あれから、幾度となくノートに書いて千切りの繰り返しをするがいっこうに変わらない
相変わらずうさぎは手のひらサイズだし鉄の壁は壁というよりただの紙。
絵のクオリティだけ無駄に高くても、他のがまるでなってなかったらなんの意味もない
快斗「はあ、練習あるのみなのかな」
???「そうだな、相変わらず絵「だけは」上手いな。マジック少年」
快斗「うるさいなー、んな事言われなくたって…てうわぁ!びっくりした!!」
当たり前のように返事してたが、いつの間に?!
びっくりしすぎて机の角に頭ぶつけたし、いってえ!!
ウル「あはは!!そんな驚くか?
ククッ、ほんと面白いなあ。マジック少年は」
快斗「そりゃ、驚くだろ!
ああ、びっくりした。心臓止まるかと思った」
ウル「え、マジック少年心臓止まったの!やばいじゃん」
快斗「いや、止まってねえよ!これはものの例えなんだから軽く流せばいいの、わかった?」
もう、ウルって時々こうやって天然を発揮させるよな。それが天然なのか、ただのあほなのかわからない時があるが本人は至って真面目に言ってるから困るんだよな
快斗「そういや、ウルはここに何しに?」
ウル「ん?ああ、そろそろいい時間帯だから起こしにな」
そう言われ壁にかかるアンティーク時計をみると朝の7時を指している。もうこんな時間だったのか色んなことがあったからか、時間の進むのが早く感じる
快斗「なるほど、じゃあ俺はアゲハ君たちを「いや、待て」なに?」
時計からウルに視線をうつし首を傾げる
ウル「…お前は、少年達じゃなく新一を起こしてくれ。オレが少年達を起こしに行く」
快斗「え?ああ、それはいいけど
ウルお前なんか変なこと企んだりしてないよな?」
俺にはわかってるぞ、今一瞬間があいたよな?
あと、ウルのその笑顔。絶対なにか企んでる。間違いない
嫌な予感しかしない。俺の第六感がそう言ってる
ウル「はは、まさかー。ひでえな、マジック少年は
そんなにオレのことが信用出来ないの?心外だな。でも、仕方ないよな。いつもしてることを思えばさ。そんなに嫌ならオレが起こすよ。オレの事信用できないんだもんな、仕方ないよな」
なんかそんな言われ方したら断れねえじゃん!!
てか、なんで俺が悪者みたいになってんの?!
快斗「…いや、いい。悪かった、信じるよ」
ウル「そう、ならいいんだ。
じゃあ、あとは頼んだぞマジック少年。頑張れよ」ニヤニヤ
快斗「ああ、頑張るよ
…って何を?!ちょっと待った、ウル!やっぱりお前ッ!!」
アイツ…逃げやがったな!!
ああ、もうやっぱりそうじゃん!嫌な予感してたんだよな、最後の黒い笑みをみて確信したわ。
快斗「はあ、仕方ない。
まあ要するに新一を起こせばいい、それだけだろ?」
…そうだよね。そうなんだよね?!今になってめちゃくちゃ心配になってきたけど、大丈夫なんだよね?!これ俺の命までとられたりなんてことしないよね?!ね!!
あ、待ってこれフラグ建ててない?
快斗「ああ、クソッ!もういいや!とりあえず、起こすぞ」
よしっ、と気合いを入れるために両手のひらで頬を叩き脇にファンシーノートを挟み恐る恐る新一の肩に手を触れる
快斗「おーい、新一!朝だよ、おき「ビュン!!」…へ?」
思わず素っ頓狂な声をあげ、俺の頬を掠めた“なにか”にからくり人形みたいにカタカタと首を回す
快斗「え、、、え?え?!な、なに?!
は?!え?!ちょっと待って、え?!いや、え?!待って、待て待て待て。お、おお、落ち着け、深呼吸だ、深呼吸。スーハースーハー」
いや、待ってあれだ。勘違いじゃね?
そうだよ!うん、絶対そうだわ!もう、バカだなー、俺ったら!いや、誰でもあるよね見間違いって、うん!
快斗「……いや、見間違いじゃねえわ。完璧氷の槍だわ」
氷槍のもとにむかい手を触れかけるが、ピタリと手を止める。よく見れば氷槍が刺さった周辺が凍りついている
快斗「………。おっけー。なるほどね
なるほど、こういうことね。あー、わかるわかる」
一人で納得し俺は再び、新一を起こすため肩を揺すり優しく声をかける
快斗「新一、起きて。朝だよ」
新一「ん、ンんー。なに?だれえ?」
甘ったるい声で目を擦りこすり目を覚ます新一
まだ、完全に覚醒はしてないのか眠そうにしていてどこか話し方もふわふわしてる
快斗「新一、おはよう。快斗だよ」
なんかすごいレアな新一を見れたな。ふふ、なんか得した気分だ。にこにこと柔らかな笑みで新一を見てればゆっくりと身体を起こしふらふらとしながら立ち上がる
快斗「おい、新一大丈夫か?」
新一「ん。だいじょーぶだいじょーぶ!えいっ!」
快斗「ちょっ、新一?!」
いやいや、なにがえいっ!だよ!何もえいっ!じゃないから!いきなりの新一からの攻撃を咄嗟に後ろに尻餅をつくように避けたから良かったものの、いまの当たったらやばかった!確実に死んでた
身体中びっしょりになるくらいの冷や汗を流し俺は、尻餅をついたまま後ろに後ろに新一から逃げるように離れていく
新一「ねえ、なんで僕からにげるのー?」
今にも泣き出しそうな表情と上擦った声に俺は、申し訳なさを感じ足を生まれたての子鹿みたいに震わせながらもなんとか立ち上がり新一のもとに近付く
これがすべて新一の計画とも知らずに。
新一「なーんて、うそだよ。ふふ、だまされてやんの」
快斗「え?!うそだったの?!」
新一「ふふふ、ねえねえ。僕とあそぼーよ!いくよー、そーれ!」
言葉が軽いわりになんてえげつない攻撃してくんの?!
快斗「ちょっ、ちょっとタンマ?!待って、お願いだから待って!ちょっ、ほんと無理、待って!ね、う、うわああああ!!!!」
あっぶね、あっぶね、え、待って、え。なんで?待ってなんで今俺が襲われてんの。待って、え?無理なんだけど、ちょっとほんと待って無理
新一「ふふ、僕と鬼ごっこするー?
いーよ。じゃあ、行っくよー。ウルつーかまえたー」
快斗「待って、新一!!俺、ウルじゃない!違うよ、快斗!快斗だから!ウルじゃないからあああ、ぎゃあああ!!!!!」
無数の氷槍が頭上から飛んできてぎゃあぎゃあ喚きながらもギリギリの距離で避け、やっと避けたかと思いきやさっきまで目の前で眠そうに目を擦っていた天使はいなくなり、かわりに背後から視線を感じ勢いよく振り返れば悪魔みたいな満面の笑みで俺に向かって走って黒鎌を振りかざす新一の姿が視界にうつる
新一「あ~そびましょ~。ふふふ」
快斗「いやだああああ!!!
全力で拒否しますうううう!!!!!」
絶対やだ!断固拒否!!もうやだ!誰か助けて!半泣き状態で俺は部屋のあちこちにぶち当たりながらも必死に逃げ回る
新一「もう、なんでそんな逃げるのさ。そんなヤツにはお仕置きだ」
お仕置きだ、と言って「えーい」という掛け声とともに足元から剣山のように氷が俺の身体を突き刺そうと出てくる
快斗「わあわあわあ!!!
ちょっ、ほんと無理!無理だってー!」
それから逃れるように走り回って、収まったのを見計らいぜえぜえと激しい息遣いながらも新一から視線をそらさないように暫しの休憩をもつ
快斗「やべえ、アイツまじでやべえ」
鬼とか悪魔とかまだ可愛いもんだ、今の俺なら飼い慣らせるかもしれない。…いや、ごめんうそだ。流石に盛りすぎた。けど、新一に比べたら幾分かましだ
快斗「ウルの野郎、こうなることがわかってて俺を嵌めやがったな。まじで、絶対アイツのこと信じねえわ」
新一「なにごちゃごちゃいってんのさ?
いまは僕との遊びに集中してよねー、もー殴るよ?」ニコッ
快斗「あ、はいすみません。
殴るのだけはほんと勘弁してください」
いまのは無理だろ。反則でしょ
あんなひと一人殺せそうな…いやそれ以外の笑顔で殴るよ、なんて言われたらそりゃもう謝るよ。何度でも地面に頭擦り付けるくらいに謝るよ
新一「あはは、ゆるさなーい」
快斗「ですよねー!!わかってましたー!」
わかってたことだが、どうする?!俺のファンシーノートじゃまず新一の攻撃を受け止めれるような武器を書くことはまず無理だ
…いや、それでいいんだ。受け止められなくてもとりあえず書きまくれ!!新一から逃げるように俺は何枚も鉄の壁ならぬ紙の壁を書いていく
新一「なにこれ?こんなんじゃ遊べないよ」
快斗「ああ、知ってるよ。言われなくてもな」
そもそも俺は新一と遊ぶつもりはない
今はただ、一瞬でも視界を奪うことができれば、それでいい。その間に誰かに助けを…!!
新一「あれ?ウル、どこー?」
よし、上手くいったな!今のうちに扉を開けて外に
快斗「逃げ「みぃ~つけた~」あ、こんにちは」
ドアノブに手をかけ外に出ようとした瞬間、一瞬にして凍りつく
そして、スローモーションのように後ろを振り向けばとっても怖い笑顔をした新一様がいた。
新一「僕から逃げようなんて、ゆるさない」
快斗「し、新一それは謝る!謝るから、その物騒な武器をおさめて!!」
新一「イヤだ、だってこれからが楽しいんだもん」
ねえ?と黒鎌に氷を纏わせた武器で俺の首を狩ろうと勢いよく振り落とす
快斗「ッ!!」
もう逃げられないと頭を守るように手で頭を抱え、ギュッと目を瞑る。
だけど、いつまでたってもその時は来ない。
あれ?もしかして俺死んだ?痛みなく死んだのか?恐る恐る瞑っていた目を開けると、新一と目が合う
新一「ん。ねむ…」
快斗「わ!ちょっ、新一?!」
っぶねぇ!!新一の手から離れた黒鎌は消え代わりに俺の腕の中には新一が眠っている
快斗「……寝た、のか?」
うっ、重っ!両足に力を入れ新一を支え近くのソファーに座らせる。
このまま寝かせておきたいところだが起こさなきゃだよな。とりあえず、息を整えて大きく深呼吸をしよう。スーハースーハー
快斗「…さて起こすか。
頼むからさっきみたいにならないでくれよ。
新一起きて、朝ごはん食べるよ」
ゆさゆさと新一を揺さぶり優しく声をかける
新一「ん?かいと?もう朝なの?」
よ、良かったあああ!!新一だ、いつもの新一だ!
内心びくつきながら話しかけたが良かった。ほんと安心した
快斗「そうだよ、新一。起きて?」
新一「わかった、起きる」
眠たそうにあくびをしてむにゃむにゃと口を動かし目を擦り起きる
快斗「新一、一旦ウルたちのとこに行くよ」
それに、こくこくと頷いて俺の服の袖をギュッと掴み「てちてち」と言う表現があうほど少しふらつきながらも俺の後ろをついてくる
* * * * * *
一方その頃、ウル達はと言うと、、、
あるゲームを行っていた
その名も「どちらがカブトくんでしょうかゲーム☆」
ルールは簡単、カブトに扮したウルと本物のカブト、その2人から一方「本物」を当てれば勝ちなゲーム。実に単純なゲームだ
第一回戦、まずはアゲハが先攻で幕はあがる
ウル「じゃあ、少年行くぞ
どちらがカブトくんでしょうかゲーム☆スタート」
アゲハが目を瞑っている間、ウルはカブトに完璧に姿を変えくるくると右に左に動く
カブト「アゲハ、目開けていいぜ」
カブトの声に瞑っていた目を開ける
目の前にはどこからどう見ても同じなカブトが2人
正直、今のところどちらが本物なのか全く検討もつかない
ウル「どうした?アゲハ
まさか、わからないなんて…言わないよな?」
アゲハ「ま、まさか!!わかるよ、わかる!
ただ今ちょーっと考えてるだけだから!」
ウル「(クククッ、少年はわかってないようだな)リトルバニーはどっちが俺かわかるよね?」
いきなりウルに話しかけられビクッと肩を揺らし目の前にいるカブトとカブトのそっくりさんを凝視する
カブト「そんなに見つめられると照れるな」ニヤニヤ
ウル「ばっかお前、リトルバニーは俺を見てくれてたの?ね、そうだよね俺の愛しの「殴りますよ」ふー、いつになく冷たい!けどそんなとこも素敵だよ」
桜子のゴミを見るような目にも気にせずいつもの様子にますますアゲハの頭はこんがらがっていく
カブト「(ウルさんノリノリだな、普段の俺ってこんななのか。まあ、改めるつもりはないけど)」
桜子「なんとなくですけど、わかりました」
桜子の視線が一瞬左の人物に注がれる
アゲハ「え?!嘘まじで?!」
ウル「(へえ、やるじゃねえか。)流石、リトルバニーだね!」
カブト「で、アゲハはどっちが俺かわかった?」
アゲハ「(ダメだ、今のやり取りを見てもなんの違和感もなかった、てか偽者いるよね?)
え、えと、あー…左が本物かな?(ここは勘だ!というか、雨宮が一瞬左をみたんだよな)」
ウル「それで、間違いない?」
アゲハ「ああ、大丈夫!」
カブト「正確は、、、残念右でした!!」
アゲハ「え?!うそだろ!だって、左を…」
ウル「ククッ、バカだなー。お嬢ちゃんからのせっかくの大ヒントを逆に捉えるとは。やっぱお前バカだねえ」
ケラケラと腹を抱え笑う二人にアゲハは返す言葉もなく部屋の隅っこで身体を小さく丸めわかりやすくいじける
ウル「あっははは!!ああ、面白い。
上手くいったな、バンダナ少年」
カブト「ですね、ウルさん。
そこまで付き合いが長いわけでもないけど、俺だったら簡単に見分けられるぞ」
カブトのその言葉に火がついたのか、すくっと立ち上がり未だカブトに扮してるウルの元へ向かう
アゲハ「言ったな、カブト!
じゃあ、次はどっちがアゲハくんでしょうかゲーム☆しようぜ!」
カブト「いいぜ、一分もいらねえ。30秒で当ててやる」
ウル「おお、なんか面白いことになってきたなー。くふふ、いいねえ。じゃあ改めてルールの確認だ
バンダナ少年は30秒以内に少年を当てる、オーケーか?」
それに、頷くカブトを見てウルは話を続ける
ウル「よし、じゃあバンダナ少年は目を瞑ってくれ。さあ、少年ゲームの始まりだ」
カブトが目を瞑っている間、アゲハにへと姿をかえ再び音楽にのせくるくると回る
アゲハ「よし、カブト目を開けていいぞ!」
ゆっくりと目を開け目の前にいる二人を交互に見る
カブト「わかった、左にいる方が本物だ」
ウル「ファイナルアンサー?」
カブト「ファイナルアンサー」
ウル「………正解!!
ブラボー!天晴れだぜ、バンダナ少年!
それに比べてほんと、少年お前……」
アゲハ「わかってる!
わかってるからそれ以上言わないでくれ!!」
自らの墓穴を掘る形でアゲハは撃沈。涙目になりながら誰の目にも触れないような部屋の隅に壁に向かって体操座りをし、床を指でいじいじと触りいじける
ウル「少年、最後のチャンスをやろうか?
どちらが桜子ちゃんでしょうかゲーム☆
これなら流石のお前でもわかるだろ?だーい好きなお嬢ちゃんなんだ、簡単だよな?
まあ、これがわからなかったら救いようのない大バカ野郎になるがな、あははははは!!」
カブト「ウルさん、流石にそれは言い過ぎですよ!まあでも、アイツにはわからないでしょうけどね!あはははは!!」
* * * * * *
そして、時は少し遡り
ウル達がゲームをしている頃、俺はアゲハ君たちのいる部屋へと来ていた
ウルの奴、まじで一発ぶん殴ってやる!
今日の俺はそれほどに怒ってるんだからな!絶対許さねえ
ガチャと勢いよく扉を開け、部屋の中で腹を抱え笑っているウルに掴みかかる勢いで俺はどかどかと歩いていく
それにウルも気付いたのか、俺と俺の後ろにいる新一に笑顔を浮かべる
ウル「お!マジック少年と新一じゃないか、丁度いいところに」
快斗「なあにが、丁度いいところだ?
お前のせいで俺は散々な目にあったんだぞ!!そもそもお前な「まあまあ、落ち着けって!」何が落ち着つけだ、今日という今日こそは…って、ん?」
ウルの言葉に被るように、早口で捲し立てる
俺の怒りも頂点に達しようとしたとき、何か見てはいけないようなものが視界に入る
今の今まで気付かなかったが、あんな隅っこで何してんの?!びっくりしたんだけど、幽霊かと思ったよ一瞬!
それほどに、全く気配を感じず負のオーラだけを漂わせる俺のよく知る人物が一人
快斗「アゲハくん?!
ちょっ、ちょっとどうしたの、アゲハくん?そんな隅っこで何して、」
アゲハ「うっ、うっ、どうせ俺なんか何も出来ないゴミクズ野郎ですよ、うっ、なんだよ、みんな俺をバカにして。ちくしょ、あれ?おかしいな、前が歪んで見えるよ」
おいおいおい、本当にどうしたんだよお前。何があったんだ俺達がいない間に!誰か教えてくれ!
快斗「何があったかわからないけど、ゴミクズ野郎ってアゲハくん、そんなに自分を卑下しちゃダメだよ!
もっと自信待って!
アゲハくんは強いし…仲間思いだし、優しいし仲間思いだしってあれ?さっきも同じこと言った?と、とにかくさ何があったのか話してくれる?」
アゲハくんを励ます言葉を必死に頭で考えながら傷付けないように、慎重にチョイスしながら話しかけるのを横でウルがちょっかいを出す
ウル「くっふふ、ゴミクズ野郎って面白いな、よくわかってるじゃねえか自分のこと
少年は強いと思うぞ、まあオレ達の足下にも及ばないがな!」
快斗「ウルお前は少し黙ってろ!」
このバカは今の状況がわからないのか、いやわかっててわざとしてるのか。本当コイツ性悪な奴だ。
ウル「えー、なんでさ。
そんなことより、少年のことは放っておいてオレとゲームしようぜ」
快斗「は?ゲーム?
つーか、そもそもまだ話はついて」
ウル「いいじゃんいいじゃん!
細かいことは気にすんなって!
とりあえず、ゲームに勝ったら話聞いてやるから、どうだ?それとも、マジック少年は負けるのが怖いのかなー?」
イラッ。中腰の姿勢から背筋をピンと伸ばし俺は無表情のままウルと睨みあう
快斗「今、なんて言った?負けるのが怖い?ははっ、まさか」ニコッ
自分がまさかこんな笑顔をする日が来るとは思わなかったが、今の笑顔は多分よくウル達がするような黒い笑みだ。それもとびっきりの。
ウル「くっふふ、そうこなくっちゃ。
今からするゲームは、少年にもした
どちらがカブトくんでしょうかゲーム☆
頭のいいお前なら、なんとなく理解できるはずだぜ」
頭のいい、を強調されたように感じたがまあいい。
要するに、ウルがカブトくんに成りすます。それを俺が当てる、そんなとこだろう
快斗「で、俺は本物を当てればいいのか?それとも偽物か?」
ウル「本物を当てれば勝ちだ」
快斗「なるほど、わかった。いいだろう」
ウル「余談だが、バンダナ少年はこの勝負に30秒もかからず当てることが出来た。お前はどうだろうな?クククッ」
コイツ俺を煽ってるつもりか?面白い、乗っかってやるか。
快斗「ふーん。なら、俺は10秒以内に当てる」
ウル「ほお、面白い。じゃあ、始めようか
どちらがカブトくんでしょうかゲーム☆を」
後ろを向いて目を瞑る。
音楽がなりそれに合わせくるくると回っているのか微かな足音だけが聞こえる
ウル「さあ、では目を開けてください」
カブトくんの声に振り返り俺は目の前にいる二人を交互に見る。
カブト「どっちが俺かわかったら言ってください。制限時間は10びょ「オッケー、わかった」え?!もうですか!」
まだ、時間にして5秒足らずか?驚くのも無理はない
だが、俺の自信満々な態度に押されたのかそれ以上は言わず
カブト「では、解答をどうぞ」
快斗「本物は右」
ウル「ファイナルアンサー?」
快斗「ファイナルアンサー」
カブト「………正解です!」
パチパチと拍手をされ、俺は「それほどでもー」と言うように後頭部をポリポリと照れ臭そうにかいて鼻を触る
ウル「よくそんな短時間でわかったな」
ウルも関心したように俺を讃える
快斗「まあね、付き合いは短いけどわかるよ」
ウル「確かに。オレと新一もわかったくらいだしな。流石だよ、いやー参った参った。」
コイツ本当に参ったなんて思ってんのか?まあいいや、話を聞いてくれる約束だったからなとことん聞いてやる
快斗「じゃあ、まずひとつめ。
ウルあれはどういうつもりだ」
ウル「あれって?」
快斗「すっとぼけても無駄だ。新一のことに決まってるだろ!お前、わかってて俺を嵌めただろ」
ウル「ああ、なんだそれのことね。わざとしてたとしたらなに?謝ればいいの?
ごめんねー、オレが悪かったよー。はい、謝った。これで許してくれるよね?」
コイツまじか?もう一度言うが、コイツまじか?
大事な事なので二回言いました。
快斗「もういい。怒る気もしない」
ウル「ん?なんだ、オレを殴らないのか?」
快斗「いい。殴るだけ時間の無駄だ」
呆れた。なんでこんな奴に俺は怒っているのだろう
なんかすごくバカバカしく感じてきた。それほどに、俺は今目の前にいるウルに軽蔑な眼差しを向けている
ウル「ふーん、そうまあどうでもいいけど。
あ、そうだ。マジック少年、ひとつ言い忘れたが新一はさっきの出来事なーんにも覚えちゃいないぜ」
快斗「は?!まじかよ?!」
ウル「ああ、前に話したろ?寝ぼけた新一は厄介なんだ、その時のことをなんにも覚えちゃいない。」
そう言えばそんなこと聞いたような、あんな殺されそうなめにあったのにそれを何一つ覚えていないなんて
快斗「…タチ悪過ぎかよ」
ウル「ククッ、だろ?オレもなんども寝ぼけた新一に襲われたことか。
しかし、さっきも思ったことだがマジック少年よく五体満足で帰ってこれたな?
普通なら腕の一本や二本なくなるところだが…、お前すごいんだなー!いや、ほんとお世辞とかじゃなくてさ!
ククッ、ちょっと興味わいてきちゃったかも」
快斗「あったりまえだろ!!俺がどれだけ頑張ったか!!まじで死ぬかと思ったんだからな!
……って、待って。今聞き捨てならない言葉を聞いたぞ。興味わいてきたってなんだ?!何に興味わいたんだお前?!」
ウルの黒い笑みに嫌な予感を感じながら、というか100%いや120%そうだろう。間違いない。よし、わかった。今のうちになんて言わるか予想しとこう
ウル「そりゃ、お前。そんな回避能力見せられちゃーな?オレと遊ぶしかないだろ」
予想の斜め上をいく解答とまでも、いかなかったな!俺が驚くと思ったか!そんなの予想してたわ!ハハハハハハハハハハハノ ヽノ ヽノ ヽ/ \/ \/ \( ・_・)スッ
快斗「ウルのことだからそうだろうと思ったよ、だから敢えて言わせてもらうが断固拒否する!」
ウル「ちぇっ、つまんねーの。
む、そうだマジック少年。そのファンシーノートはどうだ?使えそうか」
快斗「え?まあね、これのおかげで助かったところもあるし」
ウル「へえ。そりゃ、良かった
プレゼントしたかいがあるってもんだ」
アゲハ「ファンシーノート?」
俺達の会話に入ってきたのは、先程まで空気と一体化していたアゲハくんだ。相当泣いていたのか両目が真っ赤に腫れ、どこかやつれている
ウル「そうか、少年達には見せてなかったな
丁度いい、マジック少年ファンシーノートの説明をしてやれ」
ウルにそんな無茶振りをされみんなの視線が一気に集まる
快斗「え、えっとこれはウルから貰ったファンシーノートって言います。
使い方は簡単
まず、こうしてノートに絵を描く
そして、そのノートを破ると、、、
あら、不思議!手乗りうさぎの完成!」
ノートに描いたうさぎがぴょこぴょこと俺の手の中ではね、ちょこんと座り俺の指を噛んでいる
桜子「わあ!かわいい!!」
それにいち早く反応したのは桜子ちゃんだ
俺の手の中にいるうさぎを撫でて、自分でも持ちたいのか俺をチラチラと見ている
快斗「ふふ、いいよ」
桜子「ありがとうございます!!ふふ、かわいいうさぎさん」
快斗「俺の力がまだまだ未熟だから、うさぎも手のひらサイズだし武器も紙のようにペラペラなんだけどね」
ウル「ククッ、確かに鉄の壁もペラッペラだったもんな」
ウルが思い出したようにクスクスと笑う
快斗「うるさいなー!まだまだ、練習中なの!」
ウル「クククッ、早く使いこなせるといいな」
アゲハ「すげえすげえ!
快斗さんって絵上手いんですね!」
カブト「確かに、俺には絵の才能ないから無理だな」
快斗「あはは、俺には逆にそれくらいしかないから
二人もなにか書いてみる?はい、これに書いてね。
ちなみに書いた人が指を鳴らすとその絵は消えちゃうから」
それになるほどと頷いてアゲハくんが、迷わずノートに絵を書いていく
それをうさぎと戯れている桜子ちゃん以外の三人でみる
快斗・カブト・ウル「………」
え、待って。なんだこの絵は
なにこの闇しかない感じ、病んでる?病んでいるのかアゲハくん!
──────マジック少年、この絵はなんだ
──────いや、俺に聞かれてもわかんねえよ!
──────そうだよな。少年は何かとり憑かれているのか?だからこんな禍々しい絵を…
不覚にもウルの発言に笑いそうになり「ンッん!」とわざとらしく咳込む
快斗「え、えーとアゲハくんその絵は…そのすごく個性的だね!」
アゲハ「え、そうですか!上手くかけたように思うんですけど、これ何かわかりますよね!快斗さん!」
快斗「え?!」
ウル・「ぷぷっ!!ゴホッゴホッ、ふふふ」
ま、待て考えろ。ここで間違った答えを出したらアゲハくんを傷つけることになる。しかし、なんなんだ!この絵は!
なんかもう、どこからどう突っ込めばいいのかわからないんだけど!なんなのその顔!どんな表情だよ!!
よーく考えろ、黒羽快斗!俺ならわかるはずだ、この未確認生物を。耳があって四足歩行、よしほら限られてきた!
快斗「えーと、えー…あのほらなんだっけ、えーと、い」
アゲハ「い?」キラキラ
うわぁ、すっごいキラキラした眼差しを向けられているうううう!!やめてええ、そんな目で見ないでえええ!!!
快斗「い、、犬!」
少しの沈黙が流れる。俺の額には冷や汗が流れる
そして、その沈黙を破ったのはやはりこの男かウルだった
ウル「ぶっわはははははは!!あっははは!!おまっ…犬って、あはは!!
おいおい、マジック少年犬を見たことあるか?
オレは、見たことあるが犬はこんなのじゃないぞ!どうみても、これ未確認生物だろっ!あははっははっふふ、ひぃー腹痛すぎ。」
大爆笑してるウルの隣ではカブトくんも過呼吸になりそうなくらいに声を上げ笑っている
ウル「あっはははは!!何この絵、下手すぎて笑えるんだけど、ふふww
もう、やめてくんない?笑いすぎて死にそう」
目に涙をため咳込むウルを俺は引いた目で見ながら、アゲハくんにいかにフォローしていくかを考える
アゲハ「アンタが勝手に笑ってるだけだろ!」
ウル「いやいや、この病的な絵みて笑わないやつなんていないから」
快斗「お前な、それくらいにしとけ!!
アゲハくんが可哀想なことになってるから、お願いだからやめたげて!!」
アゲハくんはと言うと、負のオーラどころか死のオーラを纏って壁にうまるんじゃないかくらいに部屋の隅っこにより、小さく小さくダンゴムシみたいに身体を丸める
アゲハ「あの絵猫だったのに、犬って言われた。うっ、病的な絵ってなんだよ、仕方ないじゃないか、絵心ないんだもん。これでも頑張って書いたのに、もうみんな知らない、どうせ俺なんて」
快斗「え?!あれ猫だったの?!」
どうみても、猫じゃないだろ?!尻尾なくない?!てかあの足の先の「↓」←みたいなのなに?!
快斗「い、いや今は犬猫問題はとりあえず置いといて、ウル笑いすぎだ!」
ウル「ふっふふ、ちょっと待って、いやほんとその絵消してくんない?」
消せと言われても描いた本人が指をならさないと消えないだろ!さっきから、アゲハくんの書いた猫はぷるぷると足を動かし「きゅえー」だか「きえー」だか猫らしからぬ奇声をあげながらアゲハくんもとに向かうが、アゲハくんの闇のオーラにやられ「キュウ!」っと鳴いて俺のもとにその小さな羽をパタパタとさせ飛んでくる
なんだろう、この生き物。
なんかどんどん可愛く見えてきたぞ。このまま消すのは可哀想だし肩に乗せてみると「キュウ」と鳴いてつぶらな瞳でみてくる
快斗「消すのは可哀想だし、視界に入れなければいいだけだろ、違うか?」
ウル「ふっくく、まあそうだな」
まだ笑いがおさまらないのか「ふふふ」と笑みをこぼしながらも、やがて笑いの波もおさまり「さてと」と言って椅子に座る
快斗sideend