今回、とあるディーゼル機関車が出てきます。出番はかなり前だったので、記憶にない人の方が多いと思いますが…
では、どうぞ。
「特別な急行」と言うお話
モチヅキが小さい客車をひいてナップフォード駅までやって来た。そこには急行をひくためにゴードンがスタンバイしていた。だが、調子が悪そうだ。
「おはよう、ゴードン。ちょっと調子悪そうじゃない?大丈夫か?」
「ああ、おはよう。だがな、俺様はどこも調子は悪くないぞ!それよりも、俺様が急行をひっぱる姿をたんと見ておくんだな!」
モチヅキは少し心配になってゴードンに訪ねたが、相手にしなかった。そのまま急行をひっぱって行ってしまった。そこにトップハム・ハット卿がやってきた。
「モチヅキ、君の支線に少しの間、助っ人機関車を向かわせようと思う。」
「助っ人ですか? どんな奴ですか?」
すると、一台のディーゼル機関車がやってきた。
「彼だ。名前はデリックと言うんだ。」
トップハム・ハット卿が彼の事を紹介する。
「デリックです。よろしく。」
「はじめまして、デリック。俺はモチヅキ。よろしく。」
お互いに挨拶をする。そして、モチヅキの支線へと向かった。そこで二台は貨車を運び、観光客を案内し、様々な所を巡った。モチヅキは湖の周りを走るのがお気に入りだ。そして、デリックは森の中を走るのが好きになったようだ。 モチヅキの支線には古いお屋敷や大きな湖、ちいさな牧場などがある。観光客たちはお屋敷を見学したり、湖のほとりで食事をしたり、牧場で乗馬をしたりする。
「いやー、良い働きっぷりじゃないか。デリック。」
「ありがとう、モチヅキ。」
二人は仕事を終え、本線と支線を結ぶ駅で休憩していた。そこに奇妙な汽笛が聞こえてきた。
「? 誰の汽笛だ?」
ゴードンだった。朝の強がりはどこかに行ってしまい、本当に調子が悪そうだ。
「どうかしたんですか?」
デリックが訪ねると、ゴードンの機関士が運転台から降りてきて答えた。
「ただでさえ調子が悪かったのに、無理して動くものだから、ボイラーから蒸気が漏れはじめたんだ。急行はひっぱれないよ。」
「となると、大変じゃねぇか!」
モチヅキの言うとおりだ。時間に遅れては、乗客達が家に帰れない。ついに乗客達が不満を言い始めた。そこでゴードンの機関士が提案をした。
「どうかゴードンごと急行をひっぱってくれないか?」
「ええ!?そんな――」
「もちろんだ!乗客を待たせるわけにはいかないからな!」
デリックが反対しようとした瞬間にモチヅキがそれを遮って了承してしまった。
「連結完了だ!」
「なんでこんな…」
デリックを先頭にモチヅキ、ゴードンと並んだ奇妙な急行が出来上がった。
「ふん!絶対に無理だね。」
「ゴードンの言うとおりだよ。どうして依頼をうけたんだい?」
ゴードンは嫌味を言い、デリックはモチヅキを責める。だが、モチヅキは飄々と受け流し、答えた。
「母国のとある映画監督の名言なんだが…『まず「出来る」って言う。方法はそれから。』ってね。やりもしないのに、出来ないなんて言ってられないからな。」
そう言われてデリックは納得した。そして、駅長が緑色の旗をふり、急行が発進した。順調に進んでいく。途中の丘や橋もゴードンに劣らないスピードで通り抜ける。そしてついに、時間通りにナップフォード駅に到着した。そこではトップハム・ハット卿が待っていた。
「デリック、モチヅキ。よくやった。デリックにはしばらく農場でゆっくり走るといい。モチヅキには質の良い石炭を送ろう。」
「わぁ!ありがとうございます、トップハム・ハット卿!楽しみだなぁ!」
「ありがとうございます、トップハム・ハット卿。これで、より気持ちよく走れます。」
二台は喜んだ。そして、トップハム・ハット卿はゴードンに向き直し、喋った。
「ゴードン、いい教訓ができたな。調子が悪いのに強がると、全体に遅れを招く!今日はもう整備工場に行きなさい。」
「はい…申し訳ありません…」
そこに子供たちがやってきて、モチヅキとデリックを見てこう言った。
「この変な機関車って凄いね!」
「変っていうのは彼らに悪いよ。 彼らは特別ななんだよ。」
「じゃあ、この急行は特別な急行だね!」
二台はとてもうれしかった。
デリックは農場で元気に走っている。豊かな自然を堪能し、動物の鳴き声や牧草の匂いを楽しんでいる。時折、ビルとベンがやってきたり、トビーが手伝ってくれる。その話は、またどこかですることにしよう。
このお話の出演は
ゴードン
モチヅキ
デリック
でした。
いかがでしたか?軽く読めるショートショートを目指して書いてますが、軽すぎるでしょうか…?意見、感想お願いします。