何はともあれ4話目です、どうぞ見ていってください!
~ブロリー side~
現在は午前七時、窓から太陽の畑を眺めているとどこからかコケコッコーという声が聞こえてくる。一体何の声だろうか。しかし……
「気持ちのいい朝だ。」
「おはよう、ブロリー。随分と早いのね。」
「ああ、おはよう。そういう幽香こそ早いじゃないか。」
「お花たちを見なきゃいけないもの、当然だわ。」
それだけ言って幽香は太陽の畑へ行ってしまった。
しかし、カカロットへの怨みが無くなったからだろうか、赤子の時の夢を見なかったのは初めてだ。紫と幽香には感謝しなければな。……俺も丸くなったもんだな、カカロット達が見たら何と言うだろうか。
~side out~
花たちを一通り見終わった幽香が家に戻って来ると、食卓の上には焼き魚や白米といった朝食が二人分用意されていた。
「魚なんてうちにあったかしら?ブロリー、これは貴方が作ったの?というか、料理なんて出来たの?」
「ああ、自分の食うものくらいは作れないとな。まあ、あまり手の込んだものは作れないし、今回も魚を焼いただけだがな。それと、その魚はさっき獲ってきたものだ。」
「そう、じゃあいただくわ。」
「ああ。」
短く返事をしたブロリーも自分の椅子に座って食事をとり始めた。しばらくの間はお互い無言でご飯を食べていたのだが、突然フッと何かを思い出しかのように口を開いた。
「そうだ、幽香に教えてもらいたいものがあるんだが…なんて言ったっけな。昨日の…えっと…マスター……」
「マスタースパーク?」
「そう、それだ!そのマスタースパークとかいうのを教えてほしいんだ。」
「うーん………そうね、いいわよ。でもその前に、貴方は弾幕は出せるの?」
「紫が言っていたやつか。……こういうのでいいんだろ?」
ブロリーは自分の掌を上に向け、そこに小さな緑色の気弾を作ってみせた。すると幽香も頷いた。
「ええ、問題ないわ。早速始めるわ、外に出て?」
二人は家を出て、太陽の畑と反対方向に少し歩いていった。そして、幽香の家が見えなくなったところで二人は足を止めた。
「この辺でいいかしらね。ブロリー、『習うより慣れよ』と言うし、まずは一発撃ってみましょうか。家が無い方向の空に撃ちなさいね?」
「ああ、分かった。(とは言ったもののどうすればいいのか何もわからん。)」
ブロリーが気弾を見つめて唸っていると、幽香は自分がマスタースパークを撃つときのイメージを教えた。曰く、集めたエネルギーを狙った方向にのみ放出する感じらしい。それを聞いたブロリーも頭の中でそれに近いイメージを思い浮かべて撃つことに決めた。ブロリーは手の中に気弾を作り出し、そのエネルギーを解き放つ─
「デヤッ!!」
気弾はビーム状にはならず、猛スピードで空の彼方へ飛んでいった。失敗である。それを見た幽香は呆れと驚きの混じったような顔をしていた。
「貴方、それだけで充分戦えるんじゃない?」
「いや、過去に俺は気弾で気功波に負けて死にかけた。つまり今のままでは、また同じようなことを繰り返してしまうかもしれない。それに、幽香のあの技にはとても惹かれた。だから覚えたい。」
「ふぅん、しっかりした理由があったのね。いいわ、貴方がアレを使えるようになるまで見ていてあげる。」
「助かる。(ダメだな。やはりもっと具体的にイメージするべきか?となると昨日の幽香を…)」
ブロリーは幽香がマスパを撃った時のことを思い出しながら、もう一度気を溜め始める。
(確か…こう手を前に出して…そこに力を集中させて)
ブロリーが右手を空に向けて突き出し、その手の中に緑色の気が集まっていく。
(そしてそこから一気に相手に向かって放出するっ…!)
頭の中の幽香がマスパを放つと同時に、ブロリーも手を開き集めた気を一気に放つ!すると、ブロリーの右手から緑色の光線が放たれた。
「はぁ…、私が少しやる気になった途端にこれよ。教えがいがないわね。」
「ははは、悪かったな。」
「それにしても、やっぱり貴方は凄まじいわね。初めてであの威力…魔理沙とは大違いね。」
「魔理沙?」
「私と貴方以外にもう一人マスタースパークを撃てるのがいるのよ。名前は霧雨魔理沙、人間だけど魔法使いよ。まあ、私は妖力で彼女は魔力だから貴方の使う"気"というのとは違うけど。」
「もう一人いるのか……出会ったら戦ってみたいな。」
ブロリーの顔には僅かに笑みが浮かんでいた。どうやら、狂戦士ではなくなったものの、戦闘民族としての戦闘欲は失っていなかったようだ。
それから5日が経ち、ブロリーが幻想郷に来てから1週間が経った。彼も幻想郷での暮らしに慣れてきたようで、そろそろ他の場所にも行ってみたいと思うようになった。そんな時、昔父親が言っていた言葉を思い出した。
『もし何か行動を起こしたいと思ったら、まずは情報収集が大切だ』
そしてブロリーは、その教えに則り情報収集から始めることにした。
「なあ幽香、何処か幻想郷についての情報が集まっているところとか知らないか?」
「情報ねぇ…。そういえば、紅魔館っていう所に大図書館があって、そこに大量の本が所蔵されているって聞いたことがあるわよ。行ってみたら?」
ちなみに情報源は魔理沙である。なにせ幾度となくその大図書館に本を盗…借りに行っているのだ、魔理沙と話すことのある幽香に伝わるのは必然だ。
「場所は分かるか?」
「実際に行ったことがあるわけじゃないから知らないわね。そうだ、明日は人里に行く予定なのだけど貴方もついてくる?何か知ってる人がいるかもしれないわよ?」
「それはいいな、俺も行こう。」
ブロリーはその提案に乗ることにした。紅魔館の情報が分からなくても、人里でも少しは幻想郷についての情報を得られるだろうと思ったからだ。……幽香と出会う前は似た目的で人里を目指していたことなど忘れて…。
☆
次の日、ブロリーと幽香は少し話しながら人里を目指していた。とはいえ、もう既に人里が見えるところまでは近づいてきていた。道中で「あやややや」と言いながら二人の目の前に現れた少女がいたが、幽香に何か耳打ちした途端に吹っ飛ばされていた。そして、もう少しで人里に着くというところでもう一人の少女がブロリー達の前に現れた。
「よっ、幽香!」
「あら、魔理沙じゃない。丁度いいわ。紅魔館がどこにあるか教えてくれない?」
「紅魔館か?それならあっちの湖の向こう側にある赤い館だぜ?」
そう言って魔理沙は紅魔館があるという方向に指を指した。
「私からも一ついいか?…この幽香の隣の大男は誰だ?」
「ああ、彼は一週間くらい前からうちにいる外来人で、ブロリーっていうわ。」
「そっか、よろしくなブロリー!」
「……お前が、俺と幽香以外でマスタースパークが撃てるっていう魔理沙か?」
「へぇ、アンタも撃てるのか。お察しのとおり、私がその魔理沙さんだぜ!」
「……弱い、期待外れだ。」
溜息をつき小さく呟いたブロリーだったが、どうやらその言葉は魔理沙の耳にも届いてしまったようだった。
「最近来たばっかの外来人が言ってくれるじゃんか。私よりもアンタの方が強いって言いたいのか?」
「そうだな。」
「随分とナメられたもんだな。いいか、私はそこにいる幽香にマスパの撃ち合いで勝ったんだ。私は幽香より強いんだぜ!」
「なんだと?お前が勝った?そ、それは本当か、幽香。」
「そんなこともあったわね。」
「どうだ、ビビったか!謝ればさっきのことは許してやってもいいぞ?」
「なぜ…」
「は?」
「なぜ手を抜いたんだ、幽香。俺に撃った時程度の力でもこんな娘など簡単に消し飛ばせただろう?」
「おい、アンタそりゃどういうことだ!」
「そうね、でも私は弱い子にイジワルするのは好きだけれど、無闇に他人を殺すなんてことはしないわ。」
「そういうことか、なるほど。」
「無視すんな!」
「…なんだ、うるさいな。」
「さんざん私をコケにしてくれやがって!私と勝負しろ!もちろん正面からのマスパの撃ち合いだ!」
「…はぁ。まあいいだろう。格の差というものをみせてやる。」
「はっ!そんなこと言えるのも今のうちだ、コナゴナにふっとばしてやるぜ!」
魔理沙はポケットから八卦炉という道具を取り出して構える。対するブロリーは何も持たず、ただ右手を魔理沙に向かって突き出しただけだ。それを見た魔理沙の怒りがさらに上がっていく。
「完全にキレたぜ、アンタには痛い目見てもらわないとな!」
「……」
「いくぜ、マスター……」
「……」
「スパァァァァクッ!!!」
「…マスタースパーク」
同時に放たれた二本の光線。虹色の光と緑色の光がぶつかり、衝撃波が生まれた。幸い人里には被害はない。そして、一瞬拮抗していたが、徐々に魔理沙のマスパがブロリーのマスパを押しはじめた。
「へっ!大口叩いてた割には大したことないな!」
「人が手を抜いてやれば調子に乗りやがって…。ハッ!」
「なっ…!?」
短い掛け声と共にブロリーが少し出力を上げた。すると、優勢を保っていた魔理沙のマスパはあっという間に押し返され、抗う術もなく緑色の光に呑み込まれた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「やはり幽香には到底及ばないな。」
「…………」
「ちょっと、死んでないわよね?」
「気を失ってるだけだ、ほっとけば勝手に起きるだろ。」
「そう。私はこの後人里に行くけれど、貴方はどうする?」
「紅魔館の場所はある程度知れたしそっちに向かう。…また後でな。」
「ええ。いってらっしゃい。」
幽香と別れてブロリーは一人紅魔館へ向かっていく。そして、そこで静かにブロリーの来訪を待ち望む一人の女性。そんなことなど知るはずもなく、ただただ目的のためにブロリーは進んでいった。
んん?二人はいつの間に夫婦になったのでしょうか(嘘)
魔理沙はなんか都合が良かったので出てきてもらいました!……まったく、ヤムチャしやがって…。
次回は居眠り門番さんが出てきます、では!