれがマジックだとしても、していいことと悪いこ とがあるだろ!!

 

つーか、言わせてもらうけどお前俺を助けに来てくれたんじゃねえの?!俺を無視して何楽しそうにしてんだよ!バカなの?!お前ほんとバカなの!マジであの時は死ぬかと思ったんだからな!とりあえず、一発殴らせろ!バカ!」

 

お、おお~…。息もつかず一気に捲し立てて言うマジック少年に俺だけではなくそこにいる皆が圧倒されている中、新一の反応だけは違った。クスクスと面白可笑しく笑う新一の表情はいつも人を小馬鹿にしたような笑みではなく心から楽しそうに笑うようにマジック少年をみる。

 

快斗「お前な、何笑ってんだ!わかってんのかどれだけ俺が「わかってるよ」じゃ、じゃあなんで笑ってんだよ!」

 

新一は柔らかい笑みを浮かべ

 

新一「いや、別にお前のことだからちびるほどビビってんのかと思ったけど案外元気だったからよ

 

悪かった、お前を巻き込むつもりはなかった。

俺を殴りたきゃ殴ればいい。それでお前の気が晴れるなら。…ただし、条件反射でお前を殴っても怒るなよ?」

 

そう、柔らかい笑みから一瞬にして真っ黒い笑みで言う新一

 

快斗「いや、怒るだろ普通?!なんで俺まで殴られなきゃいけねえんだよ!はあ、もういいよ…。新一を殴るほうが俺の命を縮めかねないからな。」

 

新一「くくっ、そうだなそれがいい」

 

はあ、と大きなため息をこぼし頭をポリポリとかいてジッと観察するように新一をみるマジック少年。

 

快斗「……それにしても、新一さっきから思ってんだけどコイツ等誰?」

 

と、それまでほぼ空気とかしてた少年達を指差し新一に問う。

 

アゲハ「え?!あ、えーと俺達は…」

 

快斗「まさか…新一、お前…。俺以外に友達がいたのか?!」

 

そうなのか?!そうなんだろ!と新一に問いただすマジック少年。

 

───────ぷっくく、はははははっ!!

新一、お前マジック少年しか友達いなかったのか?

 

───────うるさい 、そう言うお前には友達いるのか?

 

───────友達なんて必要ねえだろ。邪魔になるだけだ

 

───────いや、それ言ったら終わりだろ…。

 

新一「ふっ、まさか。カブト以外俺は知らん。他人同然だ」

 

アゲハ「いやいやいや!知らんって、他人って?!なんでカブトにだけは懐いてんだよ?!」

 

快斗「ええ?!嘘だろ?!俺も他人同然なのかよ?!お前いくらなんでもそりゃないだろ!!!」

 

新一「………」

 

聞こえてませーん、とでも言うような態度で無視をきめこむ新一に二人は顔を真っ赤にし激怒するなかお嬢ちゃんは少し冷めたような目でそんな二人をみてバンダナ少年も興味なさ気に二人をみてお嬢ちゃんに話しかける

 

ウルsideend

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