今回は会話と場面転換が多かったりします。
そういえば何人かの方がお気に入りや感想などをしてくれていて嬉しいです!これからも頑張って書いていきますよ〜
前置きはここまでにして……
では、ごゆっくり…。
「お嬢様、少々お話したいことが。」
「入っていいわよ。」
「失礼します。」
「それで、用件は何かしら?」
「先程美鈴が気絶した人間の男を担いできたのですが、そのとき美鈴に『手合わせをお願いしたんですが気を失っちゃったんで看てもらえませんか?』と言われまして。いかがいたしますか?」
「美鈴にではなく美鈴が…か。うん、いいわよ。私も少し興味があるし。」
「では男が目を覚ましたらまた参ります。」
「あ、咲夜!美鈴をここに呼んできてちょうだい!」
「かしこまりました。」
☆
ブロリーは美鈴によって運ばれ、現在は紅魔館のメイド長である十六夜咲夜に診られていた。
(お嬢様と美鈴が興味を示した人間…。霊夢と魔理沙以外にいたかしら?ましてやこの人間は男。)
「……」
(……うん、どうやら目立った傷は無さそう。なら暫くほっとけば勝手に起きるかしらね。…また後で様子を見に来るとして、今は仕事の方を先にやっちゃいましょう。)
「……」
(起きて勝手にどこか行かれても困るし書き置きでもしておいた方がいいわね。……これでよし。早く仕事に戻りましょう。)
咲夜は少しの間ブロリーを看ていたが、特に問題はないと判断しブロリーを残して部屋から出ていった。
「ようやく行ったか。まったく、演技というのも大変だ…。」
☆
時は少し遡り、幽香は紅魔館に向かって歩いていた。道中で会った妖精達に紅魔館への道を聞きながら進んでいたため、迷うこともなく紅魔館を見つけることが出来た。
(あれが紅魔館ね。…ほんとに真っ赤なのね、目に悪そうだわ。)
そして現在、美鈴に話しかけていた。
「貴方はここの門番かしら?」
「ええ、そうですが…どちら様でしょうか。本日は客人がきる予定はなかったはずなのですが。」
「私は風見幽香よ。それと、私は聞きたいことがあるだけよ。」
「あなたがあの風見幽香さん…。それでご用件はなんでしょうか。」
「ここにブロリー……黒髪で大きい人間の男は来なかったかしら。」
「あ、それなら確かに来ましたよ。ですが今は中で様子を見ています。」
「あら、どうして?」
「実は、そのブロリーさんに手合わせをお願いしたのですが、その際に気絶させてしまって…。」
「ふふ…、あははは!」
「え?わ、私なにか変なこと言いました?」
「ええ、そうね。なんたって私がいくら攻撃してもそれを全て生身で、しかも無傷で受けきった男よ?そう簡単にやられないわ。多分演技よ、それ。」
「!それは本当ですか!?さ、咲夜さんに伝えなければ…」
「ねえ貴方、彼に会ったら伝えてくれないかしら?夕飯作って待ってるわよ、って。」
「あ、わかりました!では、失礼します!」
サクヤサーン ゴメンナサーイ!
「じゃあ帰って夕飯でも作りましょう。…今日は何にしようかしら。」
☆
呼びに行く途中で美鈴と合流した咲夜は、美鈴の話を聞いていた。
「まったく…また面倒なことを。」
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
「あの男は私が見に行くから美鈴はお嬢様のとこに行ってきて。」
「お嬢様?私もブロリーさんのとこに行かなくていいんですか?」
「ちょうど貴方を呼びに行くところだったのよ。…それと今の話も全部正直にするのよ、いい?」
「は、はい。(目が怖いです咲夜さん…。)」
咲夜は美鈴と別れてすぐにブロリーを休ませていた部屋に向かったが、そこにブロリーの姿は無かった。
☆
騒動の原因であるブロリーは、妖精メイドを1人抱えて大きめの扉の前に立っていた。
「ここが大図書館か?」
「は、はい!」
「そうか、助かった。」
「あ、あの… 入る前に降ろしてくれませんか…。」
「ん?ああ、すまない。」
「い、いえ…。失礼します〜!」
叫びながら凄い速さで去っていく妖精メイドの後ろ姿を見送りながら、ブロリーは首をかしげた。いきなり知らない大男に捕まり道案内をさせられた妖精メイドの心情は理解出来なかったようだ。
妖精メイドの後ろ姿が見えなくなったところで、ようやくブロリーは目の前の扉に手をかけ、押し開けた。
(外から見た館の大きさだと、ここだけでかなりの場所をとるんじゃないか?まあどうでもいいか。)
大図書館の大きさに違和感を覚えたブロリーだったが、特に気にすることなく探索を始めようとした。しかし、思わぬ出来事によって妨げられた。
「よく来たわね魔理沙ぁ!今日こそは絶対に本を返してもらうわ!!火符『アグニシャイン』!」
(!いきなり攻撃してくるとはいい度胸だ。こんな火など効かないがな。というか…)
「パ、パチュリー様!?いきなりどうしたんですか!?」
「こあ、ちょっと見てきなさい。恐らく魔理s「こんな場所で火を使ったバカは誰だぁ!」…魔理沙じゃないみたい、どうしましょう。」
「どうしましょうじゃないですよ…。それにしても、男の人みたいですよ。珍しいですね。」
「うーん…。こあ、謝ってきてちょうだい。」
「い、嫌ですよぉ!ご自分で謝ってください!」
ブロリーが火を退け、話し声のする方へ行くと2人の女性がいた。1人は椅子に座って本を読んでおり、もう1人はその横に立って慌てている。どうやら何かモメているようだが、ブロリーは2人に声をかけた。
「おい。」
「ひゃあ!?」
「こあ…。」
「お前らか?こんな所で火を使ったのは。本が燃えたらどうするんだ。」
「燃えないように魔法をかけているから大丈夫よ。」
「魔法か…、便利だな。」
「それと、ごめんなさいね。いきなり攻撃なんかして。てっきりいつものコソ泥が本を盗みに来たのかと思ったのよ。」
「それはあまり気にしていないがコソ泥というのは気になるな。どんなやつだ?」
「そんなことよりも貴方が誰で何故ここに来たのか教えて欲しいのだけれど。紅魔館て貴方のような人間は見たことないわ。」
「ああ、俺はブロリー、外来人というやつだ。ここには幻想郷の情報が書かれている本を借りに来た。」
「本来貸し出しなんかしていないのだけれど…。あのコソ泥みたいに死ぬまで借りるとか言うのかしら。」
「だからそのコソ泥というのは誰だ?」
「魔理沙さんといって、白黒の服を着た魔法使いですよ。いつもいつもここの本を勝手に持ってっちゃうんです…。」
「ん?魔理沙だと?マスタースパークを撃つあの娘か?」
「貴方魔理沙の知り合いなの?怪しいわね。」
「いや、知り合いというわけではない。この館に来る前に勝負を挑まれたから返り討ちにしてやっただけだ。」
「……。こあ、すぐに幻想郷に関する本をいくつか持ってきなさい。ブロリー、貴方は今から私の友人よ。本の貸し出しも許可するわ。ただし、ちゃんと返してよね。」
「ちょっ、パチュリー様!?」
「それと、ここにもいつでも来ていいわよ。暇な時でも、何か情報が欲しい時でも歓迎するわ。」
「あ、ああ。助かる。それにしても友人か…、これで二人目だ。」
「あら、一人目は誰なのかしら?」
「幽香、風見幽香だ。」
「かなりの大物ね、ビックリだわ。」
「そうなのか?」
「パチュリー様ー、持ってきましたよー。」
「ありがとう、こあ。じゃあこの5冊は貸してあげるわ。…破いたりしないでよね?」
「気をつける。それとこの本は一週間以内に返しに来よう。えっと……」
「パチュリー・ノーレッジよ。」
「またな、パチュリー。」
「ええ、またね、ブロリー。」
「行っちゃいましたね。でも良かったんですか?パチュリー様の大事な本を。」
「構わないわ。それにきちんと返してくれそうだし。」
「なんか嬉しそうですね。友人が増えたからですかね?」
「ばっ、違うわよ!」
「顔赤いですよ〜?」
「…こあの夕食は抜きね。」
「」ピシッ
☆
無事に本を借りることが出来たブロリーが幽香の家に帰ってきた時には既に日は沈んでいた。
「あら、おかえりなさい。」
「…ただいま。」
「貴方も大分慣れてきたのね。少し前までは『ああ。』とかだったのに。」
「そんなことはいいだろう。それより腹が減ったから飯を作ろう。何がいい。」
「あ、今日は私が作ったわよ。もう準備は出来てるから早く来てちょうだい。」
「そうか、すまないな。では食べるとしよう。」
「「いただきます。」」
二人で食卓につき、お互いに今日あった出来事について話し合った。幽香は人里で売っていた美しい花や紅魔館の門番のこと、ブロリーは本を借りれたこととその際に友人が増えたこと。
こうして、ブロリーにとって楽しい食事の時間は過ぎていった。
次回あたりからブロリーが幻想郷に来てから初めての大きな出来事を動かしていこうかなーと思ってます。
では、また次回(*'-'*)ノ"