あの後、エリカさんからケーキ屋に行かないかと誘われたが、今日は疲れたのでまた今度誘ってほしいと言って家に帰ってきた。
家と言ってもお寺なのだが。
それに家だからと言って疲れないわけではない。
「ただい…「お~か~え~り~!」」ギュッ
「八雲さん…帰ってくるたびに抱き付いてくるのいい加減やめませんか?」
「残念だけどそれは無理だね~。何て言ったって可愛い愛娘が帰ってきたんだから!」
こんな風に毎度抱き付いてくる私の義父。
煩悩丸出しなのにこれでも一応住職らしい。
この人に会ってから私の中の住職のイメージは右肩下がりだ。
「はぁ…。何時まで抱き付いてくるつもりですか」
「ん~?ずっとかな?」モミッ
「っ!この変態親父!!!」ドォン!
いつもいつも人の胸を!!!
年頃の女の子をなんだと思ってるんだ!
「いやぁ…。今日もいい投げだったねぇ!僕を投げ飛ばせるのは雪ぐらいだよ!」
「誉められても全く嬉しくないです。取り合えず今日の夕食は自分で作ってくださいね」
「そんなひどいこと言わずに…って無視しないで!」
「知りません!私はもう部屋に行きますから!」
こんな風景が毎日続くわけだが、お弟子さん達はいつも暖かい目で見守っている。
止めてほしいと頼んだのだが…
「あれも愛情表現の1つです!諦めて受け止めてください!」
と言われてしまった。
こちらとしては迷惑極まりないのだが…。
取り合えず八雲さんの夕食は普段の半分にしておこう。
「ふぅ…。疲れた…」
「お疲れ様です。雪様」
何もない空間から声が飛んできた。
普通の人には見えない。
幽霊と言えば分かりやすいと思う。
本人曰く、悪霊や怪異の類いらしいが…。
「もう…。様はやめてっていつも言ってるのに…。メイも懲りないんだから」
「何度言われようとも変えるつもりは毛頭ございません」
彼女はメイ。
プラチナブロンドの髪に青い瞳をもった見た目10歳程度の女の子の霊。
メイには昔、命を救ってもらった。
それ以来常に一緒にいる。
私の大切な家族だ。
「それにしても今日は危なかったね」
「それについてはこちらの落ち度です。もっと気配を消しておくべきでした。申し訳ありません」
「あれはしょうがないよ。霊感の強い人でもぼんやりしか見えないはずなのに、美月さんはっきり見えてたみたいだし」
「次からは気配を遮断する魔法をかけておきます」
「いつも思うんだけど幽霊も魔法使えるんだね…」
「魔法ではなく呪術です。それに私は幽霊ではなく悪霊です」
「悪霊が人の命を救うんだね…」
「まぁ、その時の気分と私がそうしたいと感じたからです」
私の命の恩人であるメイは、それ以来ずっとそばにいてくれる。
私に危険が迫ればそのたびに助けてくれる。
うん…。
悪霊要素なしだよね。
本人は
「雪様以外助けるつもりはありません」
と言っているが私が頼めばちゃんと助けてくれる。
本当に可愛い妹だと私は思っている。
「時に雪様。あの男性についてですが」
「男性…?あぁ、八雲さん?」
「違います。昼間の方です」
「…達也さんのことですか?」
「はい。先程仰っていた美月様よりその達也様のことを注意すべきかと」
「…理由を聞いても?」
「恐らくですが達也様は私の事が見えていたと思われます」
「…え?う、嘘…でしょ?」
「嘘ではございません。気付いていながら流したという感じでした。敵意は感じなかったので今のところ問題はありませんが」
「…」
「雪様?」
「あ、ごめん。…そうだね。注意するよ」
「何かあれば溜め込まずに私にお話しください」
「うん…。ありがとう、メイ」
「いえ、それが私の役目ですから」
明日からはより気を引き締めなきゃな…。
まだ初日だというのに心労がすごい…。
私もメイに頼らないように頑張らないと。
さぁ、明日もあるし早くご飯作らなきゃ。
「雪様。八雲様はそろそろ処罰しても?」
「メイの処罰は処刑の間違いだからダメだよ…」
2ヶ月も空けてしまって申し訳ありません…。
就職試験が一応終わったのでまた少しずつ投稿していけたらなと思っています。
ただ不定期になってしまいますが頑張っていくのでたまに見つけたら読んでください。
それではまた!