主な登場艦娘
柱島泊地
名取 長良型軽巡洋艦3番艦 茶色のショートボブに白のカチューシャをつけ、
目は髪と同じ茶色の艦娘
多摩 球磨型軽巡洋艦2番艦 短めのピンクぽい紫髪に猫目のショートパンツの艦娘
幌筵泊地
木曽 球磨型軽巡洋艦5番艦 右目に眼帯をして黒いマントを肩から羽織り、
軍刀を手に持つ艦娘
まるゆ 大日本帝国陸軍所属の潜水艦、三式潜航輸送艇,最弱の艦娘、
海上は一面に乳白色の海霧に包まれている、海面は穏やかで静かだ、ここはキスカ島から100㎞ほど北西にある長さ7㎞、幅4㎞ほどの無人島で、島の北側にある浜辺の沖合い、
突然、海面に棒のようなものが突き出てきた、しばらくすると海中から海面に艦娘が現れた、顔を出した艦娘は周囲を見回し少し困った顔をしたあと、遠くから聞こえてくる波が打ち寄せる音を聞きつけると、ホッとした様子で、そちらへ向かって泳ぎ始めた、浜辺に近づいた艦娘が海から上がって波打ち際まで来る、頼りなさそうな艦娘は水中眼鏡を頭の上に載せて、お腹には○の中に ゆ と書いてあり、そして手にはロープを持っていた。
「なんとか着きました」
少し息を整えてから海に向き直りロープを引張って手繰り寄せ、運貨筒を浜辺に上げる。
運貨筒
動力を持たないため、自走能力がなく、搭乗員もいない無人の舟艇。
潜水艦に曳航されて目的地まで運ばれ、到着後に切り離される
☀ ☁ ☂
海上一面の乳白色の濃い霧の中、目の前にある霧中浮標を見失わないように艦娘が進んでいく、最初の出撃からすでに1ヶ月、1回目は羅針盤に嫌われて逸れてしまった、2回目は警戒中の深海凄艦の艦隊に序盤で遭遇して撤退した。
「そろそろ突入ポイントのはずだにゃ、減速するにゃ~」
「羅針盤があってたらですけど」 隊内通信で三日月が答える、
「艦隊、半速」 減速して多摩は時計を見る、
「発信にゃー」 多摩の頭の上で妖精さんが大湊鎮守府へ発信する、海域の天候報告しているような電文だ、艦隊の位置が合っていれば まるゆ からの電波を受信できるはずだ。羅針盤に嫌われた1回目は受信できず引き返し、2回目は突入ポイントに着く前に深海棲艦の前衛艦隊に遭遇してしまった、1時間ほど時間が過ぎる、
「また、だめでしょうか」 三日月がため息をつく、
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「どうかにゃ~」 頭の上の妖精が多摩の頭を叩く、
「受信したにゃ、船位測定だにゃ」 まるゆ からと船橋電波送信所からの電波で三角測定を行い方位測定する。
海軍無線電信所船橋送信所
海軍の無線電信施設で艦船へ向けて「短波」「中波」を送信した施設。
「突入ポイントから10㎞ほど東南にずれてるけどOK、到達したにゃ」
この位置は、キスカ島の西80㎞ほど、まるゆ がいる島の南50㎞ほどのところ、多摩が先頭で、三日月、文月、油槽船、初雪と隊列を組んで東へ進んでいる、艦隊は減速して互いの距離を詰める、
「突入ポイントにゃ、作戦開始にゃ」 隊内通信で多摩が発令する。
「出てやるか」
油槽船から片目に眼帯をしマントを纏った艦娘が出撃する。
「柱島第一艦隊出撃します」
「出撃します」
「出るわ」
「出番かい」
「いよいよ出番ですね」
それに続いて名取、初霜、霞、満潮、涼風、五月雨が出てくる。
先頭の名取は多摩を追い越す時、多摩に向いて敬礼して行く、その背中はすぐに濃い霧の中へ消えてしまう、それに続いて次々と艦娘が現れては濃い霧の中へ消えていく、
「必ず、戻ってくるにゃ~」 背中に向かって多摩が叫ぶ、
油槽船から出撃した木曽は、まるゆ が居る島の方、北へ向かい濃い霧の中へ消えた、全員が出撃すると、
「発信にゃ」
多摩が命令すると、再び通信機妖精が大湊へ偽の気象電文を発信する、これで司令官に艦隊が突撃ポイントに到達して作戦を開始したことが判るはずだ。
「後退するにゃ」 多摩の合図で柱島の第2艦隊は転回して西へ針路を変え、待機地点へ後退する。
☀ ☁ ☂
1ヶ月ほど前に浜辺に到着し上陸した まるゆ は浜辺から3㎞ほど離れた島の最高地点656メートルに濃い霧の中で苦労して数回往復する、通信距離が50㎞ほどの通信機材とレーダーを運び上げ、風を避けたところに設置しカモフラージュを施す、そして自分も少し下った離れた所に風を避け穴を掘る。
「もぐらじゃないのに」 穴を掘り終わるとそこで待機する、
風の音と鳥の声、それに時々遠くで聞こえる深海凄艦の吼える声、あとは静寂に包まれた島だ、着いてから1ヶ月の間に2回呼び出しがあり通信機を使ったが何も反応は無く、本当に作戦は上手くいっているのか、と不安になるが撤収命令が出るまでは作戦が継続していると考えなければ仕方が無い、最初は緊張して聞いていた依佐美電波送信所からの電波も今はなんとなく聞いている、・・・!
依佐美送信所
対長波の性質として海面下のある程度まで到達できるため、
潜水艦との交信には(超)長波が使用され、潜水艦向けの超長波を送信する施設。
・
・
・
⁉
「わたしの符丁だ」
慌てて穴から抜け出すと頂上の通信機に駆けつけ、3回目になる送信の準備にかかり送信する。
「今回も空振りでしょうか・・・」
「お願い、受信してください」
まるゆ の祈りが通じたのか依佐美送信所から作戦開始の符丁が聞こえてきた。
「やりました」 霧の中、1人で喜んだあと
「ワレ、ザショウス、キュウエン、モトム、U800」
別の通信機を使って平文で連続送信してからレーダーを起動する、
「深海凄艦さん、聞いてくださいよ」
レーダーには南から島に近づく反応がひとつある、、
30分ほどすると東と東南にひと固まりづつ反応が現れた、
「釣れました」 隊内通信で深海凄艦艦隊の方角を連絡し救援送信とレーダーを切り浜辺へ向かう。
☀ ☁ ☂
救援要請の通信を聞きつけたのはキスカ島の北に居た前衛艦隊ロ級eliteの駆逐艦で、すぐに旗艦の軽巡ヘ級flagshipへ報告し仲間を呼び寄せ西へ移動する、
さらにキスカ島の南側に居た深海凄艦は重巡リ級eliteを含む前衛艦隊で、これも北西へ向かう、二つの深海凄艦の艦隊が まるゆ の居る島へ移動する。
濃い霧の中で進む深海凄艦は時々叫び声を上げながら艦隊内のお互いの位置を確認しているようだ。島までは20㎞ほどまで近づいた、四方は乳白色の濃い霧で包まれていて前後の艦は見えない、南側の北西へ進んでいる前衛艦隊の先頭は軽巡ヘ級flagshipで、何か前方に気配を感じたが島の反応と重なって判断しかねた。
突然、濃い霧の中から腰に鞘刀を差した艦娘が飛び出てくる、ヘ級flagshipは砲塔を構える間もなかった、低い姿勢で突っ込んできた艦娘はあっという間に近づき抜刀して袈裟掛けに切りつけた。
ヘ級flagshipは首を切られ、穴が一つ開いた仮面をしたような頭が胴体から切り落とされて離れていく、艦娘は後ろを振り返りもせず、そのまま前進し、すぐに霧の壁に消えた。
次の重巡リ級eliteは前方で水しぶきの音がしたので砲撃されたのかと思い砲撃準備に入る、ふいに前方の濃い霧の中から艦娘が飛び出してきて、同じくすれ違い様に抜刀する、重巡リ級eliteはかろうじて砲塔の付いた腕で防いだ、しかし刃を受けた腕は切られ跳ね上げられて飛んでいく。
「チッ」 艦娘は舌打ちして、180度転回して肩の砲塔を構え斉射した。重巡リ級eliteは上半身に近距離から直撃を受け上半身が吹き飛び燃え上がる。
木曽は重巡リ級eliteを砲撃したあと抜刀していた微塵丸を鞘に収め砲塔を構えた。
木曽の使った刀は、古の艦 とは違い人型をした艦娘のために海軍技術研究所が
艦娘の明石、夕張とともに近接戦闘用に開発した武装の一種。
木曽は名前には興味は無かったが勝司令官が 微塵丸 と名付けた。
木曽は今度は10㎞ほど北にいるはずの深海凄艦の艦隊に向けて砲撃し、再び濃い霧の中へ紛れ深海凄艦の艦隊から南へ離れていく、後ろの方で吼える声がした後、水柱の音と砲撃音が響いてきた。
☀ ☁ ☂
後続の軽巡ト級eliteは砲撃音がしたので、前を行く重巡リ級eliteが発砲したと思い自分も砲撃準備をする、さらに、もう一度、砲撃音がした。濃い霧の中をそのまま前進すると霧の壁が明るくなり、目の前に炎上する重巡リ級eliteを発見する、軽巡ト級eliteは咆哮し相手を探そうとしたとき、周囲に水柱が上がり慌てて応戦する。
☀ ☁ ☂
遠くで砲撃音がし始めた頃、まるゆ は浜辺にたどり着いた、息を整え時計を確認してから海に入り沖へ泳いでいく、浜辺の沖合いまで来ると島の山頂の方角から爆発音が聞こえてきた。それを確認すると まるゆ は泳ぐのを止め潜り始めた。
読んでくださってありがとうございます。
木曽さん、イケメンですね、相棒はやはり まるゆ です、
なんだかこの小説、ゲストの方が活躍してる気が・・・、