モノクロの世界   作:琲世。

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快斗side

快斗「‥すげえ」

 

思わずそんな言葉がこぼれ目の前で行われる戦いに何度も目をぱちくりさせ空いた口が塞がらない

 

ウル「ククッ、すげえだろ?」

 

俺の隣でそんな言葉をかけるウルにコクコクと頷く

 

快斗「すごい…けど、多分新一はまだ本気を出してないよな」

 

ウル「へえ…、なんでそう思うんだ?」

 

それは…とまで声に出し目の前で嬉々として少年と遊ぶ新一をみる

 

快斗「アイツはどちらかというと戦闘してるってより…子犬とじゃれあってるように見える」

 

ウル「ぷはっ!あははははははは!!子犬って、あはははは!!ククッ、それは面白い」

 

俺の言葉に腹を抱えて笑うウルにつられるように周りで一緒に新一達の戦闘を見ていた二人も笑い出す。その中で一人俺だけが、なぜそこまで笑うのかわからず「?」を頭に浮かべていた

 

ウル「はあ、笑った笑った」

 

そう目に浮かぶ涙を指で拭ってふう、と息を吐くウルに再び頭に浮かぶ質問を投げかける

 

快斗「なあ、ウル

新一は、いつもあんな風に遊んでるのか?」

 

新一達から視線を逸らすことなく隣にいるウルに話しかける

 

ウル「まあ、そうだな。

お前がオレとポーカーしてた時も 新一はここで遊んでたしな、そこにいるお嬢ちゃんと」

 

そう言って指差す先には眼鏡をかけた大人しそうな少女がいる。少女も俺達の視線に気付いたのか頬を赤らめペコリと会釈する

 

快斗「は?!マジかよ?!あんな、戦いとは無縁そうな少女となんて…。新一を見る目が変わったわ」

 

とうとう新一はか弱い少女にまで手を出すようになったか、見損なったぞ新一!お前はまだ常識ある人間だと思っていたのに…!!!

 

ウル「ククッ、それは大きな勘違いをしてるな~マジック少年。そこにいるお嬢ちゃんを甘く見ねぇほうがいいぜ?」

 

クククッと笑うウルに「?」を浮かべ再び少女に視線をうつすが俺達の話題になど興味はないのか新一達の戦闘を静かに見つめている

 

ウル「新一、楽しんでるな」

 

戦う新一の姿をみつめボソッとひとりごとのように呟くウルに確かにと頷く

 

二人の視線が重なった瞬間、どちらともなく動き出す。黒い靄のようなものを纏わせた少年からの強烈な蹴りを腹部に喰らいながらも口元を三日月のように歪めて彼の足を掴み壁に向かって勢い良く投げ飛す。

 

快斗「…うわあぁ、あれは絶対痛い」

 

自分がされたわけでもないのに思わず顔を歪め「ひえぇ」となんともだらしのない声をだし自分の身体を強くギュッと抱きすりすりさする

 

ウル「大丈夫だ。新一はまだ一割、二割くらいの力しかだしてねえから。それにあの少年もタフだからなそう簡単に壊れ…怪我しねえよ」

 

快斗「今壊れないって言いかけたよな?!てか、あれで二割ってマジかよ…。そう言えば、ウルは新一の本気見たことあんの?」

 

俺の言葉に、一瞬表情が固まり困ったような笑みを浮かべたかと思えば、いつもの捉えどころのない笑みで言葉を紡ぐ

 

ウル「…いや、ないな

それより、見ろよ。少年が何かするみたいだぜ」

 

ほんとに楽しそうに、ワクワクと心躍らせながら見るウルに俺は小さくため息をこぼして新一達に視線をうつす

 

壁に のめり込むようになっている少年に向かって新一はよくテレビなんかで見る死神が持ってそうな黒い鎌でなんの躊躇もなく斬りかかる

 

アゲハ「暴王・円盤Ver(メルゼズ・ディスクバージョン)」

 

新一「チッ、またこれか」

 

彼の身体の周りからハンドボールくらいの黒い球が浮遊しそれは、小学校なんかの運動会で使うような大玉転がしみたいに大きく円盤状になり無差別に新一に襲いかかる。それを黒い鎌でまるで蝿でも叩き落とすようにほんの数秒で消滅させる。

 

が、アイツは気付いていない!その攻撃は囮でそれに紛れて彼が新一に向かって正面突破しているのを。早く新一に知らせなくては

 

快斗「し、新一まっ───!!!」

 

新一、前だ!と言う前にドオオンという轟音と共に少年によって床に叩き落とされる。

 

快斗「新一!!お、おい、新一が‥新一は大丈夫なのか?」

 

ウル「しっ」

 

静かにと言うように口元に人差し指をおいて、「まあ見てろ」とでも言うように床に倒れる新一を指差す。

 

なんでコイツはそんなに冷静なんだよ、新一に何かあったらと慌てふためく俺とは対象的なウルに不信感を抱きながらも、渋々頷き床に倒れる新一に視線をうつす

 

快斗「‥は?なんでアイツ…笑ってるんだ?」

 

「は?」と素っ頓狂な声を上げ信じられないものでも見るように目をこれでもか と大きく見開く そこには、悪魔のような笑みを浮かべ何事もなかったかのように立つ新一がいた。かなりの衝撃で地面に叩き落とされたにも限らずかすり傷一つない

 

ウル「な、大丈夫だったろ?」

 

快斗「いや…、いやいやいやおかしいだろ?!

普通あんな衝撃受けたらかすり傷の一つくらいあるだろ?!」

 

さも、当然であるかのように言うけど俺には何一つ理解できねえよ!何なのアイツ不死身なの?!…うわ、想像したらあり得るな。そういや、俺、新一のこと何も知らない。そうだよ、上の階で聞こうと思ってたのに色々衝撃的ですっかり忘れていた本題を。

 

ウル「おいおいどうした?マジック少年。そんな難しい顔して~」ニヤニヤ

 

イラッ。今すぐコイツの顔面に蹴りを入れたいところだがそんなことをすれば俺はきっと死ぬことになるからやめよう

 

快斗「新一の能力について教えてほしい」

 

その言葉に先程までの馬鹿にしたような嘲笑は消え、かわりに俺を試すような挑戦的な笑みを口元に浮かべる

 

カブト「あ、俺も新一さんの能力何なのか気になる」

 

雨宮「私も知りたいです」

 

ウル「まあ、いいぜ。別に教えたところでお前等じゃ新一には勝てねえからな」

 

 

すげえ 自信だな、まあでもそうだよな。新一の能力を知ったらかと言って勝つとは限らないし

 

ウル「まず、ひとつめさっきの戦いでも出たが

少年が壁に不自然に拘束されたような場面がなかったか?」

 

快斗「そういえば、あったような」

 

ウル「それは新一の能力によって壁に拘束されてたんだ。能力名は伸縮自在の愛―バンジーガム―」

 

快斗「バンジーガム?」

 

なんだそれ?と言うように「?」を頭に浮かべる

 

ウル「そう、伸縮自在の愛―バンジーガム―と言ってガムのような粘着性とゴムのように弾性の両方の性質を持つんだ。つまりよく伸び、すばやく縮む。付けるも剥がすも新一次第てことだな」

 

なるほど、そういうことだったのか。でも、それだけじゃないよな?

 

ウル「次に、二つ目。これはマジック少年にみせたマジックの種明かしにもなるんだが」

 

マジックの種明かし?って新一が俺に見せてくれた空中歩行のことだろうか。あれは凄かったな。本当にマジックだったかも疑うくらいに

 

ウル「能力名を万物の選択と言って」

 

快斗「万物の、選択?」

 

ウル「ああ、万物の選択と言って、自身が触れたい物を自由に「選べる」権利を持つのさ。

 

 

つまりはマジック少年にみせたような空中歩行や、周りの大気を「拒絶」し真空状態を造り出す ことだって簡単なんだぜ。それに、人体を一切傷つけることなくに心臓だけを抜き取ることもできるしなぁ、クククッ」

 

快斗「なんてえげつない能力なんだよ」

 

最後のセリフにはあえて触れることなく「うわぁ」と引いたような眼差しをウルに向けるが、ウルはそんな視線など気にすることなくあっけらかんとしている

 

ウル「あとは、そうだな。また教えてやるよ

その前にどうやら動きがあったみたいだぜ、クククッ」

 

なんか、後回しにされた感があるが、それだけわかっただけでもよしとするか。また新しい能力が出た時にウルに聞こう

 

新一「なあ、まさかこれで本気なんて…言わねえよな?」

 

アゲハ「あ、当たり前だ!俺の本気はこんなもんじゃねえ!い、今 から本気出すから待ってろ!」

 

新一「なーんだ、そうだよな。

これで本気とか…くくッ、弱すぎるもんなぁ?

俺はさ、ウルと遊んでた時にだしたあの時のお前と殺りてえんだよ」

 

背筋に氷を当てられたようにぶるっと身震いをして全身から血の気が引くのを感じる。それほどに目の前にいる新一に恐怖した。悪魔のような狂気めいた笑みを浮かべ新一はスッと黒鎌を手放す。手元から離れた黒鎌は黒い霧となり消え去る

 

ゴクン、と生唾を飲み込み二人の様子をジッと観察する

 

新一の方を見れば軽くジャンプして手足をぶらぶらとさせ、両足を肩幅くらいに開き、左足を前に出し半身の姿勢になる。両拳をこめかみの高さに上げ、脇を軽く締め、左拳は少しだけ前へ出し、右拳は自分の顎とこめかみを守るように構える。

 

左足の爪先は正面を向け、右足は外側に向け、軽く踵を浮かせる。顎を引き、視線が下を向かないよう、両目は上目づかいをするように前方を直視する。

 

あれは、まるでボクシングをするときの構えだ。

 

前に出した左手で挑発するようにクイクイッとさせる。

 

新一「さあ、来いよ」

 

アゲハ「ッ!! 舐めやがって…!!」

 

ウル「ふっ、バカな奴だ。簡単にかかった」

 

快斗「え?どういう「まあ、見てな」」

 

挑発に乗せられ新一に向かって正面から突っ込んでいく。構えていた左足で彼の首元に向け強烈な回し蹴りを喰らわせる

 

ウル「…ほお」

快斗「え?!」

 

が、それより早く彼を守るように黒い靄が攻撃を受け止める

 

アゲハ「あっぶねー…。アンタ俺を殺す気か?!」

 

新一「殺す?それくらいで死ぬかよ」

 

アゲハ「いやいやいや!今の首にヒットしてたら完璧死んでたよ?!」

 

新一、今のは俺も彼に大賛成です!!

お前はかるーく、ほんと蚊を殺すくらいのつもりだろうが俺のような一般人は一発であの世行きだ!いや、俺のような一般人じゃなくともいかんぞ新一!

 

新一「ごちゃごちゃうるせーな。実際死んでねえんだからいいだろ?それに二割 程度の蹴りで死ぬわけねえだろ」

 

アゲハ「今ので二割って、マジかよ…」

 

舌打ちをし再び攻撃を仕掛ける彼にニヤリと口元を歪める新一

 

アゲハ「─────全てを貫け

暴王の流星(メルゼズ・ランス)」

 

空を翔る流星のように一直線に新一の心臓を貫くように向かっていく

 

快斗「新一、危ないっ!!」

 

新一は一瞬俺の方を見てニコッと微笑み、再び彼に視線をうつし黒い笑みを浮かべる

 

新一「残念だよ。全く

もっと、楽しめると思ったのに」

 

ウル「ほら、今使ってるのがバンジーガムだ」

 

ウルに教えてもらうように指をさした先をみると、そのバンジーガムによって攻撃は止められはね返される

 

新一「お前さ、本気で勝つ気あんの?

お前には失望したよ。これ以上ヤッてもつまらないだけだ」

 

失望と怒りをかき混ぜたような声で「はあ」と大きなため息をこぼし本当にがっかりしたように表情を落とす

 

快斗「なあ、なんで新一怒ってるんだ?」

 

新一の怒っている理由がよく理解できず隣にいるウルに話しかける

 

ウル「まあ、あれは俺でも怒るな

多分少年は本気で新一にぶつかってる、けどさっきの攻撃殺意が全く感じられなかった」

 

快斗「さ、殺意って?!は?!」

 

いやいや、殺意って、はあ?!

口を開けたまま呼吸困難を起こしたかのように身体が震えていた。

あまりの驚きに思考が停止する。だって、これは遊びじゃなかったのか?なのに殺意って…それはつまり殺し合いをするって…ダメだ。考えが上手く纏められない

 

ウル「戦闘は新一にとっちゃ遊びでそして命の賭け事だ。だからこそ、真剣にこなかった少年に失望したんだろう。新一はあんなので死ぬようなやつじゃねえだろ?」

 

快斗「た、確かに…」

 

ウル「そういうことだよ。」

 

なるほど、わかったようなわからないような。

でも、いつだって新一は本気なんだってことはわかった

新一は確かに戦闘を祭りかなにかと勘違いしてるのか楽しみ遊んではいるが、それでもそこにはなにか信念のようなものがあるのだろう

 

新一「少しでも、期待した俺がバカだった」

 

くるっと方向転換し戦闘を見学していた俺達の方に歩いてくる

 

快斗「ちょっ、気のせいかな?新一こっちに来てねえか?!」

 

ウル「見てえだな。どうやら少年に見切りをつけて俺達の誰かと遊ぶんじゃねえか?」

 

快斗「はあ?!誰かって誰よ!!」

 

ウル「さあ?もしかしたら、マジック少年かもな、クククッ」

 

快斗「はあ、俺?!無理無理無理ッ!絶対無理ッ!マジで無理ッ!死ぬ、絶対死ぬからッ!!!!」

 

ウル「ははは、冗談だよ。マジック少年」

 

おい、誰かこいつを一発ぶん殴ってくれ。頼む

その冗談が冗談に聞こえないから怖えんだよ、新一もウルも!真顔での冗談とかほんとやめてくれ!!

 

アゲハ「…てよ。」

 

快斗「?? 今、なんか聞こえなかったか?」

 

ウル「……。少年が、」

 

アゲハ「待てよ!!俺はまだアンタに負けてねえ!」

 

ウルの言葉を遮るように部屋に響くほどの声で新一に叫ぶ。新一もその言葉で立ち止まり、顔だけ振り向くように彼を横目でみる

 

新一「だから?これ以上して何か変わるのか?変わらねえだろ。覚悟も何もない奴が俺に勝とうなんて…お前こそ舐めてんじゃねえの?」

 

ナイフでも突き刺すような言葉の口調で言えば、ずっと俯いていた顔を上げ瞬きのない真っ直ぐな目で新一をみて口を開く

 

アゲハ「…確かにこれ以上アンタと戦ったとして俺が勝つ確率は低い。けど、もうやめた。勝つ気じゃダメなんだ。殺す気で行かねえとアンタと同等には戦えない」

 

快斗「アイツ等本気かよ、マジで殺し合いを…」

 

ウル「ククッ、いいねえ。面白くなってきたじゃねえか」

 

コイツ等おかしいよ、どうかしてる。狂ってる。

このなんとも言えぬ殺伐とした空気がそうさせているのか?空気感染のように狂気が人から人に感染し、そしていずれ俺にも…。

 

新一「ふっ、殺す気って甘ちゃんなお前に出来んのか?」

 

快斗「ッ?!」

 

ゾクゾクゾクッと足元から頭のてっぺんにかけ雷が走ったように鳥肌がたつ。

部屋いっぱいに張り裂けるような殺気が満ち、圧縮された空気を前から浴びせられるような異様な威圧感にブルっと背中を震わせる。

 

そんな空気を一身に浴びてる新一を見れば

 

快斗「…笑って、る?」

 

目が興奮でギラッと妖しく光りニンマリと笑みを浮かべ唇をぺろりと舐める

 

一方彼を見れば、大きく息を吸ってゆっくりと時間をかけ息を吐き、それを繰り返したかと思えば身体全体の力を抜くようにだらりと手をぶら下げ顔も下を俯くように脱力している。

 

快斗「なんだ、何か」

 

ウル「─────来るッ。」

 

快斗「わっ!」

 

突風がふいて思わず目をギュッと瞑る

そして、閉じていた目を開くと全くの別人が俺達の目の前に佇んでいた。

 

快斗「なん…何だよあれ?!」

 

ガタガタと身体が震え立ってられず床にへなへなと座り込む。「あ、ぁあ」と声が漏れあまりの恐ろしさに寒さを覚え震えて歯がガチガチ噛み合う

 

ウル「ふっ、ふふふ、キタな。マジック少年、大丈夫か?」

 

涙が込み上げ声をつまらせる。耳に自分の歯のガクガク鳴っているのが聞こえる。

ウル「おい、マジック少年、」

 

快斗「ッ、わあああ?!?!?!?!」

 

ウル「び、びっくりした。おい、ほんとに大丈夫か?」

 

はあはあはあ、と肩で息をし涙目でウルをみる

ぶんぶんと首を降るだけで精一杯でドクンドクンと緊張と恐怖ともういろんな感情が混じり合って心臓が痛い

 

怖くて怖くて気が狂いそうだ。

底のない穴に落ちていくような暗くて恐ろしい気持ちに全身から嫌なねっとりとした汗を流す。そんな俺にウルは何も言わずそっと隣に座る

 

快斗「あ、ぁ、」

 

ああ、くそ!恐怖で声が詰まり上手く言葉にできない

 

ウル「殺気にあてられたんだろう。

安心しな、直に声もでるから。それまでは静かにみとこうや」

 

ありがとう、という言葉をいうかわりに頷き新一達の戦いを見守る

 

新一「さあ、来いッ!!」

 

彼の周りには無数の黒い球ができ一斉に新一を襲う。それを待ってましたと言わんばかりに駆け出しひとつ残らずサッカーボールでも蹴るように消滅させ攻撃を囮にして正面突破してくる彼を、ドラマなんかでも見る壁を蹴るように一回転してそのまま踵落としをするが、余裕で避けられ再び新一に無数の攻撃を叩きつける

 

新一「これだよこれこれこれえええ!!

あはははははは はははははははははは!!!!」

 

壊れた笑みで攻撃を瞬殺し、興奮でギラリと目は異様な輝きを見せはあはあと肩を上下に揺らす

 

快斗「…新一?」

 

ウル「お前、声…」

 

新一「─────水天逆巻け 捩花」

 

ふわっと新一自身から風を起こすように髪や服が舞い上がる。

 

快斗「な、なな、何だあれは?」

 

ウル「捩花だよ」

 

快斗「ねじばな?」

 

ウル「そう、斬魄刀といって持ち主によって形状や能力は千差万別だが、新一の捩花の場合、鞘から出した刀が三叉の槍(矛)に変化して、同時に大量の水を発生させるのさ。槍でも攻撃はできるがああやって水による攻撃も出来るんだ、って大丈夫か?」

 

快斗「す、すまんちょっと待ってくれ。色々ありすぎて何がなんだか…」

 

え、えと捩花ってのは新一の斬魄刀であのフォークみたいな三叉の槍によって攻撃をすると。で、あの周りを囲むような水によっても攻撃出来ると。オーケーオーケー理解したわ…ってできるかボケ!!何一つ理解できてねえよ!能力の説明されても全く意味わからねえから!なんで、そもそもそんな意味不明な能力をコイツ等はさも当たり前のように持ってんだよ!バカなの、君達!

 

ウル「心が荒ぶってるな、マジック少年」

 

快斗「 うるせーよ!って、何お前人の心読めんの?!」 ウル「ククッ、まあな」

 

ククッ、まあな(ドヤ顔)じゃねえよ、はっ倒すぞコラ。ああ、くそ意味わからねえ。もうこうなったらやけだ、納得するまで聞いてやる!

 

快斗「それも、ウルの能力なのか?」

 

ウル「ああ、そうだな。

あー、マジック少年もいづれ能力に目覚めるだろうから心配しなくていいぞ」

 

快斗「ちょっ、え?!どういう意味だよそれ?!心配するわ、普通に!!」

 

何いきなりコイツ爆弾発言しちゃってんの?!ちょっと待って、え?俺が、え?能力に目覚めるって?それはつまり新一やウル、いや、ここにいる彼等のようになると、そういうことですか?!

 

快斗「ないないない、ないわー。あり得ない。そ、そうだ冗談、冗談なんだろ?そうなんだろ?な?そうだよな!そうなんだよな!ええ?!」

 

ウルの肩を揺さぶって鬼気迫る表情で言う俺に少し圧倒されるようにウルが口を開く

 

ウル「じょ、冗談じゃ、ねえよ!実際俺達も、そ、そうやって能力を持ったんだ!お前も、見たろ?サイレン世界を、そこにいるバケモンを」

 

揺さぶっていた肩を止め、ふとあの時のことが頭によぎる。思い出したくなくても嫌でも記憶にある。あの時のことが鮮明に思い出される




ウル「あの世界にいけば、嫌でもなるのさ。俺達のようにな」

快斗「は‥?マジかよ、そんなおとぎ話みたいなこと「あるのさ、残念ながらな」で、でも俺は少ししかいなかったし」

ウル「そうだな、彼処には長居しないほうがいい」

快斗「どうして?」

ウル「どうして?わからないか?彼処にはうじゃうじゃとバケモンがいるんだ。助けを呼ぼうにも携帯も何も繋がらない。長い間闇しか広がっていないようなあんな場所にいたらどうなると思う?」

快斗「それは…多分狂っちまうかもな。
……おい、まさか新一は」

ウル「俺達は長くあの世界にいた。
だから、新一は時々自分の意志とは関係なく…壊れるんだ。」

ウルの表情は寂しさと悔しさが混じった何とも表現しがたい表情で新一を見る。その目は子供を見守る親のようだ

快斗「だからあの時…。
なるほど、それなら早く能力を手に入れなきゃな」

ウル「は?どういう心境の変化だ」

快斗「新一がそんな目にあってるんだ
新一を助けたい。俺はアイツを闇から救ってやりたいんだ」

ウル「…あ”?今なんつった?」

うっ、と一歩後退りしてしまいそうなほどに鬼のような表情で迫るウルに負けじとどーんと構える

快斗「何度でも言ってやるよ。
俺が新一を救ってみせる、絶対にな」

ウル「お前には無理なんじゃねえの?ビビリくん
新一を救うのも助けるのも、この俺だ」

快斗「いや、何マジに張り合ってんだよ?!
って、ビビリくんってなんだよ!ビビってねえし!」

ウル「はあ?ビビってただろ?声も出せないくらいに、ぷぷー!ダッセー!そんな奴が新一を救う?助ける?ふざけるな。そんな生半可な気持ちで救えるなんて思うなよ」

快斗「生半可な気持ち?んなもん、ねえよ。
俺は本気だ。本気で新一を救う。俺は、新一の友達だそして親友でもありライバルでもあるんだ。そんな奴を放っておける訳ねえだろ?友達が困ってる時に見捨てる奴はクズだ」

ウル「クズ、ねえ。まあ精々頑張りな
だが、新一は俺が助ける。アイツがいなくなっちゃ困るからな」

ウルの言葉に耳を傾けながら視線を新一たちに再びむける。

新一「オラオラオラオラおらあああああッハハハハハハハハハ!!!」

狂ったような笑みを浮かべながらぶんぶん捩花を振り回す

ウル「っと俺達が話し 込んでる間にまずい状況になったぞ。」

快斗「まずい状況というと?」

ウル「新一の理性が飛びかけてやがる」

快斗「は?!ちょっ、それ相当やばいんじゃ…」

何か考え込むように難しい表情を浮かべスクっと立ち上がる、それにつられるように俺も立ち上がる

快斗「で、どうすればいい?」

ウル「少し様子見だ」

快斗「わかった」

新一「あハハはははハハハハハ!!ヤベエエエエ楽しいよォ楽しい楽しい楽しすぎる!!!あああもっともっともっと壊したい壊して壊して壊してグチャグチャになるほど壊してエエエけどまだダメだ。だってこんなに楽しいんだ!!

駄目駄目駄目駄目我慢しないとコイツが壊れちゃまた退屈しちゃう。だからダメだ我慢しないと駄目だダメ」

くそ、わかってる。わかってるさどうしようもできないことくらい。でも、だからってこんな状態の新一をただ黙って見てろと?無理だ、見てられない。でも、ウルに言われた。何が起ころうとその目でしっかりと見届けろと。だけど、辛いんだ。怖いんだよ。俺の目の前にいる新一が新一じゃなくなるような気がして俺はとてつもなく怖い。恐れているんだ


───────少しずつ、でも確かに日常が壊れていくことに


ウル「クソッ!アイツ俺の声がまるで聴こえてねえ」

怒りを顕にして床を強く蹴る、ウルのこんな顔初めてみた

快斗「新一は、大丈夫なのか?」

ウル「…いや、ちょっとやばいかもな」

カブト「新一さん。あの時より楽しんでるように見える」

快斗「どど、どうすんだよ?!」

ウル「どうするもなにも…そうだ、マジック少年新一を助けるんだろ?今こそチャンスだ逝け」

快斗「おい、ちょっと待てコラ。今、行けが逝けになったよな?つまり、なんだ?死ねってことか?死ににいけと言ってるのか!!!」

猫が怒るようにプシャーと毛を逆立てて今にも飛びかからんとする俺に周りの視線はどこか冷たい

ウル「え、別にオレは死ににいけとか言ってないけど?やだなー、マジック少年ってば自意識過剰~。でも、そんなに死にたいなら、とっとと死ににいけよ」

快斗「おまっ、ほんと何なのお前?!
ここまで人をキレさせるとかある意味天才だわ!」

ウル「え、照れる~」

快斗「褒めてねえよ?!」

ダメだ、まるで会話にならない
ええいやめたやめた、コイツに頼るのは。信じられるのは自分だけだ!どうにかして新一を助ける方法がないか…、考えろ考えるんだ俺!!

アゲハ「バケモンてより悪魔だよ、最早…」

そうやって考えてる間にも少しずつ戦況は変わってゆく

新一「悪魔?クククッ、褒め言葉じゃねえか。はあぁ、楽しいなおい。楽しすぎて楽しすぎてゾクゾクしちゃうヨ」

最後の「ヨ」の部分で一瞬で彼を壁に追い詰め槍投げの要領で手から放った槍は弧を描き彼の右太ももに突き刺さる

快斗「ひい?!刺しやがった?!」

アゲハ「ぁガッ…ぐぅ‥んにゃろッ!!」

太ももに突き刺さった槍を抜くとポッカリと穴のあいた傷跡は一瞬で消える。新一の手元に戻った槍につく血をぺろりと舐め狂った笑みを浮かべる

快斗「え、傷戻った…?てか、え、今血舐めた?」

新一「────卍解 擂砕け 龍渦水捩花(すりくだけ りゅうかすいねじばな)」

普通の状態の捩花が長くなり、前後についた刃の部分に大量の水が龍のように渦まいている

快斗「なんだあれ、かっけーな」

ウル「あれは、卍解状態だな。さっきの状態のもう一段階上だ。さっきのがレベル1ならこれはレベル2みたいなもんだ」

快斗「なるほど、そういえばウルもあるの?斬魄刀とか」

ウル「ああ、あるよ。
俺のは実際使用した時に説明してやんよ」

快斗「わかった、楽しみにしてる」

どんなのなんだろうな、俺もいづれ持つようになるのだろうけど。俺の場合どういうのかなー。新一みたいや槍?或いは、弓とか、双剣もいいよな、レイピアとか、短剣、夢が広がるな…ってまてまて待て何を俺はすんなりと受け入れてるんだよ!でも、今のままでも新一は救えない。新一を助ける為には救うためには俺も新一と同じように力をつけ強くならなくては

新一「さあ、これからが本番だぜ。
へばってんじゃねえぞ。楽しみはこれからなんだからよお!!」

快斗「いや、え?!これまでのは一体?!」
アゲハ「いや、え?!これまでのは一体?!」

あ、被った。俺と彼の言葉が被り隣にいるウルが吹き出すように笑ったのと同じく新一も俺を見てクスクスと笑う。気恥ずかしさに耳を赤らめ頬もピンク色に染まる

ウル「ククッ、やはり少年とマジック少年はどこか似ているな、ふふふっ。」

快斗「それはまあ、同感だけど」

新一「あ?これまでのはほんのお遊びだろ?」

マジかよ?!ほんのお遊びってコイツ等いつもどんな戦闘してたんだよ

アゲハ「デスヨネー!!」

涙目になっている彼を無視して新一はニッコリと黒い笑みを浮かべる。いや、新一くん、彼半泣き状態だけど?!もう、アイツが悪魔にしか見えなくなってきた…。

ウル「…ここからはもっと激しい戦いになるだろうな」

快斗「マジかよ…、アイツ等大丈夫何だよな?」

ウル「わからん。新一の状態も不安定だし
万が一があったら、その時は…頼んだぞ」

ポンッと肩に手を置かれ新一にも負けないくらいの黒い笑みを浮かべる

快斗「頼んだぞって、何を?!」

ウル「ククッ、まあ今のはほんのブラックジョークさ。新一に万が一があれば俺が止める。いいな?」

快斗「…わかった。その時は新一を頼むぞ」

ウル「すんなりと受け入れるんだな。」

快斗「今の俺じゃ新一を救えないから…、だから頼むぞ。」

ウル「ああ。任せろ」

己の手のひらを見つめギュッと強くこぶしを握る
今の俺は弱い。ここにいる誰よりも弱く脆い
きっとここにいる彼等は俺が経験したこともない程のことをしてきたんだ

強くなりたい、皆を守れるほどとは言わない。
せめて、俺のこの手が届く範囲でいいから守れるくらい強くなりたい

快斗sideend
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