モノクロの世界   作:琲世。

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黒い悪魔の微笑み

快斗side

 

やっぱり新一じゃなかった。覚悟はしていたが、想像以上にパニックになる。だってそうだろう?俺の目の前にいる奴は新一だと言い張るし。実際、姿形は髪の色なんかは違うが同じであったのは確かだけど。それに、いきなり能力があるとか言い出して俺に変身するしもう、何がなんだかわからない

 

だけど、ひとつ確かなのは新一はやはり俺に隠し事をしていたということ。その理由がなんにせよ、覚悟は決まった

 

快斗「アイツの、新一のことを教えてくれ」

 

まずは俺の知らないアイツを知ることだ。思えば俺は新一の何を知ってるだろう?知ってるものより知らないことのほうが多いような気がする

 

ウル「いいぜ、何から知りたい?」

 

快斗「まず、今まで会っていた新一は全てお前か?ウル」

 

ウル「いいや、違う。オレはポーカーの時しか会ってない。それ以外は全て新一だ」

 

快斗「てことは、つまり俺を助けに来てくれたあの時もか?」

 

いや、助けに来てくれたわけではないか。

あの時の新一の目には俺達なんか少しも映ってなかったもんな

 

ウル「そうなるな」

 

快斗「…けど、あの時のアイツ正直いつもの新一と違ってた。それにもなにか理由があ るのか?」

 

ウル「……。それはまああの時のアイツは…、確かに変だったな。理由はわからねえよ」

 

顎の先を片手で擦りながら笑って言う彼は、きっと自分の癖に気付いていないんだろう。嘘をついた時や何か隠し事をしているとき必ずといってするこの仕草。つまり、この癖がでたってことは俺には言えない理由があるってことだ

 

快斗「そっか、ウルが知らないなら誰も知らないよな。じゃあ、新一の周りにいたアイツ等は?」

 

ウル「ああ、アイツ等は新一が助けた奴等だ」

 

快斗「助けた?友達とかじゃねえの?」

 

ウル「ぷっはは、アイツ等が友達?なわけねえだろ。ただの暇つぶしの相手に過ぎねえよ。まあバンダナ少年は別みたいだがな」

 

バンダナ少年?って誰だ?てか、暇つぶし相手ってどういうこと?!

 

快斗「ちょっと待て暇つぶし相手ってどういう意味だ?てか、俺がバケモノに襲われかけたあの場所は何なんだよ!!」

 

息をつく暇もなく一気に喋る。最後らへんは気持ちが昂ぶってしまったのか少し声が裏返る。

 

ウル「暇つぶしは暇つぶしだよ。

お前が襲われそうになったバケモノはあの世界に蔓延る異形の生物「禁人種(タヴー)」だ。

そして、あの世界は夢でも幻で もましてやマジックでもない現実の世界だ」

 

とても、冗談を言ってるように聞こえなかった。俺を馬鹿にするような嘲笑もなければ見下したような目つきもなく真剣そのもの。

 

快斗「…現実って、じゃ、じゃあ一体…、あの世界は何なんだよ!!」

 

半分、逆切れのように叫んだ声は静かな部屋に響く

 

ウル「さあ、オレ達も詳しくは知らねえよ。ただ、頭の中でベルがなって向こうの世界に飛ばされマジック少年もみた、あのバケモノと殺りあってきたそれだけだ」

 

それだけって、あの時の新一もだけどコイツ等命を軽んじ過ぎてはいないか?一歩間違えたら死ぬかもしれないんだぞ!今回は大丈夫でも、次どうなるかわからないのに…怖いって感情がないのか?

 

新一を見てたら純粋に楽しんでるように見えた。そこには微塵も恐怖なんてものはなくて、むしろ狂気さえ感じた。

 

快斗「怖くないのか?死ぬのが」

 

無意識に言葉に出ていた

 

ウル「怖い?さあ、オレにはわからない感情だな

ヒトはいつしか死ぬ。それが遅かれ早かれ必ずくる死なない人間なんていねえ。それを恐れていたって時間の無駄だ。オレはそんなことを考えるより今を楽しむ。楽しんだもん勝ちだからな」

 

なんか、うん。俺の顔で言われてもなんだろうあまり説得力にかけるな。すごくいいことを言ってるのに自分から言われていると思うと無性に腹が立つ

 

ウル「他に聞きたいことがなければ新一の能力説明を「いや、その前にもう一つ」なんだ?」

 

さっきから気になっていたことなんだけど、

 

快斗「肝心の新一はどこにいるんだ?連れの子達もいないし」

 

この部屋には俺とウルだけ。他にも部屋はあるけどさっきから物音ひとつ聞こえない。まさかまだ、新一達はあの世界にいるのか?

 

ウル「ああ、そういえば言ってなかったな

新一達なら地下で遊んでるとこだろう」

 

地下といって真下を指す。地下があることにも驚いだがそんなことより「遊んでる」っていう言葉に少しの違和感を感じる。

 

快斗「遊びって、どんな…?」

 

ウル「くくっ、気になるか?」

 

あ、待てよこの感じ。ポーカーの時と同じだ

俺の第六感が危険信号を鳴らす。これ以上聞くとろくでもないことになると。それでも俺は強く頷く。きっとこの先に待ってるものが茨の道であったとしても、ここまで聞いたからにはもう後にはひけない

 

ウル「覚悟を決めたっていう表情だな。

くくっ、そうだな…。せっかくだし見学しに行くか。その遊びを」

 

快斗「え、見学?いや、待て待てまて!まずその遊びが何なのかを教えろよ!普通の遊びじゃないんだろ!」

 

ウル「そりゃな、普通の遊びではねえな」

 

パチンと指を鳴らし元の姿に戻る。そして、ニヤリと黒い笑みを浮かべて俺を顎で呼ぶ

 

ウル「まあ、とりあえず来いよ」

 

快斗「もう、嫌な予感しかしないんだけど」

 

彼の後についていくように蝋燭で灯された地下に続く階段を降り廊下を歩く

 

ウル「さあ、着いたぞ。少年」

 

アンティーク調の扉を開くと、体育館くらいの大きさの部屋があった。そして、驚いたことにこの室内先程までいたあの場所に似ている。いや、そのものだった

 

快斗「なんだよ、ここ…」

 

ウル「どうやら間にあったようだな」ウルの視線をたどるように視線を向けると新一とバンダナをしていない方の少年がいる

 

快斗「まさか、遊びってのは…」

 

ウル「マジック少年の考えてる通り、戦闘だよ」

 

マジでか!なんとなく予想はしていたけどまさかその予想が当たるとは?!

 

ウル「あ、それとさっき忠告するのを忘れてたが新一には絶対近付くなよ?あと喋りかけるな、死にたくなければな」

 

今まさに、新一に話しかけようとした言葉を飲み込みコクコクと頷く。俺達は部屋の隅っこの方にいる眼鏡をかけた女の子達と合流し静かに戦闘を見つめる。二人は何をするでもなく手足をぶらぶらさせたりジャンプしたりと準備運動をしている

 

と、その時新一の視線が彼から俺達の方にうつる

「あ」今、目があった。俺は控えめに手を振れば新一は俺の隣にいるウルを見る。その視線に気付いたのか「すまん」と言うように胸の前で手を合わせる

 

新一「ウル、快斗のボディーガード頼むぞ」

 

え、ボディーガードって、え?ちょっと待ってよ新一くん。まさかのまさか隅っこの方だから安全かと思ったけどそうでもない?!嘘だろ!どうかこっちにきませんように!

 

ウル「ああ、任せとけ。

存分に遊んでいいぞ、 新一」

 

新一「ふふ、ああ言われなくても存分に楽しむさ

さあ、少しは楽しませろよ?くくくっ」

 

新一の雰囲気が変わった。

 

それと同じく周りの空気も変わる。

先程までのほんわかした空気はどこにもなく立っているのもやっとなほどにお互い殺気に満ちピリピリと火花を散らす。

 

油断したら飲み込まれそうな程に「死」という一文字が俺を襲う。あまりの気迫に後退り小さく蹲る

 

ウル「おい、大丈夫か?」

 

俺の背中を優しく擦るようにウルも「よっこいしょ」と言って床に体操座りをする

 

快斗「…は、はは。ダメだな俺。これくらいでビビってるなんて戦ってんのは俺じゃないアイツ等だってのに」

 

腰が抜けたようにペタンと床に座り込んで震える肩を自分で自分を抱くように両手で強く握る。そんな俺をウルは馬鹿にするでもなく新一達を見ながら呟く

 

ウル「まあ、ビビんのも当たり前だろ。

 

…あと、お前の知ってる新一はここにいると思わないほうがいい」

 

快斗「え?」

 

ウル「マジック少年の知っている新一も間違いなく新一だ。でも、ここではそれは通用しない。

 

だからって、目え逸らすんじゃねえぞ。

新一からも少年からも、しっかりその両目で見とけ」

 

快斗「ああ、わかった」

 

いつの間にか震えは止まっていた。

そして、恐怖とは逆に妙な高 揚感が身を包む俺の知らない新一が見れるからか、はたまたこれから行われるであろう激闘を見れるからかわからないがうずうずとした気持ちで俺は新一の戦いを見守った

 

快斗sideend

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