深雪さんの答辞はとても素晴らしいものだったと思う。
「皆等しく」や「一丸となって」など際どいフレーズも多々見られたが、聞いていた人は彼女のオーラと可憐な美貌に目がいって気にもしていないようだ。
この様子だと明日から彼女は大変だろうなと同情したくなる。
その後式も終わりIDカードも受けとることができた。
えっと私は…E組か。
「ねぇ、雪は何組だったの?」
「私はE組ですね」
「やった!なら、同じクラスね」
「私も同じです」
「達也くんは?」
「俺もE組だ」
「まさか全員一緒なんてついてる!」
私も驚いた。
一人くらいは別になると思っていたが全員同じクラスとは…。
「このあとどうする?ホームルームでも行ってみる?」
「私はこのまま帰ろうかと」
「美月と達也くんは?」
「私はお任せしますが…」
「俺は妹と待ち合わせをしているんだ」
「へぇ…達也くんって妹いたんだ」
「もしかして新入生総代の司波深雪さんですか?」
「あぁ、そうだ」
「じゃあ双子?」
「よく言われるけどそうじゃないよ。俺は四月生まれで妹は三月生まれ」
「そうなんだ…」
そんなことを話していると。
「お兄様、お待たせ致しました」
そんな声が背後から聞こえたので振り向くとそこには深雪さんと…何故か生徒会長がいた。
「早かったね?」
達也さんが驚くなんて珍しいなぁ…何て他人事みたいなことを考えていると。
「こんにちは、司波くん、白咲さん。また会いましたね」
そんな生徒会長に達也さんは頭を下げていた。
私的には生徒会長に顔を知られているとか目立つだけなので全く知りません!とか言って走って行きたいところだが、そんな無礼をすれば余計に目立つだろうと一応頭を下げておいた。
そして頭をあげると深雪さんと目があった。
何故だろうか。
彼女は笑顔のはずなのにとてつもない殺気を感じるような…。
「お兄様、その方達は…?」
どうやら達也さんと私たちが一緒にいることがあまり気に入らないらしい。
昔は仲が悪かったはずだが私の知らない間にまさかブラコンに…。
いや、そんなはずは…。
「こちらが柴田美月さん、千葉エリカさん、そして白咲雪さん。同じクラスメイトなんだ」
「そうですか…早速クラスメイトとデートですか?」
おそらく式が終わってからお世辞の集中砲火にあっていて、相当ストレスがたまっているのだろう。
私もそうなれば彼女と変わらないぐらいストレスが溜まるので、今回は同情の意を込めて流しておいた。
「そんなわけないだろう深雪。お前を待っている間、話していただけだって。そういう言い方は三人に対して失礼だよ?」
まぁ、私は気にしていないが他の二人…も気にしていないようだ。
深雪さんは達也さんに言われてハッとした表情を浮かべ、一層お淑やかな笑顔を取り繕った。
「初めまして柴田さん、千葉さん、白咲さん。司波深雪です。私も新入生ですので、お兄様同様、よろしくお願いしますね」
「柴田美月です。こちらこそよろしくお願いします」
「よろしく。あたしのことはエリカでいいわ。貴女のこと深雪って呼んでいもいい?」
「えぇ、どうぞ。苗字では、お兄様と区別がつきにくいですものね」
そして再び深雪さんと目が合う。
何故か、考え込んでいるようだ。
「雪…お姉様?」
「…え?」
まさか、バレた…?
そ、そんなはずはない、だって私は死んだことになっているはず…。
「お、お姉様!?」
「お二人はお知り合いなのですか?」
「あ…い、いえ、知り合いとよく似ていたのでつい言ってしまいました。申し訳ありません」
「だ、大丈夫ですよ。白咲雪です。雪と呼んでくださいね」
「わかったわ、雪。なら、私も深雪と呼んでね」
「お二人はオーラだけでなく名前もよく似ておられますね」
「確かにね。髪の色は違うけどもし同じにしたら気づかないかもね!そういえば、雪って誕生日いつなの?」
「私は12月20日ですよ」
「なら、深雪がお姉様って呼んでもあながち間違いじゃないかもね!」
「「ふふっ、そうね(そうですね)」」
「なんとまぁ息もピッタリ!」
そりゃ、小さい頃はよく一緒にいた…なんて言えるわけもないですが仲は良かったですからね。
「深雪。生徒会の方々の用は済んだのか?まだだったら適当に時間を潰してくるぞ?」
そんな達也さんの提案に答えたのは生徒会長だった。
「今日はご挨拶をさせていただいただけですから。深雪さん…と、私も呼ばせてもらってもいいかしら?」
「あっ、はい」
「では深雪さん、詳しい話はまた、日を改めて」
そう言って軽く会釈をし去ろうとする生徒会長を後ろにいた男子生徒が呼び止めた。
「しかし会長、それでは予定が…」
「予めお約束していたものではありませんから。予定があるなら、そちらを優先すべきでしょう?」
そう男子生徒を諭し微笑みながら
「それでは、深雪さん、今日はこれで。司波くんもいずれまた、ゆっくりと」
自分の名前が呼ばれなかったことに安堵していると生徒会長と思いっきり目があった。
それはまるで、もちろん貴女もですよ、と言われてるような気がした。
目立ちたくない私は、学校で一番目立つ生徒会長に目をつけられてしまったようだ…。
そして、再度会釈して立ち去る生徒会長。その背後に続く男子生徒が振り返り舌打ちが聞こえてきそうな表情で達也さんを睨んだ。
(今誰に向かって敵意を向けたの?)
私は冷静さを失い男子生徒に向かって本気の殺気を向けてしまった。
身の危険を感じたのだろう。
すぐに男子生徒が振り返り私のことを見ていた。
どうやら、生徒会長も気付いたようで軽く私を見たあと何も言わずに行ってしまった。
「…雪?大丈夫?」
深雪さんの声で私は自分が冷静で無くなっていることに気付いた。
「…は、はい」
やってしまった…、そんなことを考えていると。
「雪、ありがとうございました」
「…え?」
「今、お兄様が睨まれているのに気付いて私の代わりに怒ってくれたのでしょう?とても嬉しいわ!」
「…は、はぁ」
やっぱり彼女は少し…いや、大きく変わったようだ。
今回のことで達也さんだけでなくたくさんの人に目をつけられただろう…。
ついついため息をはきそうになる。
そして、時間が過ぎるごとに達也さんの視線が厳しくなっていくのは気のせいであってほしい…。
まずは…一日遅れて申し訳ありませんでした!!!
レポートとか就職関連のことでいそがしかったんです!!!
「それでも、単にサボっただけでしょう」
…返す言葉もありません
今後は必ず月曜日にあげていこうと思うのでよければ見てください!
それではまた!