若干の原作剥離はありますが、影響は時系列くらいしかないので安心…のはずです。
三台のトラック、というお話
港は毎日大忙しだ。様々な荷物をのせた貨車が右往左往し、お客さんを乗せるために客車がひかれてくる。そんな港の切り盛りをしているのはタンク機関車のパーシーだ。
彼は今日も港を走り回るが、仕事がとても多い。ダックも手伝ってくれるが、休憩する暇もない。そんな彼をクレーンのクランキーが非難する。
「船を待たせるわけにはいかなかいんだ!もっと奴らを尊敬しろよ!」
「だって、仕事が多いんだもん!」
パーシーが反論する。次にクランキーの口からでた言葉は衝撃的だった。
「そんなに忙しいならトラックにかわってもらえよ。」
ショックを受けたパーシーは操車場に戻り、仲間にこのことを伝えた。改修を終えたモチヅキも一緒だ。
「そんな馬鹿な!」
「この島は僕達が動かしてるんだぞ!」
ジェームスとヘンリーが声を荒げる。だが、パーシーは不安そうだ。
「でも、もし本当になったら…?」
「心配すんじゃない。少なくともあの人は俺たちを役立たずとは思わない。来たところで俺たちのほうが一流だってことを見せつけてやればいいのさ。」
そうモチヅキがフォローする。だが、みんな不安だった。そして、それは現実のものとなった。より最悪の形で。
港に三台もトラックが運ばれてきたのだ。その一台がパーシーを見た瞬間に失礼な事を言った。
「蒸気を吐く屑鉄がここで何をしてるんだ?」
「蒸気を吐く屑鉄だって!?」
怒りと悲しみで反論の言葉も出せず、そのまま走り去る。 三台のトラックは思い思いの仕事場に向かう。
モチヅキがいつも通りにスマトレーラ村駅までお客さんを運んでいた。彼女は普段通りならここで牛乳を満載した貨車を連結するのだが、今日は違った。トラックが牛乳を荷台に満載にしていた。
「お前さん、新入りか?」
モチヅキが話しかける。だが、返答は失礼甚だしいものだった。
「屑鉄どころか木屑が走ってるのか?この鉄道が酷いのも当たり前だな。」
「…初対面で悪口を言われるのは初めてじゃないから慣れてるが、久々にひでぇ奴を見たもんだ。」
「お前のぼろい線路と車体に比べればマシだ。 まとめてスクラップにしてやる。」
「荷物は良いとして、お客さんはどうするつもりだ? バスじゃあ三台は必要だぞ。荷物もお前一人じゃ無理だ。」
「は!言ってな!」
そう言ってトラックは走り去っていった。見るからに重量オーバーの荷物をのせて。
「ありゃあ、トラブルになるぞ。」
モチヅキがお客さんをのせてストリウム駅に向かっている途中、前方に赤い布を振っている運転手の姿が見えてきた。 止まれの合図の代わりだろうと思い、彼女が止まると、そこにはさっき走っていったトラックが煙を吹いて踏切で止まっていた。
「なんだ?自分がスクラップになってるぞ?」
「黙ってろ! お前なんていつでも消せるんだ!」
トラックが醜く反論する。だが今は荷物を送り届けるのが先だ。彼女はトラックを別の貨車に載せて港に向かった。
港に着くと既に一台トラックがグシャグシャになっていた。
「もう一台いたのか…というかどうしたんだ、そいつ?」
「石切り場から港に行く途中で事故ったんだって。そっちは?」
パーシーが返事をする。
「牛乳を載せすぎて故障したのさ。」
「あまりお役に立ててないみたいだね?」
トビーが珍しく毒を吐く。さらにジェームスが嬉しそうに汽笛を鳴らす。
「最後の一台が艀で運ばれてくるぞ!あいつどうしたんだー?」
「マヌケな奴だ。バックして海に落ちたんだ。」
最後にトーマスがやって来て三台を見てからかった。
「おやおや、呆れたトリオじゃないか。ペチャンコにエンコにドンブラコだ!」
トラックが帰ってくることはなかった。そして機関車たちはより一生懸命働いた。
このお話の出演は
ジェームス
トーマス
モチヅキ
パーシー
でした。
受験生故に更新が遅くなりますが、堪忍してください。
ちょっとした小話
トーマスの連結器はねじ式と呼ばれるもの。客車を繋ぐ際にしっかりねじを締めないと連結が緩くて乗り心地が悪くなってしまう。貨車は逆に緩くしてひっぱりやすくする。