魔法科高校の異端児~それは呪いか祝福か~   作:のなめん

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こんにちは、みなさんお元気でしょうか。夏休み編第2話です。お楽しみください。


第16話

「達也が四葉であることについて、ですか」

「ええ」

緊張の中での問答。

「それでしたら、先日達也にも言った通り自分が他人に言いふらすことはありません。八田が四葉と事を構えることができる家でないことはお分かりでしょう?」

「自爆覚悟での特攻、というのもあり得ない話ではなくてよ?そうやって失墜した家でしょう?」

真夜が微笑を崩さずに告げる。黎を挑発しながらの言葉だ。

「それで懲りた、とはお考えにならないのですか?」

「人間そう簡単に変わるものではないもの、悪い癖は特にね」

「その悪い癖が出た人間たちは、ほとんどバチが当たって死んだんですが?」

「その血を引いているあなたがまだ生きているのだけれど」

「四葉殿は、私の始末を望んでいらっしゃるのですか?」

場に緊張が迸る。

「ふふふ、事を構える気はないと言ったのに、ずいぶん好戦的な目をしているのね」

「自分から仕掛けることはなくても、降りかかる火の粉を払うことくらいはしますよ」

真夜は微笑を浮かべたまま、あたりが闇に包まれ、周囲に光球が浮かぶ。真夜の魔法『流星群』、通称『夜』。有機、無機を問わず、対象物を「光が通り抜けられる状態」にすることで穴を空ける、ひとたび発動すればほぼ防御不可能な魔法だ。しかしその光が黎を貫くことはなかった。闇に包まれていた空間を、突如光が満たす。

「へえ、そんな魔法も使えたのね」

「ええ、さしずめ『朝』と言ったところでしょうか」

『流星群』は、光の偏りを強制的に作り出すことで効果を発揮する魔法だ。黎はあたりを光で満たし、光の偏りをなくすことで「流星群」を無効化した。発動させてしまうと、『流星群』を防ぎ切るのは不可能に近い。そのため、一定の空間内に光の偏りがあるという魔法の発動条件を満たせないようにしたのだ。

「ますます厄介な子だこと」

「手加減しておいてそれは言いっこなしですよ」

本気の真夜に勝てるとは黎にも言い切れない。この魔法の応酬がお互いを試すものであることは、本人たちが一番よく分かっていた。

「確かにうちは四葉にどうやっても敵わない。ただもしやる気なら、相応の傷を負う事を覚悟していただきたい。達也や深雪は俺の大切な友人です。2人とは今後とも仲良くやってきたいと思っていますよ。八田としてでなく、達也と深雪の友人として信頼していただきたい」

「そうね、今はその言葉を信用してあげましょう。今後とも達也さんと深雪さんと仲良くね」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

四葉家に招かれたさらに数日後、黎は八谷家を訪ねていた。

「兄さん!いらっしゃい!」

「黎!よく来たわね!」

沙織と朱莉に迎えられ、やや激し目のスキンシップを受ける。

「あっつい!2人とも少し落ち着け!」

引き剥がしてリビングへ向かい、2人の母親に挨拶する。

「こんにちは美樹さん、お邪魔します」

「あら黎くんいらっしゃい、ゆっくりしていってね」

夕食を食べ、入浴を済ませてくつろいでいいると、2人の父親である八谷修一が帰ってきた。

「お帰りなさい、修一さん」

「おお、黎、よく来たな。こっちで話そうか」

黎が八谷家に来たのは、修一と話すためであった。修一の書斎に通される。

「四葉のことか?」

「話が来てましたか」

「ああ、黎と今後敵対するつもりはない。しかしもし万が一があれば、八谷家共々相応の報いを受けてもらう、だそうだ」

「………」

もう手を回されていた。

「すみません、巻き込む形になってしまって」

「なに、お前を引き取ってから、こういうこともあると思っていたよ。それに、黎が万が一を起こさなければいい話だろう?」

ニヤリと笑って修一は答える。

「ええ、もちろん」

真夜は八谷家を人質にしてきた。黎が真夜との約束を違えれば、大事になるのは黎だけでは済まないと脅してきたのだ。確かに黎の口を固めるのにとても効果的な方法である。

(さすが四葉、非情ながら効果的な手をうってくるな。そんなことしなくてもバラすわけないってのに)

修一の部屋を出ると、沙織と朱莉が枕を持って待ち構えていた。

「兄さん!一緒に寝ましょう!」

「この暑い時に固まって寝なくてもいいと思うんだが」

「いいから、こっちこっち!」

結局3人並んで川の字で寝ることとなり、寝苦しい夜となってしまった。

 

 

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「じゃあ、またな」

「兄さん、お気をつけて」

「黎、またね」

「ああ、姉さんは論文コンペに出場するんだろ?またその時にな」

当然一緒に寝ることで間違いが起きるはずもなく、翌朝黎は八谷家を後にした。夏休みももうじき終わる。休み明けからは生徒会の再編や論文コンペの準備等、また忙しくなるだろう。

(忙しいだけで済めばいいがな)

1学期のことを思い出しながら、キナ臭いことにならないことを祈る黎であった。




短い…今回はここまでです。黎の『朝』ですが、『夜』と対極の名前をしているのにも理由があります。また防御以外にも用途がありますので、また登場することになると思います。次回からは横浜騒乱編に入ります。オリジナル展開を作るのが難しいんですが、頑張って描こうと思います。
ではまた次回で、ここまで読んでくださりありがとうございました!
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