#うちの別作品の主人公を対面させて見せる。   作:カロライナ

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『神代 飛鳥&飛鳥』

 

 病院を連想させるような、壁も床も天井も白い部屋。室内には外に通じそうな扉は無く、あるのは対照的に設置されたベッドが2つ。そしてそれぞれのベッドの上には、同じような姿形をした巫女服の女性が横たわっていた。

 髪は銀・・・と言うよりも、白と言った方が正しい。白髪にロングヘア、そこそこ整った顔立ちに小柄な鼻、額には紅のハチマキを付け、薄い唇をしている20代ぐらいの女性。

同じような姿形と言っても、それでも完全に同じという訳ではない。

 頭側を北側とし左側のベッド上で寝ている女性は、右側のベッドで寝ている女性よりも非常に綺麗な印象を受ける。巫女服は純白と鮮やかな緋色そのものであり、肌は艶のある生きている人間を連想させるような、やや白めのモンゴロイド人種の『肌色』をしている。また、彼女のベッドの傍らには和弓と破魔矢が立て掛けられているのが目に入った。

 右側のベッドに寝ている女性は、左側の女性と比較すると御世辞にも綺麗とも言い難い外見をしている。着用している巫女服は洗っていないのか、黒っぽい汚れが付着しているのが見え、鮮やかであったであろう緋色も袴も黒く、そう、赤色に変色していた。それだけではない。肌色も少々おかしい。死人を連想させるかのような『土気色』の肌をしている。そして呼吸をしていれば、肺か鼻息があるはずであるが、彼女はピクリとも動いてなかった。まるで、本物の死人のような・・・。

 彼女は左側の女性と異なり武器こそは何も持っていなかったが、代わりに腕の中に全体が赤く、波打つように見える無数の触手のついた深紅の塊のような胴体。戦時の傷跡により触手の一部分は千切れている箇所もあるが、無事な触手の先端部分には付属機関の先端には吸引のための“口”らしきものがみえる。今にも『クスクスクス...』と笑い出しそうな人形を大事そうに抱えていた。

 

 何が引き金であるかは分からない。されど、2人は同時にパチリと瞼を開け、目を覚ます。

 虹彩の色も彼女たちは類似していた。はちみつ色の輝く瞳。計四つの瞳は周囲を探るかのようにキョロキョロとせわしなく動き始める。

 

『ふぁぁ・・・・よく寝た・・・・そんな気がします・・・。☆ちゃん人形は・・・ありますね。』

「・・・えっと、ここは・・・? 私は社務所で寝ていたはずでは・・・? あれ? ☆ちゃん?! ☆ちゃん!?」

 

 それぞれ彼女たちは身体を起こす。土気色の肌の巫女は、何処か実感性のない表情を浮かべながら抱えていた人形を確認すると、生気のある巫女の方に視線を移した。

 生気のある巫女は、なにか大事な物を抱えていたのか、それが空を切ることを確認すると非常に慌てた様子で、メガネを捜索する人物のように周囲を見渡すのだった。目の前に自分が鏡で見た時と同じ姿をした人物には目もくれず、ヘッドから跳ね起き ベッドの下などを覗き込む。

 

「☆ちゃん!? ☆ちゃん!! 何処に行っちゃったの!?!!」

『あ、あの・・・。』

「あぁぁぁぁっ!! ☆ちゃん! そんな! 抱き枕化計画について何も言ってこなかったから、問題ないと思って続けていたけど、心底は嫌で私の前から いなくなってしまうだなんて! 嗚呼!!」

 

 パニック状態に陥っている生気のある巫女に対し、土気色の巫女が話しかけるが、気が付いていないと言った様子だ。

 

『あ、あのっ・・・!』

「えっ? あ、他にもどなたかいらっしゃったんですね。お見苦しい所を見せま・・・・えっ?」

 

 土気色の巫女は、もう一度先ほどよりも大きめの声で生気のある肌をした巫女に話しかける。次の呼び掛けには気が付いたのか、しどろもどろと言った様子ではあるが、感情を抑制し彼女の方へ振り返った。そして丁寧に謝罪をしようと相手である彼女を見たところで固まった。

 

『どうかされましたか・・・・?』

「えっ? え?」

 

 彼女は再び驚いた様子で、女性の顔を見る。

 

『私の顔に何か付いてました?』

「え、いや、えっ。いや、え。」

 

 自分の顔を見た途端に慌てふためく女性に対し、右手を顔まで持ってくると彼女は泥を拭うような素振をする。その感も、錯乱した様子で生気のある巫女は忙しなく驚きの声を上げていた。

 

『これで大丈夫でしょうか・・・・? えっと私は他の姉妹と共に休息を取っていたのですが・・・一体ここはどこなんでしょう? 貴方もネクロマンサーによって蘇生された方ですか?』

「ネク・・・・? えっ。」

『その様子だと異なるようですね・・・。肌の色も鮮やかですし・・・もしかして、人間・・・ですか? 絶滅したのでは・・・?』

「ぜつ・・・・めつ・・・?」

 

 生気のある肌の巫女はますます分からないと言った表情をする。錯乱の様子は加速し、混乱しているのが他の人間から見ても容易に受け取れる。

 

「ま、待って下さい。絶滅とはどういう事ですか・・・・? ここは死後の世界と言う事ですか? 私・・・死んだのですか?」

『いえ・・・・そういうことではなく・・・・なんと説明すればいいのか・・・。すみません、私も記憶がおぼろげで・・・・・完全には説明出来ないんですけど・・・。』

 

 2人の巫女は、神妙な顔をしながら互いの状況について事細かに話し始める。土気色の肌の巫女の内容は非常に曖昧なものであったが、生気ある巫女の話はとても夢物語とは思えないほど正確な話が2人の間で交わされた。時折、外なる神の従者やら、レンの蜘蛛、ビヤーキーなど正気とは思えないような内容が口から吐き出されていった。

 しかし、土気色の肌の巫女はそれを真剣な赴きで頷きながら聞く。まるで、その姿は密室空間に閉じ込められた2人が情報を共有し必死に協力し合って脱出を試みる様なそんな姿であった。

 

「恐らくですが、その空飛ぶヘビのようなトンボとはミ=ゴと言う神話生物で間違いないでしょう。彼等には倒してよい個体と、逃げるべき個体が存在します。バイオ装甲という何か防具のような物を羽織っている時は逃げることをお奨めしますね。下手をする缶詰の中に脳を入れられて誘拐されてしまう恐れが存在します。逃げられない場合には焼き討ちにするのが良いかと。甲殻類は鍋にしても良いですからね、落としやすくもなりますし。但し、殺してから3時間ほどで死体は消えてしまうので素早く調理してくださいね。」

『ミ=ゴの対処法・・・・勉強になります。』

「ところで、一通りお互いについて話しましたが、まだ名を名乗っていませんでしたね。私は神代 飛鳥と申します。比叡山神社で巫女を努めております。ここを脱出するまでの間柄ですが、よろしくお願いいたします。」

『え? あ、奇遇ですね。私の名前も飛鳥って言います。』

 

 ある程度、互いの境遇を話しあった結果。生気のある巫女の方は、土気色の肌の巫女が言っていることに対して何か納得したような表情をすると話題を切り替え、何も知らない様子の彼女に彼女の世界線の話を伝え、ちょっとした相談室が開かれ始めていた。

それを土気色の肌の巫女は、生真面目に頷きながら自分の知りえない情報を脳内にインプットしていく。

 そして一通りの伝授が終わると、生気のある巫女は土気色の肌の巫女に向けて丁寧に頭を垂れ、深々とお辞儀をするように自らの名を名乗る。

 彼女が「飛鳥」と名乗った途端、土気色の肌をした女性も目を輝かせるように大きく見開き自分の名を『飛鳥』名乗る。「飛鳥」も同じように驚いた表情をすると、少し右手を口元に手を当て怪訝な表情で白い床を見つめた。

 

『・・・大丈夫ですか? ご気分でも悪いのですか?』

 

 『飛鳥』が「飛鳥」の背中を優しく摩る。その手は死人の様に冷たいものではあったが、「飛鳥」の表情や考える素振は変わることは無かった。

 

「・・・・・なるほど、そういう事ですか。」

 

 『飛鳥』が背中を摩り始め5分ぐらいの時間が経ったのち、ポツリと「飛鳥」は何かを察したかのように天井を見上げる。摩るのをやめ、何やら天井を見ている彼女が気になったのか、彼女も同じように天井を見るが、そこには何もないように感じた。

 

 

 




【後書き】
後篇は22時あたりにでも投稿しようと思います。

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