モノクロの世界   作:琲世。

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快斗Side

そして現在、新一は俺の膝の上ですやすやと眠っている。気持ちよさそうな寝顔で時折寝返りをうち俺の服の袖をギュッと掴む

それを見て、みんな穏やかな笑みを浮かべながら静かに話をすすめる

ウル「まずはじめにだが、絶対に新一を起こすないいな?」

アゲハ「まあ、こんな気持ちよさそうに寝てる人を起こすのは可哀想だもんな」

ウル「それもあるが、新一の寝起きはすこぶる機嫌が悪い。
しかもそれが他人によって目を覚めた時の新一はそれはもう、恐ろしい…。」

ウルは何か新一にされたことがあるのだろうか?それほど恐怖に怯えるように頭を抱えブルブルと震える

アゲハ「い、一体ウルさんに何が…」

その様子を見てみんなあのウルがビビるほどのことだから絶対に新一を起こさないと心の中で決心した

ウル「一度サイレン世界に行ったあと眠りについた新一を起こしたことがある、その時はほんと死にかけた…。いいな、お前等絶対、絶対に新一は起こすなよ」

死にかけたってまじかよ、超怖えじゃん。
俺は新一を起こさないように声を潜め隣にいるウルになるほどと頷く

アゲハ「で、これから何をするんですか?」

ウル「そうだな、とりあえず自己紹介からするか
まだお互いの名前さえ知らない状態だからな。」

アゲハ「あー。確かにそれで決まりっすね」

ウルは隣に座る俺を横目でチラッと見てニッと笑う。え?今の笑顔の意味は一体?訳もわからず「?」を頭に浮かべる

ウル「さあ、先ずは少年から順に行くか」

じゃ、少年からな、とウルが指差す方に顔だけ向ける。彼は新一とさっきまで遊んでいた奴だな。

アゲハ「夜科アゲハ―ヨシナ アゲハ―ですッ!趣味は「はい、次お嬢ちゃん」ちょっ、まだ俺名前しか言ってないんですけど?!」

アゲハ、か。うん覚えた。彼は俺に似てボケとツッコミならツッコミ担当。
まだまだ聞きたいことはたくさんあるがそれはまた後で聞くか

ウル「あー、はいはい。そうだね、うんうん」

アゲハ「俺の話聞いてねえだろ、アンタ?!もういいよ!」

ウルは彼の言葉に適当に相槌をうつがその相槌があまりに酷すぎて案の上彼はウルにつってかかるがそれも相手にされず「もういいよ!!」とはぶてたようにそっぽを向く

快斗「拗ねてるみたいだけどいいのか?」

ウル「ん?あー、いいんだよどうせすぐ元気になるから。
少年は単純バカだからな。さっ、お嬢ちゃん自己紹介頼んだぞ」

単純バカって酷い言いようだがなんとなくわかる気がする。彼の隣にピタッとくっつくようにいる彼女に視線をうつすと彼女は緊張したように頬を赤らめ小さな声で自分の名前を言って席につく

雨宮「雨宮桜子―アマミヤ サクラコ―です。
よろしくお願いします…!!」

ウル「じゃあ、次バンダナ少年な」

カブト「霧崎兜でーす!因みにリトルバニーのかれ「私、こんな人知りません」あはは、リトルバニーったら!照れちゃって!」

アゲハ「お前どんだけポジティブなんだよ、すげえな」

彼はなんというかノリとその場の勢いだけで人生楽しんだ者勝ちっしょ!的な人物だな。
でも、唯一彼とは新一仲良かったよな。てことは新一に認められるくらいの人物ってことだよな。

ウル「マジック少年、最後はお前だぞ」

ウルに言われみんなの視線を一身に浴びながら新一を起こさないように小さな囁き声で自己紹介をする

快斗「あ、俺か。えーと、黒羽快斗―クロバ カイト―です。趣味はマジックです!

新一とは幼馴染み…ではねえな、まあ友達みたいなもんです!」

アゲハ・雨宮・カブト「「「(ああ、だからマジック少年なのか)」」」

俺がアイツを友達やライバルなんて思っても新一は他人同然とか言うくらいだからなー。
一通りの自己紹介を終え次に能力についての説明にうつる

ウル「とりあえず簡単にだが自己紹介は終わったな。
次に能力説明だがこれはひとつずつ教えてやろう。まずPSIについてから説明していこう」

胸ポケットからめがねをだしスチャッとかけ指を三本立てる

快斗「なあ、まずPSIってなんなんだ?」

ウル「PSIってのは普段ヒトは脳の20%くらいしか活用してないフル活動したってい100%まではいかない。それが100%活用された時、常人では使えないような能力が使えるようになるんだ」

なるほど、そういうことか。PSIがどういうものなのかも理解したところで話は次の段階に進む

ウル「それでは本題に入ろうか。まずPSIの力は基礎となる3つの力で構成されているんだ。

ひとつ、裂破のバースト
ふたつ、心破のトランス
みっつ、強化のライズ」

快斗「ば、バースト?トランス?ライズ?な、なんだそれ」

ウル「まあ、落ち着け。まずバーストについて。
バーストとは触れることなく物体を動かすことができる念動力(テレキネシス)発火能力(パイロキネシス)とかのことを言って

まあ、見てろ。そこにある本棚でも…」

パチンと指を鳴らすと本棚が空中を浮遊する
これはあの時俺に見せてくれたマジック!やっぱりあれはマジックじゃなかったのか!!てかすげえ!!これが念動力(テレキネシス)か、俺にもできるようになるのかな?

ウル「で、発火能力(パイロキネシス)は」

再びパチンと指を鳴らすと人差し指の上に揺らぐように小さな炎がポッと蝋燭のように灯る

うおおお!!なにそれすげええええ!!ライターいらずじゃん!!ほんとはもっと喜びを表現したい所だが新一から殺されたくないのでジッと黙って目だけキラッキラと光らせる

ウル「ククッ、わかったか?これがバーストだ
次にトランス。これはテレパシーとか透視や予知能力なんかも含まれる。」

快斗「テレパシーはよくウルがしている奴か?」

ウル「そうだな、トランスはなんとなくは理解したか?」

それに頷くと「よしっ」と言って次の説明に進む前にウルの隣にいたアゲハがほんと無意識にボソッと声を出す

アゲハ「ウルさんの説明すごいわかりやすいな」

雨宮「それ、どういう意味?」ニコニコ

アゲハ「え?!あ、いやその…あ、雨宮の説明もすごくわかりやすかったよ!!」

ん?なんだ?一瞬にして空気が変わったぞ桜子ちゃんの。ズモモモモ…と髪が逆立つように彼を見るそれは鬼のような表情で詰め寄る彼女に「ヒィ?!」と悲鳴を上げる

ウル「おい、お前等…」

ウルが二人に対し声をかけようとしたその時もぞもぞと新一が動き戦慄が走る。みんなシーンと静まり新一を覗く

新一「んッ…、むにゃむにゃ」

目を擦って猫のように丸まりすやすやと眠る新一に安堵の声を洩らしホッと息を吐く

ウル「ふう、よかった。ったくてめえ等、痴話喧嘩をしてんじゃねえよ。いいか、次はねえからな」

脅すような口調で二人に言えば二人は反省したようにしゅんとなる。なんていうか、犬が飼い主に怒られた時耳をしゅんと下げる仕草が一瞬二人に見えた

ウル「気を取り直して次はライズの説明にいくか。ライズは五感や身体能力を高めるもののことを言って簡単に二つにわけられる

反射神経や五感を高めるのが、センス
筋力や身体能力を高めるのが、ストレングス」

快斗「うーん、なんとなく理解できたけどそのみっつ全て使うことができるのか?」

ウル「いいや、全部ってのはかなり難しいだろうな。個人差はあるし得意不得意があるからな」

なるほどと呟き、膝枕で眠っている新一に視線を落とす

快斗「PSIねー。
じゃあ、ウル達にもあるってことだよな?」

ウル「ククッ、そりゃな?

俺は全部バランスよく使えるが特にライズとトランスが得意で新一も俺同様バランスよく使えてバーストとライズが得意だな」

え、さっき全部バランスよく使えるのは難しいって言ってなかったけ?!何それチートじゃん!!

アゲハ「バランスよく使えるってマジでバケモンかよ。あ、因みに俺はライズとバーストです!てか、新一さんと同じじゃん!!!」

雨宮「私はライズとトランスです。」

カブト「俺は死の脅威(メナス)を見る事の出来る幻視。簡単に言えばこれから起こる危険を予知する事が出来る能力っすね~」

みんなすげえな、新一とアゲハくんはライズとバースト。ウルと桜子ちゃんはライズとトランス。で、カブトくんが予知能力的なものだから…ライズか?

ウル「さて、ここまでPSIについて説明してきたわけだが、少しは理解できたか?」

快斗「ああ、めっちゃわかりやすい説明だったからよく理解できたよ。」

ウル「ククッ、いづれマジック少年もできるようになるんだ。
よかったな~?周りにこれだけ先輩がいて。クククッ」ニヤニヤ

どうしよう、頼れる先輩がいない。
まず、ウルと新一は論外。教えてるうちに自分一人楽しくなって暴走しそうだから

アゲハくんの場合教え方が下手そう「こういう時はバッと言ってドーンって感じ!」みたいな説明をしそう

桜子ちゃんは、そうだな正直あまり話したことがないからよくわからない。

カブトくんは真面目に教えてくれなさそう

ウル「ぷっくく!!確かにマジック少年の思ってる通りかもな」

快斗「なっ、お前?!また勝手に読みやがったな!!」

こんの、また聞いてませーんみたいな態度しやがって!腹立つ!!なんとか荒ぶる心を落ち着かせふう、と大きく深呼吸をする

ウル「さっ。なら、次は俺達個人の能力説明にうつろうか」

ウルは俺のことなど全く気にすることなく話を進めていく

ウル「さーて、誰から説明していくか。
はい、我こそはって人てー挙げてー!」

ウルの言葉に真っ先に手を上げるのは

アゲハ「はーい!!俺からいいですかー!」

ウル「うん、だよな。そうだと思った
お嬢ちゃんとバンダナ少年は少年の後でよかったか?」

雨宮「はい、大丈夫です」
カブト「俺も別にいいっすよ~!」

ウル「なら、少年から説明していくか」

はーい!と言ってビシッと敬礼する彼をみてウルがポツリと「暑苦しい奴だな」と呟いた言葉に思わずクスリと笑いながら彼を見る


アゲハ「えと、それじゃあまず俺のPSI能力は周囲のPSIに反応して無差別に襲い掛かり、触れたもの全てを消し去る漆黒のバースト「 暴王の月(メルゼズ・ドア) 」 があります。

えーと、こういう奴です」

そう言って手のひらサイズの野球ボールくらいの黒い玉を出す。

アゲハ「普段はもっと大きいんですけど、新一さんを起こしたらまずいんでこれくらいのサイズで」

快斗「へえ、面白い能力なんだな!」

アゲハ「で、これを応用した能力に
「暴王の流星(メルゼズ・ランス)」
「暴王・円盤Ver(メルゼズ・ディスクバージョン)」
「暴王の渦(メルゼズ・ボルテクス)」
「暴王(メルゼズ)」があります。」

ウル「マジック少年、ここまでついてこれてるか?」

快斗「え?ま、まあなんとかな」

ならいいが、と言って再び視線を彼にうつす

アゲハ「まず、「暴王の流星(メルゼズ・ランス)」からですけど…えっとこれは多分快斗さんも見たことありますよね?」


うん、新一と戦闘していた時使ってた攻撃だよな?彼の言葉に頷けば「よかった」と言って微笑む

アゲハ「暴王の流星は主に遠距離攻撃で使います。次に少し流星ににた攻撃なんですけど、「暴王・円盤Ver(メルゼズ・ディスクバージョン)」これも多分見たことあるかと」


快斗「ああ、あの最初はボールくらいの大きさが大きくなって円盤になる奴!だよね?」

アゲハ「そうですそうです!それで大体あってます!この能力の特徴として相手のPSIを吸収して大きさを変えるので新一さんやウルさんのような膨大なPSIを持ってる場合バカでかい円盤になります。

あと、一定量のPSIを喰らうと円盤から無数の枝が伸びて相手を襲うので不意打ちにもいいです」


へえ、なんか面白い能力だな。勉強になる

アゲハ「次に「暴王の渦(メルゼズ・ボルテクス)」ですけど、これは炎や毒ガスなど、身の回りを取り囲む攻撃に対する防御として使います。ただ、PSIを激しく消費するんで長時間は使用できません」


快斗「ふーむ、なるほど。
防御ってことはバリア的なものなの?」

アゲハ「そうですね、簡単に言うとそうなります。ただ、これは防御だけではなくちょっとした攻撃にも使えるんですよ」

ウル「ほお、それは知らなかった」

へえ、ウルにも知らないことがあったのか。意外だなと感じながらもあまり気にすることなく、彼の話を真剣に聞く

アゲハ「で、最後「暴王(メルゼズ)」ですけどこれは快斗さんも見たことありますよね?」

快斗「ああ、あの黒い靄みたいなのが君自身を囲んでた奴だよね?」

アゲハ「そうです、暴王と一体化することにより今まで説明してきた攻撃すべてを使うことができます。完全無敵状態になるわけなんですが負担が大きく長時間の使用は危険です。


それに、完全無敵状態になってもウルさんや新一さんの前では赤子の手をひねるようなもんでしょうしね」


そう彼の話をニヤニヤとした笑みで聞くウルに悔しそうに口を尖らせて言う彼にウルはからかうように肩をすぼめる

ウル「ククッ、そうでもないぜ?
頑張れば勝てるかもよー?クククッ」

アゲハ「アンタ絶対思ってないだろ!!」

と、その時俺の膝の上で新一が再びもぞもぞと動き出す。それをみて水をうったようにシンと静まり新一に視線を落とす。みんなの表情には緊張がはいり彼でさえジッと息をのむように新一をみる。新一は右に左に身体を動かし何を思ったのか俺の腰にギューッとしがみつくように抱きつく

新一「ん…かいとー」

快斗「え、今俺の名前…」

何この子!可愛すぎか!天使だよ今ここに天使がいます!普段は悪魔だけど寝てる時は天使だよ!

ウル「…いいな。」

快斗「ん?なんか言った?」

ウル「別に。」

というか、新一の抱きしめる力が案外強くてやばいんだけど!!やばいよ、なんか…うん。出ちゃいけないものが口から飛び出そうだよ!!

カブト「なんか、猫みたいっすね。新一さん」

愛しいものを見るような眼差しを新一に向けそろーっと手を伸ばし頭を優しく撫でる。それに新一も気持ちよさそうに目を細め少しだけ抱きしめる力を弱める

カブト「うわー、新一さんの髪ふわっふわだー」

カブトくんは新一の髪をなでなでし「ふふ」と小さく微笑み次にほっぺたをつついたりとするが新一は起きることなくすやすや眠ってる

それを見て周りの奴等も新一に近付く
最初に動いたのはアゲハくんだ。

アゲハ「ほんと、普段とは大違いだな」

足音をたてないようにゆっくりと近付き手を伸ばす

と、その時!何かの力によってアゲハくんの身体が空中に浮かんだかと思えば床に落とされ尻もちをつく

アゲハ「え?え?え?な、何?今…え?」

一体自分に何が起こったのか訳もわからず本当にびっくりしたように一時その場で固まってハッとしたように周りをキョロキョロと見渡すアゲハくん

ウル「ぷっ、ククッ、あっはははは!!ふふっ腹痛え」

そんな彼を見てウルがケラケラと笑いだす
腹を抱えながらヒイヒイいって目に涙を浮かべる

アゲハ「なっ!ちょっ、笑いすぎだろアンタ!!」

ウル「ぷっ、ふふっ、だって少年だけ新一に拒否られてんだぜ?それはもう、ククッ…笑えるだろ!!」

アゲハ「いや、全くもって笑えねえよ?!
てか、なんで!なんで俺だけダメなわけ?!」

ウル「それは…なあ?嫌われてんだろ」

うわ、ウルの奴面白がってるよアゲハくんのこと
ニヤニヤした笑みを浮かべながら自分は新一を触っても何もないぞと見せつけるように頭を撫でる

アゲハ「その顔が一番腹立つー!!」

ウル「まあまあまあ、落ち着けよ少年?」ニヤニヤ

今にも喧嘩が始まりそうな雰囲気に「はあ」と大きなため息をこぼし、呆れたような口調で二人に話しかける

快斗「はいはい、お前等そこまでにしとけ。
ったく、新一が起きたらどうすんだ?」

ウル「オレは別に何もしてねえけど?」

アゲハ「はあ?!元はといえばアン「あーも!てめえ等うるせえ!!」か、快斗さん?!」

快斗「あのさ、だから言ってんだろ。
新一が寝てんだよ、見てわかんねえのかお前等。」

スッとすべての感情をなくしたように無表情で「なあ、わかんねえの」と首をコテンと傾けながら二人に言えば二人は顔を青白く染めぷるぷると震えながら何度も首をふる

快斗「よし!わかればいいんだわかれば!
さっ、能力説明の続きをよろしく頼むよ、アゲハくん」

無表情から一変ニコニコと笑って彼等を見る

アゲハ「あ、はい!今すぐ説明にうつります!」

ハッと我にかえったように床から立ち上がり、埃をはらう

アゲハ「えっと、俺の能力はさっきの説明で以上ですね!」

快斗「ん、詳しい能力説明ありがとうな
じゃあ、えっと次は…」

と呟いて隣にいるカブトくんに視線を移すと彼もそれに気付いたのかニッと笑みを浮かべVサインをする


カブト「じゃあ、次は俺っすね!
えーと、俺の能力は数秒先に起こる「 死の脅威 」が光のように見える能力ですね~!」

快斗「死の脅威って?」

ウル「未来で起こる危機や脅威なんかが見えるってことだろ?なあ、バンダナ少年」

カブト「まあ、そんなとこですね」

へえ、それはまた面白い能力だな。
というか未来予知だよね!だってこれから起こる危機がわかるとかすごくない?!いいなー、俺もほしい未来予知!

カブト「で、えーと、ふたつめはちょっと長くなるんすけど…」

快斗「いいよいいよ!全く構わないよ、なあウル?」

ウル「ククッ、そうだな。興味がある」

カブト「じゃあ、ふたつめの能力
弱者のパラダイム(チキンソウル・パラダイム)について。

この能力は「脅威」を手で「祓う」ことで、脅威の源そのものを「脅威の光」の方向に捩じ曲げる。
えーと、つまり迫り来る運命を掴みとりその中から脅威を祓うことで死の運命を操り回避するという運命操作・未来改変能力っすね! 」

快斗「ほえー、なんかすげえ能力ってことはわかった。」

カブト「説明に付け加えとして、相手の放った「脅威」を相手自身に跳ね返す事も出来るんです。

つまり、他人に対して放った脅威がそのまま放った本人へと全てが返ってくるので定められた未来・運命が待ち受けることになる。確定した終焉がね」

ウル「ふーん、なるほどなかなか厄介な能力だな。マジック少年は理解出来たか?」

快斗「まあ、なんとなくかな。

カブトくんにとって不都合な脅威を直接的であろうが間接的であろうが祓うことが出来るってことだろ?ある意味無敵とも呼べるほどの防衛・回避能力を持ってるよな」

カブト「よく今の説明でそこまで理解できましたね」

驚いたように俺を見る彼に、そうかなと首を傾げ照れ笑いを浮かべる


カブト「俺の能力説明は以上っすね、次はリトルバニーの番だね!」

花が咲かんばさりの笑顔を桜子ちゃんに向けるが勿論桜子ちゃんはそれをスルーしてそれにカブトくんも懲りることなく近付こうとするところをアゲハくんによって阻止される。この三人ほんと仲いいよな


雨宮「じゃあ、次は私の番ですね!
私の能力は「っとその前にお嬢ちゃんに質問」えと、なんですか?」

快斗「ん?どうしたウル?」

いつものニヤニヤした笑みとはまた違う笑みで彼女を見るウルに俺は不審な目を向ける

ウル「おいおい、そんな顔するなよ
なあ、お嬢ちゃん俺達と同種だろ?」

雨宮「…え」

彼女だけじゃない、アゲハくんもカブトくんも驚いたように目を見開きウルを見る

快斗「え?ちょっと、待って、え?何?何が同種なの?」

そんな中俺一人だけ意味がわからず「え?え?え?」となっているとウルが俺を見て馬鹿にしたような笑みを浮かべる

ウル「なんだマジック少年、これくらいもわからねえの?
えー、ありえないだけどー。お前ほんとに頭いいのー?」

語尾に(笑)がつきそうな感じの口調でいうウルにピキピキと青筋をたてる。ほんとコイツ人をキレさせる天才だわ。つーか、わかるわけねえだろ?!お前みたいに心読めるわけじゃねえんだぞ!!

快斗「で、どういうこ「えー、それが人にものを聞く態度なのかなー?」」ピキピキ

あの、ほんとコイツ殺っちゃっていいですか?

ウル「クククッ、冗談だろ冗談?
そんな怖い顔するなってマジック少年~」

快斗「お前ほんっと嫌な奴だな」

ウル「え?そんな褒めても何も出ねえぞ」ニヤニヤ

腹立つ!何だそのニヤけ顔!ほんと腹立つ!つーか、褒めてねえし!でもそれを言ったらコイツの思う壺だから絶対言わねえ!!

雨宮「なんで、わかったんですか?」

ウル「ククッ、そりゃ同種には同種にしかわからねえもんがあるからな」

え、いや待ってだから同種ってどういうことなんですか?!誰か俺に教えてよ!勝手に進められても俺一人おいてかれてるんですけど!!

雨宮「そうですか、バレてるなら隠す必要もありませんね。アビス、出てきてください」

???「言われなくてもわかってるわよ」

彼女がそう呟くと身体から影が出てくるようにしてぬるっと出てきたのは肌が浅黒いほかは全く同じの桜子ちゃんがそこにいた

快斗「まさか、同種って…これのことだったのか?」

誰に言うでもなくひとり言のように呟いて同意を求めるように隣にいるウルを見て思わずギョッとした表情をする


ウル「…す、」

アゲハ「す?」

ウル「ストライク!!
お嬢ちゃん名前は?俺、ウルティアって言うんだ!」

アビス「は?アタシはアビスだけど」

ウル「アビス!アビスの姉ちゃんか!」

目をハートにしてキラキラした瞳でだらしのない笑みを浮かべるウルにみんな引いた顔をする
コイツマジでか、と俺は思わず頭を抱え「うへー」と思いながらなんとも言えぬ表情で隣にいるウルを見る

新一がこれをみたら絶対頭を抱えて項垂れる光景が目に浮かぶ。

アゲハ「わーお、まるでデジャブじゃん」

そんな二人を見てポツリとアゲハくんが呟く。デジャブ?どういう意味だろうか

快斗「ん?デジャブ?」

アゲハ「あ、えと新一さんがカブトに懐いた時と今の状況がそっくりだなって!!」

へえ!そうなのか!確かにカブトくんには何故か懐いてたもんな新一の奴。まあ理由はなんとなくわからんでもないが

アゲハ「てか、さっきの新一さんもそうだけどなんで俺には全くといっていいほど懐かないのにカブトやアビスには懐くんだよ!!おかしいだろ?!俺だって…俺だって、懐かれたいのに!!」

お、おおうそっか…そうだよな、うん。悲痛な心の叫びが聞こえてきて俺はなんて声をかけることもできずただ、「そっか」としか言えなかった

快斗「てか、ウルお前はマジで一旦落ち着け!気持ち悪いぞ!」

マジで気持ち悪いからね?!お前、一回自分の顔鏡で見てみろよ!ほんと酷い顔してるから!鼻息荒く彼女を見るウルはかなりヤバい奴だ。

ウル「気持ち悪いって失礼だなー。
よし、マジック少年こうしよう!

俺はアビスの姉ちゃんとお茶してるからお前はお嬢ちゃんから説明を聞いとけ」

はい、決まり!と言ってソファーから立ち上がり彼女のもとに行こうとするウルの手を掴めば、ギロリと睨まれる

快斗「いやいやいや、何も解決してねえから!てか、彼女も迷惑してんだろ!」

ねえ!というようにアビスちゃんを見れば

アビス「アタシは別に構わないけど、面白そうだし」

その言葉にウルはこれでもかと目をキラキラと輝かせながら俺を見る

快斗「あーも!わかったよ、どうぞご自由に!
じゃあ、桜子ちゃん能力説明の方いいかな?」

手を離した途端ウルは一目散に彼女のもとに駆け、てきぱきと飲み物やお菓子やケーキなどを机に並べ彼女をエスコートする。それに彼女もまんざらでもない様子で椅子に座り楽しそうに雑談を始める


雨宮「あっ、はい!えっ‥と、能力説明でしたよね」

わかるよ、そういう反応にもなるよな!
ウルのあんな顔見たことねえもんな、あんなでれでれした笑みとか特に。彼女に好意を抱いてることは一目瞭然だ。

───────おい、マジック少年ひとつ間違ってるぞ。俺はアビスの姉ちゃんに好意を抱いてるんじゃなく気が合うってことだ。新一とバンダナ少年のようなもんだ。

うおお、ビビった?!いきなり話しかけるなよ!びっくりしすぎて腰抜かしそうになったじゃねえか!

───────ククッ、まだ慣れねえのか?
まあいいや。お嬢ちゃんの説明しっかり聞くんだぞ

言われなくてもわかってるての!
プツッと音とともに回線が切れウルに視線を移すとニヤリと口元を歪め俺から彼女へと視線をうつす


雨宮「では、気を取り直して
私の能力はまず、ひとつテレパシーや相手の頭の中に潜り込むW・M・J

そして、至近距離で爆発させる事によって相手に幻覚を見せるM・J:凶気の鎌があります。

また、ウルさんや新一さんなんかが持ってる斬魄刀と似てる妖刀「心鬼紅骨」も持ってます」

ど、どど、どうしよう。これはツッコむべきなのかいなか。彼女は説明に入るやいなや紙芝居のようなものをどこからか取り出し右手にはうさぎ?かなにかのキャラクターの人形を装着しノリノリで説明しだす

アゲハ「快斗さん、これには何があってもツッコんじゃダメですよ?」

そわそわしていた俺に気付いたのかアゲハくんがコソッと耳打ちをする。それにコクコクと首を振り彼女の説明に耳を傾ける

雨宮「では、まずひとつめ!
W・M・J(ワイヤード・マインド・ジャック)について説明するよ!


この能力は、相手の記憶や意識に潜行することも出来るんだ!ジャックされた相手は瞬時に気絶し、使用者が解除しない限りは自力で目覚めることは不可能!!さーらーにー!!物理的な障害物をすり抜けて無視できるという特性があるんだ!」

やばい、笑いを堪えるので精一杯で説明のほとんどが頭にはいってこなかった!!何だこの子大人しい子かと思ったら全くだよ!一番ユーモアがあるよ!!

雨宮「今の説明でわからなかったところはありますか?快斗さん」

快斗「え?!いや、わかりやすい説明のおかげで大丈夫だよ。えーと、ウルの能力に少し似てるんだな」

あーびっくりした。いきなり話しかけられるもんだからバレたかと思った。危ねえ危ねえ、でも今ので大丈夫だったよな?大体あってるよな?

雨宮「そうですね、少し似てるかもしれませんね
では、次行きましょ!!次は幻覚を見せるM・J:凶気の鎌について。


M・J:凶気の鎌(マインド・ジャック:インサニティサイズ)といってトランスのPSIで形成された巨大な凶気の鎌を発現させます。


しかし、実はこれ精神爆弾の一種なので、直接攻撃ができるわけではないんですね


トランスはバーストで簡単に破壊可能であると言う弱点があって、その弱点を逆に利用し破壊させることで思念をこめた鎌を粒子化させて周囲に散布し相手に幻覚を見せる能力を持ちます!

たーだーし!幻覚を見せるためには、相手の至近距離で爆発させる必要があるんですね」

なんかめっちゃ楽しそうだな桜子ちゃん。
ノリノリで指をパチンと鳴らし鎌を出現させる。これはまた新一なんかが持ってた黒鎌とは違った形状だな


雨宮「では、最後に妖刀「心鬼紅骨」についてですが…」

そう言って手に持っていた鎌が消え今度は刀が出てくる。炎のようなものに纏われ禍々しい雰囲気さえあり妖刀と言うのも頷ける。新一の捩花やウルなんかのとはまた一味違った刀に目をキラキラさせる

だって、妖刀だよ妖刀!超かっけー!男なら誰だって憧れるよな!小さい頃よく新一と遊んでたっけ?懐かしいなー。そう言えば、アゲハくんも斬魄刀持ってたよな?説明受けなかったけど。まあ、それはウルが説明してくれるだろう

雨宮「私の説明は以上ですね、後は…」


アビス「じゃあ、次はアタシの番ね」

雑談を終えたのか、二人が戻ってくる
ウルは俺の隣に座り目をキラキラさせながらアビスちゃんの説明に耳を傾ける。

快斗「もう、良かったのか?」

ウル「ん?まだ話足りねえが
俺も能力説明をしないといけねえからな」

快斗「ふーん、そっか」

興味なさ気に相槌をうったのがバレたのかウルに軽く頭を叩かれ「いって!」と声を上げ涙目で隣にいるウルを睨む。ウルはそんな俺にあっかんべーというように舌を出しニヤッと笑みを浮かべ前を見る。

コイツ~!!ぷるぷる震える拳をギュッと握り気持ちを落ち着かせるため深呼吸をし天使のように眠る新一に視線を落とす。イライラしていた心はスッと煙のように消え自然と笑みがこぼれる

アビス「アタシは深淵(アビス)桜子のもう一人の人格よ。

PSI能力は背中から出す2本の黒い鎌状のバースト
柄は自由自在に動いて、ライズと併用した迫撃が得意ね」

そう言って背中から出たのは悪魔の尻尾のような先端が非常に鋭利でうねうねと動いている。


ウル「ほお、これはまた…ククッ面白え

さあて、最後は俺だな。まず簡単に自己紹介をしとくか。名はウルティア「ウル」とでも呼んでくれ。あとはそうだな、まあおいおいにして…」ニヤニヤ

アビスちゃんから視線を俺にうつし、ニヤァと企むような笑みを浮かべるウルに俺はゾワゾワと鳥肌をたてる

快斗「ちょっ、ちょっとウルさん…」

ウル「んー?なんだマジック少年」にやにや

この感じ嫌な予感しかしねえんだけど?!


愉快で奇妙な晩餐会と自己紹介

* * * * * *

 

快斗「ちょっ…いや、お前なにしてんの?!」

 

いや、まじでなにしてんのコイツ?!バカなの死ぬの!

 

ウル「え?何って能力説明だけど?」にやにや

 

そのにやけ顔が腹立つんだよ、絶対俺を馬鹿にしてんだろコイツ!!

 

快斗「わかってるよ、能力説明ってことくらい!俺はそれを聞いてんじゃねえんだよ!

俺は何でウルが俺になってんのかを聞いてんだよ!」

 

そう、目の前にいる憎たらしい笑みを口元に浮かべるウルは能力説明のためといって何故か俺に変身していた

 

 

───────遡ること数分前

 

ウル「さて、それじゃ次は俺の番な」

 

振り向き様、俺を見てニヤリと笑みを浮かべるウルに俺は少なからず嫌な予感を感じながらも説明に耳を傾ける

 

ウル「まず、ひとつめ色―しき―について説明しよう。色はいろとかいてしきと読む。色は謂わば、変身能力だ。相手の姿形、声や癖さえも完璧に変身できる。変身できるのは何も人だけとは限らない、動物にも何でもなれるのさ

 

そう、例えばこんなふうに…」

 

あれ?今一瞬目があったような。いやいやいや!ないないない!気のせいだそうだ、そうに違いないただの気のせいだ!

 

パチンと指を鳴らし変身したのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────俺だった。

 

そして、時は戻り現在。

嫌な予感が見事に的中した。

俺ってすごいかも、実は未来を視る能力があるんじゃないか?なんて現実逃避をしつつ目の前にいるもう一人の俺に視線を向ける

 

まるで、ドッペルゲンガーでもみているようだ

ぶん殴ってやりたいところだがそれをすると俺自身を殴ってるようでとても嫌な気分になるからやめとこう

 

ウル「何でマジック少年なのかって?それは…」にやにや

 

あ、コレ多分ダメなやつだ。

ウルがこんなイタズラを思いついた少年のような笑みをするときは決まって最悪なことが起こる

 

にやけた笑みのままウルは俺の姿でアビスちゃんの元に向かう

 

快斗「お、おいおいまさかお前…?!」

 

待て…待て待て待てえええいッ!!??

ウルが何をするのかなんとなく勘付き慌てて腕を掴もうとするがその手をひらりと避けてアビスちゃんの前に跪くようにして

 

ウル「Hey!そこの美しいお嬢さん、今から俺とお茶し「ないに決まってんだろうがああああ!!!!」なんだよーマジック少年。オレとアビスの姉ちゃんのお茶を邪魔をする気か?」

 

快斗「お前まじで一変死んでこい!!!つーか、今すぐ死ね!!!

何俺の姿で本気で口説いてやがんだてめえ?!ふざけんなよ!!」

 

俺の膝で眠っている新一をカブトくんに任せてウルに殴りかかる俺をアゲハくんが慌てて後ろから羽交い締めにする

 

アゲハ「ちょっ、ちょっと快斗さん?!お、落ち着いて!!」

 

快斗「これが落ち着いていられるかってんだ!!

俺はコイツを一発ぶん殴ってやらねえと気が済まねえ!!」

 

アゲハ「き、気持ちはわかるけどダメです!!」

 

アゲハくんの腕の中で暴れる俺をウルは気にすることなくなおも俺の姿のままアビスちゃんを口説く

 

ウル「アイツ等のことは放っておいて俺とこれからデートしない?美味しいお店も知ってるからさー、今から行こうよ」

 

快斗「だからやめてえええ!!!!」

 

 

最ッ悪だ。まじで最悪!!もうほんとに最悪!!!

 

 

快斗「まじでお前ぶっ殺す!!!!!!」

 

ウル「えー?俺にそんなこと言っちゃっていいのかなー?俺も新一なんだけどなー」

 

 

お前が新一?はあ?ふ ざ け る な

新一であろうとなかろうとぶっ殺す。許すマジ

 

ウル「クククッ、やっぱりマジック少年は面白えなー。いじりがいがある。あっ、そうだ!いいこと思いついたー」

 

いたずら好きの子供がするような意地悪な笑みを口元に浮かべてウルはアビスちゃんから離れ桜子ちゃんのもとに歩を進める

 

快斗「アゲハくん、俺今すごーく嫌な予感がするんだけど」

 

アゲハ「快斗さん奇遇ですね、俺もですよ」

 

アゲハくんは俺から離れ冷や汗を流しウルの行動を見守る

 

アゲハ「あ、あの…ウルさん?」

 

ウルは桜子ちゃんの前まで来るとアゲハくんの方をみてニタァと笑う

 

快斗「まさか、ウルの奴…」

 

アゲハくんもそれに気付いたのか顔を真っ青に染めて唇を震わせ「まままままさか、まさか…」と声を漏らす

 

ウル「んー?どうしたよ少年。クククッ、顔色が悪いぞ?」

 

アゲハ「ううううるさん、ウルさん、ちょっと待って…そそそそれはそれだけは…!!」

 

おいおいアゲハくん大丈夫か?めっちゃ吃ってるぞ

いやそりゃ焦るよな、だってこれからウルが桜子ちゃんを

 

ウル「クククッ、おいおいそんな焦んなよ?

いやさあ、少年がなかなかお嬢ちゃんに言わないから…ねえ?」

 

ウルはそうニコッと不気味な程爽やかな笑みを浮かべさっきまで俺の姿だったのが一瞬でアゲハくんへと変身する

 

アゲハ「ぁ、あ、あ、待っ、ちょっ待って…ちょっ」

 

ウル「なあ雨宮、俺と一緒にデートしない?

この前、美味しいケーキ屋さん見つけたんだ」

 

語尾に音符がつきそうな口調で桜子ちゃんをデートに誘う

 

アゲハ「あああああああ!!!!

てんめえええぶっ殺おおおおす!!!」

 

快斗「ちょっ、ちょっとアゲハくん?!

なにこれデジャブ?!さっきのデジャブ感半端ないんだけど?!てか、とりあえず落ち着いて!!」

 

アゲハ「これが落ち着いていられるかああああ!!!」

 

アゲハくんは俺の手を振りほどきウルへと斬りかかる

 

ちょっ、ちょっとどうしよう?!か、カブトくんは…ってめっちゃ爆笑してるし!桜子ちゃんは顔をりんごみたいに真っ赤に染めてどこか嬉しそうに顔を緩ませてるしアビスちゃんはウルを興味深くみてるしもう何なのお前等?!誰一人として常識人がいないんですけど!!

 

アゲハ「てめえだけは絶対許さねえええ!!」

 

ウル「ふっくく、ほんと単細胞な奴。」

 

ボソッと何かを呟いてパチンと指を鳴らすとアゲハくんの姿から一変、桜子ちゃんへと姿を変える

 

ウル「夜科、私を斬るの?」

 

アゲハ「なっ?!こんのッ…卑怯だぞ雨宮になるなんてッ!!」

 

攻撃が当たる直前ピタリと手を止め悔しそうに唇を噛む。噛み締めた唇からは呻き声がこぼれる

 

ウル「ふん、卑怯だと?お前、ほんと甘いな。

俺みたいな敵が現れたときどうする?少年、お前すぐ死ぬよ」

 

桜子ちゃんの姿のままビシッとアゲハくんを指差して馬鹿にするような嘲笑を浮かべる。ウルの目はどこまでも冷めててゾッとするほどの恐怖を感じた

 

アビス「ふーん、なかなか使える能力ね」

 

暫しの沈黙を破ったのはアビスちゃんのその一言だった

 

ウル「?!い、いい、今褒められた?!褒められたよね?!」

 

アゲハ「隙ありッ!!…ってはあ?!」

 

アゲハくんの攻撃を軽々と片手で受け止め俺の姿に一瞬でかわりまるで犬のように耳と尻尾をパタパタとしながらアビスちゃんをキラキラした瞳でみる

 

快斗「ちょっ、おまっ、なんで俺の姿になってんだよ?!」

 

アゲハ「攻撃止められた、しかも片手で…俺の攻撃が」

 

ウル「アビスの姉ちゃんデート行こう!

今すぐ行こう!ね?ね?ね!!」

 

快斗「ってお前ほんとやめろおおお!!!

なんでわざわざ俺の姿になってんだよ?!」

 

ウル「はあ?なんでって、そりゃ…面白いからに決まってんだろ」ドヤァ

 

その、ドヤ顔殴っていいですか?

 

新一「んん…」

 

カブト「新一さん?」

 

俺とウルでわいわい騒いでいると不穏な気配を感じバっと後ろを振り返る。それと同時にカブトくんの声が部屋に響いた

 

 

カブト「アゲハ危ねえ、避けろ!!」

 

アゲハ「はっ?え?っおわ?!」

 

ウル「あちゃー、これはちょっとまずいな」

 

アゲハくんの頭の上を掠めるように飛んでいったのは新一の黒鎌だ。ズモモ…と真っ黒いオーラを放ちながら新一が仁王立ちし床に尻餅をつくアゲハくんを見下す

 

アゲハ「え、え、え?なになになに?!

え、俺、な、ななんかしました‥?」

 

 

新一「ねえ、僕の眠りを妨げるとどうなるか…わかってんの?」

 

アゲハ「へ?!ぼ、僕?!」

 

新一「…次、僕の邪魔をしたらぶっ殺すよ」

 

ニッコリと満面の笑みを浮かべ「わかった?」と首を傾げふらっと身体を傾けそれをカブトくんがすかさず支える

 

快斗「今、アイツ僕って言ったよな…」

 

こわっ。え、なに?こわくね?!

みんなが新一に圧倒されている中、ウルだけは反応が違った

 

ウル「ぷっくふふ、ふふっ、あっははははは!!ちょっ、やべえ腹いてえ!くっふふ、ひひっ、少年お前ってほんと新一に嫌われてんのな?あはは!!」

 

アゲハ「今、僕って言ったよね?!ね!

てか、俺以外も騒いでたじゃんか!

なんで、なんで俺だけこんな扱いなんだよおおお!!!」

 

ウル「まあ、今の出来事100%新一は覚えてないがな」

 

アゲハ「はあ?!ふざけんなよ!」

 

もういい、もう知らない、どうせ俺なんて、とアゲハくんはとうとう部屋の隅っこに体育座りをして床を指でイジイジとしながら泣いているのか鼻をすする音が聞こえる

 

ウル「あはははっはは、くくっ、ふっはは、ちょっとマジック少年~、少年がいじけてんじゃーんどうすんの?」

 

快斗「どうすんの?ってお前のせいだろーが!」

 

どう考えても俺じゃなく100%いや120%ウルが悪いだろ!!何俺になすりつけてんだよ!

 

ウル「えー?オレ何もしてなくね?ねえ、アビスの姉ちゃん!」

 

アビスちゃんに同意を求めるようにキラキラした瞳を向ければ少し困ったように微笑む、ほらーお前アビスちゃんまで困らせてんじゃん

 

快斗「お前ほんっと性格悪いな」

 

ウル「ククッ、そう褒め「てねえからな」まあ、放っときゃ大丈夫だろ?単細胞な奴だ元気になるのも早いさ。

 

そんなことよりも、アビスの姉ちゃん俺と「お前まだそれ諦めてねえの?!」あったり前だろーが!デートだぞデート!」

 

はあ、もうこれじゃ埒が明かない。ここはひとつアビスちゃんに協力してもらおう

 

快斗「アビスちゃん…ちょっとお願いがあるんだけど」

 

アビス「?」

 

ゴニョゴニョとアビスちゃんに耳打ちをしてお願いと言うように胸の前で手を合わせる

 

アビス「はあ、仕方ないわね。

 

ねえ、その他にも能力あるんでしょ?

あたしウルの能力もっと見たいなー(棒)」

 

おお、見事なまでの棒読み。だけど、ウルは

 

ウル「アビスの姉ちゃんの頼みならなんでも!」

 

ふっ、単純な奴め

「よしっ」と言うようにガッツポーズをしアビスちゃんにも口パクで「ありがとう」と伝える

 

ウル「さて、じゃあ能力説明といこうか」

 

俺の姿から変わることはないのか

チラチラとアビスちゃんを見ながら喋るウルにため息をこぼしやれやれと言うように両手を八の字に曲げカブトくんの隣に座る

 

カブトくんに撫でられながらすやすやと眠る新一はコアラみたいにギューっとカブトくんにしがみつく

 

カブト「あははっ、コアラみてえだ。新一さん」

 

快斗「ほんと。猫の次はコアラか」

 

まあ、しかしどちらにしろ

 

カブト・快斗「「(天使だ!!)」」

 

そんな姿を微笑ましく見ながらウルも優しく微笑み新一の頭を撫で話の続きをする

 

ウル「さて、ここからはマジック少年にも教えたことない能力だ。まず、有幻覚から説明していくか」

 

快斗「ゆうげんかく?」

 

それに頭を傾げる俺にウルは少し考える仕草をしてパチンと指を鳴らす。するとあら不思議!手の中には真っ赤に熟れたリンゴがあるじゃありませんか!

 

ウル「ほら、マジック少年にやるよ」

 

快斗「え、俺に?あ、ありがとう」

 

ウル「ああ」ニヤニヤ

 

単純にリンゴを貰えたことはまあ嬉しいがどうもその笑顔に胡散臭さを覚える。そもそも何故俺に渡した?アビスちゃんとかではなく俺にってことは…このリンゴ何かあるな?!

 

恐る恐るリンゴを突いてみるが爆発するような感じはない。匂いを嗅いでみるが普通のリンゴだ。思い切ってがぶりとリンゴにかぶりついてみた

 

快斗「ん?これは?え?普通のリンゴじゃないよな」

 

訳もわからず「?」を浮かべる俺にクククッとウルの笑い声が聞こえる

 

ウル「クフフフ、幻覚…有幻覚。幻覚に潜む有幻覚…有幻覚から生まれる幻覚。真実の中に潜む嘘…嘘の中に潜む真実。これが霧」ドヤァ

 

快斗「はあ?何、え?」

 

え、何いきなり言ってんのコイツ。頭沸いたか?しかもドヤ顔ってのが何よりも腹立つ。

 

ウル「お前知らねえの?リボ◯ン有名な名言だぜ?

まあさっきのがオレの能力有幻覚だ

 

簡単に言えば、そうだな

幻覚は幻覚。実体は実体

有幻覚はリアルすぎて実体に近い状態になった幻覚」

 

いや、おまっ?!それ伏せ字の意味なくね?!ほぼほぼ出てますけど?!てか、有幻覚って凄えのな。

 

アゲハ「つ、つまりどういうこと?」

 

おっ、アゲハくん元気を取り戻したか!

さっきまでナメクジみたいに床にてろーんと寝そべって泣いていたのが今ではそれが嘘のように元気だ

 

───────ククッ、な?単純な奴だろ?

 

───────まあ、 確かに。あまり引きずらないタイプなんだろうな彼は

 

───────ククッ、つまり単純バカってことだな

 

いやいやそこまで言ってねえけど!

 

ウル「少年、それくらいもわからないのか~?」

 

人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべるウルにアゲハくんがイラッとしているのが見てわかる。

 

アゲハ「う、うるせー!わからなくて悪いかよ!」

 

ウル「べっつにー?ただ少年以外のみんなはわかってるみたいだからさー。なあ?マジック少年」

 

快斗「は?!俺にふるなよ?!」

 

てっんめえ、ふざけんなよ?!なんで俺にふるわけ?!アゲハくんだけじゃない隣にいるカブトくんもみんなの視線が一気に俺に集まる

 

ウル「え?まさか、マジック少年もわからないの?」

 

ほんっとコイツ一回地獄に堕ちてくれないかな。いや、でもウルの場合地獄に堕ちても快適に暮らしてそうだな。

 

快斗「なんとなくは理解できたかな。つまり、幻覚や幻術てのはその字の如く幻だ。幻覚や幻術には実体がない。あたかもそこ存在しているように見えて実際は何もない

 

 

だが、有幻覚ってのは実体に近い幻覚。だから、触れることもできるし…ってあれ?俺の言ってることあってる?」

 

やばい、なんか話してる途中から自分でも何言ってるかわからなくなったぞ。え、でも多分大体はあってるよな?

 

ウル「流石、マジック少年。だが、今の説明だと脳みそが筋肉で埋まってる少年にはちとわかりづらいな」

 

アゲハ「誰が脳みそ筋肉だ!」

 

ウル「少年にも分かりやすいよう説明してやろう」

 

アゲハくんのツッコミは華麗にスルーしてウルはパチンと指を鳴らし手のひらを見せる

 

ウル「はい、これなーんだ」

 

快斗「は?これっていやいやそこには「リンゴ!」え?」

 

俺の言葉に被さるように元気よく発言したのはアゲハくんだ。しかし、アゲハくん以外のみんなには誰もウルの手のひらに乗っているであろう「リンゴ」に気付かない。いや、見えていないのだ

 

ウル「おっ、少年せーかい。よくできまちた(笑)」

 

アゲハ「よっしゃ!ってなんかすごいバカにされた感あるんだけど。ん?でもなんで俺しか見えなかったんだ?」

 

バカにされた感ってウルはおもいっきしバカにしてるよ

 

ウル「それはオレが少年にしか幻術をかけていないからさ。わかったろ?今のが幻術だ」

 

アゲハ「なるほど、雨宮の能力に似てるのか」

 

ウル「まあそうだな。で、次。はい、これなーんだ」

 

それはさっき俺にも見せた真っ赤に熟れたリンゴがウルの手のひらにあり、みんなで口を揃え「リンゴ!」と叫ぶ

 

ウル「おおー、せーかいせーかい。

今のが有幻覚だ。実際、目に見え触れることもできる」

 

ほれ、少年!と言ってリンゴを投げるとアゲハくんが慌ててリンゴをとり「…すげえ」と呟く

 

ウル「超リアルだろ?リンゴじゃなくても例えばそうだな…」

 

パチンと指を鳴らし出てきたのは

俺がこの世で一番嫌いと言っても過言ではない生き物

 

SAKANAがいた。

一生の間を水中で生活しえら呼吸を行いひれを用いて移動する奴等は身体を鱗で覆われている。

目の前にいる奴は黒い身体で煌めく鱗は美しくしかし、それよりもあのピチピチと蠢く姿、形全てが気持ち悪い

 

ウル「あっれえ~?ど~したのかなあ~?

顔色悪いぞお~?マジック少年、クスクスッ」

 

アイツわざとだ。俺の反応を面白がるためにしてやがる、俺が「さ」から始まる奴を嫌いだということを知って…いいさ。お前がその気なら俺にだって手はある

 

快斗「なっ、なな、なにが?べ、べべ、べっつにー?どこもおかしくないけど?あは、あはは…」

 

ダメだー!予想外にダメージがでかい!

普通を装うつもりが全くできていない?!

 

い、いや落ち着け黒羽快斗!ポーカーフェイスだ!ポーカーフェイス!怪盗キッドの時みたくすればこんなもん余裕だ!そうだ!よし、深呼吸だ。一旦深呼吸しよう

 

ウル「ぷっ、ははっ!

お前、超テンパッてんじゃねえかよ!」

 

快斗「は?いやどこが?

魚とか超好きだし。うん。大好き過ぎてやばいわ」

 

トイレを我慢している時のような切羽詰まった表情に口元を引くつかせながらぎこちない笑みを浮かべ忙しなく視線が左右上下にギョロギョロと動く。

 

ウル「へえ、あーそう。大好きなんだ。ふーん」

 

全てを見透かしたようにニヤリと笑ってパチンと指を鳴らすとウルの腕の中でビチビチ動いていた奴は

 

なんということでしょう!刺し身へ変身しました!パチパチパチー

 

ウル「ンんー!刺し身美味ー!

どうした?マジック少年も食うか?ん?」

 

目の前にズイッと差し出すようにして渡される刺し身。震える手で箸を持ち刺し身に手を伸ばす

 

快斗「おれ さかな だいすき

さしみ たべれる さしみ だいすき」

 

まるで呪文のようにぶつぶつと呟く

それに隣にいるカブトくんが「だ、大丈夫ですか?」という声が聞こえたような気がしたが俺の目には刺し身、奴しかいない

 

ウル「くっふふ、ふふっ、あっはは、ははっははは!あー、面白え。ククッ、涙出てきた」

 

快斗「黙れ。元はと言えばお前のせいだろ。ええ?」

 

爆笑するウルの頭を鷲掴みし俺はニッコリと笑みを浮かべる

 

ウル「ス、スミマセンデシタ」

 

ウル「ちぇっ。なんだよ只のジョークじゃねえか、そんな怒んなよ~?あんまりイライラしてるとすぐ老けるぞ~」

 

快斗「誰のせいでイライラしてると思ってんだ」

 

とぼけた顔をして「さあ、誰のことだか」とでも言うように肩をすくめる

 

それにまたイラッとするが、ふうと深呼吸をして心を落ち着かせる。こんな奴にいちいちイライラしてちゃほんとに老けちまうな

 

だから、もうイライラしない

コイツは餓鬼だ。人を煽るのが好きなただの餓鬼

いちいちコイツの言葉に噛み付いたってバカを見るだけ

 

快斗「はあ、もういいや。

次の能力説明を頼む、ウル」

 

ウル「ククッ、少年よりかやはり頭はいいな

さて、次の能力説明といくか。次はコレ」

 

コレと言って取り出したのはキセル。

それを口にくわえ息を吹くとシャボン玉がゆらりゆらりと宙に浮く

 

アゲハ「シャボン玉?」

 

ウル「そう、シャボン玉。でも、ただのシャボン玉じゃないんだぜ?」

 

ニイと口元を歪めパチンと指を鳴らすとシャボン玉が「ポン!」と音をたて爆発する

 

アゲハ「何その能力?!かっけー!

シャボン爆発だ!シャボン爆発!」

 

シャボン爆発ってネーミングセンスよ…、それは流石にダサいだろアゲハくん

 

ウル「…お前、それ本気で言ってる?」

 

なんのことだかわかっていないアゲハくんは「?」を浮かべうんうん!と頷く

 

それにウルは「コイツまじか」と言う表情をし、俺を見る

 

快斗「あー…シャボン爆発は違うんじゃないかなー?もっとこうなんだろ…、儚く消えるシャボン玉だから泡沫のシャボン玉とか起爆泡みたいな?」

 

あれ?俺もネーミングセンスなくね?

大丈夫だったかな、と不安になりウルを見ればぐっと親指をたてる

 

ウル「そう、マジック少年の言ったようにこの能力名は泡沫のシャボンと起爆泡。流石じゃないか、マジック少年!」

 

一切アゲハくんに視線を向けることなく俺に笑顔を浮かべるウルにアゲハくんはまだわかっていないのか「えー!シャボン爆発の方がかっこいいじゃん!」なんて言って拗ねた顔をする

 

ウル「……」

 

アゲハ「無言?!ちょっ、せめてなんか言って?!」

 

ウル「でさー、マジック少年「無視もやめて!!」」

 

アゲハ「俺が悪かったから!ネーミングセンスがないこと謝りますから!本当すみませんっしたー!」

 

床に頭を擦り付ける勢いで土下座をするアゲハくんを無言&無表情で見てポケットから携帯をとりカシャカシャと撮りだす

 

快斗「ウル、もうそこらへんにしとけ」

 

ウル「へいへい、わかったよ。

いい写メも撮れたしこれくらいにしてやるよ」

 

快斗「本当お前、いい性格してるよな」

 

ウル「お褒めに預かり光栄です」

 

クスっと小さな笑みを浮かべ優雅にお辞儀をするウル

 

快斗「褒めてはないんだよなー」

 

ウル「まあまあ細かいことは気にすんなよ、マジック少年?さて、説明の続きといこうか。まず泡沫のシャボンそして、起爆泡だが能力的には似てる」

 

お、アゲハくんも復活したか。真面目に正座をしてウルの話を聞き漏らさないように耳を傾ける

 

ウル「泡沫のシャボンはたくさんのシャボン玉をこのキセルから吹いて対象に接触すると爆発する他、オレの合図で一斉に起爆することが出来る

 

起爆泡はシャボン玉一つを爆弾のように爆破させることが出来る能力だ」

 

快斗「へえ、なるほど

じゃあさっき俺達に見せたのは起爆泡か?」

 

ウル「まあそうだな。この能力についての説明は以上だ。サクサクいくぞ

 

次は、はいこれなーんだ?」

 

ウルの手には鎖で繋がれた鎌が握られている

 

アゲハ「鎖の鎌…?」

 

ウル「そう、これはまあ説明不要だな

見ての通り鎖鎌と言って、鎖で拘束しこの先端にある鎌で切り刻むことも可能だ」ニヤァ

 

ニヤァとした黒い笑みを浮かべ「試してみるか、少年?」と言って鎖鎌を構える

 

アゲハ「全力で拒否します!!!」

 

ウル「遠慮するなよ~、少年?

綺麗にミンチにしてやるから」

 

アゲハ「おっかねえよ!!

さっきは切り刻むだったのにミンチって?!

跡形もなくなってんじゃねえかよ!!」

 

切り刻むもミンチもどっちも似たようなもんだ、と思ったのは俺だけじゃないはず

 

ウル「残念だなー、切れ味を試してみたかったんだが」

 

アゲハ「だからって俺で試さないでくんない?!」

 

心底残念そうに肩をくすめ「まあ、いっか。今度で」と呟いて鎖鎌をしまう

 

ウル「さあさあ、続いてはタイムレコードっていう能力についてだ」

 

快斗「タイムレコード?」

 

なんだそれ、タイムって名前がついてるくらいだから時間系の能力か?パチンと指を鳴らし出てきたの「I」 ~「XIII」までの数字の書かれた白い文字盤に黒い秒針の懐中時計。

 

ウル「そう、タイムレコード

 

簡単に言えば、時間を巻きもどすことも止めることも早めることもできる。時間を操る能力だな」

 

なんともザックリな説明だな。だがまあなんとなく理解はできた。前から思ってたけどほんと新一もウルもチートだよな漫画では絶対主人公的ポジションだわ。その場合ヒロインは誰なんだろなー

 

ウル「まあそうだな詳しくは実戦で教えてやる

最後にオレの斬魄刀「銀陰」についての説明で終わるか」

 

銀陰か、それは何回か見たことあるな

 

ウル「銀陰はお前等も知ってるだろ?」

 

快斗「ああ、何回か見たことあるしな」

 

ウル「まあ、でも一応見せるか

 

 

───────卍解 天墜銀陰」

 

ふわっと風が吹いてウルの背後には天から堕落した悪魔がその漆黒の羽を羽ばたかせ宙を舞う、ように見えたがこれはきっと俺の幻覚だろう。

 

快斗「そういえば、アゲハくんにもなかったけ?」

 

えーと、何だっけ。

ほら、あの黒猫…じゃなくて白猫!は違うし何だっけな

 

ウル「ああ、灰猫だな」

 

快斗「そう!灰猫だ!

あの斬魄刀もかっこ良かったよな」

 

アゲハ「そうだよ!俺にも斬魄刀があったんだよ!」

 

ウル「お前、自分の事なのに忘れてたのか?」

 

呆れた表情でアゲハくんをみるウルに、アゲハくんは焦ったように「違えよ?!」と声を荒げる

 

アゲハ「そんなんじゃないから!忘れてたとかじゃないから!」

 

ウル「ふーん。ほんとかねー?

あ、そうだ。それで思い出した

少年、自分の斬魄刀がどんなものか見てみたくないか?」

 

アゲハ「え?!どういうこと?!」

 

ウル「そのまんまの意味さ、ククッ。せっかくの機会だからなオレ達の斬魄刀も具現化してやるか」

 

快斗「そんなことができるのか?」

 

ウル「ふっ、オレを誰だと思ってる。そんなの余裕だ」ドヤァ

 

あらやだ、かっこいい。無駄にドヤ顔が腹立つが

 

よしっ、と言って大きく伸びをし首を左右に鳴らしふーっと大きく深呼吸をして指をパチンと鳴らす

 

 

最初に出てきたのは、闇に溶け込む黒髪と息をのむような白い肌に少しくすんだ灰色の瞳と小さなピンク色の唇に、頭にはぴょこんと猫耳が生えている。服装は和な感じで清楚な白い着物には桜や梅の花があしらわれている。まさに、絶世の美女といっても過言ではないほどだ

 

 

そして、次に出てきたのは襟足まで伸びた銀髪に琥珀色の瞳と端正な顔をした美青年がいた。

 

ウル「あれ?二人しか出てこなかったか

あと一人は…アイツか。ったく世話の焼ける野郎だぜ」

 

快斗「まさか、その二人って猫耳の方がアゲハくんの斬魄刀の「灰猫」で銀髪の美青年はお前の斬魄刀なのか?!」

 

ウル「お、流石!わかってんじゃねえか

まあ自己紹介はまた後でさせるとして、あと一人の新一の斬魄刀が出てこねえんだよな」

 

新一の斬魄刀か、どんな奴なんだろう

 

ウル「チッ、くそ。おい、マジック少年。

お前が新一の斬魄刀を呼び出してくれ」

 

快斗「は?!なんで俺?!」

 

ウル「いいからいいから!」

 

いやいやいや、なにが「いいからいいから!」だよ!俺、初対面何ですけど?!どんな奴かも知らない奴を呼び出せってなんて横暴な

 

───────ひとついい忘れたが、コイツは恐ろしく面倒くさがり屋だ。そんでもって、気分屋。戦闘以外に興味ない

 

 

───────おい、待て。それってもう無理じゃね?!どうやって呼び出せばいいんだよ?!

 

 

───────それがわからないから、マジック少年に頼んでるんだ。なんとかして呼び出せ

 

 

───────はあ?!おまっ、なんとかしてってそんな…。もう、わかったよ!呼び出せばいいんだろ呼び出せば!!

 

 

───────頼むぞ。このまま繋いでるから

 

はあ、初対面の人と話す時って独特の緊張感があるよな。このなんとも言えない気持ちを言葉にするならそうだな…なんて言えばいいんだろ。あのー、あれだ。何だっけな、ダメだ。わからん

 

もういいや、どうにでもなれっていうテンションでいこう。相手はあの新一の斬魄刀だ。一筋縄では行かないだろうな

 

 

──────えーと、こんにちは。新一の友達の黒羽 快斗です。

 

 

挨拶は基本だよな!

…あれ?返事が返ってこないんだけど。

もしかして、これって無視されてる?!

 

 

───────君の事なら知ってるよ

 

 

と思ったら返事がきたぞ!あ、あれか!タイムラグ的なもんか!なるほどな、そうだよな!あー、びっくりした。無視されたのかと思った

 

───────で、なに?

 

 

───────あ、えっとさ。ちょっとだけでもいいから出てきてくれないかなって

 

 

───────なんで?

 

 

なんでってそれは俺が聞きたいくらいだよ。

 

 

───────それはほら…みんな、君に会いたがってるし

 

 

───────嫌だ、面倒くせえし。弱いヤツに興味ないんでね

 

 

即答かよ!言い終わる前に言ってきやがったよ!何なの君達、人の話は最後まで聞くって習わなかったの?!

 

 

───────いや、それはわかるけどさ!新一も…

 

 

───────つーか、なんで俺が君の言うこと聞かなきゃならないの。ねえ、なんで?

 

 

ごもっともだけどさ!てか、話は最後まで聞こうよ!まだ、話してる途中だったじゃんか!

 

快斗「なあ、ウル。

俺、説得できる気しないんだけど。心折れそう、てか折れた」

 

ウル「はあ、仕方ねえな。こうなれば最終手段だ」

 

最終手段という言葉に一抹の不安を感じながらも、ウルに全てを任せるしかないので黙って見守る

 

───────オレだ、ウルだ。

もし、出てきてくれたら一日遊んでやる

 

 

───────遊ぶ!今、遊ぶって言ったよね?!ね!!今の忘れるなよ!約束だからな!

 

 

───────ああ、約束だ。だから、早く出てこい

 

 

「へーい」と気怠けな返事をした後、姿を現す

 

一見すれば黒髪にも見える青髪に、青空をそのまま映したような天色の瞳とどこか気怠けな表情は確かに新一に似ている。黒地の着物に鯉や菊がまるで生きているかのように着物の中でゆらゆらと動いている

 

快斗「なんて言うか、ほんとそっくりだよな」

 

???「そっくり?

はっ、当たり前でしょ。君、頭悪いね」

 

快斗「なっ?!頭悪い?!」

 

あまりに衝撃的な言葉に、金魚みたいに口をパクパクさせながらわなわなと拳を振るわせ、俺は暫し呆然と立ち尽くした

 

アゲハ「って、なんで俺達の説得では出てこなくてウルさんなら出てくんだよ!」

 

???「は?君、馬鹿?脳みそお花畑なの?

ウルも新一も同じ人物でしょ、それくらいわかれよ。ほんと頭悪いな」

 

アゲハ「え、あれ。おかしいな、目から汗が止まらないや」

 

啜り泣く声が聞こえ視線を移せばポロポロと涙をこぼすアゲハくんの姿が目に映る

 

捩花「うわ。なに?泣いてんの」

 

それを引いた目で見る捩花と、ウルは腹を抱え笑っているしカブトくんはクスクスとアゲハくんを見て笑っている

 

アゲハ「快斗さん、俺ここでやっていけそうにありません」

 

快斗「同感だな」

 

きっとコイツ等には「人を思いやる心」がないのだろう、だからこんな心にもない言葉を平気で言えるんだ。そうだそうに違いない

 

アビス「新一の斬魄刀なんだから

似てるも何も分身のようなものだからね」

 

捩花「へえ、そこの二人より頭いいじゃん。アンタ名前は?」

 

アビス「アビスよ」

 

捩花「アビス姉ちゃんな、俺は捩花。よろしく~」

 

よろしく、という気もないような声でいって近くにあるソファーに足を組み暇そうに座る

 

快斗・アゲハ「「いや、なんで?!俺達とアビス(ちゃん)の違いって何よ?!」」

 

捩花「おお、すごいすごい(棒)」

 

棒読み?!物凄いほどの棒読み?!

嘘でもいいから感情のせて喋ろうよ!

そんなことにも気にすることなく、捩花は少し考え込むように真面目な顔をして何かを思い出したようにポンッと手のひらを叩いて俺を見て口を開く

 

捩花「ああ、そうか!わかったぞ!

君、頭のいいバカなんだ!」

 

快斗「いや、はあ?!

それって結局貶してんじゃねえか?!」

 

俺を指差しいきなり何を言うかと思えば、ほんと何言ってんの?!

 

ウル「ふっ、あはっ、あっはははは!!頭のいいバカって、はははっ、ククッ。ふふっ、あははっ、最高すぎ」

 

快斗「笑いすぎだ!!」

 

はい、とりあえずウルは笑いすぎていたのでグーで殴ってやった☆

 

ウル「いった!なんでオレなんだよ!言ったのは捩花だろー!」

 

快斗「うるさい。お前は俺を怒らせた」

 

ウル「だからって、グーはないだろ。グーは」

 

そんな様子を捩花はつまらそうに見て、暇そうに髪をいじったり隣にいる銀陰と喋ったりしている

 

快斗「はあ。もういいや、頭のいいバカで。

そういえば、新一の能力説明がまだだったよな」

 

ウル「ははっ、認めるのか!

ああ、そうだったな。でも、その前にコイツ等の自己紹介を済ませてそっちにうつるか

 

 

まず、左から少年の斬魄刀の灰猫

真ん中が、オレの斬魄刀の銀陰

で、さっきお前に頭のいいバカっていったのが新一の斬魄刀捩花だ」

 

快斗「だろうな。なんとなくわかってたよ」

 

ウル「まあ詳しくはおいおい説明するとして、まずは新一の能力だが万物の選択、バンジーガム、ディープフリーズ、黒鎌、あと他者の攻撃(火や雷に限る)を吸収し倍の力で攻撃する律する鎖

 

 

他にもあるんだけど、新一ってすげえ応用能力高くってさオレの知らない能力もあるんだよな。しかも、それを遊んでる時とかにいきなりしてくるから流石の俺でもびっくりしたよ」

 

 

確かに、新一の応用能力はすごいもんな。ピンチさえチャンスにかえるっていうか…、そういうところがアイツにはあるんだよな

 

快斗「万物の選択ってあのえげつない能力だっけ?」

 

ウル「そうそう、でもほんとよかったよな~

あのまんまだと心臓抉りとられて…クククッ」

 

快斗「おまっ、怖いこと言うなよ!!」

 

ウル「クククッ、まあ良かったじゃねえか。無事生きてんだから」

 

アゲハ「え、今のってどういうこと?!心臓を抉りとられてって…はあ?!俺そんな危ないことになってたの?!」

 

アゲハくんが驚いたように声を上げ「快斗さんは知ってたんですか?!」と聞かれたから苦笑いを浮かべながら頷けば「まじか…」と呟く

 

アゲハ「そ、それで万物の選択ってどんな能力なんですか?」

 

恐る恐る聞くアゲハくんに、ウルはニヤァと笑みを浮かべる

 

ウル「万物の選択っていうのは、自身が触れたい物を自由に「選べる」権利を持つ能力で

 

 

お前等も見たことあるだろうが新一の戦闘中の空中歩行あれも空気を踏むことによって歩けたり走れたりもする。

 

 

それだけじゃない、周りの大気を「拒絶」し真空状態を造り出すことだって簡単なんだぜ?それに、人体を一切傷つけることなくに心臓だけを抜き取ることもできるしなぁ、クククッ

 

 

だから、あの時少年は危なかったんだぜ?オレが止めてないと今頃は…ふっくく」

 

アゲハ「いや、そこ笑うとこじゃないからね?!

つーか、まじで危なかったんじゃん!!新一さん怖すぎるよ」

 

ぶるぶると震えるアゲハくんにウルは「まあいいじゃねえか、生きてんだから。結果オーライだろ?」なんて軽い口調で言うからアゲハくんは顔を真っ赤にして「いや、良くねえから?!」と鋭いツッコミをいれる

 

ウル「そう怒んなって、少年~。

オレが止めに入ることなんて滅多にないんだぜ?

そんなオレが助けてやったんだから、寧ろありがたく思えよな」

 

アゲハ「そのすげえ上から目線が腹立つけど、じゃあなんであの時俺を助けてくれたんだ?」

 

ウル「あ、聞いちゃう?聞きたいの?どうしても?いや~、ほらどうしても聞きたいってんなら頼み方ってもんがあんじゃん。なあ?」

 

今のでイラッと来なかった奴すごいと思う、いやほんとに。今のはやばいわ。うん、最高にイラッてきたね

 

アゲハ「教えてください、ウルさん」

 

偉いぞ、アゲハくん!君も大人になったな!

絶対今の場面ブチ切れるかと思ったけど、顔に出ただけで怒りはしなかった。すごい、すごいよ素晴らしい!引き攣った笑みを浮かべ口元を歪ませながらウルに頼む

 

ウル「そんなに聞きたいのかー、じゃあ教えてやるよ

 

まずひとつめ、新一があのままだと理性ぶっ飛んでヤバい状況にあったから。

 

ふたつめ、マジック少年がうるさかったから「おい、うるさいってなんだよ?!」ほらな、うるさいだろ?それに落ち着きないし

 

そしてみっつめ、これ重要」

 

指を三本たてて、いつの間にかかけためがねをすちゃっと上にあげて深刻そうな表情をする。それにみんなも生唾を飲み込み聞く体制に入る

 

ウル「…みっつめは、俺も少年と遊びたいから!」

 

「「「「「は?」」」」」

 

わあ、すごいみんなの声が初めて揃った♪

じゃなくて、はあ?!思わず素っ頓狂な声を出してしまったが、あまりに予想外な言葉にみんな目が点になりポカーンと口を開ける。それにウルは気付くことなく尚も俺達に語りかける

 

ウル「少年が死んじゃ困るんだよ!だって、オレまだ一回しか遊んでないんだよ?!オレはもっと少年と遊びたいもん!だってこんなにタフで簡単に壊れないオモチャ他にはないだろ!!!」

 

快斗「ちょちょちょーっと、ストーップ!!!」

 

ウル「なんだよ、マジック少年!」

 

快斗「もういい!もう充分だから!これ以上言わないであげて!アゲハくんの為にも!!」

 

ウル「はあ?少年がどうしたって…あり?なんで少年石化してるの?え、もしかしてオレの説明下手だった?理解してない感じ?もう一度「しなくていいから!!」え、なんで?だって…」

 

まるで石像のように固まるアゲハくんをカブトくんは面白可笑しく笑い、ウルはわかっていないのか「?」を頭に浮かべる

 

快斗「もう何でそういう所抜けてるかな!いいから少し静かにしといて、わかった?「むう、わかった」おーい、アゲハくーん!生きてる?おーいってば!」

 

アゲハ「ブツブツブツブツ…」

 

あ、これやばい奴だ。なんかすごい呟いてる

その呟きに耳を傾けるけれどなんて言ってるのかな聞き取れない。必死に肩を揺らし声をかけるが心ここに在らずといった感じで、時折「あは、あはは」と笑うアゲハくんは相当やばい

 

桜子・アビス「うわぁ…」

 

桜子ちゃんとアビスちゃんは流石にウルの言動に引いたのか、軽蔑するような眼差しを向ける

 

快斗「ほら見ろ、アビスちゃんでさえあんな目でお前を見てんだぞ。少しは反省しろ」

 

ウル「え?え?なんで、俺なんか変なこと言ったけ?

え、待って今考える。…うーん、あ!わかった!さっきのことでしょ!」

 

うん。コイツわかってないな

ウルって少し天然なところがあるんだよな。その天然な発言によって傷付く人もいるってことを忘れてほしくないが。

 

なんのことだかよくわかっていないウルにアビスちゃんも呆れたように苦笑いを浮かべ「もう、いいわ」と呟く

 

捩花「はははっ、面白え」

 

ウル「捩花か。

面白えって言ってる割に顔は一切笑ってないぞ?

あといきなり出てくるな、びっくりしただろうが」

 

捩花「えー、いいじゃん。面倒くせえ

出るも出ないも俺の勝手だろ~?」

 

ウル「まあ、勝手だが。ってもう帰ったのか」

 

快斗「彼、一体何しに来たんだ?」

 

ウル「さあ、アイツは気分屋だからな」

 

そう言ってやれやれとでも言うようにため息をこぼすウルに、コイツも色々苦労してるんだなとみんなの想いが一致したところで次の説明へとうつる

 

ウル「さっ。さくさく進めるぞ

次はバンジーガムについて説明しよう。

新一と遊んだ少年とお嬢ちゃんならなんとなくわかるかもしれねえが、まあいいだろ。

 

 

能力名は伸縮自在の愛―バンジーガム―」

 

これは俺もウルに教えてもらったからわかる

 

ウル「ククッ、じゃあマジック少年。

復習も兼ねてバンジーガムの説明をよろしく~」

 

快斗「は?!え、なんで俺?!」

 

ウル「いいからいいから!

あ、もしかして忘れたちゃった?

それとも言える自信がないのかな~?」ニヤニヤ

 

カッチーン。

ほお、言ってくれるじゃないか

俺の記憶力舐めんなよ?そんなの余裕だ

 

快斗「じゃあ俺から説明するね

伸縮自在の愛―バンジーガム―と言って、ガムのような粘着性とゴムのように弾性の両方の性質を持つんだ。

 

 

簡単に言うとよく伸び、すばやく縮む

付けるも剥がすも新一次第ってことだね」

 

ポーカーフェイスのまま俺は淡々と説明をし、最後にニコッと微笑んでウルを見て最高のドヤ顔をかます

 

ウル「イラッ。へえー、流石マジック少年記憶力いいんだー、ふーん。

 

あっ!でもそっか、お前頭のいいバカだもんな~!

記憶力くらい良くないとな~?面子ってもんがたたねえもんな?」

 

おいおいコイツ、俺に喧嘩売ってんのか?全く困ったなー、もしそうだとしたら…その喧嘩かってやるよ

 

二人とも顔は笑っているが、目は笑っておらず火花がバチバチと散っている

 

アゲハ「まあまあ二人とも落ち着いてくださいよ!

もう二人ともいい大人なんですから、ね?」

 

ウル・快斗「……」

 

今この時俺とウルの思っていたことは同じだったに違いない。いや、周りにいたみんなも思ったことだろう。それを代弁するようにウルがアゲハくんを見下しながら口を開く

 

ウル「おいおい、聞いたか?マジック少年

 

今コイツなんて言った?「いい大人なんですから」って言ったよな?うわ~まじかよ。どうするよ、マジック少年。少年から言われたくないセリフNo.1の奴を言われちゃったよ。殴っていいかな?」ニコッ

 

快斗「いや、お前殴るのはダメだろ。せめてデコピンくらいにしとけ。…全力でな」ニコッ

 

アゲハ「いやなんで?!今ぼそっと全力でって言ったよね?!しかも満面の笑みで言わないでくれます?!

 

ちょちょちょっと待ったストーップ!タンマタンマッ!!謝るからだからその拳を収めて!!」

 

え?俺、全力でって言ったかな?もし言ったとしたらごめんそれは本心からだわきっと。無意識の内に出ていた言葉だったんだな、いやー怖い怖い。とまあ、冗談は程々にするとして実際さっきの言葉にイラッてきたのは本当だけど流石に暴力までは振るわないよ、だって俺「いい大人」なんだから

 

───────ククッ、案外マジック少年も根に持つタイプらしいな

 

おわっ?!びっくりした!完全に油断していた

いきなり話しかけられるもんだから、尋常じゃないくらいに周りをキョロキョロしてしまった

 

───────ぷっ、あははははは!!そんな驚くことじゃないだろ?いい加減慣れろよな~

 

 

───────うるさいなー!そんなこと言われたっていきなりはびっくりするんだよ!

 

 

───────ぷっ、ふふっ悪かったよ。

次からは合図してから話しかけるようにする

 

 

ウル「くっふふっ、さて少し脱線したな

話を戻して、次の説明にいくぞ。次はディープフリーズについて説明しようか」

 

快斗「ディープフリーズ?」

 

それには俺以外のアゲハ君たちもなんだそれ?というように首を傾げる

 

ウル「そう、ディープフリーズと言って

物体を凍結させたり氷を具現化させる能力で、スケートや銃、槍などを作り出すことが出来る。

 

 

氷で作った銃からは冷凍弾を発射することができ、命中した物体を瞬間的に凍結させることが出来て

 

 

同じように氷で作った槍も命中すると対象を凍結出来る

 

 

俺もこの能力に関してそう詳しくないが、

高い防御性もだが、一番恐ろしいのは大気を凍てつかせて、運動機能や体力を奪うってこと。 つまり凍死させることも容易いわけだ」

 

快斗「新一の能力ってえげつないものばかりだな」

 

思わず呟いた言葉にみんなが「同感だ」というように首をふる

 

ウル「ふっ、そうでもねえさ

まあお前等にとってみれば、えげつない能力ばかりなんだろうがな」

 

万物の選択では心臓を抉りとることが可能で、今説明にあったディープフリーズこれもある意味似たようなもんだろ?使いようによっては体内から凍らすことも新一とかなら出来そうだし。てか「禁人種(タヴー)」相手に実験してそうじゃん。ぶっちゃけ

 

……実際してたらどうしよう。我ながら恐ろしいことを考えた。よそうこれ以上考えたって何もいいことはない

 

ぶんぶんと頭を振って悪い考えを捨て、ぶるっと震える身体を擦る

 

ウル「ククッ、大丈夫かマジック少年?」

 

快斗「え?あ、ああ大丈夫大丈夫」

 

ウル「ククッ、ならいいが

では、次の説明に進もうか

黒鎌はもう知ってるだろうから説明不要だな

 

んじゃ、最後に他者の攻撃(火や雷に限る)を吸収し倍の力で攻撃する律する鎖。この能力については正直オレにもよくわからん

 

が、知ってることだけ説明しよう」

 

ウルにも知らない能力があるのか、まあ新一自身も気分屋的なとこがあるし、俺達の見たことない能力や今教えてもらった能力であっても奇想天外な使い道で俺達を「あっ!」とさせるとこがあるからな

 

 

ウル「まず、この能力は火、雷なんかの能力に限られ効果的に発動する。オレの鎖鎌に形は似ているがそれの持つ能力は全く異なるものだ

 

相手からの攻撃を吸収し、倍の力で攻撃する

…とまあ、今わかっているのはこれくらいだな」

 

本当にこの能力に関しての情報は少ないんだな

よく新一と遊んでいるであろうウルでさえ、これだけしかわかってないんだ

 

ウル「ん?どうしたマジック少年。そんな神妙な顔して」

 

快斗「え?あ、いや。一番近くで新一を見てるウルでさえ知らないこともあるんだなって。

 

…あと、ほんと俺って新一のこと知ってるようで、なんにも知らなかったんだなって思ってさ」

 

ウル「……。まあ、オレ自身が新一のようなものだからな。マジック少年よりか新一のことは知ってるつもりさ

 

それに、オレの知らない新一をお前は知ってる」

 

儚げに笑って呟いた言葉は、静寂な部屋に雪のように消える。ウルの知らない新一を俺が知ってる、ってどういうことだろう。最後の言葉に少しの疑問を抱きながらもそれを口にすることなく心の奥底にそっとしまった

 

それを聞いてしまったらきっと、今ある関係が崩れてしまいそうで聞けなかった

 

快斗sideend

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