緋弾の内藤   作:移り人

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第二話

「てめえ、内藤! なんで此処に居やがる」

「なんでって、俺が此処にいちゃ行けないのかよ」

 

 場所を移して屋上。相変わらずの男喋りで話しかけてくるのは、俺と同じくイ・ウーのメンバーである峰・理子・リュパン4世だ。リュパンの名前から分かる様に、怪盗アルセーヌ・ルパンの子孫である。

 

「当たり前だろ。それに、そのふざけた格好は何だ!」

「俺様wwwかっこよ過ぎwww修正されないねwww」

「ふざけるのも大概にしろよ内藤!」

 

 俺がこの学校でのロールプレイをふざけていると言って睨まれる。それにしても、俺がこのロールプレイを好きでやっていると思っているのだろうか……いや、結構気に入っては居るけど。

 

「分かったよ。それで? 何のようだ」

「それは、こっちの台詞だ! 何でイ・ウーを離れて此処に来てるんだ」

「ああ……どこから話した良いのか」

 

 ああ、そう言えば……

 

「流石に極秘内容を外で話すのはどうかと」

「あ、ああ。そうだな……あっ!」

「ん? どうした」

「くふふっ。なんなら私の部屋に来る?」

 

 先ほどまでの男喋りからうって変わり、急に甘ったるい声で喋りかけてくる。その声は妙に艶やかで、彼女を知らない人が見たらただの天使にしか思えないだろう。

 だが……

 

「【せっかくだけど遠慮します。】」

「ああんっ!」

 

 俺が誘いを断ると、またも男喋りに変わる。ぶっちゃけ、理子の部屋にでも行ったら何されるか分かったものでは無いので絶対に行かない。まだ爆弾で吹っ飛ばされたくはないんです。

 

「はあ、まあ良いか。うし、これで良し」

「超能力使ったのか」

「ああ、風でこの屋上から音が漏れないようにしといた」

 

 今、現在この屋上は見えてはいないが、周りがかなりの強風で覆われており、ぶっちゃけもの凄くうるさい。だがまあ、他の人間に聞かれる位ならば別に問題ないだろう。

 いまやったので分かる様に、俺は風を操るステルスを持っている。本来はこのステルスと、ナイフでの二本構えでの戦闘をしているのだ。 

 

「それにしても、お前のステルスはかなり便利だよな」

「まあな、色々応用が効くし。でもなあ……学校ではあまり使いたく無いんだよな」

「え? 何で」

 

 はあ、と一度ため息をつき、理子に説明していく。

 

「俺が教授の命令で此処に来ているのは分かってるよな」

「まあ、普通に考えれば……で? どんな命令なんだ」

「武偵高に来ているイ・ウーメンバーの補助と言った所だ」

 

 アリア達は、今の所なんの問題も無さそうだし、ぶっちゃけ今やることと言ったら理子の手伝いをしてやる位しか無いのだ。

 

「だけどな、わざわざ武偵高まで来ているんだ。俺だって楽しみたい」

「はあ? だから何の関係があるんだ」

 

 だが、仕事ばかりでは俺が詰まらない。俺だって少しくらいは遊んでも問題ないだろう。

 

「分かってないな、俺のロールプレイの邪魔になるんだよ」

「ロールプレイって……あのふざけた奴か?」

「ああ、面白いだろ」

 

 俺の言葉を聞き、理子がわなわなと肩を震わせる。一体どうしたと言うのだろう? 

 

「あほか! 今すぐにでもそのロールプレイを止めろ」

「ばか言うな。止める訳が無いだろ」

 

 と、言うか止められないのだ。教授の命令で遠山の近くに居る女の子には手を出すなと言われている。そこを俺が曲解して、逆に人が近づかないようにしてみたのだ。

 金髪でちゃらちゃらした人物であり、言動が可笑しいDQN……俺だったら絶対に好きには成らない。

 

「なら、近づくな!」

「うはwww酷すwww俺様悲しwww」

「だから止めろって言ってんだろ!」

 

 その言葉と共に、理子は懐からワルサーP99を取り出すと、それを俺に向かって撃ちだす。銃撃音が当たりに響き、俺は回避する事が出来ぬまま弾丸を懐にもろに食らった。

 

「ぐうぉぉ。痛てぇ……」

「ふん」

 

 確かに、俺が全体的に悪いとは思うが、行き成り銃を撃つ奴が居るか? 防弾制服によって貫通しないからと言って、衝撃はそのまま加わるのだから死ぬほど痛いんだぞ。

 

「それで? 内藤は私の手伝いをするんだな」

「あ、ああ……」

 

 くずれ落ちている俺を、見下ろしながら理子が問いかけてくる。その手の趣味の人にとってはご褒美かもしれないが、冗談抜きに痛いので俺には無理だ。

 

「なら、何か行動を起こすときには連絡を入れるからな」

「うはwwwおk……」

 

 そう言って、理子は直ぐに屋上から出て行った。そんなに俺と一緒にいるのが嫌なのだろうか。

 

◆◆◆◆◆◆

 

 理子と別れた俺は、今日は色々あって疲れてしまったので直ぐに休むことにした。この武偵高では、いろいろな所から人が集まるため、寮が設置されてある。 

 今日貰ったこの学校の説明の紙を見ながら、俺は泊まるであろう場所に向かった。

 

「えーっと、ここら辺だよな」

 

 男子寮にまで着いて、部屋番を探しているのだがなかなか見つからない。そこまで広いと言う訳でもないのですぐに見つかるとは思うのだが。

 

「ああ、あった。ここだな」

 

 今日、配られた資料に書いてある番号の部屋の前にまでたどり着く。意外に距離が掛かったので少しばかり疲れてしまった。早く風呂にでも入って寝よう。

 

「いまここにwww最強の俺様降臨!www」

「―――キンジ。あんた、あたしのドレイになりなさい!」

 

 俺が扉を開けると、そこには謎の展開が広がっていた。一人は、指を突きつけながら訳のわからない事を仰るっている、我らが教授の曾孫。神埼・H・アリアだ。行き成りのドレイ宣言には流石にビックリした。

 そして、アリアにドレイ宣言されている男子は、まあ普通に考えればアリアのパートナーになる人物。即ち遠山キンジだろう。こいつがカナさんの弟なのか……チート一族め。

 

「うはwww俺様お邪魔みたいwww」

 

 そう言って俺は外に出て扉を閉める。いや、教授。あんた、俺に普段はイ・ウー側として行動しろと言ってたじゃないか。それなのに、なんでこの部屋なんだよ……

 さて、ホテルでも借りに行くか……

 

「待ってくれ! 行かないでくれ!」

 

 うるさい。男が引き止めるな、気持ち悪い。

 

「あれ、あんた理子の……まあ良いわ。入りなさい」

 

 だからって、女の子が引き止めても……着いていくしかないだろう。背後に教授の姿が見えそうだが、気にしては行けない。

 

「のwりwこwめw」

 

 居間に通された俺は、あたりを見回す。どうやら見た限りではキンジ以外には人が住んでいる気配は無い。使われているものが殆ど一人分なのだ。

 部屋内を見ていると、丁度あるものが見える。小さなトランクだ。それだけならまだキンジの物だと言えるが、問題なのはそれが女物のトランクだと言う所だろう。つまり、アリアとキンジは既に同棲しているって事なんだよ!

 

「キンジ、早く飲み物を出しなさい」

「はあ? なんでだよ」

「良いから出しなさい。コーヒーよ」

 

 おお、もう既にそんな関係に……だが、少し我がまま過ぎるのでは無いだろうか? いや、人が来ているのだから飲み物くらいは出してくれても良いと思うが。

 そんな事を考えていると、直ぐにキンジがコーヒーを淹れてくる。早い、流石インスタント。もう来たのか。

 

「ねえ、これ本当にコーヒー? 変な味がするんだけど」

「しるか。家にはこのコーヒーしかねえよ」

 

 うんうん、良きかな良きかな。このままパートナー路線一直線でお願いします。それにアリアはキンジの事を気にいっているみたいだし、計画通りだな。流石は遠山家。

 

「ふう。仲が良いねwwwもう付き合っているのwww」

「ば、ちげえよ」

 

 瞬間。部屋に銃撃音が鳴り響く。天井に向かって撃ちだされたそれは、四十五口径の大きな穴をぶち開け、薬莢が乾いた音を立てて床に転がる。

 

「えwww」

「だ、誰が付き合っているって証拠よ。付き合っている様に見えるならもうその目は必要ないわね、後ろから風穴」

 

 アリアはこう言っているが、どちかと言うと付き合って貰わないと困る。緋弾の継承には条件があり、その中に女性として心理的に成長してもらう必要性があるのだ。それを手っ取り早くするには誰かを好きあってもらわなければ。

 

「まあまあwww落ち着いて、ねwww俺様の顔に免じてwww」

「う、うるさい!」

「あべしっ!」

 

 俺が話し掛けると、その小さなお足を俺に向かって蹴り上げた。見た目に反して想像以上に威力が乗せられたその蹴りは、俺を地面に這い蹲らせるには十分だった。

 

「と、とにかく恋愛なんてどうでも良いわ。それよりも本題に行くわよ!」

「あ、ああ」

「ひどす……」

 

 こほん、と可愛らしく咳を吐くと、アリアはキンジに向けて指を指しながら話し出す。

 

「キンジ。あんた強襲科であたしのパーティに入りなさい。そこで一緒に武偵活動をするの」

「無理だ。俺は強襲科が嫌で探偵科に入ったんだ。いまさら戻れるか」

「あたしには嫌いな言葉が3つあるわ」

「聞けよ人の話」

 

 うわ、見事に噛み合っていねえ。会話のドッジボールという奴だろうか。いや、だがキンジには強襲科に入ってもらったほうが都合が良いのだけど……

 

「無理、疲れた、面倒くさい。この3つは、人間の持つ可能性を自ら押しとどめる良くない言葉。あたしの前では二度と使わないこと。あと、そうね……キンジのポジションはあたしと一緒にフロントが良いわね」

「良いわけあるか。そもそも俺はなあ……」

「それでwww俺様の出番はwww無いざますかwww」

 

 俺のことをじろりとアリアが睨みつけてくるが、小さい子が睨みつけてきてもそこまで怖くないのでスルー。

 

「あんた、そもそも何で居るの? さっさと帰ったら」

「酷いwww俺様の心が壊れそうwwwそもそも今日から此処が俺様の家ですしおすしwww」

「と、言うかそれは俺の台詞だ。さっさと帰れよ」

 

 あれ? キンジとアリアは同棲していたのでは?

 

「帰らないわ。あんたが一緒に強襲科に戻ると言うまでは」

「はあ、ここ男子寮だぞ。夜どうすんだ」

「うん、と言うまで泊まっていくわ」

 

 ああ、今から同棲するパターンでしたか。それもそうだな、まだ新学期始まったばかりだし知り合って間もない筈だし。いや、お兄さんはやとちりしてしまったみたいだ。

 

「ば、ばか。そんなの出来るわけないだろう」

「うるさいうるさいうるさい。あんたがパーティに入ると言わないのが悪いんでしょ」

 

 なんとも無茶苦茶なアリアは、その場で地団太を踏みながら叫び続ける。いや、しかし珍しいタイプの地団太だな、連続で床を踏み続けている。だが、そろそろ近所迷惑なので止めてほしい。

 

「出てけ!」

「な、なんで俺が出て行かなくちゃいけないんだよ!」

 

 いや、御もっともで。

 

「分からず屋にはおしおきよ! 外で頭を冷してきなさい」

 

 そう言って、アリアはキンジを外に追い出す。更に何故か俺も一緒に追い出されてしまう。解せぬ。

 俺としては早く寝たいのだが、そうも行かないみたいだ。

 

「おい、どうする内藤。俺は下のコンビニで何か買って来るが」

「俺様ちょっと外に出てくるwww直ぐに戻ってくるからまあ見てなwww」

「そ、そうか。それじゃまた後でな」

「うはwwwおkwww」

 

 そう言って俺達は分かれた。そうして、俺が何処に行こうとしているかと言うと……

 

「行くか……ネカフェ」

 

 

 

 




なんか、これを書いていて本物の内藤にすれば良かったんじゃないかと思ったり思わなかったり。
あと、アリアに後ろから破壊してやろうか? の台詞を言ってもらいたかった。
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