継ぐ者~提督物語   作:お気楽Y

16 / 23
 さあ反撃です。

主な登場艦娘
 五月雨 白露型駆逐艦6番艦 不思議な青色の長い髪、がんばり屋で少しドジな艦娘
 初霜  初春型駆逐艦4番艦 小柄で長い黒髪に桃色の瞳、紺のブレザーを着た艦娘
 初雪  吹雪型駆逐艦3番艦 切り揃えられた前髪、白いセーラー服の眠たげな艦娘
 文月  睦月型駆逐艦7番艦長い茶髪をポニーテールにした茶色の瞳の艦娘
 三日月 睦月型駆逐艦10番艦セミロングの黒髪にアホ毛、金色の瞳の艦娘
 名取  長良型軽巡洋艦3番艦 茶色のショートボブに白のカチューシャをつけ、目は髪と同じ茶色の艦娘


出撃-3

 灰色の空、雨雲の下、高度600~800m付近から下半角の翼に魚雷をぶら下げた深海凄艦の艦載機が20機ほど南から五月雨たちに向かってくる、艦娘達は、先頭に初雪、右側少し前方に名取、左側少し後方に初霜、後方に五月雨、少しいびつな輪陣形で北西に進みながら機銃を構える。距離は5000mほど、さらに、その後方に黒い粒が現れた、別の編隊だ。

 

「もう...やだ」

 

「撃ち方はじめ」

 

「当たってくださ~い」

 

 名取は8cm単装高角砲を撃ちだす。

 

 雲底が1000mあたりなので急降下爆撃、水平爆撃は難しいはず、雷撃か機銃による攻撃になるだろう、厳しい状況に五月雨も覚悟する。

 

「魚雷を放棄してください」

 

 深海凄艦の艦載機は弾幕を気にすることもなく高度を下げ始め、投擲コースに入る、

 

 

 ☀ ☁ ☂ 

 

「間に合いましたね、分隊士」

 

 通信機から2番機の妖精が声をかけてくる、祥鳳戦闘機隊の零戦21型6機は深海凄艦の艦載機の左舷側後方上空から全速で近づき突入するところだ、

 

「投擲させるな、全機突撃ー」

 

 1番機の20mm機銃弾が先頭の艦載機に吸い込まれ、あっという間に吹き飛んだ。深海凄艦艦載機の半分は投擲をあきらめすぐに回避行動を始め、残りの半分はそのまま直進する。残りの機に分隊が機銃が浴びせ、さらに2機が撃墜されると、残った艦載機は、あきらめて回避するもの、魚雷を投擲して回避するものと、ちりじりになった。祥鳳戦闘機隊1番機は高度を下げないように気をつけながら魚雷を抱いたまま逃げていく深海凄艦の艦載機を追った。

 

「高度に気をつけろ、深追いせず投擲位置に付かせないようにしろ、撃墜にこだわるな」 

 

「魚雷を抱いたものを優先しろ」

 

 分隊士の妖精は追っかけた艦載機を撃墜すると雲の下ぎりぎりまで高度をとり、全体を見下ろす、追いかけられた敵機はさらに撃墜された、残った機は諦めて上昇し雲の中に逃げ込んだ、零戦隊の損害は0だ。さらに周囲を見回すと、南東方向で最初にあきらめて回避した艦載機が集合して編隊を再編し、東と南の二手に分かれて旋回しているのが見える。

 

「2番機、居るか」

 

「ちゃんと後ろに居ますよ」

 

「2番機、南側を殺れ、東側を片付ける」 

 

「祥鳳戦闘機隊がここは通さん!」 2番機が後ろを離れ敵に向かって行く、

 

 2番機は南側から近づく艦載機に正面から機銃弾を浴びせると直ぐに上昇して宙返りからロールしてすれ違う、たちまち先頭の艦載機が火を吹き落ちていく、敵編隊後方の上方につくと編隊はバラバラになり逃げていく。

 

「魚雷を捨てないと逃げきれないよ と」 次の艦載機を射撃する。

 

 1番機は東側から近づく編隊へ斜め横から編隊の上へ駆けあがりロールして旋回し、後ろ側上方に付くと追い越さないようにしながら射撃する。1機、2機と撃ち落すと残りの艦載機は魚雷を捨て逃げていく。

 

「深追いするな、雲の下に留まり警戒する」 燃料は十分ある、

 

 

 ☀ ☁ ☂ 

 

 名取が撃ちだした時には、後ろに見えていた編隊が、あっという間に近づいて、先頭の敵機を射撃をして撃ち落してしまい、さらに攻撃を続け、深海凄艦の編隊はバラバラになってしまった。

 

「味方です、祥鳳さんの零戦です」

 

 それでも数機が魚雷を投擲してから回避した、しかし、慌てて落としたので、まともに走行しているのは1本だけで、それが初霜に向かっていく。初霜は慌てることもなく避け、回避行動をとる艦載機に機銃弾を撃ち込む。艦載機は機銃弾を受け胴体から煙を出しながら逃げていく。

 

「零戦の皆さん、ありがとう~」 初霜は上空に向かって手を振る、

 

 

 ☀ ☁ ☂

 

 乱層雲のぎりぎり上、高度7000m付近を6機の97式艦攻が雲海に自機の影を映しながら南へ飛ぶ、

 

「水偵からの報告からすると、あと70Kmほどです」 通信士妖精が声をかける.

 

「全機、降下するぞ、雲底は1000m、高度計に気をつけろ、雲を抜けてからもたもたしてたら2分ほどで海面だぞ」

 

「降下開始」

 

 分隊士妖精からの命令で6機は次々と雲海の中へ吸い込まれていく。風防に雨粒がつく、僚機が見えるので少し安心する。降下すること15分ほどで雲の下へ出た。分隊士妖精は周囲を見回す。

 

「水偵は見えるか」

 

「見えません、左舷後方、深海凄艦、距離10Km」 偵察員妖精が報告する、

 

「方位、0-9-0 左旋回」 艦攻6機は一旦東を向いて敵艦隊の後ろに回りこむ、

 

「敵、ル級1、リ級1、針路 2-7-0、周囲に艦載機は見えず」

 

「方位、2-7-0 左旋回」

 

 高度800~900、低い高度のまま祥鳳攻撃隊は続けて左旋回し、深海凄艦を追う形になる。

 

「トツレ」 

 

 分隊士からの合図で6機は1番機を先頭に単縦陣になり、ル級に背後から迫る。ル級とり級から12.7cm高角砲を撃ってくる。空に黒い煙が所々に浮かび機体が揺れ腹の底に響く、分隊士妖精は平然と操縦しているが、偵察員妖精の額には汗が落ちる、そのまま対空砲火を受けながら、深海凄艦の右舷側を追い越していき、先頭から左旋回してル級を取り囲む。

 

「トトト」 

 

 攻撃機はそれぞれ包囲したところからル級に機首を向け突撃する、ル級の対空射撃は分散され散発だ、1番機は高度を下げル級の左舷から1000mの距離で投擲し、ル級の前方をかすめて通り過ぎる、偵察員妖精が後ろを振り向くとル級に向かって様々な角度から4本の筋が向かっていくのが見えた。ル級に2本の水柱が上がる。

 

「命中」 偵察員妖精から声が上がる。

 

「集まれ」

 

 高度を上げル級から離れながら僚機が集まるのを待つ、4番機と6番機が居ない。

 

「ル級停止しました、沈み始めています」

 

「帰投」 命令したあと分隊士は海に向かって敬礼し、機を上昇させた。

 

 

 ☀ ☁ ☂

 

「そうか、作戦の成功を期待する」 

 

 軍務局長は受話器を置き、ソファーに深く座り、煙草を取り出し火をつける。

 

「軍令部次長から今回の偵察で深海凄艦の動性が判ったそうだ、父島には泊地姫も飛行場姫も居なかった」 

 

 反対側のソファーに座る横須賀鎮守府提督に話しかける。

 

「やはりですか、今までの報告からそうではないかと思っていました」

 

「深海凄艦の艦載機が柱島の艦隊に南から飛来したことを受け、硫黄島を偵察したところ飛行場姫が居た、とのことだ」

 

「柱島も少しは役に立ちましたか」

 

「複数の偵察艦隊で牽制し、隙をついて敵泊地を偵察する今回の作戦は成功だ、軍令部は硫黄島攻略の作戦を発動する」

 

「やっと出番というわけですね」

 

「小笠原諸島近海を奪還すれば哨戒線を押し上げることができ、本土に襲来する深海凄艦が減るだろう、頼むぞ」

 

「やっと攻勢に出られる、横須賀鎮守府の力、見せますよ」

 

 

 ☀ ☁ ☂

 

 昨日の夕方から降る雨は、今日の夕方になってもまだ降り続いている。朝方、宿毛の祥鳳艦隊に合流した五月雨たちは疲れきっていたため、補給艦に乗り込むと死んだように眠った。五月雨が起きたとき外はもう夕方で周りを見ると初霜、初雪が寝ているが、名取が居ない、起き上がり甲板に上がると名取は舷側の手すりから空を見ていた。

 

「帰って来ないんですか」

 

 こちら振り返る名取。

 

「今回のMVPは名取さんの水偵だと思います」

 

「頑張りすぎたみたいです」

 

 名取の横に並んで立つ、補給艦からは周囲を警戒している文月と三日月が遠くに見える、五月雨は二人に向かって手を振るが気がつかないみたいだ。

 

「皆、自分達の任務を全うすることに努めます、それが仲間を助けることになるから」

 

 二人して灰色の空を黙って見つめる。

 

 

 休息と補給を取った後、五月雨たちは補給艦から海上に出る、

 

「祥鳳さん、ありがとうございました」

 

「柱島の皆さん、お疲れさまでした」

 

 祥鳳さんに挨拶したあと柱島に向けて帰投する。

 

 

 

 四国の山々が遠くに見えてきた頃、司令官から通信が入る、

 

「さっき呉の提督から連絡が入りました、名取の水偵を父島の沿岸で呉のゴーヤ(イ58)が発見し救助した、とのことです、名取さん良かったね、皆無事に戻って来てください」

 

 通信を聞いた五月雨はガッツポーズで名取を見る。

 

「やりました・・・良かった」 名取も嬉しそうに笑顔を見せる。

 

 司令官によると、名取の水偵は祥鳳艦攻隊を誘導中、ちょうど艦攻隊が雲の中を降下しているときに深海凄艦艦隊に合流しようとする深海凄艦の艦載機を発見し、これを深海凄艦艦隊から引き離すために囮になって誘引して撃墜される寸前で雲の中に逃げ込んだ、しかし燃料の残りが祥鳳さんたちまで戻るには不足してしまったので、父島向かうことにし、水面を選んで父島近くに不時着水する、それを父島を監視していたゴーヤに発見され助けられたらしい。

 

 

「さあ、司令官のところへ帰りましょう」

 

 




名取の着物姿、結構美人さんだと思います。
だいぶ涼しくなりましたね。



 さらにPS 申し訳ありません、リアルが忙しくなると止まります
 


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。