模型戦機プラモファイターズ   作:事務員

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第二話パートA

 第二話 ガンダム、BPSの大地に立つ

 

 次の日の放課後。授業が終わったその足で、俺と愛はとある場所に来ていた。そこは平屋屋根の模型店だ。1階建ての店とは対照的に、周囲には4・5階建てのビルに囲まれている。UVカットを施されたガラス張りの正面玄関には多くのプラモデルがにぎやかに飾られている。そして広告を出しているスペースには最新のプラモの紹介などを載せているチラシが張り出さていていた。

 そして玄関前にある立て看板にはこの店の名前が書かれていた。

 

 『模型店 富良野』

 

 「ここがその場所か?」

 

 俺はこれを指差して言った。その言葉に愛はうなづいた。

 

 「うん。BPSを置いてある店でここが一番近かったんだ。ちょうど模型店も兼ねてるしぴったりだったよ」

 

 どうやらここにBPSというものが置いてあるらしい。どうやらBPSには模型がなにか関係しているようだ。

 それにしても一体どんなものなんだろう。学校のときに聞いても秘密だといって教えてくれなかったし。家で調べるのも禁止という徹底ぶりだった。

 

 「まぁいいか。とりあえず入るとしよう」

 

 俺は期待半分、不安半分といった感じで、愛と共に店内へと足を踏み入れた。

 店に入ると入り口前に設置されたパソコンで管理するタイプのレジが目につく。そして周囲には様々な種類のプラモデルが棚にぎっしりと、所狭しと並んでいた。

 こう説明すると見栄えが悪いと思われがちだが、決して見栄えが悪いわけではない。棚に積まれているプラモデルは種類ごとにきっちりと分けられており、また、道具も種類ごとにしっかりと分けられている。店内も明るく清潔感があり、それは一種の機能美を表していると俺は感じた。

 

 「いらっしゃいませー。あれ? 初めて見る顔ね?」

 

 さて俺が店内をじっくりと眺めていると、ちょうど品だしをしていたと思われる女性店員から声をかけられた。20代前半か。やや童顔のかわいらしい顔にポニーテールに縛った髪。動きやすさを重視しているのか、ジーパンのパンツスタイルとTシャツ。その上から店のマークが着けてあるエプロンを掛けていた。

 

 「あ、はじめまして。ここにBPSが置いてあると聞いて来たのですが」

 

 店員さんからの質問に、愛が理由を伝えた。すると店員は待っていたかのように、うれしそうに笑顔で話しかけた。

 

 「そうなんだ。あなたたちもBPSをやるのね。少し待ってね。準備するから」

 

 そういうと彼女は店の奥に消えていった。俺は彼女が見えなくなるのを確認すると、愛に訪ねた。

 

 「準備が必要って。一体何なんだBPSって?」

 

 その言葉に愛はフフフと笑みをこぼしながら言った。

 

 「ふふ、もうすぐわかるよ」

 

 

 そして数分後。俺たちが店内のプラモデルを見学していると、店の奥から先ほどの店員が戻ってきた。準備をしていた言う事だが特に何かを持ってきたようではない。

 

 「用意が出来たわ。さぁ、行きましょう」

 

 そう言って彼女は俺たちを店の奥へと案内する。俺と愛はわかりました、と言い誘導に従おうとしる。その前に店員さんがなにやら思い出したらしく、俺たちのほうを振り返った。そして……

 

 「そういえば自己紹介がまだだったね。私の名前は富良野 美羽(ふらの みう) この店の店長よ」

 

 そう満面の笑みで答えるのだった。

 

 

 店長、富良野さんの後をついて店の奥に入る。てっきりこじんまりとした倉庫かと思ったそこにはとんでもない光景があった。

 

 「なんだ…こりゃ…」

 

 車の整備工場のように広々とした空間。そこには以前テレビで見たパイロットの訓練で使うような本格的なフライトシミュレーターのようなものが10台ほど置かれていた。どれも巨大な複数のアームの上に人一人が入れる箱のような構成をしている。

 

 「これはとんでもないな。これがBPS…」

 

 「そう、これがバーチャルプラモシミュレーター。略してBPSだよ」

 

 俺の言葉にそう愛は答えた。なるほど、これがBPSか。しかしこの巨大な機械で一体どういうことをするんだ。

 

 「美羽さん、これで何をするんですか? シミュレーターってことは何かしら体験できるということだと思いますが?」

 

 俺が美羽さんにそう尋ねると、彼女は何か気づいたように手を軽く叩くとこう言った。

 

 「そう言う風に言う事は君、初心者みたいね。そうね、まずあなたのプラモデルを出してもらえるかしら」

 

 「わかりました」

 

 そう言って俺は持ってきた学生かばんから昨日組み立てたガンダムビルドストライクを取り出す。美羽さんはそれを受け取るとまじまじと眺める。

 

 「なかなかいい出来ね。それじゃそれをこの機械に通してくれる。その隣にある機械で操作するから」

 

 そう言って美羽さんは近くにある機械を指差した。そこには大きめの冷蔵庫ぐらいの大きさだろうか。それぐらい大きい機械が置いてあった。その機械の中央はシャッターらしきものが下りていた。

 その隣にはタッチパネル式のモニターがあり、ガイダンスが表示されていた。

 パネルにはスキャンを開始しますかと表示されていた。俺は『はい』と押す。すると隣にある機械のシャッターが開きモニターに、

 

 『プラモデルを入れてください』

 

 と表示された。

 

 「その中にプラモデルを入れて開始をタッチしてね」

 

 「わかりました」

 

 俺はそう言ってガンダムを入れた。そして開始をタッチするとモニターに、

 

 『スキャンを開始します。しばらくお待ちください』

 

 と表示された。

 

 それを確認した美羽さんは俺たちのほうを向くと説明を始めた。

 

 「スキャンには数分ほどかかるから簡単にBPSを説明しましょう。正式名称、バーチャルプラモシュミレーション。プラモデルを特殊な3Dスキャン装置を使って立体モデリングでデータ化。それを使って仮想空間で戦わせるものよ。何よりの特徴は自分が作ったプラモが自分の手で操作できること。しかもプラモの出来が性能にも直結するからなかなか侮れないわよ。何か質問は?」

 

 「すみません。プラモの出来が性能に左右されるってことは、下手なプラモはすごく弱いんですか?」

 

 俺の質問に美羽さんは少し考えて言った。

 

 「うーん。その質問にははいとも、いいえとも言えるわね。あくまでプラモの出来は評価の目安にしかならないし、最終的には操縦者の腕が肝心だからね。BPSの大会には素組みで優勝する人も居たほどだから」

 

 「なるほど。いろいろ奥が深いんですねBPSは」

 

 俺が感心したその時スキャンが完了したと音声ガイダンスがあった。シャッターが開き、プラモデルをお取りくださいと表示される。俺がガンダムを受け取ると立体モデルを表示しますと言われ画面が移り変わった。そこには手元にあるガンプラとまるで同じようなビルドストライク1が映し出されている。

 

 「これはすごい。手元のガンダムと同じのだ」

 

 そう俺が感嘆の声を上げると美羽さんがタッチパネルを操作しながら説明をした。

 

 「隣に表示されているのがコンピューターが算出した君のプラモデータ。プラモの出来が表示されるから」

 

 確かにそこにはいろいろなステータスがグラフで表示されていた。それにしてもあまり数値は高くない。高くても100%中40%ほどだ。

 

 「素組みだとこんなものよ。それでも普通に比べてばかなり高いほうよ。それじゃこれにモーションデータを入れましょう。少し待ってね」

 

 そう言って美羽さんはコンピューターを操作し始める。すると画面のビルドストライクがさまざまな動作をするのが映し出された。

 

 「とりあえず純正のビルドストライク用モーションデータを入れておいたわ。これで一通りの動きが出来るはずよ。さて、これでよしっと」

 

 そう言って美羽さんが操作を完了する。すると機械から何かUSBメモリらしきものが出てきた。それを取り出すとはい、っといって俺に渡してきた。

 

 「これがBPSに関する情報が登録された専用キーよ。中には作ったプラモデルのデータやモーションデータなんかが入っているわ。これを筐体の差込口に入れれば、データを読み込んでBPSに反映させられるわ」

 

 「ありがとうございます。美羽さん。さてとアキちゃん。早速はじめようBPSを!」

 

 そう言って美羽さんにお礼を言うと、愛は俺をすぐ近くにあった筐体へと引っ張る。

 

 「おいおい、待てよ。すみません美羽さん。これっていくらかかるんですか?」

 

 俺は美羽さんにプレイする値段を聞いた。それはそうだろう。アーケードゲームはどんなにしても1プレイに金がかかる。しかもこれだけの大きさの筐体だ。下手したら戦場の絆以上に金がかかるかも知れない。持ってきたお金で足りるのだろうか。

 そう思っていた俺だが、美羽さんは予想外の答えを出した。

 

 「気にしないで。これって初回と年間登録以外タダだから。それと初回費用は彼女さんからもらったから安心して!」

 

 「マジで!」

 

 俺は驚いた。こんな機械がタダで遊べるって! 

 

 「そうだよ。BPSってプラモデル業界だけじゃなくてコンピューター業界。それに一部だけと国の予算も入っているの。技術援助ってことで。そのおかげでほとんどタダで遊べるわけ。それと費用は気にしないで。私からのプレゼント。一緒にプラモマイスターを目指すアキちゃんへのね」

 

 「そうなのか。…ありがとうな、愛。俺、がんばってやってみるよ」

 

 そう言うと俺は愛の手を離れ筐体の扉を開き中へと乗り込んだ。

 筐体の中は思っていたとおりこじんまりとしており、所かしこにさまざまな計器やボタンが配置されている。そしてすぐそばには左右に戦闘機の操縦桿らしいレバーが1つずつ。そして車のペダルのようなものが3つほどあった。そのほかにも細かいボタンが付けられていた。

 

 「すごいな。まるで本当のコックピットに乗っているみたいだ」

 

 そう言って感心しながら操縦桿を確認していると、起動していた筐体からガイダンスが流れ始めた。

 

 『プラモシミュレーション起動。メモリを挿入口に差し込んでください」

 

 そう言いながら画面に説明が流される。それを見ながら俺はメモリを挿入口に差し込んだ。

 

 『プラモデルデータ登録完了。操作方法をサブモニターに表示。30秒後、テストモードを起動します』

 

 その言葉通り画面中央にあった薄いディスプレイに操縦方法が表示された。

 

 「意外といろんなボタンを使うんだな。まぁ何とかなるだろ」

 

 そう言っているとそれまで薄暗かった筐体に明かりが灯る。するとそこにはまるで現代版コロシアムらしいコンクリートで作られた風景が前面だけでなく360度に表示されていたのだ。

 

 「すげえ。壁だと思っていた場所にまで映像が映し出されるなんて」

 

 俺が感心しているとサブモニターに通信が入ってきたことを知らせる合図が表示され、愛の声が筐体に流れてきた。

 

 『すごいでしょう。これがプラモシミュレーターのすごさのひとつなんだよ。ちなみに設定でそれもいじられるから。アキちゃんのは初心者向けって感じで全周囲型モニターにしているよ。それじゃ、はじめようか』

 

 そう愛が言った瞬間、モニターの正面に一機のロボットの姿が現れた。

 赤と白のコントラストが日本旗のようなイメージを与え、ガンダムよりも細身ですらっとした概観。その割には頭部左右のアンテナみたいなもの。肩部と腰が大きく、それに比例したかの用に腰には現代ジェット機のような形を小さくした装置がふたつ左右の腰に取り付けられていた。

 背部には片方に昔見た軍事雑誌にのっていた銃『P-90』に似た形の物が、もう片方に刀のような形をしたものが機械によって取り付けられており、両手には廃部と同じ物を握り締めていた。

 

 俺がそれを眺めているとサブモニターに情報が映し出される。

 

 「『不知火二型』 それがそのロボットの名前か」

 

 「そうだよ。はじめはガンダムがいいかなって思ったんだけど、せっかくアキちゃん初めてのプラモバトルだし、私も今回初めて作るキットで戦おうと思ったんだ」

 

 結構大変だったんだとその後に愛は言ったが不知火二型は俺のプラモを超える出来をしていた。色も素組みとは違うしっかりとした色合い。カメラアイはシールで張った俺とはちがいきれいな発色をしている。俺のビルドストライクにわずかにある合わせ目も不知火はほとんど見受けられない。

 性能を確認するとどれも60%から80%と、高い性能を棒グラフで表している。その出来に俺は驚くばかりだった。

 

 「まずは操縦方法を確認、それからバトルに行こうか」

 

 「わかった。よろしく頼む」

 

 そう言って俺は愛の手を借りながらも着々と練習を行った。そして……

 

 『教習課程オールクリア。おめでとうございます』

 

 機械音声がそう告げると同時に機体が戦闘開始前、格納庫にいた状態に戻った。

 

 「ふう。やっと終わったか」

 

 俺はそう言ってシートにもたれながらコリをほぐすように背伸びをした。時間にして10分ぐらいだったが、振動や動きを細かく再現するBPSに乗っていると体感時間がながく感じてしまった。

 俺がそうしていると機械音声で

 

 『VSモード起動。敵対プレイヤー、コードネーム『AI』確認』

 

 すると場面が切り替わる。そこは辺り一面荒地の荒野だった。遮るものは何もない。そして俺の機体の前方100mほど離れたところには愛の機体が立っているのが確認できた。

 

 「おいおい、なんだこれは! どういうことだ、愛!」

 

 俺が愛にそう尋ねると、彼女からこんなことを言われるのであった。

 

 「うん、基礎はもう習得したね! それじゃあ最後に、私と戦ってみよう!」

 

 その言葉に俺は驚く。

 

 「おい、まじか! まだ俺は始めたばかりでBPSに慣れている愛には敵いっこないぞ!」

 

 「大丈夫、こういうのは習うより慣れろってね。それにハンデとして私の機体の能力値を少し落とすから安心してね。それじゃ行くよ!」

 

 そう言うと同時、不知火の背部の機械が動き刀を背中のほうから肩に当てるように動く。そして両手のマシンガンをそれぞれ近くに落とすと、刀を手に取り両手で構えると左右のブースターをふかしてこちらに突撃してきたのだ……。

 

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