継ぐ者~提督物語   作:お気楽Y

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恵児の背景や時代の状況が判ってきます、
新たな人物も登場します。



仲間

 かまぼこのようなドーム型の白い天井に校長の声が響く

 

「・・・君たちは、本年より入校条件が変更された1期生であり・・・」

 

 校長の挨拶をを聞きながら斜め上を見る、大講堂のアーチ型の窓の外には青い空に白い雲が浮かんでいるのが見える、手前には父兄の観覧席、そこに彼を知るものは居なかった。

 

 

 海軍江田島兵学校、海軍士官の教育機関であったが、現れた深海凄艦には人類の兵器が通用しないこと、そして、一部の提督の中に艦娘の能力を増加させる提督が現れたため、あらたに対深海凄艦用の提督を発見、育成するために、入校条件 16~19才を13~19才に引き下げ、術科教育の変わりに艦娘の運用教育が行われる艦娘科が新設された。

 

「・・・以上、諸君が無事卒業してくれることを望む」

 

 校長の挨拶が終わった。今回、入校者は50名で、そのうち艦娘科に入校したのは3名だった。

 

 長期化する深海凄艦との戦いで人的資源も疲弊し、人類の兵器が通用しないため志願する者も減ってしまった。

 

 入校生が大講堂から赤レンガの建物に移動する、3人は一番後ろから追っていく。

 

「私は、勝 鹿鈴よ、あなたが坪井君で、あなたが榎本君ね、よろしくね」

 

 前を行く女の子が振り向いて言った。黒髪をショートボブにし、端正な顔立ちに大きな目が印象的だった。

 

「僕は、坪井 航一 よろしく」

 

 横に並んで歩いていた、背が高く痩せた感じの男の子が答えた。

 

「えのもとけいじ」

 

 ぼそっと言った。

 

 

 恵児は伯父さんに引き取られたが、以前の記憶を失くし、言葉も話せなかった。

亡くなった恵児の父(武志)は榎本武揚の家系に連なっており、武志の父は武志が海軍将官になることが望みだったが、武志は海軍に入ったものの、将官になる前に辞めてコックになってしまい。伯父は恵児を海軍士官にするつもりだった。

 恵児は失語症と診断され、治療が施され何とか発音できるようになったが、人と同じように話せるところまでは回復していなかった。自分の境遇については記憶を失くしており、周りから聞かされたことで理解しており、実感を持てなかった。

 伯父は政府の役職にあったが、海軍とは縁がなかった。恵児を海軍に入れることが無理ではないか? と思い始めたとき、海軍兵学校の入校条件変更を政府内で事前に知り、宿毛の提督に相談した。提督が恵児に、艦娘に特別な影響を及ぼす能力があるという上申書を、海軍省に提出したため政府発表の前に入校が決まっていた。

 

 

「もっと背すじを伸ばして歩けないのかしら」

 

 離れた大きな松の木の下から3人を眺めていた白いワンピースを着た少女がつぶやいた。

 

「大きくなったな、また姿が見られて嬉しいだろ、叢雲」

 

 隣に立っていた体格のいい老人が答える。

 

「あれで卒業できるかしら」

 

 宿毛の提督と叢雲は大講堂へ遅れて入り、父兄席の一番後ろに立ち入校式を見守った、そのあと、ここで3人を見送った。

 

 

「今日は入校式だったな」髭を蓄えた男が言った。

 

「宿毛の、老いぼれ が書いた、でたらめの上申を何故許可したのですか、軍務局長」

 

 海軍省軍務局長室で、軍務局長に横須賀鎮守府の提督がたずねた。

 

「何せ前大戦の英雄だからな、無視はできんよ」

 

「それに、彼にその能力が無い事が判明したら退役することも書いてあったしな、それはそれで好都合だ」

 

 軍務局長はそう言って煙草を吸った。

 

「もう昔の戦いは通用しないんだ、いくら前大戦の戦歴があっても役にたちませんよ」

 

 横須賀の提督は、そう忌々しげに言った。

 

 艦娘の登場で提督が戦場で直接部隊を指揮することは無くなった。最初はそのまま実戦経験者が提督を行っていたが、今は運用、開発ができ艦娘に影響を与えられる者が優遇された。横須賀の提督は豊富な資金力で艦娘を開発し、数を揃え練度を上げ成果を出していた。

 

「しかし、なぜ攻勢に出ないのですか?守ってばかりでは勝てませんよ」

 

「それは貴様が知るところではない、それよりもしっかりシーレーンを守れ」

 

 

 所々、木々の間から陽が射す小道を3人は登っている、他の術科の生徒はとっくに行ってしまった。古鷹山は海軍兵学校の北に位置する標高394mの山で生徒誰もが登る山である。

 

「やっぱりとは思ったけど登るのね、この山」鹿鈴が喋る。

 

「僕達にも手加減なしか~」

 

「恵児、大丈夫」

 

 返事の変わりに頷いてみせる。3人のなかでは恵児が一番年下だったので、鹿鈴も航一も気を使ってくれる。

鹿鈴は恵児を助けてくれた叢雲にどこか似ていてすぐに親しみが持てた。航一はどこかひょうひょうとして捉えどころがなかった。

 頂上が近くなると先に登った生徒が降ってきてすれ違う。3人が頂上に着いたときには誰も頂上には居なかった。3人は南側を望める場所に座った、眼下には海や校舎が見える。

 

「ねえ、航一あんた、なんで海軍兵学校に入ったの?」

 

「人に聞くなら自分から言って欲しいもんだね、僕の爺さんは昔、海軍中将でさ、どのみち海軍兵学校へ入るなら早い方がいいかな~と思ってね」

 

「私も似たようなものね、遠い親戚が 勝 海舟 みたい」

 

「本当かよ」

 

「さぁ、どうかしら」

 

 そして二人が恵児を見ると、「おなじ、かりん、けいいち、とおなじ」と言った、

 

「な~んだ、3人ともコネか~」そう鹿鈴が言うと3人で笑った。

 

 

 

 

 




3話も書いてしまった。ていう感じです。
もう少し長く書けるといいのですが、今はこれが限界です
ご批判、感想お待ちしております。、

 PS 次は、戦闘シーンにしたいなw
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