ウル「さあ、説明は終わった
夕飯にして今日はお開きにしようぜ」
その後はなんだかんだあって夕飯を済ませ、今日はこのままお泊りということになりアゲハ君たちはそれぞれ空き部屋に通され、俺はというと新一の部屋にいた
快斗「なーんかこの数日色んなことがあったな」
ウルとポーカーで勝負したり、「禁人種(タヴー)」とか言うバケモノが蔓延るサイレン世界で死にかけたりそこで初めてアゲハ君たちに出会ったり、新一が俺を助けることを忘れ暴走してたりほんと色んなことがあったよな。
もう一人の新一ウルと、そして俺が知らない新一。
非現実のようで、現実な世界。
今更ながら俺はなんてとこに足を踏み入れたんだろう
だからといって、後悔はしていない。
隣で眠る新一を見て思う「…ほんと、寝てる時は天使なんだけどな」ふふっ、と小さく笑って頭を撫でればすりすりと擦り寄ってくる
快斗「ははっ、ほんと猫みてえ」
整った顔してるよなー。うわ、睫毛ながっ。肌しろっ。おまけに髪もふわふわだし、羨ましいくらいにイケメンかよ
なんか悲しくなってきた。寝よ寝よ
新一に背を向けるようにして俺はそっと目を閉じた
─────時々、あーこれは夢だって思うことがある
風の吹く音が聞こえ、俺は目を開けた
目の前に広がる光景に「なんだ、夢か」と呟いて目を閉じ
俺はいつものようにこれは夢だと呪文のように唱えて目を開ける
こうすれば、夢は覚め…るはずだった
快斗「……。あ、あれぇ?おっかしいなー。
いつもならこれで覚めるのに…。よ、よしもう一回してみよう」
こうなったら最終手段だ!これをして覚めなかった夢はない!自分の顔を思いっきりグーで殴って目を覚まさせる!夢だから自分が傷付くこともないし、とは言っても痛みだけは残るけど…。よしいくぞ!えいっ!
快斗「いった?!え、なにこれどういうこと?!なんで覚めないの?!つーか、ここどこ?!」
待て待て待て?!これはなんだ、夢じゃないのか?!嘘だろ、何なんだよここ。一体どこなんだよ!!
快斗「い、いや落ち着け俺。深呼吸だ深呼吸!吸ってー吐いてー吸ってー吐いてー!も、もも、もしかしてここってサイレン世界なんじゃ?!まずいよどうする、こんなとこにいたらまたあんなバケモンが…!!」
待てよ、けどなんか違うな。なんだろサイレン世界じゃない?てことはつまりどこなんですか?!
快斗「そういや、なんでここ全体がモノクロなんだ?」
周りに建っている建物も地面に生える草花も空でさえも全てが白黒でできている。それだけじゃない、さっきから俺以外の人や動物に会っていない。あのバケモノでさえいない。いや、そもそもここに俺以外の誰かがいるのか?
快斗「……少し、歩いてみるか」
ここでジッとしていても始まらない。そこら辺に落ちてる木の棒を拾って杖代わりに使いながら道を進んでいく
快斗「これだけ歩いても誰にも出会わないか」
俺が最初に目覚めたあの場所はどこかサイレン世界にも似ていた、そして歩いてみてわかったことがある
快斗「ここは、もしかして…」
疑問が確信にかわりそれを言葉にしようとした時、俺はあるものを目にして、その場に固まった
快斗「…え。なんで、どうしてここに?」
俺の目の前にいたのは、椅子に揺られ優雅に珈琲を飲みながら本を読むウルだった
快斗「丁度良かった!ウル、ここどこなんだよ?」
ウル「……」
快斗「あれ?聞こえなかったのかな
ねえねえ、ウル。ここどこかわからない?」
ウル「………」
快斗「も、もう無視するなんて酷いぞー!
冗談はいいからさ、ここがどこか教えてよ」
ウル「…………」
快斗「ちょっと俺の話聞いてる?!ねえ!ウルってば!…ま、まさか俺の姿がコイツには見えてないのか」
そんな馬鹿な!いやいやいや!ないないない!バカかお前、もうそんなことあるわけないだろ!そんな俺が幽霊みたいな…
快斗「あは、あはは。
……ちょっと?!ちょっとウル、ねえ?!俺のこと見えてる?!見えてるんだよね?!こえ、声もちゃんと聞こえてるんだよね?!その上で無視をしてるだけなんだよね?!そうだよね?!」
ウル「さっきからうるさいな、マジック少年の声は聞こえてる。
わかってて無視をしてるんだ。全くせっかくの読書の時間を邪魔しないでくれ」
快斗「そ、そうだよな。ごめんごめん」
はあ、と大袈裟にため息をこぼしてウルは何事もなかったかのように珈琲を一口飲み本を読む
が、ふと我に返ったように読んでいた本を乱暴に閉じ、俺を凝視する
ウル「な、なな、なんでマジック少年がここにいる?!
お、お前ここに何しに来た?!いや、そもそもどうやってこの場所に来た?!」
二度、三度と俺を見て驚いたように椅子から転げ落ち、尻餅をついたままわなわなと俺を指差しまるで幽霊でも見たかのような眼差しを向ける
快斗「いや、今驚く?!俺さっきから声をかけてたんだけど!!つーか、それは俺が聞きたいくらいだよ!!ここは一体どこなんだ?」
ウル「ほ、本に、本に集中してて気付かなかった
ここは新一の精神世界だ。普通はオレ達以外立ち入れないはずなんだ。この場所には」
椅子を起こして深く腰掛け、貧乏揺すりをしながらウルが呟く
快斗「なるほど、なんとなくそう思っていたけどやはりか。にしても、珈琲と読書って似合わないな」
ウル「ふん、余計なお世話だ。オレはお前より本を読んでると思うが?それにこの珈琲はブラックだ。おこちゃまなお前には飲めんだろ?クククッ」
快斗「いやブラックかどうかなんて聞いてないから?!それに、おこちゃまは余計だ!俺だって頑張れば飲めるし!」
ウル「へえ、そうなんだ。飲めるんだ~、へえ~」ニヤニヤ
快斗「ホント嫌味な奴。
あ、そうそうずっと不思議に思ってたんだけど、なんで新一の精神世界はモノクロなんだ?」
ウル「さあな。それはオレにもわからないんだ
色を付けたくてもつかないのさ。ほら、このリンゴもこの通り」
ウルの能力によって出てきたりんごは、熟れた真っ赤なりんごではなく色のないりんごだ
快斗「ほんとだ。色がない」
ウル「だろ?でも、味は変わらず美味いがな」
ほれ、と言って手渡しされたりんごに齧り付く
確かに美味い。どこにでもある普通のりんごだ
ウル「まあせっかく来たんだ。この世界を案内しよう」
快斗「それは助かる。俺も色々歩き回ってたんだけど迷子になりそうだったんだ」
ウル「…そう言えばオレからもお前に聞きたいことがある。
ここにはどうやってきた?ここにきて時間はどれくらい経った?」
快斗「さあ、目を覚ましたらもうここにいたんだ。
時間は…一時間はもういるんじゃないかな。多分」
ウルと並んで歩きながらそんなことを言えば「そうか」と呟いて神妙な顔付きをするウルに少しの不安を覚える。
ウル以外この世界には立ち入れない、なのに今こうして俺が存在している。そのせいでこの世界の調和が乱れでもしたらどうなる?それこそ、新一の精神世界が崩壊してしまったら…そう考えるだけで恐ろしい。普通であれば俺はいてはいけない存在なのだ。この世界では
ウル「なるほどな。何故マジック少年がこの世界に来てしまったのかはわからない。が、この場所に来たってことは、なにかしらかの理由があってきたんだろう
それに、新一の強さをお前が一番知ってるはずだ」
まあ、心配することはない、と俺の肩をポンッと叩いてグッと親指を上げる
快斗「ウルって、優しいよな」
ウル「え、何、今更気付いたの~?
オレ、根は良い奴だから!そう、優男なのさ」キラッ☆
根は良い奴ってなんだ?て思うより先に、謎のキメポーズをするウルに俺は何故か無性に悲しい気持ちになって無言で肩に手を置く
ウル「ちょっ、ちょっと待った!!
なんで今オレがスベったみたいな雰囲気になっている!」
快斗「いや、大丈夫。あるよな、そういうの」
ウル「なにが?!おい、なにが大丈夫なんだ!!」
快斗「まあ落ち着けって。
わかるよ、わかる。若気の至りみたいなさ」
そうだよな、ウルはこういう抜けたところがあった
さっきのを本気にしているとしたらまあ普通の奴であればイタイ奴だが、ウルならそれも許せるというか。まあさっきのは流石に引いたけど
ウル「オレ、そんなおかしいこと言ったかな」
快斗「いや、まあそう気にするな。
ほら、それより案内してくれるんだろ?」
ウル「むっ。そうだな、マジック少年が目を覚ました時周りの景色はどんなとこだった?」
納得いかないような顔をしていたがそれも一瞬で、またすぐに気にすることなく歩みを進むる
快斗「…サイレン世界」
ウル「サイレン世界?」
快斗「そう。サイレン世界に似てた
でも、似てるってだけで違うんだよなー
なんていうか、建物の造りもだけどサイレン世界は荒れ果てた土地って感じで、ここは草花もある空には雲が浮かんでいて全部モノクロだけどでも全然違うんだ」
そう呟いて空を見る。相変わらずの曇り空ではあるがここに色がついたとしたらそれは何色なんだろう。青かオレンジか黒かそれともグレーか。
道端に咲く花や草木もきっとそれぞれに色がある
けれど、不思議とこの世界には色がなくそれでもこんなに心地いいのはなんでだろう
ウル「なるほど、彼処か。
新一の精神世界は記憶や思い出なんかを具現化したものが多い。だから、大半がサイレン世界にどこか似てる」
快斗「へえ、だからどこも見たことある景色なのか!」
ウル「まっ、そういうことだな」
真っ直ぐな一本道を歩くと上に上に続く階段を見つける。左には心臓破りの坂が右には森が茂って砂利道が広がる
快斗「…これは、どこに進むべきなんだ」
ウル「ふむ、知らない内にこんな階段があったとは。左の坂には色んな仕掛けがある、遊び半分で踏み入ると死ぬぞ。右の森にはまあそうだな、オレが遊ぶ為に離したトラやライオン、クマなんかがいる」
快斗「ちょ、ちょっと待った?!今聞き捨てならない言葉があったぞ!!おまっ、動物を放置してるのか?!」
なんていうことだ、ならば右の道はやめる
左も色んな仕掛けがあるんなら進む道は、必然的に目の前にあるこの長い階段となる
ウル「仕方ねえだろー?ここにいたら退屈なんだもん。だから遊び相手に色んな動物をだしてじゃれあってた」
快斗「じゃれあうって、お前な」
ウル「え、なに?どうじゃれあってたか聞きたいって?仕方ねえなー、マジック少年ってばほーんと聞きたがりなんだからー!」
快斗「いや、誰も聞いてねえから!
それより、この階段を登ってみようぜ!
なんか、探検してるみたいで楽しくなってきた」
昔の俺であれば絶対そんなこと言わないだろうが、こいつ等と出会って俺も変わったか?
さっきまでここから一秒でも早く出たいって思っていたのに、今ではもっとここにいたいって思ってる。俺ってこんなに好奇心旺盛な奴だったけ?でも、新一を少しでも知るチャンスなんだ。この機を逃す手はない
ウル「お、マジック少年もわかってきたか!
ならば、早速登ってみよう!さあ、行くぞマジック少年!オレについてこい!」
左手を腰に右手を高々と空に掲げ、少年のような笑みで俺に笑いかけ「冒険だ冒険だ!」と言って階段を上っていく
そんなウルの背中を見ながら、ふっと小さく微笑んでポケットに手を突っ込みウルの隣を並んで歩く
快斗「で、ウル隊長これからどうします?」
ウル「そうだな、とりあえずこのまま進んでみよう!」
快斗「了解であります!」
ポケットから手を出しビシッと敬礼をして、周りを注意深く見ながら遅れをとらないようにウルの後ろをついていく
ウル「うーむ、まるで何も無いな」
快斗「そうですねー。階段の周りは壁で囲まれてるようですし。このまま進んでいきますか、隊長?」
ウル「あったりまえだろ、隊員!このまま進むぞ!」
隊長キャラが気に入ったのかいつもより機嫌がいいウルを横目に、俺はふと足を止める
今登ったので丁度10段いったな。一応、どこかに目印をつけとくか。俺は足元に落ちてる石を手に取り壁に傷をつける
快斗「よし。この石はポケットにいれとこう」
ウル「おーい、マジック少年!
なにやってんだー、おいてくぞー!」
快斗「はーい!今行く!」
ポケットに石を突っ込み、急ぎ足でウルの元に向かう
快斗「なあ、ウル」
前を歩くウルに声を掛けると「ん?」と言って振り返る
ウル「どうした、マジック少年?疲れたか?」
首を傾げるウルに俺は「ううん」と首を横に振りあのさ、と口を開く
快斗「あの時言った事、覚えてるか?」
ウル「あの時?」
快斗「うん。俺が新一を助けたいって話したこと」
ウル「ああ。あの時か
マジック少年が声も出ないくらいにビビってた時な」
快斗「ちがっ、いや違くはないけどお前から言われると腹立つ」
ウル「ハハッ、でもめちゃくちゃビビってたじゃねえか」
快斗「うるさいなー!それはいいんだよ!」
ウル「ふっくく。悪かったよ
で、それがどうしたってんだ?」
階段に腰掛け有幻覚によって出した、たい焼きを美味しそうにほうばる。そして俺には青リンゴを出し「お前も腹減ったろ?喰えよ」と言ってひょいと投げる。それを両手で受け取り階段に座りガブリと齧り付く
快斗「サイレン世界のことをもう少し詳しく聞いときたいんだ」
ウル「サイレン世界のこと、ねえ。
と言ってもほとんど話しちまったからなー
他に話すことと言っても、そうさな…うーん。」
快斗「じゃあ、サイレン世界に行ったら能力を持てるようになるんだろ?」
ウル「まあ、そうだな。でもそれは運がいい奴だけだ。おまえも行ってわかったろ?あそこがどんな場所か」
そう、ウルに問われ俺はゆっくりと瞼をとじる
ああ覚えてるよ、鮮明に。どんな天気だったか、気温も建物も。そしてあそこでみたバケモノも全部全部覚えてる
ウル「それでもお前は行きたいのか?
あの時は運が良かった。オレ達がお前を助けたから死ななかったものの、次もオレ達がお前を助けるかなんてわからない。いや、その前に死んでるかもな。クククッ」
快斗「ああ、わかってるよ
俺がもう一度あの場所に行って、生きて帰る保証なんてない」
ウル「どうしてそこまでしてサイレン世界に行きたがる?新一を助けたいからか?そうだとしたら、お前死ぬぞ」
快斗「もちろん、新一を助けたいからってのが一番さ。でも最近思うんだ、自分の身は自分で守らなきゃって。いつまでも、新一やウルに助けられてばかりもダメなんだって」
ウル「ふん、別にオレはお前を助けてるつもりはないがな」
快斗「はいはい、わかってるって」
全くツンデレな奴だ。少しくらい素直になってもバチは当たらないぞ?にやにやとウルを見ればべシッと頭を叩かれる
快斗「痛っ?!ちょっ、いきなり殴る?!」
ウル「あ~ごめんネ~?いや、でもさほらお前が変なこと考えてたもんだから。シカタナイヨネ」
快斗「ハイ、ソウデスネ。スミマセン」
ニッコリと黒い笑みを浮かべるウルに俺は土下座をする勢いで謝る。今、ほんの一瞬両手に刃物のようなものが見えた。いや、刃物かどうかわからないけど何か光るものが見えたから刃物に違いない
恐る恐る頭を上げるとウルの両手に持っていたものが目に映りピタリと身体が固まる
快斗「う、うう、ウルさんその両手に持ってるものは」
ウル「あ、これ?
見てわからない?魚だよ。さ か な」
ウルの両手には刃物なんかじゃなく、この世で一番嫌いな魚がいた。いや、魚ってのはわかる。ただなんで今、魚を持っている?俺にはその意味がわからず真っ青な表情でウルの手に持つ魚を凝視する
ウル「ククッいいだろ?これ
刃物ってのはさ、外面しか傷付けることができないだろ?でも、コイツはお前を精神的に痛めつけることが出来る。なあ?最高だろ」
最高だろ?と満面の笑みを浮かべるウルは悪魔以外の何者でもない。でも、思えばコイツはこんな奴だった。こういうことを平気でするやつだったよ
快斗「それだけは勘弁してください。本当お願いしますから。マジでお願いしますよ!ウル様ー!アビスちゃんとのデートプランたてるから、ね!」
ウル「なんだと?!本当だな!絶対だぞ!約束だからな!アビスの姉ちゃんとのデートプランをたてるって、破ったらお前の部屋いっぱい魚で埋め尽くすからな」
快斗「ああ、約束は守る。
だから、それを早く直してくれ!」
俺の部屋いっぱいに、奴等で埋め尽くされるなんて絶対に嫌だ!それだけはなんとしても避けなければ!アビスちゃんも言えばわかる人だ。だから大丈夫。絶対大丈夫!
ウルは俺の言葉を信じたかどうかわからないが、魚を直して「アビスの姉ちゃんとデートに行ったら何しよーかな♪」と鼻歌を歌いとても上機嫌だ
ウル「あ、そう言えばマジック少年って絵描くの得意だったよな?」
快斗「ん?いや、まあ得意って程でもないけど。なんで?」
ウル「んー、いやちょっと面白いものがあってな」
ほれ、と言って見せてきたのは
キラキラとした透明のペンと髑髏のついたノートだ
快斗「なにそれ?」
ウル「これはファンシーノートと言って、このキラキラした透明のペンとノートを使う能力だ!
使い方は簡単!このノートにこうして絵を描き…
それをちぎって投げる。そしたら、あーら不思議!こうして実体化するわけだ」
ウルが書いたのは魚の双剣だ
快斗「うわぁ、なんだそれ。もうほんとお前嫌い」
ウル「ハハッ、まあそういうなよ
ほれ、お前にやるよ。オレからのプレゼント」
快斗「え、俺にくれるの?!やったー!」
試しになんか描いてみろよ、と言われサラサラとノートに描いていく
快斗「できた!」
言われた通りノートに描いてちぎって投げる
すると、ノートに描いたうさぎがぴょんぴょんと跳ねて出てくる
快斗「え、ちっちゃ?!」
ウル「ぷっ、あは、あはははは!!
なんだよそれ!あはは!なにその小さなうさぎ!あははっ、面白すぎ!!」
描いたうさぎは手のひらでぴょんぴょん跳ねてちょこんと座る
快斗「いいんだよ!手のひらサイズのうさぎって可愛いだろ!」
ウル「はいはい、可愛い可愛い(棒)
さーてと、そろそろ行くか!まあ、なんだ新一を助けるどうかはこのあとにしようや。今は冒険を楽しもうぜ?なかなかこういう経験はねえんだからよ」
快斗「そうだな、まだまだ知りたいこともたくさんあるし。さ、冒険再開だ!」
ウル「さあ、行くぞ!マジック少年!」
快斗「おお!ウル隊長!!どこまでもついて行きます!」
あれから、一体どれ程歩いただろう?歩いても歩いても一向に頂上につかない。というか、周りの景色もさっきから同じにみえるし
快斗「まさか、な。
いやでも、一応確認だけ」
嫌な予感が頭をよぎり、俺は10段ずつにつけた目印を確認する。そして、それは確かな確信にかわる
ウル「どうした?マジック少年?」
快斗「…やっぱりそうだ。さっきから何かおかしいと思ってたけど、ここ少し前にも通ってる」
ウル「は?まさか、んなわけ」
「お前何言ってんだ?」とでも言いたげな顔で見てくるウルに、俺は首を横に振り冗談じゃないぞって真面目な顔をする
ウル「てことはつまりなんだ、オレ達はずっと同じ所を歩いていたと?」
快斗「そういうことだな。これ見て」
ウル「ん?これはなんだ?」
快斗「目印をつけてたんだ、道に迷わないように
で、この☆印の目印これは10段目につけたやつなんだけど」
ウル「つまり、最初の場所に戻ったと」
快斗「そうなるな」
ウル「まじかよー。いや、変だと思ったんだよな
歩いても歩いても頂上につかないからさ」
はあ~、疲れた。と言って階段に座るウルの3段手前に座りこれからどうするかを考える
この無限階段、俺が目印をつけたのは10箇所
周りが壁に阻まれていること以外に変わった所はみられない
快斗「壁に阻まれていること…、ん?」
ウル「なんだ、今度はどうしたマジック少年?」
なにか、なにかさっきと大きく変わってることがないか?壁に刻まれた記号ではなく、もっとこう
ギギッ‥ギギギッ…
ウル「ん?なんだ?なにか今聞こえたような」
快斗「…なあ、俺の見間違いかな?なんかこの壁動いてない?」
ウル「…動いてるな」
快斗「動いてるよね。狭まってきてるよね」
ウル・快斗「「…………」」
2人で無言&無表情でジッと顔を見合わ、猛ダッシュで階段を駆け上がっていく
快斗「ど、どど、どうしよう?!
やばくない?!やばいよね?!」
ウル「うるさい!今どうするか考えてる!!
とにかく今は上へ上へ走るぞ、マジック少年!!」
快斗「わかった!!」
必死に前にいるウルに齧り付くように二段飛ばしで階段を駆け上がるが、息も絶え絶えスピードも遅くなりウルとの距離もどんどん離れていく
快斗「はあ、はあ、はあッはあ…クソッ
やべえ、足が、もう、無理ッ…」
ウル「おい、マジック少年!何立ち止まってる!」
ぜえぜえと肩で息をしながら膝に手を置く。息がうまく吸えない目がチカチカする。やばいな、口の中がカラッカラだ。激しく咳き込みひゅうひゅうと喉を鳴らす
ウルの声が遥か遠くに聞こえる。
わかってる!わかってるけど足が動かないんだよ
さっきから足の震えが止まらないんだ、だらだらと冷や汗も流れ髪の毛が肌にべったりとくっつく
快斗「はあはあ、はあ…。ごめっ、ん。先行ってて
後から追い付くか「チッ、クソッ」ちょっ、え?!ウル何して」
チッと舌打ちをする声が聞こえ顔を上げると、ウルが俺をひょいっとおんぶし階段を駆け上がっていく
ウル「うるさい!黙ってろ!お前がいなくなったら誰がオレとアビスの姉ちゃんのデートプランをたててくれる!マジック少年には絶対その約束を守ってもらう、いいな!」
快斗「やっぱウルってツン「それ以上言ったら放り投げるぞ」ゴメンナサイ。でもありがとう、絶対約束は守る」
ウルにおぶられながら俺はこの非常事態への対策を考えていた
ウル「参ったな、マジック少年の言う通りであればこの無限階段から逃れることはできないぞ。加えて壁まで動き出しってなると」ウキウキ
快斗「いやいやいや、何この状況でウキウキしてんの?!」
ウル「いやいや、こういう状況だからこそ血が騒ぐってもんだろ?」
快斗「いや、意味わかんないから」
ウル「しかしまあなんでいきなり壁が動き出したんだ。…あ。」
あ、と声をだしピタリとその場に固まるウル
俺を地べたに下ろし何か思い当たる節でもあるのか、申し訳なさそうに俺をみる
快斗「??え、なにどうしたの?」
ウル「いや、えっと、ごめんこれオレのせいかも」
快斗「え?どういうこと?」
意味がわからず聞き返せばウルは気まずそうにポケットから一枚の紙を取り出す
そこにはどこかで見た覚えのある張り紙
[押したら、殺す]の文字が書かれた張り紙
快斗「……これ、もしかして押しちゃった?」
ウル「押しちゃった」
快斗「まじか」
ウル「うん」
快斗・ウル「「………」」
二人の間に暫しの沈黙が流れ
快斗「っておいいいい?!何してくれてんのお前?!もう、絶対これじゃん!!これ以外考えられないじゃん?!なんで、押しちゃうかなー!!バカなの?!ねえ、バカなの?!」
ウル「いや、だって「押すな」とか書かれてたら押したくなっちゃうだろ?!それがニンゲンってもんだろ!!」
快斗「確かにその気持ちわからんでもないが[押したら、殺す]って書いてあるんだから押しちゃいけないことくらいわかるだろ!」
ウル「いやいやいや!「殺す」って書いてあったら押しちゃうだろ!「いや、なんで?!」だって、明らかにオレを挑発してるじゃねえか!うられた喧嘩はかう!お約束だろ!」
は?何言ってんだこいつ。意味わからん
呆れて言葉もでないわ。もういいや、コイツは放っておこう
俺はさっきウルからプレゼントされた「ファンシーノート」にサラサラと風船の絵を描いていく。
胸ポケットからはさっき描いたうさぎがぴょこっと顔を覗かせている
ウル「問題はこれを書いた奴が誰かってことなんだが…って何してるんだ、マジック少年?」
快斗「ん?ちょっとね。試してみたいことがあって
…っと、よしかけた。うん、これくらいの大きさなら大丈夫かな」
ウル「ほー、これはまた巨大な風船だな」
人一人分は飛べるくらいの風船を二つ書き一つを自分でもう一つをウルに渡す
快斗「多分これで空を飛べるはずだ
このせまる壁と無限階段から逃れる手はこの他にない」
ウル「へえ、すごいな
さっきの短時間で考えたのか?」
快斗「まあね、今の俺にはこれくらいしかできないから。さあ空の旅と行きましょうか、ウル隊長」
ウル「ふふ、ああ。楽しい楽しい空の旅に行こうか」
風船を手に階段を駆け上がり思いっきりジャンプをする。一瞬バランスを崩しぐらりと揺れるが風船は上に上に飛んでいく
ウル「なんとか、成功したな」
快斗「一瞬落ちるかと思ったけど、飛んでよかった」
そして一時、空の旅を楽しんでいると遠くに電波塔が見えてくる。
ウル「マジック少年、あそこに降りるぞ」
快斗「りょーかい。丁度風船の空気も抜けてきたところだ」
ゆっくりゆっくりと下降しながら地面に足をつけ「おっとと」とバランスを崩し転けそうになるところをグッと踏ん張りたえる
パチンと指を鳴らし風船が消える
ふう、と息を吐いて周りを見渡す。モノクロの電波塔と小さな建物の他に目立つものは無い
地面には向日葵や桜、秋桜、紫陽花なんかの季節とりどりの草花が咲いている
ウル「へえ、ここにも初めて来たな
この世界にもオレの知らない場所が案外あるもんだな」
快斗「ひらけた場所だな。
あの小さな建物はなんだろ?トイレかな」
ウル「トイレには見えないな」
快斗「だよなー。…ん?」
ウル「どうした?」
快斗「え?あ、いやほらあそこ
電波塔のとこに誰かいない?」
電波塔の真ん中よりちょい下らへんに誰かがいるのが見え指を指す。斜めになるところに身体を預け寝ているようにも見えるがここに俺達以外の誰かだとしたら
ウル「……。ほんとだあれは、捩花だな」
快斗「え?!まじか?!って勝手に出てきていいわけ?!」
まさか過ぎる人物というか、ある意味想定内の人物に驚きの声をあげる
いや、確かに気分屋であるのは聞いていたがここまで自由にしてていいのか?!
ウル「まあいいんじゃねえの?
新一も困ってるわけではないし」
快斗「な、なるほどね。それならいいのか」
納得とまではいかないがウルの言葉に頷き捩花がいる電波塔に近付く
快斗「そっか、捩花も新一の斬魄刀だからこの世界にいても何らおかしいことはないのか」
ウル「ああ、そういうことだ。
おーい、捩花そんな所で何してんだー!」
捩花「…昼寝」
ウル・快斗「「(いや、それは見たらわかるし)」」
今、多分俺とウルが思ったこと同じだったと思う
二人共言葉にはせずアイコンタクトで頷き捩花の方を見上げる
捩花「ここから君達を見下す景色も、なかなか悪くない」
イラッときたのは俺だけじゃないはず
隣にいるウルをちらりと横目で見れば真っ黒い笑みを浮かべている
うん、大変怒っていらっしゃる。これは嫌な予感しかない。
ウル「イラッ。ああ、そう
捩花少し降りてこいよ、マジック少年も来てるんだ」
捩花「マジック少年?って誰だっけ
ああ、そこにいる君か。えーと、確か名前は…」
あ、これ名前覚えられてないパターンか?それとも覚えてるけど「弱いヤツの名前には興味なくてね」みたいなパターンか?捩花の場合、両者有り得るんだよな。名前を覚えること自体面倒くせえみたいなさ
捩花「あー、ごめん。思い出せない(棒)
あ、でも頭のいいばかってのだけ覚えてる」
快斗「いや、いいよ。頭のいいばかで」
多分捩花に俺の名前を覚えさせるのは無理だと思う。彼が俺を認めるその日まできっと、俺は彼にとってただの弱者か頭のいいばかなのだろう
捩花「あ、そうだ。あの張り紙はみた?」
あの張り紙と言われ俺とウルがハッとしたように顔を見合わる
捩花「ふーん。押したんだ」
快斗「俺は押してないが、ウル「が」押した
そのせいで壁はせまってくるし散々だった」
ウル「まあまあ、いいじゃねえか
スリリングで楽しかったろ?普通じゃなかなかできない経験だぜ」
確かに刺激的だったし、普通じゃこんな経験できないだろうけど、ひとつ言えるのは楽しんでたのはウルだけだからね?!
捩花「へー。それは俺も是非経験したかったな」
全く興味なさげに言う捩花に苦笑いを浮かべながら隣にいるウルを見ると、何かを企むような笑みで捩花を見ている
快斗「ウル?お前何か企んでないよな…?」
どうしよう、嫌な予感しかない。
ウル「むっ、なんだマジック少年?
別に何も企んじゃいないさ。ただ、」
ただ、と言ってジッと捩花を見て「クククッ」と笑い出す。それに、捩花もつられるように笑い始める
快斗「え?え?なに?なんなの?
二人していきなり笑い出したんだけど」
ウル・捩花「クククッ…アハハ、ハハッ、アハハハハハはは!!」スッ
あ、笑いが止んだ。で、真顔になった
ウル「捩花、お前も考えてる事は一緒だろ?」
捩花「そうだね。俺も丁度そう考えてたところだよ」
快斗「え、何を?」
ウル「クククッ、それなら話が早い。
後からなんて言わず今すぐ遊ぼうぜ?なあ、捩花」ウズウズ
おいおい、待て待て待て何ウズウズしてやがんだ、このバカは。それに遊ぶって。そのまさかじゃないよね…?
捩花「クククッ、ああそうだな」ウズウズ
どちらからとも無く、同時に動き出しウルは銀陰を捩花は自分の斬魄刀を手に火花を散らし衝突しあう
快斗「……。そうだよな。なんとなくわかってたよ。お前等が出会った瞬間こうなることは理解してたよ」
二人のじゃれあいを静かに眺めながら俺は呆れたような笑みを浮かべ「はあ~」と深く長いため息をこぼす
快斗「何気にウルがこうして誰かと戦闘してるとこ初めて見たかも」
だからといって、どうする?この二人のじゃれあいに俺が突っ込んだとして、そうなると間違いなく俺は死ぬ。絶対死ぬ
まだ、死にたくないし。だからといってこの二人を放っておくこともできないし
ウル「クフフッ、どうした捩花!!
お前の力はそんなもんか?まだまだそんなもんじゃねえ、だろ!!」
だろ、の部分で捩花の背後に素早くまわりギュンっと斬りかかる。それを、にやりと笑って振り向くことなく、まるで初めからわかっていたかのようにその剣を片手で掴む
快斗「なっ?!掴んだ?!」
ウル「わお、すごいねー
ハハッ、もしかして後ろにも目があったりしてー。」
捩花「ふっ、まさか。あまりに軟弱な攻撃だったからな。ウルお前弱くなったか?」二ヤァ
その言葉にウルは無表情で捩花から距離をとり地面にゆっくりと足をつける
ブルっと身体を震わせ俺はウルに視線をうつした
寒さで震えたわけじゃない、恐怖で震えたんだ
こんなウルの顔見たことない、まるで悪魔のような顔をしたウルに俺は言い知れない恐怖を覚える
ウル「ふっふふ。捩花、お前面白いこと言うね~
いやー、あまりにおかしな事を言うもんだから笑っちゃったよ」
首をこてんと右に傾げ黒い笑みを浮かべる
捩花はそれに全く臆することなく逆に楽しんでいるようにも見える。ニヤニヤと笑って一瞬でウルとの距離を縮め斬りかかるが、その刃はウルに届く3センチ手前でピタリと止まる
快斗「な、なんだ?止まった…?」
一体何が起こったのかわからず、俺はただウルと捩花を見守ることしかできない
ウル「どうした?ほら、斬りかかってこいよ」
捩花「………」
快斗「ん?」
あれ?違う、止まったんじゃない
捩花の空間だけが止まっているんだ
ウル「あー、そっか。時間を止めてるから動けねえんだったな~、ごめんごめん。忘れてたわ」
クククッ、と笑い捩花から離れキセルからシャボン玉を膨らませ捩花の周りをシャボンだらけにする
パチンと指を鳴らすと止まっていた時が進む
ウル「シャボン玉にはご注意を」
捩花「シャボン玉?…これは、」
ハッとしたようにその場から離れる前にひとつのシャボン玉に身体が触れた瞬間、一気に爆発していく
ウル「あーあ、だから言ったのに」
捩花「チッ、やってくれる」
爆風がおさまり煙から姿を現す捩花は、ペッと血痰を吐き口元を袖で拭う。あんな間近で爆発したのにかすり傷しか負ってないのか?マジでコイツ等バケモノかよ
ウル「で、なんだっけ?オレが弱いって話だったけ?」
ウルの奴さっきのこと根に持っていたのか
それを聞いて捩花はハハッと空笑いをして真っ黒い笑みを浮かべる
捩花「そうだね。もしかして、ここで俺に負けて消えちゃうかもねー。ふふっ」
おいおい、何言ってんだこいつは!そんな事言ったらウルが…!!やばい、あまりに恐ろしくてウルの顔を直視できない!俺はカタカタと震えながら二人の邪魔にならないように、というか被害をうけないように出来るだけ隅っこの方による
ウル「あはっ。何言っちゃってんの~?オレと捩花って互角じゃん。それにさ、オレと新一どっちかが消えるとか考えられないからね。
今でさえ退屈なのにこれ以上退屈な日々を送るなんて嫌だからね、オレも新一も」
ほら見ろ!ウル様大激怒じゃないですか!なんだよあの笑顔!怖すぎるよ、もう悪魔が見えるよ!後ろにいるよ、悪魔が!
捩花「ホント君達ってすごく仲良いよねー。
全然対立しないしさ。…対立しちゃえば面白くなりそうなのに」
ボソッと呟いた言葉にピクッと眉を動かすウルの顔は無表情だ。無表情こそ怖いものはない
しかし、確かにウルと新一って仲いいよな。思えば二人の出会いとか聞いたことないし…、どれくらいの付き合いなんだろう
ウル「何言っちゃってんの~?
白いオレと黒いオレどっちもあるから楽しいんだろ?」
なあ?と言って口元を歪ませ笑うその顔は悪魔以外の何者でもない。あんな恐ろしい笑顔初めて見た。人ってここまで凶悪な笑みを出来るんだな、子供じゃなくても泣いちゃうレベルの笑顔だよ。いや、そもそもあれ笑ってるんだよね?
捩花「…それ、新一もよく言ってる」
新一が言ってるところを聞いたことがないな。
白い俺と黒い俺、つまりウルと新一のことかなるほどな
快斗「……。いや、待て待て待て!何納得してんだ俺は!」
当たり前のように二人の戦闘を見ていたけど、目的を危うく忘れるところだった!そうだよ、俺はこの二人を止めようとしていたんだった!
快斗「ちょっと二人とも、ストップストーップ!」
ウル「ククッ、ちょっと遊んで終わりにしようかと思ったけどやめた。本気で行くぞ」
うん!知ってた!話を聞く人達じゃなかったよね!
だって最早、俺の存在忘れられてるもん!空気みたいになってるもの!!
俺はファンシーノートを片手にページを開く
まだまだこのノートの使い方も理解出来てないが今はやるしかない!とりあえず、二人の間に鉄の壁を…
快斗「よし、描けた。で、これを破ってと」
ウルと捩花の間にそびえたつでかいでかい鉄の壁
を、なんなく壊す二人。
快斗「……え」
あ、あれぇ?おっかしいな~?
も、もう一回描いてよし次はどうだ!
ヒュン!と剣を軽く振っただけで壁が紙のようにへにょんと倒れる
快斗「……」
ウル・捩花「「………」」
ちょっとやめて!そんな目でみないで!仕方ないじゃん、まだ慣れてないんだから!!
二人は俺をゴミでも見るような目で見て、そして俺から興味が失せたのか再び剣を交わし合う
快斗「って違う!ちょっとそこの二人さっきから何殺りあってんの!」
危ない、また目的を忘れるところだった
ウル「…あれ?マジック少年そんなとこで何してんの?」
快斗「何してんのってこっちが聞きたいわ!!」
捩花「ごめん、君の存在忘れてたわ」
快斗「いや酷くない?!何となくそうだろうなってわかってたけど酷くない?!」
ウル「まあまあまあ。ほら、マジック少年影薄いから」
快斗「…だから何だよ!仕方ないって言うのか!全くフォローにもなってねえよ!」
ウル「ハハッ、ごめんって。
それに、 最初からフォローしてないし」
快斗「でしょうね!!」
二人の黒い笑みを見ればわかる、そうだよな二人からしてみれば俺はそんなもんだよな
捩花「全く興醒めしちまったな。
今度は誰の邪魔も入らない時に続きをしようね」
ウル「ああ、勿論だ。次は地下で遊ぼうぜ」
捩花「今の忘れないでね、絶対だよ!約束だからね!さて、じゃあ俺は昼寝でもしよっかな」
そう言ってふらりと立ちどこかに消えていく捩花の背中をウルと一緒に見ながら俺は「あっ!」と声を上げる
ウル「ん?どうした?」
快斗「あ、いやそう言えばここ新一の精神世界だったなって。どうやって現実世界に戻ったらいいのかと」
ウル「あー。まあ、向こうで目が覚めれば自然と帰れるんじゃね?」
快斗「それならいいんだけど…」
ウル「まあ、そう気にするなって。
それよりオレもずっと気になってたんだが
マジック少年、なんか透けてきてない?」
快斗「は?」
何を言ってるのかと自分の手の平をみると地面が見える。
快斗「え?!な、なんで?!」
身体を透かして下の地面が視界にうつり俺は慌てたようにウルの手を掴もうとするが掴めない
ウル「マジック少年、お前もしかして幽霊?!」
快斗「バカ?!なわけねえだろ!」
足先から徐々に消えていき、そして気付いた時には俺は現実世界に戻っていた
びっしょりと身体が汗で濡れ俺は息を整える
快斗「あれは夢?なわけないよな、全部現実か」
隣を見れば新一が気持ちよさそうに眠っている
てことは無事戻ってきたのか、よかった
快斗「はあ、なんかすげえ疲れた
しかしまあ、貴重な体験だったな」
ウルはまだ新一の精神世界にいるんだろうか?
あ、そう言えばウルから貰ったファンシーノートがあったよな
快斗「お、おお!!向こうではモノクロだったからわからなかったけど、これめちゃくちゃ綺麗じゃん!!」
光の角度によってかわる虹色に輝くペンと黒いノートには髑髏が描かれている。ノートには全くファンタジー感がないな、寧ろデスノートみたいにも見える
快斗「しかし、改めて見ると凄いな
ウルにあったらきちんとお礼をしとかないと」
もう一度眠るにも完全に目が覚めちゃったし、少しこのファンシーノートで遊んでみるか
快斗sideend