東方翠魔録   作:アホジン

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第7話 異変 ~vs幽香~

現在、異変を解決するべく4人の少女達が博麗神社に集まっていた。

"楽園の素敵な巫女"博麗霊夢、"普通の魔法使い"霧雨魔理沙、"完全で瀟洒な従者"十六夜咲夜、"半人半霊の庭師"魂魄妖夢の4人である。

咲夜と妖夢は異変を起こした側であったが、今では異変を解決する側についている。いわゆる自機組というやつだ。

そして、そんな彼女達が集まっているいる理由は言うまでもなく此度の異変についてだ。

 

「それで、今回の異変なんだけど首謀者はやっぱり幽香よね」

 

「状況から見ればそれは確実だと思います」

 

「そうよね…。幽香以外にもその協力者がいるだろうし、4人じゃ心許ないかしら?」

 

「お嬢様も今回の異変解決は今までで一番厳しいって仰ってたわ」

 

「あのレミリアがねぇ…。やっぱり他のやつにも声を……かける必要も無かったわね」

 

「「「…?」」」

 

「おはようございまーす!!」

 

「おっ、早苗じゃんか!おはようだぜ!」

 

「はいっ!おはようございます魔理沙さん!それに、咲夜さんと妖夢さんも来てたんですね!」

 

「おはよう、早苗」

 

「おはようございます」

 

「はいはい、そんなのいいから。ちゃっちゃとやるわよ。んで、今回の異変の原因は幽香だとしても単独というのは考えにくいわね」

 

「そうね、お嬢様も"あいつら"と言っていたし。誰を指していたのかは分からないけれど、幽香が組むという以上それなりに力を持ったやつというのは確かね」

 

「けど幽香さんのお眼鏡にかなう程となると絞られてくるんじゃないでしょうか?それこそ私達の知ってる方かもしれません」

 

「でも幽香と仲良さそうなやつが思いつかないんだよなぁ」

 

「おおまかな方針としては、幽香以外は基本二人一組で交代しながら出来るだけ温存しましょう。幽香の時はそんな悠長なこと言ってられないと思うけど」

 

「私も霊夢さんの案でいいと思います」

 

「けどさー、そうすると1人余るぜ?」

 

「あー、そうだったわね。じゃあペアはローテーションで組みましょう」

 

「オッケーだぜ!」

 

その後も霊夢達の作戦会議は続き、細かい作戦などが決まっていった。最終的には、今日はそれぞれ準備を済ませて翌日太陽が昇った後に出発となった。

その際霊夢達を影から覗き見ているものがいたが、誰一人として気づくことは出来なかった。

 

(出発は明日の朝、っと。あとはこれを幽香さんに伝えれば任務完了ですね!あの人が山に来た時は驚きましたけど、こんな簡単なことでスクープ写真を安心して撮らせてもらえるんですから感謝しないといけません!)

 

 

 

 

翌朝、5人の少女達が再び博麗神社に集まっていた。しかし、その表情は昨日よりも引き締まったものとなっており、並の人間なら卒倒してしまうだろう気迫を放っていた。

 

「みんな準備はいいわね?」

 

「もちろん!」

 

「ええ」

 

「大丈夫です!」

 

「いつでもいけます」

 

「そう…行くわよッ!」

 

霊夢の掛け声と同時に一斉に飛び立つ少女達。目指すは風見幽香の家。巨大なヒマワリ達の上空を飛ぶ少女達。誰一人として口を開く者はいなかった。

約1時間かけ末霊夢達は幽香の家に着いたのだが、そこに幽香どころか誰の気配も無かった。

 

「協力者も誰もいない?なぜ?もしかしてたまたま外出中とか?いやでもそれはありえないし………」

 

「おーい、みんなー!こっち来てくれー!」

 

霊夢がブツブツと独り言をいっている最中、いつの間にか家の中に侵入していた魔理沙が4人を呼び寄せた。そして、魔理沙はみんなに1枚の紙を見せた。

 

「なるほど、『ヒマワリの下で待ってるわ』ね。でも今はそこら中ヒマワリだらけなんだけど…。困ったわね」

 

「そういえば、さっき飛んでた時に一際大きいヒマワリが一つあったわよ。ね、妖夢?」

 

「そうでしたね、多分ここから少し東の方にあったと思います」

 

「お手柄ね咲夜、妖夢。じゃあ早速向かいましょう……って、何見てんのよ早苗」

 

「あっ、いえ。窓の外に男物の服が干してあるので気になっただけです」

 

「「「「…は?」」」」

 

「お、男物?なんでそんなものが幽香の家に「あぁっ!」…今度は何よ、魔理沙」

 

「わ、忘れてたんだぜ!この前幽香に会ったとき、一人の男と仲良さそうだったんだ。もしかしたらあいつが…」

 

「協力者ってことですか?でも男で強力な妖怪なんて知りませんよ?その線は薄いと思うんですけど」

 

「そう決めつけるのは早いわよ?必ずしも相手が私たちの知ってるやつってわけじゃないんだから。」

 

「そうよ。ここで色々考えても意味無いわ。まずは幽香のところへ行きましょう」

 

一方霊夢達が再び移動を始めた頃、幽香達は……

 

「そろそろかしら」

 

「そうだな、そろそろ来るだろう」

 

「霊夢達と戦うのなんかいつぶりかしら。フフ、楽しみだわ」

 

「幽香さん、笑顔が怖いです…。ところでこちらの大きい男の人は誰なんですか?」

 

「ブロリーよ。少し前からウチにいる外来人」

 

「ブロリーさんですね、私は文々。新聞の記者をやっている射命丸文です!よろしくおねがいしますね!」

 

「ああ。そうだ、幽香は今日の夕食は何か食いたいものはあるか?」

 

「そうね…、今回は協力もしてもらったし文も入れて3人で鍋でもしましょうか」

 

「えっ、いいんですか!まさか幽香さん程の方に食事に誘っていただけるとは…!」

 

「ならば終わったら人里に買い出しに行かなければだな」

 

緊張感など全く無く、夕飯の相談なんかしていた。その場に指摘する者がいないため、霊夢達が向かってきていることなど既に頭には無かった。

 

 

 

 

特に何の問題も無く霊夢達は一際巨大なヒマワリのそびえ立つ草原の近くの森まで進んでいた。てっきり途中で幽香の協力者が仕掛けてくるものだと警戒していたのだが、予想とは裏腹に何も襲っては来なかった。そして、警戒は解かずに歩を進め森を抜けると、予想だにしなかった人物が目に入ってきた。

 

「…え?幽香?」

 

「あら、いらっしゃい」

 

霊夢達はとても戸惑っていた。なにせこの異変のラスボスだと思っていた幽香がいきなり現れたのだ。5人は幽香に聞こえない程度の声で話し始めた。

 

「ど、どういうことでしょう!?」

 

「な、なんで幽香がいきなり出てくんだ!?」

 

「もしかして単独で異変を起こしたのかしら?お嬢様の言っていた"ら"というのは戦闘以外の協力者という事だったのかしら」

 

「でも幽香さんだけとなると理由が分かりませんね」

 

「何をコソコソと話しているのかしら?早く戦いましょう?」

 

「その前に一ついい?幽香、どうして異変を起こしたの?」

 

「教えてほしい?」

 

「……コクリ」

 

「でもダメよ。聞きたいのなら私に勝ちなさい」

 

「…魔理沙、咲夜、援護おねがい。早苗と妖夢は念のため待機」

 

「準備は出来たかしら?」

 

「ええ、始めるわよ…!」

 

霊夢達の予想していた展開とは違っていたものの、いよいよ戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

「とうとう始まりましたね。後はひたすらシャッターを切るだけです!」

 

「写真を撮るのはいいが流れ弾には気をつけておけ」

 

「幻想郷最速を売りにしてますからね、この距離なら当たりませんよ。…ところで、幽香さんしか戦わないんですか?そうなると勝っても負けてもこの勝負だけで終わってしまいますよ?」

 

「何を言ってるんだ、幽香の後は俺が戦うに決まっているだろ。そうじゃないと俺がここにいる意味が無い」

 

「…え?えぇっ!?」

 

文はこれまでに無い程の衝撃を受けていた。目の前にいる男は何を言い出すんだ、と。外から来た者が異変を起こしたことは過去にあるが、当事者たちは人間ではなかった。しかし目の前の男は、本人曰くサイヤ人という種族らしいが人間は人間。

だが問題はそこだけではない。重要なのは幽香の後に戦うということ、即ち外来人でありながら大妖怪、風見幽香より強いということ。

あまりにも信じられないことを聞き、混乱した文が言葉に出来たのはたった一言。

 

「あ、後で取材させてもらっていいですか…?」

 

 

 

 

大量に飛び交う札やナイフの形を弾幕を幽香はヒラヒラと華麗に躱していく。鮮やかな緑色の髪を靡かせながら優雅に舞う姿は、見ているもの全てを惹きつける。避けながらも放たれる幽香の色とりどりの幻想的な弾幕がさらに周りを魅了する。

 

「美しい…」

 

「とても綺麗です…」

 

待機している妖夢と早苗も、敵ながら幽香の姿に魅せられていた。自分ではあんな戦いは出来ないだろう、と悔しさよりも尊敬の眼差しを向けていた。

2人が戦いをじっと観ていると、戦況に変化が訪れた。

 

「魔符『ミルキーウェイ』!!」

 

魔理沙のスペルカードと共に大小様々な星型の弾幕が放たれる。流石の幽香も放つ弾幕を減らし回避に力を入れ始めた。それでもなお幽香は微笑み、弾幕の隙間を縫って優雅に飛び続ける。

もちろん霊夢と咲夜が何もしないわけがない。霊夢は魔理沙のスペカに合わせて弾幕を放ち幽香の避ける方向を制限していく。徐々に霊夢達が優勢になっていくが、幽香もただやられるだけではない。

 

「花符『幻想郷の開花』」

 

宣言されたスペカはまさに幽香の存在を象徴していた。小さい無数の弾幕が花を象り拡散し、大きな花型の弾幕が対象を狙って飛んでいく。さらに、どの弾幕も美しさを損なうことなく調和し、相対する相手を幻想の世界へと引きずり込んでいく。

 

「やっぱり幽香は強いわね。魔理沙のスペカでも全く当たる気配はしなかったし…ッ!」

 

「よそ見してたら…危ないわよ…霊夢!」

 

「ふん、あんたもギリギリじゃない咲夜」

 

「そんなことないわ。それより、そろそろ仕掛けようじゃない」

 

「そうね、さっさと終わらせるわ!『夢想天生』!」

 

「メイド秘技『殺人ドール』!」

 

「!!これはちょっと厳しいわね…」

 

複数の陰陽玉から射出される大量の札に、それぞれの方向に向かって飛び交う無数のナイフ。二人のスペカによる弾幕が少しずつ確実に幽香を追い詰めていく。避けきれなかったナイフが、札が頬や肩などを掠めていく。幽香が次のスペカを宣言しようとカードを掲げ、霊夢と咲夜が弾幕を放ちながらも攻撃に備えて体勢を整える。そして、幽香が二枚目のスペカを宣言……

 

「幻想『花鳥風月、嘯風弄月』」

 

その時、幽香は2人を迎え撃つために意識を集中させた。いや、させてしまった。今まで幾度となく異変を解決してきた人物がその隙を見逃すはずはない。

 

「恋符『マスタースパーク』!!」

 

「なっ…!」

 

意識の外、死角から放たれた魔理沙の砲撃を避ける術は幽香には無かった。マスタースパークをまともにくらい、幽香は地に落ちた。霊夢達の勝利である。

 

「よくやったわ魔理沙!」

 

「助かったわ」

 

「いやいや、2人が幽香の注意を引き付けてくれたおかげだぜ」

 

「あはは…私達はそんなつもりじゃなかったんだけどね」

 

「霊夢さーん!魔理沙さーん!咲夜さーん!」

 

「やりましたね!魔理沙さんも凄かったです!前より威力上がってるんじゃないですか?」

 

「最近はリベンジのために鍛えてるからな、当然だぜ!」

 

「さて…。じゃあ幽香に異変を起こした理由聞いてさっさとヒマワリを無くさせましょ」

 

5人は地面で倒れて気絶している幽香のもとへ行き、ヒマワリの木の下まで運んだ。そして、ヒマワリに背を預ける形で座らせて肩をゆすって幽香を起こす。

 

「幽香、幽香〜。起きなさーい」

 

「れ、霊夢さんもう少し優しく…」

 

「起きてもらわなきゃ困るもの。幽香〜」

 

「ん…んぅ」

 

「あ、起きた。」

 

「幽香、早速で悪いけど話聞かせてもらうわよ」

 

「はぁ、見事にしてやられたわね。まぁいいわ、この異変を起こした理由だったわね。それは頼まれたからよ、だからまだヒマワリは戻せないわ」

 

「は?頼まれた?誰に」

 

「ふふ、すぐ分かるわ」

 

5人は驚きを隠せなかった。あの風見幽香が誰かに()()()()異変を起こしたというのだ。さらに、異変は()()解決していないという。つまり幽香を倒して終わりではなかった。

そんな霊夢達の近くに、見知った少女が現れた。

 

「あややや、大丈夫ですか幽香さん」

 

「文さん!?」

 

「あんたが首謀者ってわけ?信じられないわね」

 

「ち、違いますよ!わ、私は幽香さん達に許可をもらって新聞用の写真を撮ってただけですよ!今も『幽香を上まで連れてこい』って言われただけですし!」

 

「ほんとに?」

 

「ほ、本当ですからお祓い棒を向けないでください!咲夜さんもナイフ構えないでぇ!!」

 

「ま、そうよね。文がお願いしたところで幽香が応じるとは考えにくいし」

 

「で、私の最後の見せ場はもちろん撮ってあるよな?」

 

「はい、バッチリですよ!」

 

「それなら問題ないぜ!」

 

「魔理沙さん…」

 

「あんたねぇ…」

 

「はっ!そうでした、幽香さんを上に連れていかなければいけないんでした!」

 

「頼むわね」

 

「次の相手は俺だ。」

 

幽香を抱えて飛ぶ文を見ていた霊夢達だったが、背後から声をかけられて一斉に振り向いた。そこにいた人物は魔理沙と咲夜の知っている人物だった。

 

「「ブロリー!?」」

 

「やっぱりお前か…」

 

「魔理沙達の知り合いですか?」

 

「まあ、一応ね」

 

「しかし、男の人とは…。さっきの服の持ち主、ということでいいんでしょうね」

 

「何をグダグダと話している。さぁ来い!ここがお前達の死に場所だぁ!!」




戦闘シーンショボくてほんと申し訳ないです(´;ω;`)
次回もあまり期待しないでください(震え声)

今回のスペカの参考元
霊夢…永夜抄
魔理沙…永夜抄
咲夜…紅魔郷
幽香…花映塚

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