登場する主な艦娘
五月雨 白露型駆逐艦6番艦 不思議な青色の長い髪、がんばり屋で少しドジな艦娘
この小説での解説
多面反転表示機 空港にある出発、到着表示機みたいなやつ
分魂(ぶんこん) 古(いにしえ)の戦艦(いくさぶね)の魂を分けること
木札(きふだ) 霊力を封じ込めてある札
早朝、賀茂神社へ海沿いの道を二人で歩いて向かう、途中にある港には、漁を終えた漁船が戻って忙しそうだ、
忙しい中で司令官達に気がついた顔見知りの出店のおばさんが声を掛けてくる。
「海軍さん、おはよう、朝早くお参りかい、帰りに寄っていきなよ」 食材を買いに来ると、いつもおまけしてくれるおばさんだ。
「は~い、ありがとうございます」 五月雨が変わりに笑顔で返事をして頭を下げる。
つられて会釈をしてから神社へ向かう、神社に着くと二人で並んでお参りをした。今回は二人がお願いすることは同じ、来た道を戻る途中で、出店のおばさんからアジを4匹買う、おばさんは、さらにアジを8匹もおまけで付けてくれた。歩く途中で、
「これはツキがありますよ」 五月雨が言うので、横の五月雨の顔を見る。
「おまけは何匹でしたか司令官?」
「8匹だった・・・え~と、そういうこと」
「そ、八は末広がり、縁起がいいんです」 得意そうに五月雨が言って笑う。
鎮守府に戻り工廠設備のある小屋の扉を開いて中に入る。中は何も無くて、奥を見ると薄暗く霧がかかったようにぼんやりして何があるのかわからない。横の五月雨を見るが、何も不思議とは思っていないようだ。
「え~と、ここでいいんだよね」
「そうですよ、妖精さ~ん、お願いしま~す」 五月雨が返事を返してから奥に向かって呼ぶ。
すると、ぼんやりした中から妖精が現れて、自分の前まで来て手を出す、そこで、海軍省から発行された、建造と書かれた木札を2枚渡す。すると、3桁のダイヤルが4つ付いた機械を2つ渡された。どうやら、これで資源量を決めるようだ。今回許可が下りた全使用可能資源はオール60なので2つともオール30にセットして妖精に返す。建造する艦娘は指定することができない、妖精にお任せだ。
艦娘は古の戦艦の魂が宿った存在だ、元の魂は1つなので同じ艦娘が建造されて分魂されると錬度によって上昇する能力の最大値が下がってしまい、分魂が多くなると能力の最大値が下がった艦娘がたくさん出来ることになる。例外もある、初期艦と呼ばれる5隻(吹雪、叢雲、漣、電、五月雨)は理由は解からないが分魂されても能力が下がらないことが確認されている。
先に編成している鎮守府では、艦娘の能力が下がることになる。そのために海軍省が、建造される艦娘の量を把握し、制限している。
海軍省は工廠で、霊力を込めた木札がないと建造できないようにして、分魂数は海軍全体で大型艦以上は2まで、中型艦は3まで、小型艦は4までに制限していて、特に能力に特徴がある艦娘は小型艦であろうと分魂されない場合や、大型艦では先に編成した提督の了解がないといけない、非戦闘艦に関しては制限は無い。
制限数以上や海軍の許可が取れていない場合は建造しても工廠から出さず工廠内で解体しなければならない。
早朝に神社に二人が願ったのは、建造した艦娘が解体されることのないよう、お参りしたのだった。
「どうします司令官、このまま待ちますか」
「どのくらいかかるのかな?」
「前方に出てますよ」
言われて部屋の奥を見ると、いつのまにか右上の方に多面反転表示機がある。00:19 最初にどこからスタートしたのか見ていなかったが、残りは20分くらいだ。他にすることもないので待つことにした。
待つ間にもう一度編成可能な艦娘の一覧表を見る、ここに載っている艦娘以外は建造しても解体しなければならない。名前がないの中で気がつくのは、雪風、秋月、島風、時雨、綾波、夕立、天津風、照月、霞、大潮、朝潮・・・の名前がない、もし建造されれば解体しなければならない。
「どんな娘が来るか楽しみですね」 何も心配してなさそうに五月雨がニコニコしながら言う。
「五月雨も1人で寂しかったんじゃないかと思うけど、これで賑やかになるね」
「私は司令官と二人だけでも、寂しいとは思わなかったですよ」
「・・・え~と」 なんて答えていいかわからず返答に困る。
「仲間が増えて、任務ができれば司令官や、島の人や、みんなが助かりますよね」 五月雨がすぐに言葉をかけてくれた。
そんなことを話しているうちに、00:00 になり、ぼんやりした奥から妖精が出てくる、手には二つの巻物と箱を持っていて、二人の前に巻物だけ置いた、妖精の手に残った箱には解体と書かれている、どうやら解体する艦娘の巻物を入れる箱のようだ。
横の五月雨を見ると、巻物を開けるように目で促しているので開けることにする。
巻物の紐を解いて開く、一つ目には「初霜」、二つ目には「初雪」と達筆で縦書きしてある、すぐに一覧表と見比べて名前があることを確認しホッとする。それを見ていた妖精は奥に戻っていく、妖精の影が消えた後に、奥から妖精より大きな影が近づいてくる
「初霜です、よろしくお願いします」
小柄で長い黒髪に桃色の瞳、紺のブレザーを着た少女が挨拶する。続けてもうひとつ影が近づき
「初雪...です...よろしく」
切り揃えられた前髪、白いセーラー服の眠たげな少女が挨拶した。
「二人とも柱島鎮守府へようこそ、僕が提督見習の榎本です、これからよろしくお願いします」
二人は恵児を怪訝そうに見つめる。
「初霜、初雪、私は初期艦の五月雨、よろしくね、若い司令官でしょう、でもちゃんと海軍兵学校出身よ、ここはまだ出来たばかりの鎮守府で、あなた達が最初の建造艦なの」 五月雨がフォローしてくれる。
「そうですか、よろしくお願いします」 初霜が五月雨に挨拶する。
「大丈夫...なの...よろしく」
二人を居住棟に案内する、部屋は3つあり、奥の一つは提督が使っている、残りの二部屋には、それぞれ3段ベッドが一つ備え付けてあるので、五月雨と二人を同部屋とした。
次に事務棟に案内していく、事務棟は手前の部屋が多目的室(受付、会議室、待機室、休憩室)で、扉は中央にあり正面に受付の机と椅子、右側に黒板と机と長椅子が二つ、左側に机とソファー、受付の後ろには奥の部屋への扉、奥は提督室だ。全員で右側の長椅子に座り話し合う。
「鎮守府の艦娘が3人になったので、ローテーションで遠征、演習、秘書艦を回していこうと思う、二人が艦隊を組み一人が秘書艦兼リザーブでどうだろう」
「そうですね、そうなりますね司令官、でも遠征は2艦だと練習航海しかできないですね」 五月雨が言う
「演習はどうしますか、提督」 遠慮がちに初霜が言う。
「え~と、まだ提督見習いなので司令官と呼んでください、とりあえず、呉の提督に頼もう」
「なんか忙しそう...やだ」 初雪の言葉には聞かなかった振りをして、
「まずは、五月雨と初霜のペアから、次が五月雨と初雪、そのあと初霜と初雪で練習航海から始めようか」
「お任せください」 「はい」 「え~」
埠頭で練習航海に出る二人を見送ってから司令官と初雪は事務棟に戻った。
☀ ☁ ☂
目の前の席で訓練計画を立てている司令官はとても若いというか幼い、本当に大丈夫なのだろうか、
「呉の鎮守府に行っての演習は、最初は僕も含めて全員で行ったほうがいいよね」
「...私に...聞かないで」
「・・・」 少し困った顔になり、
「僕は海軍兵学校に入るまで満足に話せなかった、学校に入って仲間ができて話せるようになったんだ、ここ柱島鎮守府を五月雨と二人で運営するようになって話しあうことの楽しさをもっと知ったんだ、だから、初雪とも話したい」
「...」 うざい と言いたかったが何故か言葉にはならなかった。
「ん...分かった」
「ありがとう、できるかぎりでいいので、よろしくお願いします」
嬉しそうに言う司令官を見て、初雪は眩しそうに目を伏せる。
「そろそろ朝確保した捕虜を料理しようか」
「?」
「初雪も手伝ってくれる」
どの艦娘を出すか悩みましたが、実際にオール30で回して出た艦娘にすることにしました。それで出たのが二人です。今後どうなるんでしょうかw
不定期連載です、ご批判、感想お待ちしております。