数分後、俺たちは駅を拠点としている敵集団を発見した。そこにはガンプラであるザクⅡ。そして現代戦車であるレオパルド2が駅のターミナルを陣取っていた。拠点防衛のためなのか周囲を歩いて監視をしている。
ザクⅡに関しては手持ちのシールドと巨大な銃器で武装していた。
すぐに俺たちはそれぞれの機体にマーキングをすると、付近の建物に隠れると雷電が各メンバーに通信を送る。
『こちら雷電、敵を確認した。ザクⅡとレオパルド2が1機ずつ。残り3機は見当たらない。すでに進軍したと思われる』
それを聞いた愛が通信をしてくる。
『こちらアグニ。現在UAVを出して周囲を探索……見つけました。マップに表示します』
するとマップに光点が2つ表示された。それは現在4号と10式が進んでいるルート上に表示されていた。機体はそれぞれグフカスタムとT-90と表示されている。
俺たちの報告に佐々木さんは少し間をおいて次の指示を出してきた。
『雷電、ビルドストライク。次の指示です。駅に展開する敵を撃破してください。私たちは作戦を変更。進軍するグフカスタムとT-90を迎え撃ちます。アグニはこのままオペレーティングを継続。ただし残り1機となりそれを見つけた時には終了して戦線へと加わってください』
『雷電、了解』
「ビルドストライク、了解」
『アグニ、了解』
そう言って俺たちは行動に入る。まず雷電からだ。背部に背負っていた大砲が展開すると、上方に向けてすさまじい轟音と強い衝撃を発し、砲弾が数発放たれた。それは敵の集団の付近に着弾する。巨大な爆風と轟音が辺りに響き渡った。
「すごい爆発ですね。これで撃破してくれれば御の字なんですが……」
俺がそうつぶやくと彼は首を振った。
『これで倒れる相手ではない。来るぞ』
そう言った瞬間、爆風の中から相手側からさっきのお返しとばかりに砲弾が雷電に叩き込まれた。雷電はそれを回避するまでもなく脚部で受け止める。金属素材で強化された脚部は戦車砲の攻撃で少しパーツがへこむだけしかダメージを与えられなかった。
「ふん。雷電に削りあいを挑むとは…愚かな」
そう言って雷電は大砲を格納すると両腕の武器腕グレネードランチャーを構える。すると爆炎がはれると同時、ザクⅡが勢いよく飛び出してくる。よく見ると推進装置も弄っているようで、かなりのスピードでこちらにやってきた。
俺は急いでビームライフルを両手で構えブースターを吹かして突撃し、ザクⅡの妨害を図る。
「スピードの無い雷電にこのザクⅡは不利です。雷電はレオパルド2を相手してください」
『了解だ。そっちはよろしく頼む』
そう言って雷電は脚部のブースターを吹かしその場を移動する。俺はすぐにビームライフルで射撃を開始する。数発放たれたビームはまっすぐと相手に向かうが、それは寸前でシールドへ阻まれてしまった。
そしてすぐにザクⅡは巨大な銃器を両手で構える。その銃は上部と下部それぞれに銃口が開けられている。その上部からビームが連続して勢いよく打ち出された。どうやら上部はビームマシンガンとしての機能を有しているようだ。
「くっ!!」
俺はすぐに機体を動かし上空へ移動する。この建物が密集している地形では上に逃げるしか選択肢がなかった。そしてそのままビルドストライクの機動性を活かしてビームマシンガンの攻撃を回避する。
そのまま俺はビームキャノンを展開する。そのまま勢いよくビームキャノンが発射された。
ザクⅡはその攻撃を見たとたんに射撃を中断。横っ飛びで回避行動に移る。よけた瞬間にビームキャノンが着弾、地面に大きな穴を開けた。
そしてザクⅡは回避した先でまた銃を構える。今度は下部の銃口からショットガンの弾丸が発射された。
「今度はショットガンか。どれだけの武器があれにまとめられているんだ」
そう言いながら俺はシールドを構えて攻撃を防いでいく。距離が離れているおかげである程度ダメージは抑えられた。しかしこのままだと撃破に時間がかかる。俺はシールドを構えたままビームライフルを片手で構えて射撃を行う。
ザクⅡは今度は回避せずにシールドを構える。またもビームはシールドへと阻まれるがその間は銃による攻撃はできない。それを見た俺は追加ブースターを分離、戦闘機形態へと変形し上空へ向かわせる。そのまま俺は分離した状態で地面へと落ちると、そのままビームライフルでザクⅡに攻撃を続ける。
地面に降りたビルドストライクを確認したザクⅡはシールドを構えから解除し銃器を構える。今度は両方から射撃を行っている。俺はすぐに近くの建物に避難する。ザクⅡはそのまま射撃を行い、隠れた建物ごとビルドストライクを狙っている。
「すごい攻撃だな…。だがこれで」
その時上空から2発のビームキャノンがザクⅡに向けて放たれた。それは戦闘機形態に映った追加ブースターからだ。奇襲的に受けたザクⅡは攻撃をまともに受けて両腕を破壊される。そのまま攻撃を行えなくなったザクⅡに向けて俺はビームサーベルを構え突撃する。そしてそのままコックピットに向けてビームサーベルを突き刺す。
そのままザクⅡのモノアイは光を失い地面へと倒れ落ちる。それを確認した俺は追加ブースターと合体して元の状態へと戻した。
「よし、まずは1機。さて、雷電は」
とその時に雷電がレオパルド2を撃破したとメッセージが入った。場所を確認するとここから少し離れた市街地に場所を移していたようだ。その直後に雷電から通信が入る。
『こちら雷電。レオパルド2を撃破した』
すると愛から通信が入る。
『こちらアグニ。現在10式と4号が敵と交戦中……あ、撃破しました』
その言葉と同時にグフカスタムとT-90が撃破されたとメッセージに表示された。これで敵は残り1機。はたしてどこにいるのか……。
『こちら4号。敵を撃破しました。ビルドストライクは1度アグニと合流してください。雷電はそのまま市街地へ。私たちと合流してください」
『了解しました』
そう佐々木さんが言った時だった。
『こちら10式! 敵と遭遇した! 指示を!』
それは10式そう言って通信が途絶し撃破されたとメッセージが表示された。
『やられた! 雷電、ビルドストライク、作戦変更! 雷電はこの場で敵を迎撃! ビルドストライクは急いで私のもとに来てください! アグニはオペレーション継続、UAVで敵の情報を入手したのちこちらの支援をお願いします!』
佐々木さんがそう叫んだ、その時だった。突如雷電の周囲に赤い光点がいくつか出現する。その直後、大きな爆発と共に雷電が撃破されたとメッセージが流れた。
『雷電撃破……いったい何が……』
そう愛がつぶやく。確かにあの重装甲の雷電を簡単に撃破するなんて。いったいどんな武装を使っているんだ。とにかくこのままだとマズイ。
「愛、最短距離で誘導してくれ!」
『わかった。ルートを出すからそれにしたがって』
そうして俺たちはビルドストライクのブースターを吹かしながら、佐々木さんのもとに向かう。しかし、いったいどんな奴なんだ。一気に2機も撃破するなんて。
1分もかからずに佐々木さんのところに到着した俺たち。そこは旅館前の駐車場だった。佐々木さんの乗る4号戦車の近くに止まるとすぐに警戒を始める。そして佐々木さんに通信を送った。
「こちらビルドストライク。お待たせしました。敵は見つかりましたか?」
『いいえ。どうやらこっちのレーダーじゃ探知できないみたい。アグニ、UAVはどうなっていますか」
『こちらアグニ。UAVをその周囲に展開しました。……敵反応すぐ近く!!』
愛が言った次の瞬間だった。突如マップに赤い光点が5つほど出たと思うと、旅館の窓からロケット弾が飛び出してきたのだ。その数5つ。俺はすぐに4号をかばうためシールドを構え、さらに頭部バルカンで反撃を行う。すぐに攻撃は何とか全弾防ぎ切れ、バルカンを受けた建物はいとも簡単に破壊される。するとそこからなぜか人らしきものが地面に勢いよく落ちてきた。
「人! なんでここに!」
『あれは1/35スケールの歩兵セットを改造したものだよ。どうやらあれを使って敵は私たちを攻撃していたみたい』
確かに吹き飛ばされ破壊された歩兵を見ると現実とは違い、中はプラスチックだ。こんなのまでプラモ化されているのか。俺は驚きながらもまた奇襲を受けないように周囲を警戒した。
『どうやらあれは遠隔操作兵器として運用していたみたい。確かにそれならチームの数以上に敵がいても不思議じゃない。きっと近くに本体がいるはず……』
佐々木さんもそう言うと主砲を旋回させながら周囲を警戒していく。いったいどこだ。その時だった。
『敵機を発見! 3時方向、旅館のすぐ傍! 逃げて!』
そう愛は叫びながら言う。俺はすぐにブースターを吹かしてその場を離れる。佐々木さんも4号を急いで後退させた。直後、旅館が突如爆散し、周囲に破片を巻き散らかした。
そして廃墟となった旅館から、まるで戦車を無理やり人型にしたようなそんなロボット現れたのだ。よく見ると周囲には先ほどと同じ歩兵のプラモが周囲を固めていた。まるでレトロな格好をしたそのロボットは、歩いて俺たちから少し距離をとると右手の戦車砲を構えてきた。そしてその機体から通信が入った。
『MSが一機と戦車が一台か。相手にするのは難しいな』
「なんだ、あの機体は……。MSとも戦術機とはまるで違う」
『あれはリンク・オブ・レッドの主人公が乗る機体だよ。確か百虎って機体だったはず。どうやらティーガーⅡを利用。残りを自作なんかで作っているみたい。それにしてもあんなマニアックな機体に乗るなんて」
愛がそう言うと、通信相手も聞こえたのか感心した声で言ってきた。
『ほう、この機体を知っているとは、なかなかいい趣味をしているな。そうだ、これは俺がティーガーⅡをもとに作り上げた機体だ。原作通り周囲に歩兵を配置しているのも設定どおりだ。まぁ、一部はBPS使用にしているがな』
『彼がチームkuromorimineのリーダーだよ。普段からマニアックな機体を使うんだけど、まさかこんなのまで出るなんて……。それにさっきの戦術、市街地戦であれをやられたら普通の戦車は対応できないよ』
そう佐々木さんが言うとkuromorimineのリーダーが当たり前だ、と言い、
『もともとこの機体は歩兵との共闘を主眼にいれているからな。さて、ここで無駄な話をしている暇はない。さっさと終わらせてもらう!』
その瞬間右手の主砲から砲弾が俺に向けて放たれ、隣にいたロケット砲を持った歩兵からロケット弾が4号に向けて放たれた。俺は先ほどと同様ブースターを吹かし上空へと退避する。砲弾はぎりぎり足をかすめ背後の建物を吹き飛ばした。4号はロケット弾が車体側面に命中した直後、大きく爆発し周囲に白煙を巻き散らかした。まさかやられたのか。
『百虎は完全に陸専用の機体、上空に逃げて!』
愛がそう言うのを聞いて俺はすぐに上空へ避難する。だがkuromorimineのリーダーはそれを許さなかった。
『歩兵隊、対空戦、用意!』
その瞬間、百虎の後ろの装甲版が左右に開けられる。中には何やらミサイル発射器らしき武装を持った歩兵が3人、こちらに武装を向けていた。そしてその瞬間、歩兵からミサイルが一斉に放たれたのだ。
「そんなところに! くそ!」
俺はあわててミサイルを回避させようとする。かなりの追尾力を持ったそれは回避するのも一苦労だ。何とか最初は回避できたが二発目がライフルへと命中、破壊されてしまう。そして3発目が追加ブースターへと命中、推力が低下、機体を飛ばせなくなってしまった。
「くそ! メインブースターがいかれただと! 落ちる!」
高度を落としたビルドストライクは近くに着地する。一安心した束の間、今度は連続して百虎の主砲、そしてロケット弾が撃ち込まれた。急いで俺はシールドを構え攻撃を防いだ。
『ほう、なかなかの反応だな。だが!』
そう言って百虎は左腕のアームを構える。どうやら格闘戦で一気に決めるつもりのようだ。まずい、このままだと! そう思った瞬間、百虎の左腕に一発の砲弾が命中した。
それは百虎左腕を見事に破壊し、その衝撃で百虎は数歩後退した。
『攻撃命中、次弾装填』
『ちっ! 4号からか」
そう、それは4号戦車の攻撃だった。撃破されたと思われていたが煙幕がはれたそこには、側面を覆っていた側面の装甲版がを吹き飛ばれながらも無事な4号がいたのだ。
『念のために仕掛けておいた反応装甲と煙幕が役に立った! これで終わり!!』
そうしてまたしても主砲が火を噴こうとする。しかし、それよりも前に百虎のほうが動きが速かった。
『甘い! 歩兵隊、前へ!」
そう言うと先ほどまで後ろで待機していた歩兵部隊が全員、四号のほうへ走るとそれぞれ武器を構えた。そして一斉に弾丸が放たれる。四号は急いでその場を離れようとするがすでに遅い。
小銃などの攻撃はさほど効いてはいない。しかしロケット弾は別だ。当たった瞬間、周囲の装甲が一気に吹き飛び胴体内部のフレームを露わにした。それによりキャタピラの履帯が外れその場から動けなくなってしまう。
『佐々木さん!』
俺は急いで佐々木さんを助けようと4号を攻撃している歩兵に向けてビームキャノンとバルカンを構えた。勢いよく放たれたビームと弾丸はかけら一つも残さず歩兵部隊を殲滅した。
だが、それは徹底的な隙を生み出していた。
『とっさの判断はなかなかだな。だが、それが命取りだ』
するとすでに射撃体勢に入っていた百虎から榴弾が放たれる。後ろを向いていた時に放たれたそれはビルドストライク全体に当たり、追加ブースターが破壊、各部の装甲も破損してしまった。誘爆を防ぐために俺はすぐに追加ブースターを排除、後方へ下がった。
誘爆により爆発する追加ブースター。これでビームキャノンが使えなくなってしまった。
『さて、これでお前の武装はのこりわずか。さらにはブースターは使えない。さて、どうする?」
あいつの言うとおりだった。残りの武装は頭部のバルカン砲、ビームサーベル。これだけだった。本当にどうする。幸いにして歩兵は俺の攻撃で全滅したようだが、近づこうにもあの主砲に一発でも当たったら今度こそ撃破されてしまう。やはりここは愛が来るまで粘るしかないか。
そう俺が考えているときだった。
『大丈夫、手段はあるよ! 4号、主砲フレーム解放!』
佐々木さんがそう叫ぶと突然、四号の主砲部分が突然爆発した。自爆か。そう思った時、何かが俺のほうにめがけて飛んできた。
『受け取って!』
その佐々木さんの言葉を聞いて咄嗟に受け止める動作を行う。そして両手に受け取ったもの、それは……
「4号の主砲? だけどこれは……」
それは4号戦車の主砲部分だった。だがそれはMSの手が掴めるグリップ部分が付けられていたり、何故かスコープらしきものが本体上部についていたりと不思議な形をしていた。
『もしものためにつけておいてよかった。マゼラトップのアイデアをもとに作ってみた4号版マゼラトップ砲。もしも戦闘不能になっても僚機が役に立つようにと思って改造しておいたんだ』
そう言うと佐々木さんは頑張って、と笑顔で俺に言った。
「ありがとうございます! よし、これで終わらせる!」
そうして俺はトップ砲を片手で構え、百虎に向けた。それに対して相手は驚きの表情を見せる。それは相手も予想しえない展開だったはずだ。
『まさかこんな手段を残しているとはな。歩兵が居なくなったとなればこの機体の能力は半減だ。……しかたない』
そう言って相手も右手の主砲を構えた。お互いに必殺の構え。おそらくこれで決着がつくはずだ。まるで荒野のガンマンのような決闘。お互いに息をのんだ。そして、
「いけ!」
『ファイア!』
その言葉とともに互いの主砲が火を噴く。そしてその直後、強い衝撃がコックピット内を襲った。揺れ動くコックピットの中、俺はレバーを握って衝撃に耐えた。
揺れが収まると俺は機体のダメージを確認する。モニターには胴体をわずかに外したところにダメージ表示が移っている。カメラで確認するとそこだけ装甲がえぐられていた。どうやら命中したところはコックピットを少し外したところだった。そして百虎は……
『やれやれ、まさかこんな結果になるとは……。これは俺の負けだな』
それは胴体へときれいに命中。大きく装甲を吹き飛ばしていた。そして……
『チームkuromorimine、全機、行動不能。よってチームモンクフィッシュの勝利です』
「何とか勝てた」
試合が終わり皆が休憩スペースに集まる。そして俺はそう言って壁にもたれかかった。そのそばにはチームモンクフィッシュのメンバーが集まっている。
「お疲れ様。それにしてもぎりぎりだったね。佐々木さんがあれを入れてなかったら勝ててなかったよ」
そんな愛の言葉に俺は頷き答えた。
「本当だな。佐々木さん、ありがとうございます」
俺がそう言うと佐々木さんはううん、と首を振った。
「お礼を言うのは私のほう。リーダーを倒せたのは君たちの頑張りがあったからだよ。ありがとう」
佐々木がさんがそう言って俺たちに礼を言う。それに続いてメンバーが俺にお礼を言ってきた。俺は初めてこんな風にお礼を言われたことに少し照れながらも返事をした。
「こちらこそありがとうございます。また機会があったらよろしくお願いします」
そう言っていた時だった。先ほどまで試合の反省などをしていたチームkuromorimineの一人がこちらに歩いてきた。それは先ほどまで百虎を操作していたリーダーの男だった。彼は佐々木さんの前に来ると、
「お疲れ様。今回は久々に心が躍る試合だった」
「こちらこそ。今度は私もボロボロにならないように頑張るよ。またよろしくね」
そう言って佐々木さんと男は互いに握手をする。それが終わると彼は俺たちの方に向いてこう言った。
「今日はありがとう。とてもいいバトルだったよ。俺の名前は藤原弘だ、君の名前は?」
そう言って手を伸ばした。俺も手を伸ばすと互いに握手をする。
「自分は広瀬明人と言います。こちらこそいい経験になりました。どうもありがとうございます」
そうしていると佐々木さんが話しかけてきた。
「そうだ。広瀬君。今度一緒に大会出てみない?」