転生「汽」者えほん   作:アンギラスの息子

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今回は待ちに待った?事故回です。胸糞な回になってるのでご注意…

オリキャラが出ますが、今回限りの登場の予定です。


「君のせいじゃない」

モチヅキは自分の支線にくる機関車とよくおしゃべりをする。好意的に接してくれるので、みんな彼女と話すのが大好きだ。

 

例えばパーシーだと…

 

「オーバーワークもいいところだよ! なんでトップハム・ハット卿はぼくにこんなに仕事を押し付けるのさ!」

 

「それだけ頼りにされてるのさ。 まあ、辛いのもわかるが、焦りすぎるなってとこだな。」

 

ボコの場合…

 

「手伝ってくれてありがとう。いつもすまないね。」

 

「なーに、これくらいなら安いもんさ。 むしろ、みんなもっと頼ればいいのに。 俺だって古いかもしれないが、十分役に立つ。」

 

「ハハッ、確かに! けど、君が思う以上に頼られてると思うよ。」

 

 

 

と、まあこんな具合だ。(大体前世の影響で)女性らしからぬ口調は男性陣としても親しみやすく、女性陣としても頼れる仲間だった。 ある一人を除いて。

 

「はぁ…よくもこんなガラクタが走るもんだ。 スクラップを走らせる鉄道なんて見たことない。」

 

新しく試験的に導入されているディーゼル機関車のスパッシュだ。彼はモチヅキを心底低評価――というより、妬んでいる。モチヅキはエドワードに次ぐ旧型車だ。車体は使い古されて薄汚れ、車軸は丹寧に整備をしているが、ガタガタと嫌な音がする事がある。そのことは彼女自身がよく知っていた。だが、彼の気に入らない理由はその()()()()が自分より上手く貨車や客車をひっぱれるという点だ。

 

「愚痴を言う前にその貨車をきちんと運んで来たらどうだ?」

 

「…ちっ」

 

モチヅキに全く相手にされず、舌打ちをして出ていった。そこにトップハム・ハット卿がやってきた。

 

「すまない、モチヅキ。 操車場に行ってパーシーを手伝ってやってくれ。」

 

「勿論です。 パーシーが仕事が入りすぎだと嘆いてましたしね。」

 

「パーシーにはこの仕事が終わったら休暇を取らせるつもりだ。」

 

「それを聞いたら彼も喜びますよ。」

 

そう言ってモチヅキは操車場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

スパッシュが小麦粉を満載した貨車を運んでいる。だが、彼の貨車の扱い方は非常に荒い。そのため、貨車たちはうんざりしていた。

 

「次の丘で逃げ出してやろうぜ。」

 

「そりゃいい。あの野郎の度肝を抜いてやろう。」

 

そう貨車たちが相談してる声はスパッシュには届かない。彼は次モチヅキに会ったらなんて言ってやろうかと考えるのに夢中だった。そして丘の頂上にたどり着いた時、事故が起きた。

 

「今だ!引っ張れ!」

 

貨車たちが一斉に後ろ向きに力をいれ、連結器を引きちぎった。ものすごい勢いで丘を駆け下りていく。

 

「クソオッ! これじゃあモチヅキに笑われる!」

 

無論、そんなことはモチヅキはしないのだが、彼は急いで貨車たちを追いかける。だが、悲劇は終わらない。

 

 

貨車の進路上に操車場から戻るモチヅキが走っていたのだ。目の前から暴走してくる貨車に呆気にとられ、悲鳴もあげられない。

 

「モチヅキだ!止まれ!」

 

「ぶつかる!止まれぇ!」

 

「ヤダーシニタクナーィ!」

 

「…はっ!? ヤバっ…」

 

全て手遅れだった。モチヅキと貨車は正面衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

スパッシュがついた時、線路の上は酷いありさまだった。ぶつかった貨車は粉々に砕け散り、積んでた小麦粉が散乱している。特に酷いのはモチヅキだ。

ぶつかった衝撃で緩衝器はねじれ飛び、木製の車体は衝撃に耐えきれず一部が吹き飛んでいた。小さなボイラーは勢いよく飛んできた木片や鉄片が突き刺さっていた。そのダメージは人間態にもフィードバックされる。特徴である茶色の袴は引き裂け、身体の至るところから血が流れている。

 

「良いなりになったじゃないか、モチヅキ。」

 

悪びれもなくスパッシュが話しかける。

 

「お前…っ…自分がした事を…ぅあっ…理解した上で言ってるのか?」

 

痛みに耐えながらモチヅキが話すが、息も絶え絶えの状態だ。

 

「ああ、わかってる。お前を一番似合う格好にしてやったのさ。」

 

「お前ぇっ!待て…っ!ぁぁ!」

 

そう言うとスパッシュは壊れてない貨車をひいて走っていってしまった。無理に叫んでしまい、激痛でモチヅキは意識を手放した。

 

 

 

 

 

意識が戻ると、パーシーとトビーが復旧作業をしていた。トップハム・ハット卿も一緒だ。

 

「トップハム・ハット卿…申し訳ありません…」

 

モチヅキが謝ると、ハット卿は彼女にこういった。

 

「なに、君のせいではないのはわかっておる。 スパッシュは本土に送り返す予定だ。」

 

「しかし、俺の代わりに誰があの線を走るのです? 俺はもう…」

 

彼女がその先を言う前にハット卿が遮る。

 

「心配するな。元から君を改修する予定だった。今から修理工場で直してもらえ。その間はパーシーとトビーが君の支線を走る。」

 

「それはいいですね。 景色はいいし、貨車も大人しいからパーシーにとってもいい気分転換になりますよ。」

 

そしてモチヅキは修理工場で改修されることになる。直った後の話はまたいつか。




このお話の出演は

スパッシュ

パーシー

トビー

モチヅキ

でした。

途中ででたパーシーのオーバーワークは「ゆうかんなパーシー」での発言から。パーシーとトビーのコンビは「きたないきかんしゃ」でジェームスを助けた際のコンビですね。
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