モノクロの世界   作:琲世。

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アゲハside

───────遡ること数時間前。

 

 

新一さんが俺達の前から消えた直後、頭にベルの音が響き気付けば見慣れた景色が広がっていた。

 

アゲハ「来たな…、サイレン世界」

 

雨宮「うん。それより早く新一さん達を探しましょ」

 

アゲハ「そうだ「そうだね、リトルバニー!」おい、俺に被さって喋んなよ!!」

 

っくそ、あんにゃろー!!あくまで俺のことは無視か!言っとくが雨宮はお前のことなんてなんとも思ってねえんだからな!!ざまあみろ!!

 

ウル「…ツ等って、あの少年…か。

そう…たい…今回は…達だ…よう…。

まあ、いいじゃ……?その方…気楽だし」

 

その時誰かの話し声が聞こえた、このノイズ混じりの声は俺が戦った白い新一さんの声だ!てことは、つまり新一さんも!声のする方へ俺達は走って向かう

 

新一「ふっ、そうだな。アイツ等がいたら邪魔にしかならないからな」

 

みえた!新一さんと…もう一人は白い新一さんだろうか?俺達に気付いてない様子でふっ、と人を小馬鹿にしたような嘲笑をする新一さんに

 

アゲハ「邪魔で悪かったな!!」

 

ムッとしたように噛みつく俺を、新一さんと白い新一さんは顔を見合わせ共に後ろを振り向き、 そして何事もなかったかのように前を見る

 

アゲハ「いや、なんで無視?!」

 

今絶対聞こえてただろ!!

 

ウル「おい、新一誰だあの困ったちゃんは」

 

新一「俺も知らねえな、会ったことあるっけ?」

 

痛いやつでも見るように、俺をチラチラ見ながら話す二人

 

アゲハ「いや、全部聞こえてるから?!

って、アンタ等俺に対して酷くない!!」

 

そう、顔を真っ赤にし怒れば「うるさい」と新一さんにかるーく殴られ、頭に大きな大きなたんこぶを作り目には微かに涙を浮かべる

 

新一「それで、お前等なんでここに来た?今すぐ帰れ。お前等なら、こんなとこすぐにでも帰れるだろ?」

 

たんこぶをさすりながら、少し潤んだ声で俺は目に浮かぶ涙を袖で拭いてキリッとした表情をする

 

アゲハ「俺達は、新一さん達を助けに来ました。帰る気はありません」

 

新一「助け?てめえ等如きが俺達を助けるだと?ぷっはは、おい聞いたかよウル!コイツ等マジで頭イカれてやがるぜ、くくくっ」

 

いやいやいや?!イカれてんのはアンタの方だろ?!なんて口が避けても言えるはずもないがそんなこと言えばどうなるかくらいここにいるみんな理解してる

 

ウル「くくっ、そりゃ面白い。でも、オレ達に助けなんて必要ねえんだよ」

 

雨宮「わかってます。私達はお二人の邪魔にならないように戦います」

 

新一「…いらねぇよ。てめえ等の助けなんて」

 

白い新一さんの言葉に雨宮がそう言えば新一さんはふっと馬鹿にするような嘲笑をする

 

アゲハ「いらねぇってことはねえだろ!」

 

雨宮はアンタ等のことを心配して助けに来たってのにその言葉は流石にないだろ!

 

新一「余計なお世話なんだよ」

 

余計なお世話って…!!その後も二人に噛みつく俺を無視して白い新一さんは憐れむ眼差しで俺をみてどんまいとでも言いたげに首を左右に振る。

 

新一「…さて、と。

ウルお前快斗と最後にあったのはいつだ?」

 

ウル「オレがこっちに飛ばされる直前まで」

 

新一「アイツが危ない」

 

何かを話していたかと思えば、見たこともないような焦り顔でいきなり走り出す新一さん

 

アゲハ「ちょっ、え?!アイツって誰?!」

 

ウル「まさかあのマジック少年が…」

 

そして、それを追うように走り出す白い新一さん

 

アゲハ「いや、だからそのマジック少年って誰よ?!」

 

雨宮「誰かわからないけど、新一さんのあの様子じゃよっぽどの人よ。私達も行きましょ!!」

 

カブト「そうだね、リトルバニー!!

安心して、リトルバニーのことは俺の命にかえても守ってあげるからさ!!」

 

雨宮「…あなたの命にそれだけの価値があるんですか?」

 

アゲハ「おい、二人とも早く追わねぇと

見失うぞ!!」

 

二人のいつものように行われる会話を聞き流し俺達は新一さん達を追いかけるように走る

 

アゲハ「はあ、はあ、はあ、っくそあの人達足速すぎるだろ」

 

ぜえぜえと息を切らしながら走り、やっとこさ新一さん達に追いつく。膝に手をおき息を整える

 

この人達、戦いだけじゃなく体力までバケモノ地味てるマジで俺達と同じ人間かよ?

 

アゲハ「はあ、はあ、っはあ…アンタ等早すぎ!

やっと追いついたし…はあ、っ…疲れたぁ。

ってあれ?二人しかいないってことは見つからなかったのか?」

 

そう言えば二人しかいないな?見つからなかったってことだろうか?俺の質問に対し新一さんの視線は俺ではなくその後ろへと流れる。

 

アゲハ「いや、だから無視は酷くね?!俺の話聞いてる?!」

 

新一「ああ、聞いてるよ。

でも、どうやら今は悠長に話している暇はなさそうだぜ」

 

真っ黒い悪魔みたいな笑みを浮かべる新一さん。

え、なに?後ろに何かいるの?え、待ってこれすごく嫌な予感しかしないんだけど。新一さんのこの表情から察するにこれは非常にまずい。俺は恐る恐る後ろを振り向く

 

アゲハ「マジ、かよ…嘘だろ?!

なんで、あんなに「禁人種(タヴー)」がいんだよ?!」

 

いや、ほんと嘘だろ?!なんでこんなタイミングで来るんだよ!お前ら空気読めよ!!目の前には、何十、何百と何処から沸いて出て来たのか種類も様々だが、中には人型の「禁人種(タヴー)」までいる。

 

アゲハ「これじゃまるであの時と一緒じゃないか…」

 

あの時とは、新一さん達と初めてあった時のことだ。あの時も今以上に「禁人種(タヴー)」に取り囲まれ絶体絶命という時に颯爽とまるで正義のヒーローみたいに現れたのが新一さんだった。まあ、新一さんの場合ヒーローはヒーローでも正義のヒーローてよりダークヒーローだろうが。いや、ただの戦闘狂か?

 

ウル「おい、ボサッとしてんな少年!余所見をしてたら、死ぬぞ」

 

少し余所見をしている隙に、俺に襲いかかってきた人型の「禁人種(タヴー)」を白い新一さんが俺との先頭の時に使った水色のレイピアによってぶった斬る

 

アゲハ「ッわかってるよ!言われなくても!ってあれ?新一さんは…?」

 

俺は慌てて地面から立ち上がり近くにいた「禁人種(タヴー)」を倒しながら、新一さんがいないことに気付きキョロキョロと辺りを見渡す

 

ウル「チッ、マズイな…

理性が飛びかけてやがる。

 

おい、少年それとお嬢 ちゃん達、新一の巻き添えを食らいたくなければ下手に近付くな。死ぬぞ」

 

アゲハ「理性が飛びかかってるってあの時みたいに?!」

 

嘘だろ?!マジかよ?!それは相当やばいじゃねえかよ!白い新一さんの言葉に首振り人形のようにぶんぶんと首を振って新一さんから少し離れるようにして「禁人種(タヴー)」を倒していく

 

誰よりも早く敵陣に突っ込み狂ったように笑いながら黒鎌で「禁人種(タヴー)」を瞬殺する新一さんの周りは雪が降ったように白い灰で溢れている

 

ウル「いいな、絶対に新一に近付くなよ!」

 

アゲハ「あ、ちょっアンタは…」

 

どうするんだよ、と問う前に白い新一さんは新一さんの中に消えていく。

 

新一「あッははハハはははは!!!死ね死ね死ねエッ!!」

 

壊れたような笑いで「死ね」という言葉を連呼しながら近くにいる「禁人種(タヴー)」を斬って斬って斬りまくる

 

新一「お前等全員弱すぎンだよッ!!

弱い奴に興味はねエ。強い奴だけこい!もっと俺を楽しませろ!!」

 

雨宮との戦闘の時よりぶっ壊れてやがる…。でも、白い新一さんは「理性が飛びかかってる」って言ってたてことは完全に理性が飛んだらどうなるんだよ

 

アゲハ「……マジでなにもんだよ

バケモノってより、悪魔だろ」

 

悪魔じみた表情 と行動に圧倒されながら彼の邪魔をしないように距離をとる 既に何百といた「禁人種(タヴー)」は新一さんの手により瞬殺され辺りを真っ白に染めている。

 

新一「はあァ、足りねえな全ッ然足りねえよ。

まだまだマダ殺リ足りねえンだよォ!!!!」

 

両手に黒い鎌と三叉の槍を持ち空に向け手を伸ばし叫ぶ新一さんは“壊れている”という表現がぴったりだった

 

アゲハ「やばいよ、新一さん完全理性ぶっ飛んでる」

 

そんな新一さんの様子を見ながら俺は隣にいるカブトに話しかける

 

カブト「というか、最初の目的を忘れてるような」

 

苦笑いを浮かべながら新一さんをみるカブトに俺は同感するように「そうだよな!」と声を上げる

 

アゲハ「そうだよ!誰かを助けるんじゃなかったけ?!」

 

カブト「新一さん、楽しんでるもんなー

ありゃ、完璧忘れてるぞ。その人のこと」

 

マジック少年だか誰だか知らないが誰かを助けるためにこの場所に来たはずだが今じゃそれも忘れてめいいっぱい楽しんでいる

 

アゲハ「ここは俺達でどうにかするしかねえな」

 

カブト「はにゃ?おい、あそこ誰かいねえか?」

 

二人で大きく頷いて、とその時カブトが100m先くらいにある電柱を指差し「ほらあそこ、誰かいるって絶対!」と必死に俺達に言っ てくる。

 

雨宮「……ほんとだ、だれか」

 

え、雨宮も見えんのか!そうか、二人とも目が良かったんだっけ。俺を目を凝らしてジッとみる。…誰かいる?しかも、「禁人種(タヴー)」に襲われかけてるし!!

 

アゲハ「ってえ?!ちょっ新一さん?!」

 

カブト「あ、おいっ!! そっちには人がっ!!」

 

俺達の声など聞こえてないのか、新一さんは誰よりも早くその場からその人のとこまで行くと彼を襲おうとする「禁人種(タヴー)」を壊れたような笑みでぶった斬る

 

新一「アッハハハハハハハハ!!もっとだもっと!!もっとコイ!!楽しい楽しいッ時間はこれからだろおおおお!!くっふはははははッ!!!」

 

快斗「え?え?え?ちょっと待って、え?

し、新一だよな?新一なんだよな!おまっ、なんでここにっ…てか、お前やっぱ新一じゃねえだろ!!」

 

彼を助けるどころか彼の周りにいる「禁人種(タヴー)」に夢中になっていて彼の声など聞こえていない。

 

そして、周りにいる「禁人種(タヴー)」を全て倒し終え、少ししたあとハッとしたように新一さん動きがピタリと止まる。

 

新一「……あれ、快斗お前いつからいたの?

影薄すぎて気付かなかったわ、ごめん」

 

新一さんは本気で彼の存在に気付いてなかった。影が薄かったとかじゃなく新一さんが戦いに夢中だったのか悪いのでは…とは口がさけても言えないが

 

快斗「お前な…!!大体、新一お前のせいで俺はこ んな意味不明な場所に連れて来られたんだぞ?!

それにさっきのバケモノはなんだよ!例えあれがマジックだとしても、していいことと悪いことがあるだろ!!

 

 

つーか、言わせてもらうけどお前俺を助けに来てくれたんじゃねえの?!俺を無視

して何楽しそうにしてんだよ!バカなの?!お前ほんとバカなの!マジであの時は死ぬかと思ったんだからな!とりあえず、一発殴らせろ!バカ!」

 

す、すげえ…。一気に捲し立てて言う彼に皆が圧倒されている中、新一さんの反応だけは違った。クスクスと面白可笑しく笑う新一さんの表情は俺達に向けるような人を馬鹿にしたような笑みではなく心から楽しそうに笑うような表情だ

 

快斗「お前な、何笑ってんだ!わかってんのかどれだけ俺が「わかってるよ」じゃ、じゃあなんで笑ってんだよ!」

 

新一さんは彼に柔らかい笑みを浮かべ

 

新一「いや、別にお前のことだからちびるほどビビってんのかと思ったけど案外元気だったからよ

 

悪かった、お前を巻き込むつもりはなかった。

俺を殴りたきゃ殴ればいい。それでお前の気が晴れるなら。…ただし、条件反射でお前を殴っても怒るなよ?」

 

柔らかい笑みから一瞬にして黒い笑みで言う新一さん。

 

快斗「いや、怒るだろ普通?!なんで俺まで殴られなきゃいけねえんだよ!はあ、もういいよ…。新一を殴るほうが俺の命を縮めかねないからな。」

 

確かに、新一さんを殴るなんて考えられない。だって、新一さんを殴る=それは死に値いするからだ。

 

……彼は知らないのか?新一さんの事を。それとも新一さんが何も話していないのか?この世界がマジックでも何でもない現実の世界であることを

 

新一「くくっ、そうだなそれがいい」

 

快斗「……それにしても、新一さっきから思ってんだけどコイツ等誰?」

 

と、それまでほぼ空気とかしてた俺達を指差し新一さんに問う。いきなり、俺達に話が向けられなんて答えようか迷っていると

 

アゲハ「え?!あ、えーと俺達は…」

 

快斗「まさか…新一、お前…。俺以外に友達がいたのか?!」

 

そうなのか?!そうなんだろ!と新一さんに問いただす彼に思わず俺だけじゃなく皆、「ぷぷっ」と吹き出して笑いハッとしたように口元を手で覆い恐る恐る彼を見れば不機嫌そうな表情をしている新一さんがいる

 

新一「ふっ、まさか。カブト以外俺は知らん。他人同然だ」

 

アゲハ「いやいやいや!他人同然って?!」

 

前から思ってたがなんでカブトだけに懐いてんだよ!

 

快斗「ええ?!嘘だろ?!俺も他人同然なのかよ?!お前いくらなんでもそりゃないだろ!!!」

 

新一「………」

 

聞こえてませーん、とでも言うような態度で無視をきめこむ新一さんに俺と彼は顔を真っ赤にし激怒する

 

快斗・アゲハ「「無視するな!!!」」

 

あれ、なんか俺この人となら仲良くなれるかも

彼もそう思ったのか、二人で顔を見合せガシっと強く握手をかわした

 

アゲハsideend

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