五月雨 白露型駆逐艦6番艦 不思議な青色の長い髪、がんばり屋で少しドジな艦娘
初霜 初春型駆逐艦4番艦 小柄で長い黒髪に桃色の瞳、紺のブレザーを着た艦娘
初雪 吹雪型駆逐艦3番艦 切り揃えられた前髪、白いセーラー服の眠たげな艦娘
佐世保鎮守府
由良 長良型軽巡洋艦4番艦 薄い桃色の髪をポニーテールにし、テール部分を
リボンでぐるぐる巻きにしているという特徴的な髪型をしている艦娘
国後 占守型海防艦2番艦 少しクセのあるピンクのボブヘアーに、少し目尻の
つり上がった気の強そうな琥珀色の瞳が特徴的な艦娘
択捉 択捉型海防艦1番艦 頭頂部には瑠璃色のリボンを巻いた白い水兵帽を被り、
若紫色の瞳が特徴的な艦娘
明石 工作艦 ピンク髪で横髪をおさげ風にまとめ、水色のシャツの上にセーラー服を着て
腰回りの露出したスカートのようなものを穿いている艦娘
エンディングイメージ♪「六等星の夜」by Aimer
西日に照らされた下枯木島が見える。その手前を由良は南南東にゆるやかに針路変更し、黒島と岬の間を抜け佐世保湾の入り口へ向かう航路をとる。ここから20Km、9ノットで1時間10分くらいか、由良の肩の上では妖精がレシーバーに耳を当て異常がないか警戒している。
「妖精さん、あと少しだから頑張りましょ」
「由良より五月雨へ、針路に異状なし、そのまま後続せよ」
「五月雨、了解」
、
最後尾の明石が針路変更を終える頃、由良は黒島と牛ヶ首岬の間に差し掛かり、前方に佐世保湾の入り口にある岬が見えてきた。あと40~50分ほどで船団が湾に入ることを由良は鎮守府に報告する、そして、増速して湾の入り口にに近づく。
☁ ☂ ☀
五月雨が黒島と牛ヶ首岬の間を通過する頃、由良から通信が入る
「湾の入り口まで異状なし、念のため湾の入り口から西側を警戒します、船団はそのまま佐世保湾に入ってください」
先行する由良が西へ転針していく、五月雨は振り返って後方を確認する、船団の最後尾の横に国後と択捉が追いつこうとしている。
「国後、択捉、船団を任せてもいい?私は由良さんを手伝いに行きます」
「それは、五月雨さんこそ船団と佐世保湾に入ってください、私達が行きます」
船団の先頭が黒島と牛ヶ首岬の間を抜けたとき、
「魚雷、船団右舷へ、複数」 由良からの警告が響く
五月雨はすぐに自分の右舷を見るが確認できない、振り返り、後ろの船団の右舷を見る、五月雨の見張り妖精は船団から距離5000ほどのところに魚雷を発見し指差す。
「雷跡~、船団右舷距離5000」 魚雷は黒島と牛ヶ首岬の間、横幅約3Kmしかないところを目指して進んでいく。ちょうど貨物船の2隻目が通り抜けるところだ。
ズゥドォーン 水柱が上がる。
2隻目の右舷前部に命中した。
☂ ☁ ☀
佐世保鎮守府の提督室で報告を終え、由良と五月雨は無言で廊下を歩く。
「元気を出しなさい、五月雨、轟沈はなかったんだから」
雷撃を受けた貨物船はすぐに国後と択捉が支え時間を稼ぎ、明石が追いついてくるのを待って、舳先を支えながら黒島に座礁させた。魚雷を発射した潜水艦はすぐに由良と五月雨が追ったが逃げられてしまった。
「多分、10,000m以上先から撃って来たわね、鎮守府の対潜警戒の隙を突かれたわ」 悔しそうに由良が言う。
「自分を犠牲にしてまで船団を守った初雪に申し訳ないです」
「生き残ればリベンジのチャンスがきっとあるわよ、さぁ、初雪を看にいきましょう」
初雪は入渠させて貰え順調に回復していたが、バケツを運んできた手前使ってもらう訳にもいかず、しばらく佐世保鎮守府に足止めになりそうだ。司令官からは 他所の飯を食うのもいいかも なんて暢気なことを言われた。由良からも佐鎮の ぜんざい を食べて行きなさい と言われた。
初雪の回復を待つ間、少しでも協力しようと初霜と二人で佐世保の対潜哨戒のシフトに加えてもらい、黒島に座礁した貨物船の回収を手伝う。まず、埠頭で積荷を降ろした貨物船にもう一度出航してもらいデリックを使って積荷を移し替え軽くし、クレーン台船を引張ってきて前部を台船に預け、明石が穴がこれ以上大きくならないように補強して佐世保港へ回航した。
作業中に作業している人から、地元で深夜に平戸瀬戸を航行する深海凄艦を見たと言う人が居て、周辺で噂になって不安が広がっていることを聞いた。
しばらくして初雪も回復し初霜と三人で佐鎮の間宮へ行くことにする。初霜、初雪は演習で3回ほど呉鎮に行った事はあるが演習場と食堂しか知らなかった。
「間宮の ぜんざい は美味しいよ、初霜、初雪」
「そうですか、楽しみです」
「...本気出す」
ほとんどの艦娘が出動しているので鎮守府内は閑散として静かだ、佐世保鎮守府は横須賀に続き、呉とともに出来た歴史ある鎮守府だ、いくつもの立派な建物が建っている、由良さんに教えてもらった建物から少し離れた場所に来ると入り口にのぼりがある茶店が木々の間に建っていた。のぼりには 入港ぜんざい とか、特製あんみつ とか書いてある。店に入るとすぐに奥から間宮さんが出てきてくれた。
「いらっしゃい、みんな出航してしまって暇だったの、うれしいわ」
「柱島の五月雨です」
「初霜です」
「初雪...です」
「まぁ、ご丁寧に、由良さんから聞いています、何でも好きなものを頼んでくださいね」
三人は ぜんざい を食べながら、
「美味しいね~」
「柱島にも間宮さん来ないかな~」
「...」
「今回、初霜も初雪も頑張ったね、貨物船が被雷したのは残念だったけど撃沈はされていないし、積荷もほとんど無事だったし」
「初雪さんが大破したときは、どうしようか泣きそうでした」
「...無事だから」
「柱島鎮守府はまだ3人だけだけど、きっといい鎮守府になると信じてます、間宮さんが呼べるようにがんばりましょう」
「はい」
「...あんみつ も食べる」
「賛成ー、間宮さん 特製あんみつ 三つ追加、お願いしま~す」
深海凄艦の同時攻撃も収束に向かいつつあった、佐世保鎮守府にも艦娘が徐々に戻ってくる。司令官から命令が届いた。新たな南方からの船団が佐世保に到着するので、神戸まで護衛して、その後柱島に帰投せよ ということだ。
明日の朝、佐世保を出航する夜、広々とした食堂で佐世保の由良、国後、択捉、明石とささやかな会を行った。
「いろいろお世話になりました」
「また会えるといいですね」
「皆さんもどうかご無事で」
別れを惜しんだ後、帰り際に由良さんが、
「苦労するわね、柱島の提督さんは上からよく思われてないらしいから」
「それでも私達が司令官を全力でお助けしますから大丈夫です」 五月雨が元気よく答える。
「余計なお節介でした、大丈夫、あなた達がいれば、それでも困ったことがあったら相談してね」 由良さんのやさしい言葉に感謝して佐世保を後にした。
神戸へ向かう船団は石炭や鉄鉱石を積んだ貨物船6隻、五月雨が先頭に立ち両横に初霜、初雪で佐世保港を出航した。佐世保湾から平戸瀬戸までは、国後と択捉が先行して対潜哨戒してくれている。深海凄艦は大方撤退していて攻撃される可能性は低い戦況になっていた。
☀ ☁ ☂
埠頭で白い軍装を着た司令官が柱島水道の水平線を眺める、幼さが残った横顔だが、今までより沖を見つめる瞳には強い意志がある。
恵児は幼いとき深海凄艦に襲われ、襲われる前の記憶を無くしたため家族のことは覚えていない。助けられた後で写真などで教えられたが実感が無かった。伯父さんに預けられ育てられたが喋ることができないので孤独の日々を過ごした、艦娘に助けられてからの記憶しかない彼には最初に優しくされたのが艦娘で、実感の持てる家族らしい存在は艦娘なのだ。
暗闇の中に見つけた唯一の光、
そして助けてくれた艦娘に遭いたくて海軍兵学校に入った。卒業して提督見習いとして柱島鎮守府に着たが何かをする目的があるわけでもなく職業として選んだと言う感じだった。
急遽護衛任務が発生したときも任務を遂行する、そういう気持ちしかなかった。深海凄艦による船団への襲撃を聞いたときの不安と焦燥、初雪に被害があって轟沈しそうだったこと、助かってホッとしたこと。
今回のことで恵児は自分の目的を自覚した、 もちろん国を守ることは当たり前だが、自分は、艦娘を護る、護りたいのだ、人間は艦娘に深海凄艦から護られているが、艦娘達を護ることができるのも人間だ、今度は自分が助ける。
水平線に黒い点が見えてきた、たった3人しか居ない柱島鎮守府だが、先の見えない深海凄艦との戦いを終わらせる、その先に光があることを信じて闘う。そして彼にとっての家族が、また無事ここに戻って来れるように。
♪ ♪ ♪
ジリリーン、宿毛鎮守府の出撃待機室の壁に掛かっている電話が鳴り、白雪が受話器を取る。
「全員、特設監視艇から深海凄艦の警報が入りました、第11駆逐隊、出撃」
叢雲は座ってフォトフレームを眺めていた、二つ折りのフレームの左側には、江田島兵学校と書かれた門の前で恵児と叢雲と第11駆逐隊が写った写真、右側には柱島鎮守と書かれた門の前で恵児と五月雨、初霜、初雪が写った写真、右の写真の恵児の笑顔が男らしくなった気がする。
叢雲は二つ折りのフォトフレームを閉じると私物入れにしまい、皆の後を追って部屋を出た。
本人の自覚のないまま時代に流されるように生きる、何をするのか判らないまま時を過ごすことも多い世の中です・・・なんとなく一区切りです。(次回からは本当に不定期です)
拙い文章を読んでくださった皆様ありがとうございます。
アドバイスしてくださった方々ありがとうございました。
さらにPS Aimerの歌声て、いいですね