模型戦機プラモファイターズ   作:事務員

1 / 8
お久しぶりです。今回久々に小説書きとしての熱が出てきたんで、シナリオを一通りリメイクして書き上げました。
多少は良くなっているといいかな。


第一話

 

 「懐かしいなぁ。まだあるなんて思わなかったよ」

 

 私は母に言われたお使いをしながら6年ぶりに訪れたこの町を懐かしい気持ちで歩き回っていた。

 久しぶりに訪れたこの場所はいろいろと変わったところもあったが、いまだに変わらないところも多く残っていた。この小さなコロッケ屋もそうだ。

 私は懐かしい思いで狭い店内を眺めていた。ここで彼とお小遣いで買ったコロッケを半分にして食べたっけ。

 

 そういえば彼はどうしているんだろう。今でも元気なのだろうか。そう思っているとふと、頭の中に昔の出来事がよみがえってきた。あの時、私は彼に向かって涙を堪えながら笑顔で言ったのだ。

 

 『もし、また直接逢えたら知った遊びをいろいろ教えてね』

 

 あの約束、覚えているのかな。なにか興味のあるものでもあるのかな……。もしなかったら私と一緒に……。

 

 「うん、頑張って誘ってみよう! そうと決まれば…」

 

 私はそう言って意気揚揚と買い物を済ませると家に急いで戻った。彼にぴったりのものを探しに……。

 

 

 第一話 ガンダム、作るよ

 

 西暦20XX年。異星人の襲来も第三次大戦もなく、適度に平和な世の中。舞台は小さな都市から始まった。

 俺、広瀬明人は高校新学期も始まって間もない中、

 

(いったいどうしたらいいんだ……)

 

 そう思いながら机の上に顎に手をついて、教室の周囲をぼんやりと見渡していた。入学式から数日たった今日までに、教室内ではそれぞれ仲間が出来上りお互いにいろいろ話していた。

 しかし俺はいまだにどのグループにも馴染むことができないでいた。俺はため息をつく。

 俺が仲間を作れない理由。それはあることを持っていなかったからだ。

 

(無趣味がここにきて仇となるとは……)

 

 そう。今まで俺は特にこれといった趣味を持たずに生きていた。せいぜいアーケードゲームをよくやっていたぐらいか。それも長くやったのはまったくない。

 そのためか、自己紹介をしたときにもこれといった印象を持たれず、数日たった今も一人ぼっちで過ごしているのだった。

 

「はぁ、本当、なにか趣味でも見つけようかな。けど特になぁ…」

 

そう呟くと同時、授業開始を知らせるチャイムが教室に鳴り響いた。俺はすぐに教科書やノートを机の中から取り出す。それぞれ仲間と話していたクラスの奴らもそれぞれの机に着席していく。

そして手前のドアが開かれた。入ってきたのは俺たちの担任で、国語の担任でもある久世博子先生だ。

 

「やぁ、お前ら集まっているか」

 

大和撫子らしいきれいな顔つきときれいなロングストレートの黒髪に、同姓・異性から見ても振り向くような美しいプロポーション。そんな彼女は変に着飾ったりせず、白いシャツの上から黒いジャケットを羽織、ブルージーンズをはいている。そんな彼女は異性・同性問わずに多く慕われている。

先生はそのまま凛々しく歩いて教壇の上に立つ。そのまま授業にいくかと思っていたが、彼女は笑みを浮かべながらこんなことを言うのだった。

 

「さて、突然だがこのクラスに一人クラスメイトが増える。向こうの事情で、入学式には参加できず数日遅れでこちらに入学することになった。よし、入ってこい!」

 

 先生がそう言うとガラッと音を立てて教壇側のドアが開かれた。そこにたっていたのは一人の女子だった。

 ぱっちりとした二重の瞳にきれいよりもかわいいと表現した方がいい顔。それに会わせたかのように髪も薄茶色のツインテールにしており彼女の可愛らしさをより引き立てていた。

 身長は150cmほどだろうか。一般的な高校生よりかは低めであり一見して中学一年にも見えた。しかしある一部分はこう例えられるだろう。

 『すいか』と。どことは言うまい。

 

 それにしても彼女の姿を見ると懐かしい気持ちになる。何でだ?

 そう考え、ふと教壇を見ると彼女はすでにそこにたっていた。そして背後のホワイトボードにきれいな字で自分の名前を書いた。

 

『萩原 愛』

 

 そう書いた彼女はこちらを向くと可愛らしい笑みを浮かべながら言った。

 

「初めまして。萩原 愛と言います。家の都合で数日遅れましたが、これからどうぞよろしくお願いいたします」

 

 その瞬間、俺は彼女のことを思い出した。

 愛!! もしかしてあいつは!! おれは驚いた顔で彼女を見る。彼女は俺の視線に気づいたのかこちらを向いた。そして彼女は。

 

「これからよろしくね、アキちゃん!」

 

さっきよりも数倍可愛らしい笑みを浮かべながら言ったのだった。

 

 

 萩原愛。俺の幼馴染みであり、小学生の時まで一緒に遊んでいた中だった。小学校卒業と同時に引っ越ししたため、あまり連絡が取れていなかったが……。

 突然再開した幼馴染。この再開が俺の人生を大きく変えることになるとは、このときの俺は思っても見なかった。

 

 

「それにしてもアキちゃん、本当かっこよくなったよ」

 

「そんなことないさ。こっちこそ、まさか愛がこんなにかわいくなっているなんてな」

 

放課後。もともと部活に所属していない俺と、まだ部活を決めていない愛は家に帰ることにした。あの後、クラスの奴らからいろいろ聞かれたのには正直参った。愛もいろいろ質問攻めを受けており、俺たちは放課後になるとそそくさと逃げるように教室を出て行った。

 帰宅途中、久々に会えた懐かしさからか、俺たちは昔の思い出や向こうでの生活について話しまくっていた。

 それにしても愛は本当にかわいくなった。夕日に照らされた横顔は優しげな雰囲気を漂わせるし、小柄な体格は俺の好みでもあった。

 そういえば愛はどんな趣味があるんだろう。ふと俺はそう思い愛に質問した。

 

「そういえば愛はなにか趣味はあるか?」

 

 その言葉に彼女は満面の笑みを浮かべながら言った。

 

「うん、あるよ。そうだ、せっかくだし家に上がっていってよ。見せてあげるからさ」

 

 愛が熱中しているものか。きっと女の子らしいかわいいものでも集めているのかな。

 そんな予想をしていた俺だったが、その予想は物の見事に外れることとなる。

 

 愛の家は小学校の時と同じ俺のとなりにある家だった。引越し業者が3日前から来ていたのはそういったわけか。

 後で聞いた話だが、俺を驚かせるため両親と愛の家族は引っ越ししてきたことを秘密にしていたらしい。道理で帰ってきたときにやにやしていたはずだ。

 そして愛理は家に入るないなや俺の手をつかんで部屋へと案内する。愛の家に入って二階、そこの一室が愛の部屋だった。たしか昔は物置になっていたはずだ。

 愛は部屋の扉を開けると笑顔で俺を呼んだ。

 

 「さあここだよ。入って!」

 

 その言葉に俺は女の子の部屋ということでドキドキしていた。いったいどんな部屋になっているんだ!

 

「ああ、今入るから」

 

そんなことは顔には出さず、落ち着いて俺は部屋の中へと入る。そこに広がっていたのは……。

 

「なんじゃこりゃ・・・」

 

一言で言えば模型の山だった。広目のフローリングの部屋におかれた木製の棚。そこには様々なプラモデルが飾っており、さらに隣はフィギュアと言うものだろうか。様々なポーズをとった女の子の人形が占拠していた。

そして窓際には様々な工具が置かれた机があり、その近くには組み立て途中なのであろうプラモデルが置かれている。

まるで男の部屋とでも言うべきか。信じられるか。この部屋、こんなかわいい女の子の部屋なんだぜ。

 

「愛、一つ聞くぞ。本当にここがお前の部屋か?」

 

 俺はちょっと緊張しながら聞いてみた。その返答はやはり予想通りだった。

 

「そうだよ。ここが私の部屋。ここに飾っているの、全部私が作ったんだよ」

 

ああ、やはりか。俺は少し驚いたが、ただこうなる要因を思い出してもいた。

 

「そういえばお前、小物とか作るのが趣味だったな」

 

 彼女は小学生時代、ビーズアクセサリや簡単な小物をよく作っていた。それは手際がよく、ほかの女子たちから頼まれるほどでもあったが…。それでもどうしてこんなふうになったんだ?

 

「えへへ。けど知ってもらいたかったんだ。アキちゃんには隠し事したくなかったから。それにね」

 

そう言って愛は棚にあるまだ開けてもいないであろうプラモデルの箱を取り出すとわくわくしながら俺の前に持ってきた。そしてこう言った。

 

「ねぇ、一緒にプラモビルダーズを目指してみない?」

 

「・・・はぁ?」

 

その言葉に間の抜けた声を出してしまう。この出会い。それが俺がプラモビルダーズに向かう第一歩であった。

 

 

 

 

 

「つまりだ。愛は俺に仲間になってほしい訳だ」

 

「うん。向こうの学校ではおんなじ趣味をもっている人がいなかったから」

 

 会話のあと、俺と愛はベッドの横に座り愛の母親が持ってきた飲み物を飲みながら話をしていた。

 愛が言うには向こうの学校では同じ趣味を持つ女の子がおらず、もっぱら一人でプラモデルなんかを作っていたらしい。技術なんかはネットや書籍を買って勉強したそうだ。

 

 「こっちにくるときにアキちゃん、昔から興味を持つものが少ないことを思い出して。それならと思って」

 

そう言って愛はとなりにあったプラモデルの箱を俺に渡した。

 

「それにアキちゃんもこのまま何もしないで高校生活を送るのも嫌でしょ。だったら私と一緒にプラモビルダーズを目指そうよ」

 

そんな愛の言葉に俺は少し人生を振り返ってみた。たしかにこれまで趣味というようなものは何もなかった。ある程度の勉強をしつつ、やっていたのはどれも暇つぶしと呼ばれるものばかりだった。ふと俺は思った。このままでいいのだろうか。

 俺はクラスでグループになっているやつらを思い出した。あの楽しい雰囲気。それを愛と一緒に味わえるのか。そう思った瞬間俺は答えた。

 

「そうだな。せっかくだしやってみるかっ!」

 

 その言葉に愛はやわらかい笑みを浮かべた。

 そして俺は人生で初めてプラモデルを作ることになったのだ。

 

 

 

 

 

「じゃあ道具は用意できた」

 

「ああ。ニッパー、やすり、デザインナイフ。とりあえずこんなところか」

 

俺と愛は床に新聞紙を引き、そこに愛が用意してくれた工具類をならべていく。

 

「うん。これが基本工具になるから。あとはおいおい知っていけばいいから」

 

「分かった。それじゃ始めるか」

 

そう言って俺は愛から渡されたプラモデル『HG1/144 ビルドストライクガンダム』を組み立てるのだった。

 

 

 

「そうそう、ランナーからパーツを外すときはゲート、ランナーとパーツの間の部分をくっ付けている部分を少し残して切ってね。その後ゲートの残りにニッパーを水平に当てて切るんだよ」

 

 俺は愛に言われたとおりにニッパーでランナーからパーツをはずしていく。

 

 「よっと。結構きれるもんだな」

 

 「うん、いい感じ。あとは残った部分をデザインナイフで削ってね。これをゲート処理って言うんだ」

 

 俺は愛の言葉に従いデザインナイフで残っているでっぱりを削っていく。

 

 「へぇ。なるほどな。後がほとんど残ってない」

 

 「後はパーツ同士をはめ合わせて組み立てていくんだ。ちなみにガンプラはスナップフィット方式を採用していて接着剤いらずなんだ」

 

 確かにパーツをくっつけるときちんと合わさる。しかもきちんとはまり抜けなくなっていた。

 

 「本当だ。きれいに合わさってる」

 

 「ただはめ間違えるとはずすのも大変だから注意してね」

 

 しかし数分後。俺がパーツを組み立てているとパーツが変な感じではまっていしまった。

 

 「やっちった……」

 

 「ちょっと見せて…。あちゃあ、パーツを間違えているね」

 

 愛がそう言ってパーツのほうを指さす。

 

 「まじかよ。愛が言ったそばからこれか」

 

 「ほら、気をつけないと。でも大丈夫。こういった時はパーツとの隙間にデザインナイフの刃先をいれて後はてこの原理を使えばっと」

 

 そう言って愛は手慣れた様子でパカッとパーツを外した。

 

 「おう、簡単に取れた」

 

 「それとポリキャップを間違えてはめた場合、ポリキャップが変形している場合があるからその場合はデザインナイフで少し削ると元通りだよ」

 

 

 「一通り組み合わさったがここにシールを貼るように指示されているな」

 

 「うん。この場合はまずシールを貼るところを軽く拭いて汚れを落として、それから張らないとだめだよ。後直接シールを素手で持ってはだめ。ピンセットなんかで持って貼り付けないとだめだよ」

 

 

 

 そんなこんなで2時間たっただろうか。いろいろ苦心をしたがそこにはようやく完成したガンダムビルドストライクの姿があった。俺は体のコリをとるため背伸びをする。

 

 「できた…。やっとできた…」

 

 そして愛はビルドストライクを手に取りまじまじと見る。

 

 「どれどれ……うん、いい感じ。ちゃんとゲート処理も出来てるしきれいにパーツも合わさってる。初めてなのにすごいよ」

 

 愛はうれしそうにガンダムを手に持ちながら言った。

 

 「なに。愛の教え方がうまかったからだよ。そうでなかったらここまでできないさ」

 

 本当に愛の教えはすごくうまかった。どれも的確でわかりやすい。ある意味では教師に一番向いているかも知れなかった。

 

 「ありがとう。それにしてもこれならBPSで戦えるかもしれないよ」

 

 愛が謎の単語を口にする。

 

 「BPS? なんだそれ?」

 

 「それはまた明日説明するよ。それじゃあそろそろ片付けようか。もういい時間だし」

 

 俺は壁に掛けられた時計を見る。7時半と時計は示している。確かにいい時間である。

 

 「そうだな」

 

 そうして俺と愛は部屋を片付けることにした。それにしても愛の教え方は本当にうまい。それだけプラモ作りが好きなんだな。

 その後俺は愛の母親が作った夕飯をご馳走になり家路に着く。そういえば明日ガンダムをもってくるように愛に言われたな。いったいどうするんだろう。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。