この小説での意味
ブリーフィング 状況説明
主な登場艦娘
叢雲 駆逐艦吹雪型5番艦 腰まである少し青みがかった銀髪、獣耳のような艤装を持つ。
川内 軽巡洋艦川内型1番艦 茶髪のセミロング、夜戦が好き
大淀 軽巡洋艦大淀型 黒い長髪、下縁眼鏡をしている、
夕日に照らされた水面に、5つの影が宿毛湾を港へ進んでいく。
「これから調子が出る時間なのに」 先頭の川内が残念そうに言う。
「今日も、空振りでしたね、川内さん」
「だよね、最近深海凄艦の目撃情報が多いけど、どう思う吹雪」
「こちらを疲れさせるつもりでしょうか?」
「そんなこと、奴らができるかな」
埠頭に着くと、大淀が待っていた。
「警備任務ご苦労様、帰投したところ悪いけど、川内と叢雲は提督室へ来てください」
「なんだろう、なんかやらかしたのか、叢雲?」
「何もやってないわよ」
提督室に入り直立して言葉を待つ。
「警備ご苦労、実は頼みがある、これは強制ではない、断ることは可能だ、明朝から一時的に呉鎮守府の所属になってもらいたい、状況を大淀から説明させる」
二人が大淀を見ると状況を説明してくれた、概要は、今から1時間前に呉鎮守府の提督から電話があった、軍令部から北方海域へ直ちに出撃せよ、との命令で、軽巡と駆逐艦はほとんど出撃する、実は明日、江田島で艦娘科の最後の演習があり、そこへ出す軽巡、駆逐艦が居なくなってしまった、ということである。もし演習が中止になると延期はなく現在までの評価となるのである。
「明日は恵児の最後の演習だわ」叢雲が思わず口にした。
恵児は、未だに特別な能力があると証明できていなかった、明日が最後のチャンスだった。
「そういうわけで、提督はこの鎮守府から応援を出すことにしたんだけど、ご存知の通り、最近は出撃が多くて、今も出払っていて、明日の朝までに江田島へ行けるのは、11駆逐隊だけなの」
「どうだ、行ってくれるか」
叢雲は横の川内を見た。「川内さん」
「大丈夫、行くに決まってるだろ、夜は大好きなんだよ、11駆のみんなも行ってくれるよ」
「呉の提督も、明日は江田島へ行く、彼には、直接、明日朝までに江田島へ行く、と言っておく、よろしく頼む」
「呉鎮守府への派遣命令書です、持って行ってください」 大淀から油紙に包まれた封筒を渡される。
教室で待機しながら呼び出しを待つ、もうそろそろ呉から艦娘が到着する頃だ。今日は、最後の演習で、航一と恵児の艦隊が演習を行う予定だ、航一は重巡3、恵児は軽巡1、駆逐3の艦隊を受け持つことになっている。航一は3隻なので陣形が組めず特別な能力を発揮出来ない。恵児は、何が能力か、まだ判っていない。
「いつもなら、もう来る頃なのにね、航一」
「お前が、イライラしてもしょうがないぞ、鹿鈴」
二人とも今日の最後の演習で、何か結果を見せないと恵児は卒業できないか、卒業しても提督になれないことを知っている。
「艦娘科は埠頭の仮設指揮所に集合」放送が入る。
「おっ来たか、恵児行くぞ」
「恵児君、落ち着いてね」
二人と一緒に教室を出る、仮設指揮所に来ると、呉鎮守府の提督と、重巡艦娘3人は居たが、軽巡艦娘と駆逐艦娘が見当たらない、恵児たちは理由が分からなかったので提督に聞こうとした。すると、呉鎮守府の提督と事務長が話しをしている。
「増援の件は認めますが、演習開始時刻を遅れたら演習を中止します、いいですね提督」
「ん、構わん」
指揮所の外では、重巡艦娘3人が話をしていた。
「もう、中止にしてさ、寝てきちゃだめ~」
「なんにも撮らずに帰るのやだな~、衣笠でも撮ろう」
「ちょっと、青葉、私を撮らないでよ」
「それにしても、宿毛の増援遅いわね~Zzz」
「寝るなよ、加古」
事務長が懐から時計を取り出して時間を見る。
「残り30分です」
事務長は無表情に残り時間を告げた。
岬の方を睨んでいた鹿鈴が、岬を回り込んできた艦娘を見て叫んだ、「来たわよ」
だんだん近づいてくる、艦娘を見ていた恵児が、突然、埠頭の先端に走り出した。皆はあっけにとられて見送った。
「叢雲~、叢雲~」恵児は大きく手を振って叫んでいた。
航一も、鹿鈴も、恵児を知る誰もが、彼のそんな大きな声を初めて聞いた。
埠頭を誰かが走ってくる、手を振って叫んでいる、叫んでいる言葉が判ると皆が叢雲を見た。
「なんで走ってるのよ」 そういうと叢雲は皆の反対側を向いた。
埠頭に着くと、呉鎮守府の提督に到着を告げ、命令書を渡し、指揮下に入った。
「それでは、今日の演習を行う、準備するように」
提督の言葉に、それぞれ艦娘とブリーフィングを行う。
「初めまして、なのかな、榎本恵児です、今日はありがとうございます」
「初めてじゃないわね、あなたは覚えてないかもしれないけど、このメンバーは皆あなたのこと知っているわ」
「川内さんですね、旗艦をお願いします、それから、駆逐艦は3人ですので、川内さんが決めてください」
川内がしゃべるより早く初雪が手を挙げた。
「私、パス、指揮所で見てる」
「じゃ、吹雪、白雪、叢雲、いいわね」
「はい」
「疲労はどうですか」
「大丈夫よ」
「川内さん、陣形は単従陣で、大破判定で撤退してください、それと、初雪さんの魚雷を叢雲に装備します」 ブリーフィィングが終わると、恵児は叢雲の前に立った。叢雲は恵児を頼もしそうに見つめた。
「恵児、話せるようになったのね、」
「叢雲・・・ありがとう、僕を助けてくれて、自分の口からお礼を言いたかったんだ」
「あんなの普通よ、お礼を言われることではないわ」
「僕は、海軍に入ればいつか叢雲に会えると思って江田島へ入校したんだ」
そう言って恵児が涙目になる、叢雲は見ないようにして、
「今日、勝たなきゃ海軍に入れないわよ」 そう言って後ろを向いた。
確かに、重巡艦娘3人に、軽巡艦娘1人、駆逐艦娘3人では勝てる見込みは低かった。
あっという間に5話まで来ました。
次話は間が空くと思います、 勝利する方法を考えないといけないのでw
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