モノクロの世界   作:琲世。

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快斗「‥すげえ」

ウル「ククッ、すげえだろ?」

マジック少年の言葉にニヤッと口元を歪めるような笑みをむければうんうんと首をたてに振る

快斗「すごい…けど、
多分新一はまだ本気を出してないよな」

ウル「へえ…、なんでそう思うんだ?」

それは、とまで呟き新一達に視線をうつし「ふっ」と顔を綻ばせ

快斗「アイツはどちらかというと戦闘してるってより…子犬とじゃれあってるように見える」

ウル「ぷはっ!あははははははは!!
子犬って、あはははは!!ククッ、それは面白い」

予想外すぎる言葉に腹を抱えて笑う俺につられるように周りので一緒に新一達の戦闘を見ていた二人もクスクスと笑い出す。

───────新一、やっぱりマジック少年は面白いな!

───────遊びの最中に何を言うかと思えば何だ?さっき笑っていた事と何か関係あるのか?

───────ああ、それがさ…ぷっ、くっふふ‥やばい思い出したら笑えてきた、ふふふ

───────いや全く話が見えないんだが

───────ああ、悪い悪い。っふふ、それでえっとなんだけ。そうそう、それでなマジック少年と新一達の遊びを見ていたわけなんだが、その時マジック少年ったらなんて言ったと思う?

───────は?えっと、うーん‥そうだな

───────マジック少年ったら、新一達の遊びを見てこう言ったんだぜ!子犬とじゃれあってるみたいだってよ!ふっ、はは、クククッ

───────ぷっ、はは、あはっははは!!
ククッ、なんとも快斗らしい言動だな。ふふっ


ウル「はあ、笑った笑った」

目に浮かぶ涙を指で拭ってふう、と息を吐く

快斗「なあ、ウル
新一は、いつもあんな風に遊んでるのか?」

ウル「まあ、そうだな。
お前がオレとポーカーしてた時も新一はここで遊んでたしな、そこにいるお嬢ちゃんと」

そう言って指差す先にお嬢ちゃんがいる。お嬢ちゃんも俺達の視線に気付いたのか頬を赤らめペコリと会釈する

快斗「は?!マジかよ?!あんな、戦いとは無縁そうな少女となんて…。新一を見る目が変わったわ」

ウル「ククッ、それは大きな勘違いをしてるな~マジック少年。そこにいるお嬢ちゃんを甘く見ねぇほうがいいぜ?」

クククッと笑う俺にマジック少年はどういう意味だと言うように「?」を浮かべる。当の本人は俺達の話題になど興味はないのか新一達の戦闘を静かに見つめている


ウル「新一、楽しんでるな」

今はまだ、大丈夫か。ホッと安堵して胸をなでおろす

───────新一、大丈夫か?

───────何がだ?全く問題はねえよ。
むしろいつもより身体が軽いくらいだ

───────そうか、ならいいんだ


目を伏せふっと息を零し、穏やかな笑顔を浮かべ二人の遊びをマジック少年と見学する。

二人の視線が重なった瞬間、どちらともなく動き出す。黒い靄のを纏わせた少年からの強烈な蹴りを腹に喰らいながらも口元を三日月のように歪め少年の足を掴み壁に向かって勢い良く投げ飛す。

快斗「…うわあぁ、あれは絶対痛い」

顔を歪め「ひえぇ」とだらしのない声をだし身体を強くギュッと抱きすりすりさするマジック少年を横目で見ながらふっと笑みをこぼす

ウル「大丈夫だ。新一はまだ一割、二割くらいの力しかだしてねえから。それにあの少年もタフだからなそう簡単に壊れ…怪我しねえよ」

おっと危ない、つい壊れないと言いかけてしまった

快斗「今壊れないって言いかけたよな?!てか、あれで二割ってマジかよ…。そう言えば、ウルは新一の本気見たことあんの?」

流石と言うべきか俺の一言一句逃すことなくついをいれる。そんなマジック少年に少し困ったように微笑みそしていつものような黒い笑みを浮かべる

ウル「…いや、ないな
それより、見ろよ。少年が何かするみたいだぜ」

ほんとに楽しそうに、ワクワクと心躍らせながら見る俺に「はあ」と盛大なため息をこぼすマジック少年。

見たことがないわけではない。
一度だけ。たった一度だけ見たことがある。新一の本気を

ウル「でも、それは教えてやんねえ」

快斗「え?何が?」

ウル「なぁーんでも?ほら、始まるぞ」

壁にのめり込むようになっている少年に向かって新一は黒鎌でなんの躊躇もなく斬りかかる

アゲハ「暴王・円盤Ver(メルゼズ・ディスクバージョン)」

新一「チッ、またこれか」

少年の身体の周りからハンドボールくらいの黒い球が浮遊し大きく円盤状になり無差別に新一に襲いかかる。それを黒鎌でまるで蝿でも叩き落とすようにほんの数秒で消滅させる。

少年は攻撃に紛れ新一に正面突破をしようとしているがアイツ、わかっててあえて無視をしているな。

快斗「し、新一まっ───!!!」

マジック少年の言葉を遮るようにドオオンという轟音と共に少年によって床に叩き落とされる。

快斗「新一!!
お、おい、新一が‥新一は大丈夫なのか?」

あたふたと今にも飛び出しそうな勢いで俺の腕を強く掴み引っ張るマジック少年に

ウル「しっ」

静かにと言うように口元に人差し指をおいて、「まあ見てろ」とでも言うように床に倒れる新一を指差す。

快斗「‥は?なんでアイツ…笑ってるんだ?」

「は?」と素っ頓狂な声を上げ信じられないものでも見るように目をこれでもかと大きく見開くマジック少年に、まあ“普通は”こういう反応をするよななんて思いながら新一に視線をうつす

そこには、悪魔のような笑みを浮かべ何事もなかったかのように立つ新一がいる。かなりの衝撃で地面に叩き落とされたにも限らずかすり傷一つないと言っても俺からしたら当たり前だが。

あんなもん新一にとっては、子犬に甘噛みされたくらいの痛さくらいしかない

ウル「な、大丈夫だったろ?」

快斗「いや…、いやいやいやおかしいだろ?!
普通あんな衝撃受けたらかすり傷の一つくらいあるだろ?!」

普通は、だろ?
生憎、俺達はその普通とかけ離れてるんだ。
なんせバケモンや悪魔なんて呼ばれてんだぜ?まあまだ俺のほうが新一より人間らしいがな

ウル「おいおいどうした?マジック少年。そんな難しい顔して~」ニヤニヤ

ニヤニヤとした人をバカにしたような笑みを浮かべれば、隣からマジック少年の心がすごい勢いで流れてくる

快斗「新一の能力について教えてほしい」

いきなり真顔になって何を言い出すかと思えば
へえ、っとペロッと唇を舐め挑発的な笑みを浮かべる

カブト「あ、俺も新一さんの能力何なのか気になる」

雨宮「私も知りたいです」

お嬢ちゃんとバンダナ少年も話に加わって、というかこの二人ほぼ空気とかしてたな。

ウル「まあ、いいぜ。別に教えたところでお前等じゃ新一には勝てねえからな」

自信に満ち溢れたような笑みで言って、ふと新一達に視線をうつす。

───────新一、マジック少年達に能力のこと教えていいか?

───────ああ、構わねえよ。別に知られたとこで困ることなんてねえからな

クククッ、そりゃそうだ。コイツ等じゃ新一にも俺にも勝つことなんて‥できねえんだからな?

ウル「さてまずひとつめは、さっきの戦いでも出たが少年が壁に不自然に拘束されたような場面がなかったか?」

快斗「そういえば、あったような」

ウル「それは新一の能力によって壁に拘束されてたんだ。能力名は伸縮自在の愛―バンジーガム―」

快斗「バンジーガム?」

なんだそれ?と言うように「?」を頭に浮かべるマジック少年達に俺はなるべく簡潔にそれでいてわかりやすく説明をする

ウル「そう、伸縮自在の愛―バンジーガム―と言ってガムのような粘着性とゴムのように弾性の両方の性質を持つんだ。つまりよく伸び、すばやく縮む。付けるも剥がすも新一次第てことだな」

まあ、実際新一の場合応用してこれだけじゃない能力があるのだがとりあえずこれくらいの説明でいいだろう

ウル「次に、二つ目。これはマジック少年にみせたマジックの種明かしにもなるんだが

能力名を万物の選択と言って」

快斗「万物の、選択?」

ウル「ああ、万物の選択と言って、自身が触れたい物を自由に「選べる」権利を持つのさ。


つまりはマジック少年にみせたような空中歩行や、周りの大気を「拒絶」し真空状態を造り出すことだって簡 単なんだぜ。それに、人体を一切傷つけることなくに心臓だけを抜き取ることもできるしなぁ、クククッ」

最後の言葉を強調するようにニヤニヤと歪んだ笑みを浮かべればバンダナ少年は「ヒィ」と言って己の左胸を隠しお嬢ちゃんはほお無表情だな、マジック少年はクククッ引き攣った笑みを浮かべている

快斗「なんてえげつない能力なんだよ」

ウル「あとは、そうだな。また教えてやるよ
その前にどうやら動きがあったみたいだぜ、クククッ」

不満そうな表情で俺を睨むマジック少年を無視して前を見据えれば、諦めたようにマジック少年も新一達の戦闘をみる

新一「なあ、まさかこれで本気なんて…言わねえよな?」

アゲハ「あ、当たり前だ!俺の本気はこんなもんじゃねえ!い、今 から本気出すから待ってろ!」

ククっ、そうだよな少年。俺と戦った時のようにアレを出してくれよ。俺はそれを見てえんだよ

新一「なーんだ、そうだよな。
これで本気とか…くくッ、弱すぎるもんなぁ?
俺はさ、ウルと遊んでた時にだしたあの時のお前と殺りてえんだよ」

悪魔のような狂気めいた笑みを浮かべ新一はスッと黒鎌を手放す。手元から離れた黒鎌は黒い霧となり消え去る

新一の空気が変わった。これはこの感じはあの時と似ている。

───────おい、新一壊しすぎんじゃねえぞ

───────ああ、大丈夫だ。
ただ、腕の一本な足の一本無くなるかもしれねえがな

いや、うん。それのどこが大丈夫なんだ。新一

───────ククっ、なーんてな冗談だよ冗談。

新一「さあ、来いよ」

アゲハ「ッ!! 舐めやがって…!!」

ウル「ふっ、バカな奴だ。簡単にかかった」

快斗「え?どういう「まあ、見てな」」

まんまと新一の挑発に乗せられ正面から突っ込んでいく少年に構えていた左足で少年の首元に向け強烈な回し蹴りを喰らわせる

ウル「…ほお」
快斗「え?!」

が、それより早く少年を守るように黒い靄が攻撃を受け止める

アゲハ「あっぶねー…。アンタ俺を殺す気か?!」

新一「殺す?それくらいで死ぬかよ」

アゲハ「いやいやいや!今の首にヒットしてたら完璧死んでたよ?!」

何を大袈裟なことを言ってんだあれくらいで死ぬわけがないだろ、まあでもそれは俺達だけか

しかし、流石少年!身体が頑丈じゃなけりゃポキっといってたな!ポキっと!それも見てみたかったような気もするがそんなことになれば遊ぶことが出来なくなる

新一「ごちゃごちゃうるせーな。実際死んでねえんだからいいだろ?それに二割程度の蹴りで死ぬわけねえだろ」

アゲハ「今ので二割って、マジかよ…」

舌打ちをし再び攻撃を仕掛ける少年にニヤリと口元を歪める新一。新一め今の状況を楽しんでるな

アゲハ「─────全てを貫け
暴王の流星(メルゼズ・ランス)」

空を翔る流星のように一直線に新一の心臓を貫くように向かっていく

快斗「新一、危ないっ!!」

マジック少年の叫び声に新一は一瞬マジック少年の方を見てニコッと微笑み、再び少年に視線をうつし黒い笑みを浮かべる

新一「残念だよ。全く
もっと、楽しめると思ったのに

お前さ、本気で勝つ気あんの?
お前には失望したよ。これ以上ヤッてもつまらないだけだ」

失望と怒りをかき混ぜたような声で「はあ」と大きなため息をこぼし本当にがっかりしたように表情を落とす新一。

快斗「なあ、なんで新一怒ってるんだ?」

ウル「まあ、あれは俺でも怒るな
多分少年は本気で新一にぶつかってる、
けどさっきの攻撃殺意が全く感じられなかった」

快斗「さ、殺意って?!は?!」

ウル「戦闘は新一にとっちゃ遊びでそして命の賭け事だ。だからこそ、真剣にこなかった少年に失望したんだろう。新一はあんなので死ぬようなやつじゃねえだろ?」

快斗「た、確かに…」

ウル「そういうことだよ。」

少しの沈黙が部屋に流れる。
新一は眉間にしわを寄せ「もういい」と呟いて

新一「少しでも、期待した俺がバカだった」

くるっと方向転換し戦闘を見学していた俺達の方に歩いてくる

快斗「ちょっ、気のせいかな?新一こっちに来てねえか?!」

ウル「見てえだな。どうやら少年に見切りをつけて俺達の誰かと遊ぶんじゃねえか?」

快斗「はあ?!誰かって誰よ!!」

ウル「さあ?もしかしたら、マジック少年かもな、クククッ」

それまでの笑みを消しスッと真顔で言えば

快斗「はあ、俺?!無理無理無理ッ!絶対無理ッ!マジで無理ッ!死ぬ、絶対死ぬからッ!!!!」

クククッ、思った通りの反応をしてくれる。やはりからかいがいがあるな。はあ、超楽しッ

ウル「ははは、冗談だよ。マジック少年」

だからそんな怒った顔するなよ、ただの冗談だろ冗談?それに真顔で冗談をいうから面白いんだろ!頭はいいのに騙されやすいなんてコイツほんとはそんなに頭良くないんじゃねえか?ククっ

まあ、それが面白いからいいんだけど

アゲハ「…てよ。」

お、少年も動くか?そうじゃなきゃな!マジック少年が新一と戦う場面も興味あるがそうなればほんとに死ぬかもしれないからそれはまた今度にして今はまだ頑張って俺達を楽しませてくれよ、少年。

快斗「?? 今、なんか聞こえなかったか?」

ウル「……。少年が、」

アゲハ「待てよ!!俺はまだアンタに負けてねえ!」

俺の言葉を遮るように部屋に響くほどの声で新一に叫ぶ。新一もその言葉で立ち止まり、顔だけ振り向くように少年を横目でみる

新一「だから?これ以上して何か変わるのか?
変わらねえだろ。覚悟も何もない奴が俺に勝とうなんて…お前こそ舐めてんじゃねえの?」

ナイフで突き刺すような言葉の口調で言えば、ずっと俯いていた顔を上げ瞬きのない真っ直ぐな目で新一をみて口を開く

アゲハ「…確かにこれ以上アンタと戦ったとして俺が勝つ確率は低い。けど、もうやめた。勝つ気じゃダメなんだ。殺す気で行かねえとアンタと同等には戦えない」

快斗「アイツ等本気かよ、マジで殺し合いを…」

ウル「ククッ、いいねえ。
面白くなってきたじゃねえか」

ゾクゾクしてきた
もっとこれから楽しい戦いになるんだ
誰にも邪魔はさせねえよ、勿論マジック少年お前にも新一の邪魔はさせねえ

新一「ふっ、殺す気って甘ちゃんなお前に出来んのか?」

少年の纏う空気が変わった。きたきたきたっ!俺と戦ったあの時と全く同じ空気だ!クククッ、やっと本気を出したか。ったく待たせやがって。弱えんだからもったいぶることなく最初からそれでいけよ

まあ、少年の場合そこまでの体力がないから無理だろうけど。多分あの超ウルトラスーパー無敵モードになるには相当の集中力なんかをようするんだろうからな

快斗「…まさかアイツ、この状況で笑ってるのか?」

獲物を前に興奮を抑え切れないのか目がギラッと妖しく光りニンマリと笑みを浮かべ唇をぺろりと舐める新一

一方少年を見れば、大きく息を吸ってゆっくりと時間をかけ息を吐き、それを繰り返したかと思えば身体全体の力を抜くようにだらりと手をぶら下げ顔も下を俯くように脱力している。

快斗「なんだ、何か」

ウル「─────来るッ。」

快斗「わっ!」

俺が叫んだと同時に突風が吹いた。

快斗「なん…何だよあれ?!」

隣にいるマジック少年は少年のあまりの変わりように恐怖を抱いたのか床にへなへなと座り込む

ウル「ふっ、ふふふ、キタな。
マジック少年、大丈夫か?」

そんな少年の姿を見て俺も新一も状況と場違いなほど満面の笑みをこぼす。口角は口裂け女のように上に吊り上がり目はギラギラと輝き恍惚とした表情をする。そして、少年から視線をマジック少年に向ける

ウル「おい、マジック少年、」

返事をしないマジック少年を不思議に思い軽く、ほんとに軽く大丈夫か?という意味もこめてポンっと肩に手を置く

快斗「ッ、わあああ?!?!?!?!」

ウル「び、びっくりした。おい、ほんとに大丈夫か?」

いや、今のはほんとびっくりしたビックリしすぎて心臓止まるかと思った。カタカタと震え膝を立て体操ずわりのような姿勢で足を強く握り涙目で俺を見る。…しゃーねーな!仕方ねえから隣に座ってやる

快斗「あ、ぁ、」

何か俺に伝えようと声を出すがパクパクと口だけが動いて声が出ない

ウル「殺気にあてられたんだろう。
安心しな、直に声もでるから。それまでは静かにみとこうや」

新一からコイツの事は頼まれてるからな、傍を離れるわけにも行かねえし。今は静かに新一達の遊びをみとこう

新一「さあ、来いッ!!」

少年の周りには無数の黒い球ができ一斉に新一を襲う。それを待ってましたと言わんばかりに駆け出しひとつ残らずサッカーボールでも蹴るように消滅させる。

新一「これだよこれこれこれえええ!!
あはははははははははははははははは!!!!」

壊れた笑みで次々と攻撃を瞬殺し、興奮でギラリと目は異様な輝きを見せはあはあと肩を上下に揺らす

───────おい、新一聞こえているか?また理性が飛びかけてる。
このままじゃ後戻りできなくなるぞ、聞いてるのか?新一!

ウル「チッ、あのバカ…」

舌打ちをし悪態をつく。マジック少年に言うべきか。いや、今はそんな状況でもねえ。もう少し落ち着いてから言おう。

快斗「…新一?」

ウル「お前、声…」

少しびっくりしたような顔で隣を見ればマジック少年じたいもまさか声が出るとは思わなかったのか驚いたような表情をする

新一「─────水天逆巻け 捩花」

キタな。新一の斬魄刀「捩花」
ふわっと新一自身から風を起こすように髪や服が舞い上がる。

快斗「な、なな、何だあれは?」

ウル「捩花だよ」

快斗「ねじばな?」

ウル「そう、斬魄刀といって持ち主によって形状や能力は千差万別だが、新一の捩花の場合、鞘から出した刀が三叉の槍(矛)に変化して、同時に大量の水を発生させるのさ。槍でも攻撃はできるがああやって水による攻撃も出来るんだ、って大丈夫か?」

一気に説明をしすぎたか?目をクルクルとさせながらマジック少年が頭を抱える

快斗「す、すまんちょっと待ってくれ。色々ありすぎて何がなんだか…」

マジック少年の心の声が隣から聞こえてくる
ヒトの心ってのはとても興味深い。本音と建前という言葉が存在するようにヒトの心とは本音を映す鏡のそのもの

ウル「心が荒ぶってるな、マジック少年」

快斗「 うるせーよ!って、何お前人の心読めんの?!」

ウル「ククッ、まあな」ドヤァ

これでもかってなくいのドヤ顔をして見せればあんのじょうイラッとした表情で拳をぷるぷる震わせる。ククッ、殴ってもいいんだぜ?別に?まあ、その時はもう二度と目覚めることはないだろうがな!

快斗「それも、ウルの能力なのか?」

ウル「ああ、そうだな。
あー、マジック少年もいづれ能力に目覚めるだろうから心配しなくていいぞ」

ニカッと笑ってグッと親指を立てなんの心配もいらないぞ!と言うようにウインクをする

快斗「ちょっ、え?!どういう意味だよそれ?!心配するわ、普通に!!」

ククっ、キレッキレだなマジック少年。今日のツッコミはいつになくキレッキレだぞ!どうした?芸人にでもなるのか?

快斗「ないないない、ないわー。あり得ない。そ、そうだ冗談、冗談なんだろ?そうなんだろ?な?そうだよな!そうなんだよな!ええ?!」

俺の肩を揺さぶって鬼気迫る表情で言うマジック少年に「お、おお」と少し圧倒される。ちょっ、顔近くね?つか肩痛いから、おいマジック少年聞いてる?

ウル「じょ、冗談じゃ、ねえよ!実際俺達も、そ、そうやって能力を持ったんだ!お前も、見たろ?サイレン世界を、そこにいるバケモンを」

グワングワンと肩を揺すられるたび頭が揺れ途切れ途切れに喋る。揺さぶっていた肩を離され俺はグルングルンとまわる視界に「うっ」と口元に手をやる。そしてそれも落ち着いてきた頃口を開く

ウル「はあ、あの世界にいけば、嫌でもなるのさ。俺達のようにな」

快斗「は‥?マジかよ、そんなおとぎ話みたいなこと「あるのさ、残念ながらな」で、でも俺は少ししかいなかったし」

マジック少年の言葉を遮るようにして口をはさむ。おとぎ話?確かにそう思うよな。けど、紛れもない真実でクソみたいな現実なのさ

ウル「そうだな、彼処には長居しないほうがいい」

快斗「どうして?」

ウル「どうして?わからないか?彼処にはうじゃうじゃとバケモンがいるんだ。助けを呼ぼうにも携帯も何も繋がらない。長い間闇しか広がっていないようなあんな場所にいたらどうなると思う?」

わけもわからなくバケモンと戦ってそれを俺達は幾度となく繰り返してきた。あの世界に行くたび何度も何度もなんども戦って来たんだ。

快斗「それは…多分狂っちまうかもな。
……おい、まさか新一は」

ウル「俺達は長くあの世界にいた。
だから、新一は時々自分の意志とは関係なく…壊れるんだ。」

逆におかしくならない奴のほうがどうかしている。俺の場合まだ理性は保ててる、だが新一はどうだ?
寂しさと悔しさが混じった何とも表現しがたい表情で新一を見る

快斗「だからあの時…。
なるほど、それなら早く能力を手に入れなきゃな」

さっきとは真逆の言葉に不快感を抱きおもいっきし眉間にしわを寄せはあ?と怪訝そうな表情をする

ウル「は?どういう心境の変化だ」

快斗「新一がそんな目にあってるんだ
新一を助けたい。俺はアイツを闇から救ってやりたいんだ」

ウル「…あ”?今なんつった?」

快斗「何度でも言ってやるよ。
俺が新一を救ってみせる、絶対にな」

その目は真っ直ぐ俺を見ていてそこには恐怖の一欠片さえない。あー、腹立つんだよ、何だよその目?さっきまでクソみたいにビビッてた奴がよお、生意気なんだよ

ウル「お前には無理なんじゃねえの?ビビリくん
新一を救うのも助けるのも、この俺だ」

快斗「いや、何マジに張り合ってんだよ?!
って、ビビリくんってなんだよ!ビビってねえし!」

ウル「はあ?ビビってただろ?声も出せないくらいに、ぷぷー!ダッセー!そんな奴が新一を救う?助ける?ふざけるな。そんな生半可な気持ちで救えるなんて思うなよ」

部屋に響くほどの怒声にマジック少年だけじゃない、お嬢ちゃん達もビクッと肩を揺らす。

何が救うだ何が助けるだ。てめえは新一の表の部分しかしらねえ。けど俺は新一の表の部分も裏の部分も知ってる。何も出来ない弱虫なビビリくんが、今俺にこうして守られてる人間が新一を救うだと?笑わせる。

快斗「生半可な気持ち?んなもん、ねえよ。
俺は本気だ。本気で新一を救う。俺は、新一の友達だそして親友でもありライバルでもあるんだ。そんな奴を放っておける訳ねえだろ?友達が困ってる時に見捨てる奴はクズだ」

俺に負けないほどの声でそこには明確な意志があった。それは確かに生半可な気持ちはなく俺を押し黙らせるほどの威圧感にそっぽを向いて拗ねたような表情をする

ウル「クズ、ねえ。まあ精々頑張りな
だが、俺も助ける。アイツがいなくなっちゃ困るからな」


ウルside

それは俺もだよ、とマジック少年が呟き新一達に視線をうつす

 

新一「オラオラオラオラおらあああああッハハハハハハハハハ!!!」

 

狂ったような笑みを浮かべながらぶんぶん捩花を振り回す新一

 

ウル「っと俺達が話し込んでる間にまずい状況になったぞ。」

 

快斗「まずい状況というと?」

 

ウル「新一の理性が飛びかけてやがる」

 

快斗「は?!ちょっ、それ相当やばいんじゃ…」

 

考え込むように難しい表情を浮かべスクっと立ち上がると、それにつられるようにマジック少年も立ち上がる

 

快斗「で、どうすればいい?」

 

ウル「少し様子見だ」

 

とは言ったがまずいな、さっきより遥かにやばい

 

───────新一?おい、俺だ聞こえてるか?新一!聞こえてるなら、何でもいい返事しろ!

 

快斗「わかった」

 

新一「あハハはははハハハハハ!!ヤベエエエエ楽しいよォ楽しい楽しい楽しすぎる!!

 

あああもっともっともっと壊したい壊して壊して壊してグチャグチャになるほど壊してエエエけどまだダメだ。だってこんなに楽しいんだ!!

 

駄目駄目駄目駄目我慢しないとコイツが壊れちゃまた退屈しちゃう。だからダメだ我慢しないと駄目だダメ」

 

───────おい!新一、頼むから声を…俺の声を聞いてくれ!!聞こえてんだろっ!無視すんなよ、新一!!

 

ウル「クソッ!アイツ俺の声がまるで聴こえてねえ」

 

怒りを顕にして床を強く蹴る。まるでダメだ

フィルターがかかってるみたいに声が届かねえ

 

快斗「新一は、大丈夫なのか?」

 

ウル「…いや、ちょっとやばいかもな」

 

 

カブト「新一さん。あの時より楽しんでるように見える」

 

楽しんでるのは間違いねえがあれは違えよバンダナ少年、一刻も早く元に戻さねえと手遅れになる

 

快斗「どど、どうすんだよ?!」

 

ウル「どうするもなにも…そうだ、マジック少年新一を助けるんだろ?今こそチャンスだ逝け」

 

うん、それが一番だ。流石俺、超冴えてる~!

今こそ新一を救うチャンスじゃねえか、ほら遠慮はいらねえ。どうした?それとも口だけなのか?助けたいんだろ、救いたんだろ?ならほら逝けよ!

 

快斗「おい、ちょっと待てコラ。今、行けが逝けになったよな?つまり、なんだ?死ねってことか?死ににいけと言ってるのか!!!」

 

猫が怒るようにプシャーと毛を逆立てて今にも飛びかからんとするマジック少年に俺だけではなく周りの視線はどこか冷たい

 

ウル「え、別にオレは死ににいけとか言ってないけど?やだなー、マジック少年ってば自意識過剰~。でも、そんなに死にたいなら、とっとと死ににいけよ」

 

 

俺、逝けよってはいったけど死ねとまでは言ってませんけど何か?逝く=死、に捉えるとか流石マジック少年だわ、超尊敬するわーいやァマジで

 

快斗「おまっ、ほんと何なのお前?!

ここまで人をキレさせるとかある意味天才だわ!」

 

ウル「え、照れる~」

 

快斗「褒めてねえよ?!」

 

いや、知ってるよ。てか、とっとといけよ助けに

あれ半分冗談だけど半分本気だからね。マジック少年が助けにいって新一が元に戻る可能性がないわけじゃない。だからって100%なわけでもないが。

 

アゲハ「バケモンてより悪魔だよ、最早…」

 

そうやって考えてる間にも少しずつ戦況は変わっていく

 

新一「悪魔?クククッ、褒め言葉じゃねえか。はあぁ、楽しいなおい。楽しすぎて楽しすぎてゾクゾクしちゃうヨ」

 

最後の「ヨ」の部分で一瞬で少年を壁に追い詰め槍投げの要領で手から放った槍は弧を描き少年の右太ももに突き刺さる

 

快斗「ひい?!刺しやがった?!」

 

刺さったな、ものの見事に刺さったな

ありゃ、痛えだろうな。可哀想に、ドンマイ少年!

 

アゲハ「ぁガッ…ぐぅ‥んにゃろッ!!」

 

太ももに突き刺さった槍を抜くとポッカリと穴のあいた傷跡は一瞬で消える。新一の手元に戻った槍につく血をぺろりと舐め狂った笑みを浮かべる

 

快斗「え、傷戻った…?てか、え、今血舐めた?」

 

舐めたな、うん。舐めてたわ完璧。新一、少年の血に何か悪いものでも入っていたらどうするつもりだ。病気になるぞ

 

新一「────卍解 擂砕け 龍渦水捩花(すりくだけ りゅうかすいねじばな)」

 

普通の状態の捩花が長くなり、前後についた刃の部分に大量の水が龍のように渦まいている

 

快斗「なんだあれ、かっけーな」

 

ウル「あれは、卍解状態だな。さっきの状態のもう一段階上だ。さっきのがレベル1ならこれはレベル2みたいなもんだ」

 

快斗「なるほど、そういえばウルもあるの?斬魄刀とか」

 

ウル「ああ、あるよ。

俺のは実際使用した時に説明してやんよ」

 

快斗「わかった、楽しみにしてる」

 

まあ、見せる機会はそう遠くはねえだろうな

マジック少年は俺の斬魄刀を見てどんな反応をするだろうか?それはそうと、少年の奴新一の斬魄刀を見て瞳輝かせてやがる

 

ウル「ククッ、まるでガキだな」

 

快斗「いいじゃないか、男ってのは、いつでもああ言う龍とかかっこいいものに憧れるもんだぜ?」

 

ウル「そういう生き物なのか」

 

快斗「そういう生き物なんです」

 

なるほどな、まあわからんでもないよな。確かに新一の捩花の卍解はカッコいいもんな。とその時こちらを羨ましそうに見ている少年とパチッと目が合う。

 

アゲハ「ゲッ、目あった」

 

苦虫を噛み潰したような表情をし慌てて視線を逸らそうとする少年に

 

ウル「が ん ば れ よ」

 

と、いつもの馬鹿にしたような笑顔ではなく、柔らかい笑みで頑張れよと口パクで言ってスッと視線を少年から隣にいるマジック少年へ向ける

 

新一「お前、何笑ってんだ。気持ち悪いな」

 

アゲハ「気持ち悪いって酷っ!

アンタだってよく黒い笑みしてんだろーが!」

 

新一「俺はいいんだよ、けどお前のは気持ち悪い」

 

アゲハ「は、なにそれ?!なにそのジャイアン的な考え?!」

 

向こうは何を騒いでいるんだ?うわ、何だあの表情筋緩みまくったあの顔はだらしねえ顔してるな少年

 

アゲハ「よし、これで問題ねえな」

 

と、思っていればバチーンと両手で腫れるほど両頬を叩くというより殴る

 

ウル・快斗「「いや、問題ありだろ」」

 

思わずマジック少年と言葉が被る。何をしているんだあの少年は、しかしその傷跡も一瞬にして元に戻る

 

新一「さあ、これからが本番だぜ。

へばってんじゃねえぞ。楽しみはこれからなんだからよお!!」

 

快斗「いや、え?!これまでのは一体?!」

アゲハ「いや、え?!これまでのは一体?!」

 

被ったぞこいつ等!!ぶはっ、くくっ、やべえ腹いてえ、あはははは!!

 

ウル「ククッ、やはり少年とマジック少年はどこか似ているな、ふふふっ。」

 

快斗「それはまあ、同感だけど」

 

ぷくぅ、と頬を膨らませるマジック少年に「悪い悪い」と平謝りしながら目の端に浮かぶ涙を拭う

 

新一「あ?これまでのはほんのお遊びだろ?」

 

アゲハ「デスヨネー!!」

 

涙目になっている少年を無視して新一はニッコリと黒い笑みを浮かべる。

 

ウル「…ここからはもっと激しい戦いになるだろうな」

 

快斗「マジかよ…、アイツ等大丈夫何だよな?」

 

ウル「わからん。新一の状態も不安定だし

万が一があったら、その時は…頼んだぞ」

 

ポンッと肩に手を置き新一にも負けないくらいの黒い笑みを浮かべる

 

快斗「頼んだぞって 、何を?!」

 

ウル「ククッ、まあ今のはほんのブラックジョークさ。新一に万が一があれば俺が止める。いいな?」

 

快斗「…わかった。その時は新一を頼むぞ」

 

ウル「すんなりと受け入れるんだな。」

 

快斗「今の俺じゃ新一を救えないから…、だから頼むぞ。」

 

ウル「ああ。任せろ」

 

マジック少年の言葉に力強く頷き俺達は再び二人の戦いに目を向ける

 

ウル「ん?」

 

少年の纏う空気がまた変わったか?

 

新一「ふっ、ふふ、ふははははははは!!

ああ、この空気イイ最ッ高だ!!クククッ、さあ殺ろう!!」

 

新一の方は絶好調に壊れてるな、さっきから何度となく接触を試みてるがまるでダメだ。だからといって放置していても危険だし。さあどうするか

 

新一「踊り狂え、捩花」

 

ニヤァと何か企むような笑みでパチンと指を鳴らすと少年に向かって水龍がうねうねとうねりながら襲い掛かる。それは言葉の通り踊り狂うようにめちゃくちゃな攻撃をしている

 

アゲハ「チッ、クソが!」

 

舌打ちをし悪態をつきながらも、蹴りで攻撃を殺し弾けた水が足元で水溜りのようになる。あーあ、少年もこれまでか。

 

ウル「‥‥チェックメイトだな」

 

快斗「え?それってどういう…」

 

新一「ククッ 、溺れ死ね」

 

アゲハ「なっ、しまっ───」

 

足元にあった水溜りが池のように広がり少年を水中へと沈めていく

 

ウル「…ほお」

快斗「新一?!」

 

新一「へえ、俺ごと沈める気か」

 

アゲハ「はははははは!!

アンタだって道連れだこんちきしょー!!」

 

水中に沈む直前、咄嗟に新一の両足を掴んだのだろう。新一ごと道連れにするように共に水中に沈んでいく

 

ウル「甘いな…チョコみたいに甘々だぜ少年」

 

足を掴むだけじゃダメだ、両手両足動かないように粉砕するか切断でもしなけりゃ…

 

快斗「新一、大丈夫か?!」

ウル「ほらな」

 

沈んだかと思いきや、水を斬るようにして一気に水中から地中に帰ってくる。

 

アゲハ「ゴボッゴホッ、ゴホッ!! はあはあ、っはあ、し、死ぬかと思ったぁ…」

 

しかし、少年も考えたな。が、まだ甘いぜ

そんなもんじゃ新一には勝てねえよ

 

新一「くっふふ、そんなことよりお前姿が元に戻ってるぞ」

 

アゲハ「は、え、嘘?!マジで、え?!」

 

やはりか、今ので体力を消耗しすぎたな少年

そんな状態じゃいくらなんでも戦えまい、これまでだな

 

新一「チッ、やっと盛り上がってきたとこなのにつまらねえな」

 

アゲハ「ま、待てよ、まだ、まだ俺は…!!」

 

新一「そんな状態で何ができる?」

 

アゲハ「それはっ…」

 

言葉を詰まらせ新一に向かって手を伸ばす

 

ウル「……声?」

 

何だ?今、なにか声が聞こえたような

 

アゲハ「あったり前だろ!!

俺はまだ負けてねえんだ!!」

 

快斗「アイツさっきから誰と喋ってんだ?」

 

マジック少年が不思議そうに少年をみて呟く

 

ウル「まさか…クククッ、そうかそうか」

 

この声は斬魄刀の声か、なんとなーくそうかと思っていたが新一との戦闘で開花されたか?

 

快斗「え、何?何一人で納得してるわけ?!俺には何一つわかってないんだけど?!」

 

ウル「あの少年、斬魄刀を持っている

いや、多分新一との戦闘で才能が開花されて斬魄刀を生み出したんだ」

 

快斗「?? え?それって凄いことなの?」

 

ウル「凄いも何もありえねえよ、こんな早く開花させるとは。俺や新一でも習得に一日はかかったからな」

 

素晴らしいことだよ、少年!いや、少年のことだから何かびっくりを見せてくれると思ったがこれは、びっくりしすきで笑えねえよ。

 

快斗「マジでか!凄えな、アイツ

てか、一日で習得するお前等も普通に凄いと思うけど…」

 

ウル「イイなー」ウズウズ

 

少年をジッとみて心が身体がソワソワしだす

ワクワクを抑えても抑えても微笑が止まらない

 

快斗「ちょっ、ちょっと待てーい!!

何ウズウズしちゃってんのおお!!お前は俺を護衛するという任務があるでしょ?!」

 

ウル「は?まだ俺は何も言ってねえけど」ウズウズ

 

快斗「言わなくてもお前の身体はもう既に少年の元へ行こうと動いてんだよ、バカッ!!

それに、そんなウズウズしてたら誰だってわかるわボケッ!!」

 

いや、そう言われてもね?仕方ないよね?想いより先に身体が動きそれをマジック少年が引きとめようと腰にしがみつく

 

ウル「いいじゃん、ちょっとだけ?ちょっとだけだから!ね?お願い!」

 

ウルウルとつぶらな瞳でマジック少年を見つめ「お願いしますよ~」と懇願する

 

快斗「そんなウルウルした目を向けてもダメなものはダメなの!!」

 

ちぇっ、なんだよ、ケチー。ぶーぶぶーぶ!このひとでなし~!!いいじゃねえかよ、ちょっとくらい!!

 

アゲハ「アンタ等さっきから何してんだよ?!」

 

ウル「むっ、おい少年!今すぐ俺としよう!さあ、さあさあ!」

 

快斗「だーかーらー!!お前ほんっとふざけんな!!君、コイツの事は無視してくれていいから!!」

 

ウル「くっ、離せ!俺は少年と遊ぶんだ!」

 

快斗「誰が離すか!!お前は黙ってここにいやがれ!」

 

ぎゃあぎゃあとマジック少年と騒いでいる間にも少年は俺達から離れるように遠くに行ってしまう

 

アゲハ「な、何がどうなってんだよ」

 

ウル「ああ~少年!!斬魄刀の使い方俺が直々に教えてやるから!だから「お前もしつけーな!諦めろっての!」やだやだやだー!少年と遊ぶんだ!」

 

それはまるで駄々っ子のようにぶんぶんと頭を振りマジック少年の手を振りほどき少年のもとにかける。が、何かの気配を感じピタリと足を止め急いで来た道を戻りマジック少年の隣にかえってくる

 

快斗「え、何?どうしたの?」

 

ウル「気が変わった。少年と遊ぶのはまた今度にしよう」

 

今はそんなことよりも、だ。

先程とはまた違う空気を纏わせた少年が何処からとも無く現れた剣を抜く

 

新一「なにか、来るッ!!」

 

アゲハ「─────唸れ 灰猫」

 

刀身が灰状に変化して霧散し、柄を振ると灰となった刀身が風に揺れるように近くにあった壁を斬る。

ほお、少年の斬魄刀は灰猫と言うのか。

 

新一「へえ、俺との戦いで開花させやがったか

クククッ、いいじゃねえか。面白くなってきた」

 

新一は慣れた手つきで捩花を頭上で振り回し構える。

 

だが、少年はそんなことよりも斬魄刀の方に興味がいき新一の話など耳に入っておらずはしゃいでいる

 

新一「ピキッ。おい、てめえ俺を無視するなんざいい度胸じゃねえか…」

 

アゲハ「いや、あの…無視していたつもりは…」

 

新一「言い訳はいいんだよ、それに俺は怒ってないしな」

 

いや、それは確実に怒っている顔だ。まるで般若だな

黒い笑みを浮かべたままヒタヒタと少年に近付いて行く新一に少年も戦闘態勢に入る

 

新一「クククッ、さあ第二ラウンドといこうか

なあ、ア~ゲ~ハく~ん!!!!あっははははははは!!!!」

 

語尾に「♪」がつきそうなくらいの口調で壊れた笑みを浮かべ空中から斬りかかる。それを少年は楽々と避けて逆に斬りかかる。が、まだ武器の扱いになれてないのかすかしてしまう

 

アゲハ「そう言われても…!!操るようにってどうすりゃいいんだよ!」

 

新一「さっきから何ブツブツ言ってんだ!!

お前と戦ってる相手は今ここにいる俺だろうが!!余所見してんじゃ、ねえよ!!!!!!」

 

ふむ、それは同感だがどうする少年?このままだと宝の持ち腐れだぞ。せっかくいい武器があるんだうまく使いこなせないとなんの役にも立たない

 

アゲハ「ガッ?! ぐっ、ぁ、ゲホッゲホッ…ゲホッゲホッゲホッ!!っ、いってぇ」

 

ウル「ありゃりゃ、まあ直ぐに使うこともできないわな。しかし、イイな」ウズウズ

 

ここは俺がひと肌脱いで一から教えてやろう!

 

快斗「お前は一旦落ち着け!」

 

チッ、マジック少年に止められたか!おのれ、だがこのままではまずいぞ。少年が新一に勝つ確率は元から低いが今じゃもう絶望的だ

 

新一「ほお、防いだか」

 

なんと見ていなかったではないか!マジック少年と騒いでいたせいで大事なところを見逃してしまった

 

新一「っッ!!」

 

なんだ、今何をした?クソッよく見えなかったじゃねえか。よろよろとよろめき床に膝をつく新一、頬には微かにかすり傷がつきそこからは一滴の血が流れる

 

ウル「ほお、新一にかすり傷を負わせるとは!イイ、イイぞ少年」ウズウズ

 

あの新一にかすり傷をおわすとはやはりここはもう俺の出番だろ!というか、俺以外いないだろ!

 

快斗「もうお前は黙ってろ!!

おい、誰かもう縄、いや鎖持ってきてくれ。

このバカを縛れるくらい頑丈な鎖を」

 

新一「ふっ、はは。アハハハハハハハハハハ!!」

 

これは、まずいぞ流石にやり過ぎた。冷や汗を額に流し新一に視線をうつす。

穏やかな笑顔を浮かべながらも目の鋭さは殺し屋の如く凶悪さを帯びていて、金縛りにあったかというようにその場から一歩も動くことができない。

 

それは俺だけではなく他の奴等もそうだろう。俺でも恐怖を抱いているくらいだ、マジック少年は大丈夫か?隣にいるマジック少年を見れば顔面蒼白で今にも倒れそうなくらいに身体をふるえさせている

 

瞳には一切の光を灯さず深い闇が広がる。焦点の合わない目をぎょろぎょろと動かし目の前にいる少年に視界に定める

 

───────おい、新一、やめろ!

 

アゲハ「ッ?!」

 

少年の反応が一瞬遅れた

ドオオンと耳をつんざくほどの爆音と悲鳴が部屋に響く

 

ウル「少年?!」

 

天井すれすれまで飛ばされそのまま地面に叩き落とされるように踵落としを喰らう。血を吐き激痛で声も出ないのか身体がピクピクと痙攣している

 

新一「ハアぁ、ゾクゾクするねェ~。この手でもう一度今度は再起不能になるくらいまで…壊してやるよッ!!!」

 

アゲハ「ッいや、普通に遠慮しますから!!

壊されて喜ぶようなドM野郎じゃねえんだよ!!」

 

新一が攻撃をするより早く少年は立ち上がりギリッギリで避ける。

 

新一「あ~あ、残念。

黙って寝転んでいれば今頃天国だッたノに」

 

アゲハ「それ死ぬ前提じゃん?!

アンタに殺されちゃ天国じゃなく地獄に逝っちまうよ!」

 

新一のバカ、今のは本気で殺す気だった、

いやまあ毎回殺す気でいくが新一は無意識のうちに死ぬか死なないかくらいのところでストッパーをかけていた。でも今の新一にそんなもんない、打つ手を考えなくては。捩花は槍から形状を変え双剣となっている

 

新一「てめエは黙って俺に壊されればイイんだヨ!!!」

 

アゲハ「全力で拒否するわ!!!!!」

 

アゲハ「暴王・円盤Ver(メルゼズ・ディスクバージョン)」

 

あれは‥、確かあのハンドボールくらいの黒球がPSIを吸収して円盤状になるんだよな。

 

ウル「しかし、これはまた…反則級のデカさだな」

 

強大な量のPSIを吸収し見たこともないほどの大きさの球体が円盤状になり無差別に斬りかかる。

 

新一「あはっ、はははっふふははは、んふふ、ふふっははハハハハハハハハ!!!!鳥肌が止まらねエよ!!楽しくて楽しくって痛みも感じねえっ!!オイオイおい!!こんなもんじゃ、俺は倒れねえぞ!!」

 

しかし、それを当たり前のように新一は瞬きをする間も与えないほどの早さで瞬殺していく

 

アゲハ「ああ、知ってるよ」

 

攻撃に紛れ背後から近付き灰猫をふるう少年に

 

新一「俺もお前がそうくることを、知ってたよ」

 

身体を仰け反らすようにして新一はニヤァと歪んだ笑みを浮かべ刀を振りかぶる。

 

快斗「なっ?!アイツまじか?!」

 

ウル「ぷぷぷっ、流石だぞ少年!」

 

あの構えは間違いない、真剣白刃取りをするに違いない。俺はワクワクと期待するような眼差しを少年に向ける

 

新一「なっ…」

 

やりやがった!本当に!しかし、なんてクレイジーな奴だ。まさか本気でするとは少年の行動には毎度びっくりさせられる。だからこそ、面白いんだがな。

 

心底びっくりしたとでも言うように目をまん丸くする新一に少年も自分で掴めるとは思わなかったのだろう口をポカーンとあけていたがハッと我に帰るように

 

アゲハ「貫け 暴王の流星(メルゼズ・ランス)」

 

掴んでいた刃を手放し超至近距離から黒く光る稲妻を放つ。何かを強く引っ張りどちらか一方が離した場合バランスを崩す、その原理でいきなり少年が刀を離したもんだから新一は防御をとる暇もなく確実に命中する

 

 

床にズザザァと倒れる新一に今すぐ駆けつけようとするマジック少年を止めながら心の中で呼びかけを行う

 

───────聞こえているか?新一

マジック少年がてめえを心配している、だから早く理性を取り戻せ!

 

アゲハ「新一さん?」

 

ウル「なっ、あのバカ、今新一に近付いたら…。おい、少年!新一に、」

 

俺が声をかけるよりも先にきっとずっと起き上がっていこない新一を心配したのであろう、様子を見ようと新一に近付きそろーっと顔を覗く。

 

新一「いってーなああああ!!」

 

アゲハ「ヒィッ?!」

 

するとそれまで閉じていた目をカッと見開き、ガシっと足首を捕みギリギリと強く握りしめる

 

少年を見るその目は殺意や憤怒、狂気に染められ吸い込まれそうなほどの闇しか広がっていない

 

そして、床からのそっと起き上がり服につく埃をはらってニタニタとした笑いを貼り付けたまま少年をみる

 

新一「ここまで刺激的な戦イは初めてだァ。興奮が止まらねえよ。だから、もっともっともっとヤれるよな?」

 

アゲハ「俺は…「もう、やめろ新一!!」快斗さん?!」

 

少年の言葉に被さるように部屋に響く程の声で叫んだのはマジック少年だった

 

ウル「このバカ?!お前新一に話しかけるなって言っただろうが!!!殺されてえのか!!」

 

少年の肩を激しく揺すって怒りと焦りを混じらせた声と表情で激しく罵る

 

快斗「わ、わかってるよ!そんなことくらい!

でも、アイツは新一じゃねえ!新一の皮を被った悪魔だ!」

 

ウル「はあ?!悪魔なのは元からだろ!

っくそ、おい絶対オレの傍から離れんじゃねえぞ。死にたくなければな」

 

快斗「わ、わかった。」

 

俺のあまりの気迫におされたのかマジック少年は小さくしゅんとなり俺の背中に隠れるように俺達の方に武器を構え近付く新一に視線をやる

 

ウル「おい、新一。まさかオレと殺り合おうって気じゃねえよな?」

 

口元を引き攣らせながら言う俺に新一は首を傾け壊れた笑みを浮かべたまま口を開く

 

新一「…まさか、でももう一人の俺と殺り合うってのもなかなか

刺激的じゃねえか!!そんな体験普通じゃ経験できねえからな」

 

ウル「ふむ、確かにそんな経験普通じゃできねえな。いい機会だ、オレとお前どちらか強いか勝負「待て待て待てーい」なんだ、マジック少年。邪魔をするな」

 

ムッとした表情をして俺の背中に隠れるマジック少年をみて口をとがらせる

 

快斗「バカなの?!どうしてそんなにバカなの?!邪魔をするな、じゃねえよ!!邪魔するわ!何お前新一と殺り合う雰囲気醸し出しちゃってんの?!」

 

いや、だってほら今の流れ的に絶対そうだろう?俺と新一が殺りあう雰囲気でてたろ?てことはだぞ、もうこれは殺るしかないだろ!俺と新一で!

 

快斗「それに、まだそこにいる少年は負けたわけじゃない。新一もびっくりするくらいの能力があるはずだぜ?」

 

アゲハ「ええ?!」

 

ウル「そうなのか、少年!次はどんなビックリを見せてくれるんだ!!」

 

なんだと?!もっと面白いものが見れるのか!しかし、次はどんな面白びっくりを見せてくれるのかワクワクした気持ちでいっぱいになり俺の頭の中にはすでに新一と戦うことは消えていた

 

新一「なーんだ、そうならそうと早く言えよ。

それじゃ、そのビックリを見せてくれよ。アゲハくん?あ、でもそんなにビックリするものじゃなかったらお前の大切な人をお前の目の前で嬲り殺します。でも、カブトは友達だから自動的に雨宮になるな」

 

お嬢ちゃんの言葉が出た途端少年の空気が変わる

ククっ、わかりやすいねえ、少年。恋だねえ、まあ俺には不要な感情だが。

 

アゲハ「雨宮だけには指一本触れさせねえ。」

 

低くドスのきいた声で呟き、スッと灰猫を胸の前に出す。その動作を主に俺と新一はウキウキと期待するような眼差しで見る。

 

アゲハ「…ふう」

 

と息を吐きゆっくり目を瞑る

 

アゲハ「─────卍解 舞い狂え 黒霧(まいるくえ くろきり)」

 

形状は灰猫とさほど変わらない。刀身が黒い霧のような粒子となりゆらゆらと少年の周りを囲む。

ほうあれが、少年の灰猫の卍解か。まあ、そこまでびっくりとまではいかないが面白そうだから新一の邪魔はしないでおくか。

 

むっ、まさか少年アレをする気か?

一日に乱用するのはあまりよくないんじゃ…。それに、これまでの新一との戦闘で相当体力も消費しているはずだ

 

ウル「それも理解したうえでやるのか、少年」

 

新一「クククッ、イイねー!またその姿と殺りあえるなんて、ゾクゾクしちゃうねぇ。

さあ、ラストゲームと行こうぜええええええ!!

 

アゲハ「言われなくても、わかってるよ!」

 

視界が交わった瞬間、地面を蹴り衝突する。

その衝撃で地面にヒビがはいり壁にも振動がはしる

息をするまもなく火花を散らせながら衝突しあう二人に俺達も一瞬の目も離せない

 

新一「アハッははははははははハハハハ!!!

最ッ高だな、こんな愉しい思いをしたのはいつぶりだ」

 

これまでこんなにイキイキとした目をしたことがあるだろうか?それほどにイキイキした表情の新一になんとも言えぬ思いを胸に抱きながら二人の戦闘を静かに見守る

 

そして、俺の隣では気が気ではないのかさっきからソワソワと少年と新一の見守るマジック少年の姿がうつる

 

ウル「お前がそんなんでどうする。

どーんと構えてりゃいいんだよ、どーんと」

 

快斗「そう言われても不安なもんは不安だろーよ!ウルは心配じゃねえのか?新一はあんな状態だし少年の方だって…俺が見てもわかる、あんなギリギリの状態の奴を戦わせるなんてお前らどうかしてるぞ!!!」

 

おお、すごいすごい。息もつかずよくそんな長い言葉を言えたもんだよ。それで、何だっけ?新一が心配じゃないのかだっけ?そんなもん…

 

ウル「…心配に決まってんだろ」

 

快斗「え?今なんて…?」

 

ウル「別に、何も言ってねえよ。

新一のことはまあ心配さ。少年もな

けど、これは遊びじゃない戦闘だぜ?

それを邪魔する権利がどこにあるよ。」

 

快斗「だからって、アイツ死ぬかもしれないんだぞ?!」

 

ウル「その時はその時だろ。弱えのが悪いんだよ」

 

快斗「てめえっ!!おい、それは本気で言ってんのか?」

 

俺はマジック少年と一切目を合わせず、そうだと頷く

 

快斗「そうか、もういい。わかった」

 

そう言って何処かに歩みをすすめるマジック少年

 

ウル「おい、どこに行くマジック少年」

 

快斗「ウルには関係ねえだろ?」

 

いや、コイツバカなのか。関係あるから聞いてんだよ。関係なかったらどこに行くかなんてわざわざ聞かねえよ

 

新一「オラオラオラ!!どうしたよ、俺に勝つんじゃなかったかの か?そんな脆い攻撃じゃ俺に勝つことなんざ一生無理だぜ」

 

アゲハ「はあ、はあ、ッはあ…」

 

マジック少年から視線を逸し少年を見る。少年も、もって数分てとこだな。新一は新一で変わらずぶっ壊れてるし。俺の声にも反応しねえし

 

新一「あはっはははははははははははははははははははははははははははは。壊れろ壊れろもっとぐちゃぐちゃに壊れろ!!」

 

アゲハ「っるせー!てめえが壊れやがれ!!」

 

ウル「マジック少年、お前が何をするのも勝手だが。新一を助けに行くってんならやめたほうがいい。お前が死ぬのは勝手だ、けど新一に守れと頼まれた。だから、お前を仕方なく守ってやってんだ。新一に言われてなきゃてめえなんて守るわけねえだろ」

 

快斗「ちょっ、え、そこまで言わなくても…」

 

ふん、本当のことを言ったまでだろ。

 

ウル「それに、言ったろ?

万が一があれば助けると」

 

快斗「あ、ああ。確かに言ったが」

 

ウル「大丈夫だ、新一も少年もてめえが心配するほどやわじゃねえから」

 

俺の言葉に渋々頷きわかったと言って歩みを止め俺の隣にくる

 

新一「そろそろ限界も限界のようだな、まあだからといって容赦しねえがな!!はははははははは!!」

 

アゲハ「チッ、くそ舐めやがって…!!」

 

少年が新一に向かって一歩踏み出したその瞬間、バランスを崩し床に倒れ込む

 

新一「どうやら限界のようだな。

…まあお前はよく頑張った方だよ。ご苦労さん」

 

それを新一は、少年を見下すような目で狂気めいた笑みを浮かべ少年の腹をグリグリと踏みつける

 

 

新一「所詮この世は弱肉強食。

弱いものは死に強いものが生きる」

 

 

アゲハ「ケホッ、それじゃあ…俺は絶対的強者であるアンタに、ケホッゲホッ…、殺されるというわけか」

 

新一「まあ、そうなるだろうなあ?」

 

新一の周りには目に見えないほど粒子化された黒霧が辺りを占める。そして、多分新一はもうそれに気付いている。気付いていてあえてそのトラップに引っかかる。新一は自分の命なんかよりどうやって楽しむかを優先するからな。

 

アゲハ「ふ、ふふふ、アンタに殺されるならそれもいいかもな。だけど、果たして死ぬのは俺の方かな?」

 

少年はそんなこともつゆ知らず、悪い笑みを浮かべ新一の足を掴む。トラップにかかっているのは自分だとも知らずに

 

新一「どういう意味だ?

…それよりお前斬魄刀はどうした?柄しか…、まさかてめえ…!!!」

 

アゲハ「ふ、ふふ、あっはははは!!

黒霧を全部吸い込んだらどうなるかな?全身切り刻まれちゃったりするかも!あはは!

 

外側から傷付けれなくても内側からなら…少しは傷付くよね?でも、大丈夫だよ。新一さんなら強いから」

 

新一「ッ、てめえ!!」

 

アゲハ「さあ、舞い狂え 黒霧」

 

パチンと指を鳴らすと新一の様子が急変する

喉を抑え床に倒れのたうち回る。金魚のように口をパクパクさせ喉を掻きむしる。叫んで叫んで喉が枯れるほど叫ぶと次は骨を砕くような音が聞こえる。肉を張り裂け血が吹きでる。口からも大量の血を吐きそして糸の切れた人形のようにバタリと動かなくなる。

 

勿論、これは新一の迫真の演技なのだがそれを知らない少年や特にマジック少年はあまりの出来事に泣くことも忘れただ呆然とその様子を眺めることしか出来なかった

 

アゲハ「勝っ、た勝った勝ったんだ!!やった、やった!!勝っ……ぇ、ぁれ? ぎっ、ぎゃあああああ!!!」

 

気付いた時には既に遅く、太ももには新一の捩花が垂直に刺さっていた。少年とマジック少年の心の声が一緒に流れ込む。

 

快斗「まさか、あれ全部演技?!」

 

ウル「そうみたいだな」

 

快斗「そうみたいだな、ってお前知ってたんなら言えよ!マジで新一死んだかと思ったじゃねえか!!」

 

ウル「はあ?それを種明かししたらつまらねえだろ?」

 

快斗「つまらねえ…ってお前な!!」

 

その後も俺の隣でわちゃわちゃ言うマジック少年の言葉を全て右から左に受け流し今だ状況を把握できていない少年の前で新一が種明かしをする。いたるとこから出てきたのは大量のケチャップだ

 

そして少年を見て勝ち誇ったような満面の笑みで

 

新一「おしかったなー、いや惜しかった考えはよかったよ。けど、甘々なんだよ。てめえの考えてることくらい猿でもわかる」

 

猿って、ククっ新一の例えにもいちいち笑わされる。しかし、ひとつ違うぞ新一。猿の方が少年より頭がいいし愛嬌もある。だから、今の言葉は猿に失礼だ。脳みそまで筋肉で出来てる少年は猿以下だろ。とまあそんな話はいいとして

 

ウル「お嬢ちゃんとバンダナ少年、マジック少年をよろしく頼むぞ」

 

快斗「え、ちょっ待てよ!どこ行くんだよ!」

 

ウル「新一を一発ぶん殴りにいく」

 

快斗「は?あ、おいッ…!!」

 

後ろでガヤガヤ騒ぐマジック少年を放って気配を殺し近付く

 

新一「じゃあ、今度こそお別れだ。永遠のな」

 

新一の背後で少年にピースサインをする俺に「何してんだコイツ」というような哀れみの目を向けられたがまあ気にしない




ウル「ピンチか?少~年☆」

軽い口調で聞く俺に少年はただただ苦笑いを浮かべる

アゲハ「って、何してんだよアンタ?!」

少年からの強烈なツッコミがきたところで、俺はべえと舌を出しおどけた表情をする

ウル「何って、まあ少年を助けにきた的な?」

助けにきた的なってなんだよ!そこはせめてはっきりさせろよ!曖昧かよ?!なんて少年の心の声が聞こえてきたがそれは無視していいだろう

新一「おい、ウルてめえ何しに来た」

ウル「何しに?わからねえかな~、新一
オレは今すこぶる機嫌が悪いんだよ、誰かさんのせいでな」

新一は後ろを振り返ることなく怒りと苛立ちを含んだ声で言ってくる、言葉の一つ一つに棘があり一目で新一が苛ついているのがわかる。それに、俺は冷静ながらも目の笑っていない笑みを浮かべ淡々と言うがやはり言葉には棘がある

少年に対しとどめを刺そうとしたのだろう心臓に向け高々と振りかぶる捩花を握れば明らかに不機嫌な態度になる

新一「おい、この手を離せ
それともお前から殺されてえか?」

ウル「オレを殺す?はっ、笑わせる。
やれるもんなら…、やってみろよ。」

二人の間には殺伐とした空気が流れる。
握っていた手を離せば、新一は少年へと構えていた捩花を俺に構える。お互いがお互いを見据えその場から動かない。いや、動かないんじゃないな…既に俺達の戦いは始まっている

二人の思考がそれぞれに流れ込む。
視線が重なった瞬間、刀と刀が交わる音がなる

新一「ほう、流石ウルだな。」

ウル「ふん、当たり前だろ?オレを誰だと思ってる
お前の攻撃なんて、手にとるようにわかるぜ」

新一「ふっ、それは俺も同じことだぜ!!!
あっははははははは!さあ、あの時の続きをしようじゃねえかああああ!!!」

あの時の続きか、思い出すな。新一と初めてあった時のこと。そう言えばあの時もこうやって…、いや今はそんな思いにふけってる暇はねえな。それにさっきからマジック少年の視線が刺さって

カブト「あ、ちょっ勝手に行っちゃ‥」

雨宮「そうですよ、今は特に危ないですから
ちょ、ちょっと快斗さんっ!!」


俺の後ろからそんなお嬢ちゃん達の声が聞こえ振り向くと真っ黒いオーラを纏わせ無表情で俺と新一の間に立つ


ウル「おい、マジック少年そこで何をしてる!
そこは危険だからさっさと退け、邪魔だ!」

新一「あ”?お前何、さっきからうぜえんだけど。
一度目ならまだしも二度も邪魔しやがってさあ~
ほんっとムカつくなー。うぜえから、死ねよ!!!」

ウル「チッ、あのバカ!!
マジック少年そこから動くなよ!!!」

死ねよ、の言葉の時には既にマジック少年の背後に立ちなんの躊躇もなく捩花を心臓に向かって突き刺す。それを寸前で受け止め新一と睨み合う

咄嗟に右手で受け止めたが、危なかった。間にあってよかった。受け止めた右手からは血が流れる

ウル「てめえはバカか!新一は今正常じゃねえんだぞ!てめえを殺すかもしれねえ、現に今殺そうとした!!お前が死のうが関係ないとはいったが死ににくるバカがどこに…」

ハッと息を飲むようなマジック少年の表情に、言いかけた言葉は途中で終わる。

快斗「バカは誰だよ」

ウル「あ、あの…マジック少年?」

これはやばいぞ、すごく嫌な予感だ。普段怒らない奴が怒るとどうなるかってことくらい俺にもわかる。

快斗「……新一、もう遊びは終わった。さっさと戻ってこいよ」

マジック少年はくるりと華麗に回って新一を真っ直ぐにみてニコッといつもと変わらぬ笑みを浮かべる。

新一「はあ?お前何言ってんの。まだ遊びは終わってねえよ!!楽しみはこれからなんだぜえええ!!」

快斗「‥…そっか。なら、いいよ。ほら殺せよ」

ウル「お、おいお前何してる?!」

俺に似合わないほど焦った声でマジック少年の肩を掴む。マジック少年はそんな俺の言葉にも無表情で新一が己に向かって突き刺す捩花の槍先に心臓を当て「ほら、殺ってみろよ」と少し恐怖と緊張の混じった震える声で言う。舌打ちをし俺は塞がった両手を離すこともできず思いっきり頭を後ろに振りかぶってその勢いのままマジック少年の頭を頭突く

新一「…え。」
アゲハ「…え。」
カブト「…え。」
雨宮「…え。」

快斗「ッ痛え…!!何で俺なんだよ?!」

四人の反応が被り、突然の頭突きに頭を抱え床に尻餅をつくマジック少年に俺は見下すような目でみる。

ウル「ちょっとは頭冷えたんじゃねえか?」

快斗「冷えたも何も頭割れるかと思ったわ!!」

ウル「ククッ、それは良かったじゃねえか。
割れてねえんだから結果オーライだな」

快斗「いや、違うくない?!何も良くなかったんですけど?!」

マジック少年の言葉を耳に入れながらも俺の視線は既に新一へといっている。新一はびっくりしたように俺とマジック少年をみてハッと我に帰ったように捩花を構える。が、それを無視して新一の頬をぶん殴る

新一「ッ!!」

ぶん殴られた衝撃で吹き飛び壁にのめり込むように身体が沈みその反動で浮き床にドサッと倒れる
俺は床に倒れる新一の首根っこを掴み壁にドンっと押し当てる

新一「てめえいきなり何しやが…」

ウル「何って、ぶん殴ったんだけど悪かった?
つーかさ、いい加減にしろよ。
さっさと戻らねえと、今すぐこの身体乗っ取るぞ」

言葉を遮り新一にも負けないほどの黒い笑みで言えば、ピクッとこめかみを動かし新一の動きが完全に停止する

新一「いや、今思い出した。そうか、クソッまた理性が飛びかけて…いや、今日は三割ほど飛んでたな。すまなかった」

ウル「…ったく、やっと元に戻ったか」

はあ、とため息をこぼして新一から手を離す。
新一はバツの悪そうな表情をして俺の後ろにいるマジック少年に視線をうつす

新一「あー…その、快斗にも悪いことした。すまなかった」

快斗「…………」

マジック少年は無言で立ち上がり俺がぶん殴った方とは逆の頬を殴る

新一もまさか殴られるとは思わなかったのだろうびっくりした表情でマジック少年をみてそしてニヤリと口元を歪める

新一「今のは全く効かなかったな
蚊にでも刺されたのかと思ったぜ」

快斗「蚊って、そこは嘘でも痛がれよ!!」

新一「そう言われても痛くないものは痛くねえし
だがまあ流石にウルの拳は効いたがな。」

そりゃそうだろうよ、五割くらいの力でぶん殴ってやったんだから。俺が殴った右頬は黒く痣になり腫れマジック少年が殴った左頬はほぼ変わっていない

とりあえず、今回は戻ってよかったが。今のままだといつか完全に理性を失う時が来る。それだけは、なんとしてでも阻止しねえとな

ウルsideend
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