主な登場艦娘
五月雨 白露型駆逐艦6番艦 不思議な青色の長い髪、がんばり屋で少しドジな艦娘
初霜 初春型駆逐艦4番艦 小柄で長い黒髪に桃色の瞳、紺のブレザーを着た艦娘
初雪 吹雪型駆逐艦3番艦 切り揃えられた前髪、白いセーラー服の眠たげな艦娘
文月 睦月型駆逐艦7番艦 長い茶髪をポニーテールにした茶色の瞳の艦娘
三日月 睦月型駆逐艦10番艦 セミロングの黒髪にアホ毛、金色の瞳の艦娘
名取 長良型軽巡洋艦3番艦 茶色のショートボブに白のカチューシャをつけ、
目は髪と同じ茶色の艦娘
多摩 球磨型軽巡洋艦2番艦 短めのピンクぽい紫髪に猫目のショートパンツの艦娘
満潮 朝潮型駆逐艦3番艦 セミショートの髪をお団子付きのツインテールにし、
襟には大きな緑のリボンをつけている艦娘
霞 朝潮型駆逐艦10番艦 銀髪を緑色のリボンでサイドテールに結った
勝ち気な目つきの艦娘。
涼風 白露型駆逐艦10番艦 濃い青髪のロングヘアーを、紫色のリボンで
二つ結びにしている艦娘
海上の霧は濃くなって、前にある霧中浮標さえ見失いそうだ。満潮、霞、名取の3人は北西へ向かって進んでいく、五月雨たちと合流することも考えたが、夜の霧の中で再合流するのは至難と考えて事前に打ち合わせた熱田ポイントへ向かうことにした。そろそろキスカ島の南を通過する頃で、この辺りまでが深海凄艦の哨戒ラインだ。
「本当に良かったのかしら」
「五月雨はきっと大丈夫よ」
名取も前を行く二人の話を聞きながら、本当に正しかったのか自問自答を繰り返す。
これが最善策だから仲間を信じましょう、いいえ、本当は自分が助かりたいだけじゃないの、
軽巡ということで旗艦を努めているけど本当に自分で良かったのかしら、
名取の考えは堂々巡りしていく、
「・・・」
「名取、通信よ」 霞の声に我に返った名取は通信を確認する、
フタ・フタ・マル・マルに発信があるので各艦は自艦の船位を測定した後で発信方位に変針せよ、司令官からの命令だった。
「はぁ、何考えてんの、敵に察知されたらどうすんのよ」
☀ ☁ ☂
名取たちから40㎞ほど遅れたところを五月雨を支えた涼風は北西にのろのろ進んでいく、砲撃音もしなくなり、周りは闇と霧に包まれている、彼女達も船橋送信所からの通信を傍受し発信を待つ、そして受信した通信は例の気象情報で涼風の妖精が早速方位を測定して針路を示す、
「熱田地点よりも南ね」
暗い夜の霧の中で取り残された二人には通信に元気付けられた気がした、
「さみ姉、いくぜ」
涼風は自分を奮い立たせるように大きな声を出す、深海凄艦の哨戒ラインを抜けるのにまだ2時間ほどかかりそうだ。
☀ ☁ ☂
熱田地点よりも南でアガツ島の南東50㎞ほどのところで初霜は30分おきに気象情報を発信していた。
深海凄艦の哨戒ラインを抜けた頃、初霜も名取の交戦開始の通信を傍受していた、さらに哨戒ラインから距離を取ったあと司令官に通信し五月雨が被弾し艦隊速度が落ちたことを報告してから、自分も熱田地点に向かって移動する、40分ほどすると司令官から熱田地点への移動を中止し、この地点で電波を出すように命令を受けた。
最初に発信してからすでに5時間が経っていた、あまり嬉しくない状況だがが霧は少し薄くなり5㎞ほど見通せる もや に変わった、初霜の耳の上に腰掛けていた通信妖精が突然に耳を引張る、初霜が耳を澄ますと雑音の中で微かに聞こえてくる。
「ザぁー・・・って・・・よ、ザぁー」
「だ・・・ザぁー・・・さい・・・ガぁー」
雑音の中に隊内通信が聞こえてきた。
「こちら初霜、名取さんどうぞ」 隊内通信で呼びかけながら缶の温度を上げ戦闘準備をする、
☀ ☁ ☂
バシャーン!
名取たちの周囲に突然水柱が上がる音がする、
「なんなのよぉ~」
「どこから」
「艦隊、取り舵~」
北西へ進んでいた名取たちは突然砲撃を受け西へ針路を変える、
「て、敵艦? 艦隊、増速、第4戦速~衝突に気をつけてください」
「そんなの構ってられないわよ」
大きな水柱が見える位置に上がる、
「16インチ砲じゃないの」
「戦艦・・・電探射撃ね」
「だから言ったじゃない、ったく…どんな采配してんのよ…本っ当に迷惑だわ!」
「は、初霜さんから通信です、近くに居ます」
「この霧じゃ、連携は無理ね、衝突するのが関の山よ」
「照明弾を打ちましょう」
「敵にも判っちゃうじゃないの」
「もう射撃受けてるわよ」
名取は照明弾を後方に向かって打ち上げる、
「初霜さん、わ、わたし達はここです、回避運動しながら西へ進んでいます、敵には戦艦が居ます」 名取たちが回避運動しながら西へ進む、
「右舷前方、東南東に発見です、霧はもうすぐ もや に変わるはずです」
初霜から通信が入る、
初霜の言った通り名取たちはお互いが見えるようになってきた、見通し距離は5000メートルほどか、このまま速度を上げれば逃げ切れそうだが、戦艦がこのあたりに居ては五月雨たちが危ない、勝負するならここだ。
「名取」
前方の霞がこちっを振り返り、後ろを指差して手で喉を切る仕草をする、同じことを考えていたようだ、
「初霜さん合流してください、深海凄艦が もや の海域に入ったら仕掛けましょう」
また付近に水柱が上がる、しかし数は多くない、戦艦は1隻だけかもしれない、
初霜はすぐに反転して西へ向かいながら速度を調整して名取たちが追いついてくるのを待って満潮の前方に位置する。そろそろ良い頃か
「艦隊一斉回頭用意~、回と・」
「待つにゃ~」
艦隊が反転しようと思ったとき、緊張感の無い声に妨げられた、
「そのまま西進して引き付けるにゃ、第2艦隊が突っ込むにゃ」
名取たちの西10㎞ほどから東へ向かって多摩たち第2艦隊が進む、
天空から神様が霧を見通して俯瞰するなら、1番西に多摩たち第2艦隊が東へ進んでいる、そこから南に少しずれて多摩たちから東に10㎞ほどのところに名取たち第一艦隊が西へ進んでいる、さらに名取たちから東へ30㎞ほどを深海凄艦艦隊が西へ進んでいるのが見えるだろう。
「なんなの、また逃げるだけ」 満潮が口を出す
「わたし達も後からすぐに突っ込みましょう」
多摩たち第2艦隊はすでに戦闘準備を整え、多摩、文月、三日月、初雪の順に進む、
「艦隊、第4戦速へ、砲雷戦用意にゃ」 10分ほどで右舷前方5000メートルに初霜を確認する、双方が27ノット(およそ時速50㎞)で近づくので3分ほどですれ違う、すれ違い様に満潮は手を振って親指を立てる、
「私達の出番にゃー」
10分ほどで右舷前方に深海凄艦の影が もや の中に見えた
「右舷、砲雷戦にゃ」
もや から戦艦ル級flagship、重巡リ級elite、重巡リ級elite、軽巡ホ級flagship、軽巡ロ級flagship、駆逐ハ級eliteが梯子陣形で出てくる、名取たちを追いかけることに夢中になっていたのか反応が鈍かった、すぐに距離が縮まり、
「距離3000、魚雷、撃つにゃ」 多摩の合図で4人から25本の魚雷が放たれた、
「これでもくらぇ~」
「え~い」
「当たれ」
魚雷は48ノット(およそ時速90㎞弱)で進む、2分ほどで深海凄艦の艦隊に到達した。砲塔を構え直そうとしていた重巡達に水柱が上がる。
「しまったにゃ」 計算したつもりだったが、思ったよりも相対速度が出ていたようで魚雷は先頭のル級より後ろに流れてしまった。あっという間に二つの艦隊はすれ違った、すれ違い様にお互いに小火器も含めて砲撃し離れていく、殿の初雪が戦果を確認する、
「ル級2隻、駆逐ハ級、撃沈、軽巡1炎上」
多摩たちは霧の中へ入っていく
「損害はどうかにゃ」
「文月、大丈夫です」
「三日月、少し貰いました、服が台無しです」
「痛い...帰りたい...魚雷発射不能」 殿の初雪に砲撃が集中したようで中破だ、
「もう少しがんばるにゃ、減速、反転用意にゃ」
多摩たちの襲撃で深海凄艦の艦隊が混乱している間に名取たちは一斉回頭する、、
「ご馳走を残してくれたようね」
「艦隊第4戦速、二手に分かれます、私と霞さんは右舷へ、満潮さんと初霜さんは左舷へ両側から雷撃します」
名取と霞は右舷へ45度、満潮と初霜は左舷へ45度に分かれる、すぐにル級が見えてきた、
「魚雷発射用意、て~」 名取の合図で射出された魚雷が左右からル級に迫っていく、ル級は回避運動しながら名取に砲撃を集中する、
ズッドゥオーン、ズッドゥオーン
水柱が2本上がる
ル級は名取側からの12本の魚雷は避けたが満潮側からの17本の魚雷のうち2発が命中し速度が落ちる、名取もル級の副砲から命中弾をもらい上部装甲に被弾し大破する、さらに、離脱する名取を軽巡ホ級が追ってくる、
「ひぇ~燃えてる~」
「あんたの相手は私よ」 霞がホ級を名取に近づかせないようにけん制する、
多摩たちは一斉回頭し初雪を除いて次発装填を済ませ再び霧の中から もや の海域に戻ってきた、前方のル級は速度が低下し右舷に傾いている、多分主砲を今は撃てないだろう、傍に居た軽巡は炎上した名取を追いかけて左舷側に離れている、
「初雪は艦隊から離脱するにゃ」 初雪は右側に外れ速度を落とし三日月が先頭に変わる
「止めを指すにゃ、面舵45度」 三日月、文月、多摩はル級の右舷側から雷撃するように針路をとる、
「左舷砲雷戦、魚雷発射用意にゃ」
小火器に撃たれながらじりじり追いついていき射点に到達する、
「魚雷発射にゃ」 瀕死のル級と炎上した軽巡ロ級に射出した。
、☀ ☁ ☂
霧に包まれた幌筵の丘は何もないように見えるが切り込まれた傾斜地に隠れた建物がある、その中の司令官室で鹿鈴と恵児が話している、
「損害は、駆逐艦五月雨、名取が大破、駆逐艦初雪、三日月が中破、軽巡多摩、駆逐艦霞、満潮が小破ね」
「・・・」
深海凄艦の艦隊を撃破した名取と多摩たちは、無事木曽の護衛する油槽船と合流できた、数時間後には涼風達も回収し、無傷の艦が油槽船を護衛して現在帰投中だ、
多摩たちの第2艦隊が間に合って深海凄艦艦隊の意表を突いたので何とかなったが、もし間に合わなければもっと大きな損害が出ていただろう。
「偵察は成功して戦果もあったけど、バックアップの不足は問題ね」
自分の見通しが甘くて艦娘に損害を出してしまった、
「轟沈が出なくて良かったけど、もっと戦力を増やさないといつか・・・」 窓からは斜面と霧で見えない北東に恵児は心の中で謝った、
後日、偵察の結果を分析した軍令部第三部は、ダッチハーバーの航空写真には居たはずの北方凄姫が写っていないこと、そしてアダック島の近くでの空襲があったこと、妖精が聞いた声、それらから北方凄姫はアダック島に前進して来ているのが確実と判断した、深海凄艦は中央では後退したが北で前進してきていた。
読んでいただいてありがとうございます。
多摩改2おめでとう~
次回は年明けになります、皆様良いお年を~