蟲
「はじめまして、アーンヴァルのレクレスと申します。貴方が私のマスターですか?」
「な・・・・、」
目の前に呼び出されたサーヴァントは少女、しかも柔和な笑顔と黄色の髪の毛はとてもバーサーカーの座を持つ英霊とは考えられなかった。
「カカカカ。」
呼び出された英霊を見て間桐臓硯が笑い出した。
「っ!何が可笑しい!?」
口角を上げ黒い笑みを浮かべながら臓硯は言った。
「せっかくお主の頼みを聞き入れてそれなりの用意をしたのにのぉ、呼び出したのがこれではのぉ?やはり今回の聖杯は諦めて、遠坂の娘を調教する方が良さそうじゃ。」
「な!?」
「オマケに狂化の付加にも失敗しておるようだ、ワシはお主の実力を大きく見すぎていたようだ。精々お主はそこの小娘と一緒に戯れておるがいい。」
そう言い放ち、臓硯は地下室から出ていこうとする、その臓硯に雁夜は何か言いかけたが、、言葉を放つ前に、首に何か鋭い痛みを感じた。
「!?」
カプリ・・。
雁夜の首筋には先程召喚したサーヴァントが犬歯を突き刺し雁夜の体にナニカ?を流し込んだ。
「フン、挙げ句の果てに呼び出した英霊に殺されるか・・・、お主には似合った最後だな。」
臓硯はそう言っていたが、雁夜は違う感覚に包まれていた。
そのナニカが自身の体の中にある、刻印虫を破壊し、魔力回路に成り代わるモノになっていく、その異変に雁夜を嘲笑っていた臓硯も表情を変える。
「!?、こやつ、ワシの蟲を!?」
表情を変えた臓硯に対してレクレスは言った。
「私が最優先すべき事項は、マスター雁夜の命です。ですからマスターの体を蝕んでいた寄生虫を退治させていただきました。そして、間桐臓硯、貴方をマスターの敵と判断いたします、死んでくださいね・・・。」
死んでください、そう言って彼女は巨大な白い砲を出現させる。
LC7レーザーキャノン、その砲を両手に構え、一切の躊躇もなく、トリガーを引いた。
「CHIKARA、シュート!!」
周囲の電力根こそぎ奪った砲撃は巨大な光球を形成し、臓硯に向かって一直線に向かって行く、臓硯も体の蟲を分散させて決死の逃亡を試みるが・・・。
「!?」
光球はまるで意思が有るように蟲を残さず焼き尽くす。どこに逃げようと、最後の一匹も見逃すことなく、臓硯という存在を全て焼き尽くした。
「目標の完全消滅を確認、マスターの生命反応の低下も確認・・・、って!?マスター!!?なんでそんな魔力が無い状態なんですか!?」
「お、お前が宝具を使ったからだろう・・・ガクリ。」
雁夜は力尽きた。雁夜の目の前は真っ白になった。
「ママママ、マスターーーー!!」
雁夜は気を失う直前に思った。
(これで桜ちゃんは救えるかもな、爺は死んだし、バーサーカーも俺が死ねばその内消えるしな・・・・。)
けどそんな展開にするつもりはありませんよ?
「とりあえず、治療用ナノマシンとリンク用ナノマシンを注入して、それにしてもマスターが気を失っただけで良かった~。」