#うちの別作品の主人公を対面させて見せる。   作:カロライナ

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『星乃 彩&☆ちゃん』

「全ては現日勢のニャルラトテップの仕業ですね・・・。一体何を企んでいるのやら・・・。」

『??? にゃる・・・?』

「あ、いえ。お気になさらず。・・・飛鳥さんが抱えているその可愛らしいお人形ですが、比叡山神社の大切な守護神様に姿が似ていますね。なんという名前なのですか?」

 

 聞きなれない単語に『飛鳥』は可愛らしく首を横に傾ける。鋭い目つきで天井を睨みつけていた「飛鳥」も、首を傾げている彼女に向けて振り返ると敵意のない笑顔で微笑むと話題を逸らした。

 

『この子ですか? この子は『☆ちゃん』って言います。私が目覚めた時から持っている』

 

 その名前を聞いた途端「飛鳥」は再び時間が停止したように凍りつく。

 

「き、奇遇ですね・・・。私の守護神様も愛称が「☆ちゃん」って言うんです。正式名称は異なるのですが。」

『へぇー。名前と言い、大切なものといい私達そっくりですね!』

「え、えぇ。」

 

 『飛鳥』は無邪気な笑顔を向ける。一方「飛鳥」は何処か恐怖が混じったような引き攣った笑顔を向けた。

 

「あの、もしよろしければ、その『☆ちゃん』を見せて頂けませんか?」

『構いませんよ。でも、とても大切なものなので 壊さないようにお願いしますね。』

「えぇ。」

 

 「飛鳥」は『☆ちゃん』を受け取る。何処か湿り気があり半壊している『ぬいぐるみ』ではあるが、とても精巧な作りとなっていた。生唾を飲み込みながらも「飛鳥」は舐めるようにして『☆ちゃん』を観察する。

 その頃『飛鳥』は熱心に『☆ちゃん』を見つめる「飛鳥」を覗き込むようにして見つめた。

 

「ありがとうございます。」

『いえー。』

「・・・・・・。」

『? どうかされました?』

「・・・・・・。」

 

 ほどなくして『飛鳥』の『たからもの』である『ぬいぐるみ』は返される。『ぬいぐるみ』を返されると彼女は満面の笑みで、『☆ちゃん』に抱きつく。抱きついている間に、更に怪訝な表情になっている「飛鳥」に対して心配する声色でまたもや尋ねるが返事は返ってこない。しばらくの静寂が部屋全体を包み込む。

 

「・・・・飛鳥さん。」

『・・・? はい。』

 

 15分ほど沈黙が続いた頃だろうか。怪訝かつ神妙な顔つきをした「飛鳥」が『飛鳥』に向き直る。彼女は状況を全く理解できていないと言ったキョトンとした顔だ。

 

「・・・・実物の「☆ちゃん」に会いたいですか?」

『えっ!? 会えるんですか?!』

「試してみないと何とも言えませんが・・・会える可能性もあります。それで・・・会いたいですか?」

『・・・はいっ!』

 

 唐突の「飛鳥」の提案に驚きの声を上げる。そして疑うを知らない輝く瞳で「飛鳥」の提案に対し、『たからもの』の『☆ちゃん』を抱き締め、笑顔で力強く頷いた。

同時に「飛鳥」は両手を合わせ、指で陰を結びながら部屋の中央に立ちラテン語で詠唱を始める。『飛鳥』にとってそれが何を示しているのか理解は及ばなかったが、彼女が何か詠唱をするたびに彼女の周囲が明るくなり、神秘的な現象に恐怖を感じつつも心を躍らせていた。

 

「もし嫌っていないのであれば、御守を持ちこの場に来たれ! 私の最も愛する星の精よ!!」

 

 最後に「飛鳥」は日本語で叫ぶような発声を行う。

 しばらくすると白い壁に時空がねじ曲がるような穴が開き、その穴から燃える様な赤髪に透明な虹彩を持ち透き通るような白い肌に巫女服を羽織った表情の硬く、胸は豊満であるがスレンダーな身長が2mはあろうかという女性が姿を現した。その手には指定した御守を持っている。

 

『は―――』

「☆ぢゃぁぁぁぁぁあぁああああん!!!!」

 

 『飛鳥』が言葉を掛けるよりも先に、絶叫とも悲鳴とも似ても似つかない「飛鳥」の声が部屋全体に響く。そしてそのまま、壁から現れた赤髪の女性に全力で飛びついた。かなりの助走と重々しいタックル音が聞こえたが、その女性は顔色一つ変えず、微動だせず受け止めた。

 

「☆ぢゃああああああん!! わだじ!! ☆ぢゃんにぎらわれだがど(嫌われたかと)思っだぁ゙ぁ゙ぁ゙!! だぎまぐら゙(抱き枕)にじでごめんね゙ぇぇええええ!!」

「大丈夫。気。してない。ついで。頼む。もの。持ってきた。・・・・・?」

『あ。えっと・・・・こんにち・・・は?』

「こんにち・・・は???」

 

 ざめざめと「飛鳥」は「☆ちゃん」に抱きつき泣き叫び謝罪する。「☆ちゃん」も無表情ではあるが、視線だけは「飛鳥」へ移し カタコトの日本語で優しく背中を叩く。そして手に持っている道具を何処に置こうかと視線を他に移した時。『飛鳥』と目が合った。

 無機質な瞳が『飛鳥』と『☆ちゃん』を捉える。

 

「飛鳥。飛鳥。二人。精神。力。強さ。区別。分かる。彼女。北叡山神社。人。人?」

「どっぢがって言うと・・ゴホン・・・・・・被害者?」

「ニャル。仕業? ニャル。気配。ない。」

「・・・・わがんない゙。」

『あ、あの・・・えっ・・・と・・・・・・? 飛鳥さん、大丈夫ですか?』

 

 自分が寝ていたベッドに端座位をしていた『飛鳥』であったが、「飛鳥」が泣き止み落ち着いたところで立ち上がり「飛鳥」が炊きついている「☆ちゃん」に恐る恐ると言った様子で近づく。

 

「飛鳥さん・・・ありがとうございます・・・・もう大丈夫です。グスッ。」

「飛鳥? 飛鳥。飛鳥。飛鳥。鳥? 香? ひらがな?」

『私ですか・・・? 私は鳥の飛鳥です・・・。』

「飛鳥。飛鳥。」

 

 「飛鳥」は「☆ちゃん」から抱き着くのをやめ、鼻を啜りながら『飛鳥』に向き直る。その顔は眼が充血し、涙で酷い有様であったが、『飛鳥』はその姿に対して何処か羨ましく感じたようにはにかみの表情を浮かべる。その間、「☆ちゃん」は『飛鳥』に対してカタコトの日本語で文字の成り立ちについて尋ねていたが、返事を返された途端に相変わらずの無表情ではあったものの何処か困ったような感情を抱いたことを『飛鳥』は感じ取っていたのだった。

 

『・・・えっと・・・・・。』

「飛鳥。神名。人名。種族。どれ。言う?」

「・・・愛称。ヒック。」

「・・・羞恥。せめて。種族。」

「・・・ダメ。ヒック。」

「・・・・種族。「星の精」。」

「☆ちゃん。グスッ。」

「飛鳥。言ったの。愛称。」

『そうなんですか・・・。あの・・・飛鳥さん?』

「はい・・・。」

『その・・・似てない・・・・・のですが・・・。』

 

 オドオドした様子で、夫婦漫才を広げる2人に対して、割り込みにくそうにしながら、歯切れが悪そうに「飛鳥」に対し、『たからもの』である『☆ちゃん』と「星の精」である「☆ちゃん」を見比べて思いを伝える。

 

「あ、それは、人間フォルムだから・・・・。☆ちゃん。」

「・・・・・。」

『・・・・・・・!!!』

 

 「☆ちゃん」は頷くと手に持っていた手鏡と御守を「飛鳥」手渡す。渡した直後、「☆ちゃん」の姿は空気中に溶け込むように消えて、そして見えなくなった。この状況には『飛鳥』も驚きが隠せなかったようで、自分の『☆ちゃん』を抱きかかえたまま、その「☆ちゃん」が立っていた場所に手を伸ばしてみる。しかし、掴むことは叶わずその手は空を切るのみであった。

 

「クスクスクスクス・・・・。」

 

 驚いているのを尻目に何処からともなく誰かが笑うような声が聞こえ、『飛鳥』は声の主を探すために周囲を見渡す。しかし、その場にあるものはベッドが2つと「飛鳥」の姿しか見えなかった。直後何か、砂を落すようなサラサラサラと言った音が聞こえたかと思うと「飛鳥」の身体が宙に浮かび、布団の上に降ろされる。

 

「☆ちゃん、優しくお願いね?」

「クスクス。」

『え、飛鳥さん?!』

 

 『飛鳥』が状況を問うよりもソレは素早く正体を現し始める。全体が赤く、赤い雫が滴っている。脈動しうごめく大きなゼリーの塊。波打つ無数の触手のついた朱色の塊のような胴体。触手の先端部分には付属機関の先端には吸引のための“口”らしきものがみえる。頭もなく、顔もなく、目もない大きな塊で、星生まれの生物らしい恐ろしい鉤爪が見えた。血液を吸ったが為に、見えない姿が今見えるようになったのだ。常人であればただちに1/1D10のSANチェックが入っていたことだろう。しかし、この場に居るのは、常人であり常人ではない者。狂気点は追加されるかもしれないが、不思議と『飛鳥』は「星の精」に向けて嫌悪は湧かず、むしろ『飛鳥』はよろめきながらも高揚感に包まれながらその「星の精」に向けて歩み始めていた。

 

「クスク・ス?」

「・・・・別に☆ちゃんは取って食べたりしませんから、もっとじゃれついても構いませんよ?」

『・・・・・ぁ。』

「クスクスクス・・・・。」

『わっ!』

 

 「星の精」に触れた直後、『飛鳥』は触手の中に引きこまれる。触手の中に取り込まれた直後は眼こそ瞑り 何が起こるか分からない衝撃に備えていたが、一向に待っても何も衝撃波襲ってこない。それどころか、心地よいような死んだ肉体であっても官能がくすぐられる様なウネウネとした感覚だけが『飛鳥』と『☆ちゃん』を包み込んでいた。

 

『わぁ・・・・。』

 

 目に映るものは白い部屋とベッドだけであったが、それでも「星の精」に座り眺める景色は、未だ嘗て無いほどに新鮮な喜びを感じていた。

 

「どうですか? 実物大☆ちゃんは・・・。」

『とても楽しいです! 素敵な体験をありがとうございます!! 飛鳥さ・・・・・っ?!』

 

 嬉々とした声で 精一杯の楽しみを表現しながら、ベッドに横になっているであろう「飛鳥」に向けて視線を移す。しかし、直後『飛鳥』は息を飲むことになった。ベッドの上で横になっているのは、先ほどまでの嬉々とした「飛鳥」の姿ではない。青白い顔をした「飛鳥」の顔をした別人だったのであるから。

 触手の海から抜け出そうとするも、なかなかうまくいかず 降りることが出来ずに四苦八苦していた『飛鳥』ではあったが、瞬時に腕に備え付けているワイヤリールを起動しベッドに括りつけると自分の目の前まで引っ張った。「星の精」も彼女の腕からワイヤーが飛び出た挙句、自分とベッドが動かされると触手の海から彼女を解放し、地面にゆっくりと降ろした。

 

『どうして、こんな・・・・こんなっ?!』

「ちょっとした代償ですから、お気になさらず・・・。大丈夫です。輸血すればすぐに良くなりますから・・・。」

「・・・・。」

 

 「飛鳥」に注目している間に「星の精」は人間の姿へと変貌する。変化後直後は虹彩が朱色に染まっていたが、しばらくすると再び透明な色に戻っていた。

 

「さて、いい思い出も作った所で・・・・こちらを受け取って頂けませんか?」

『これ・・・・は?』

「比叡山神社の御守です。あなたの安全祈願を願って・・・・。」

『・・・・はい。』

 

 青白くなり、震える手で「星の精」が持ってきた御守を『飛鳥』に手渡す。渡したのと同時に『飛鳥』の姿は薄くなり・・・消えた。

 

「・・・・・・・。」

「・・・。」

「・・・今回の黒幕。分かったような気がする。」

 

 それからしばらくした後、飛鳥と☆ちゃんの姿も徐々に薄れ、手を翳せば目の前のものが透けて見えるようになった。人型の星の精に抱き抱えられるようにされながら、飛鳥と星乃の会話だけが室内に響く。

 

「誰?」

「・・・オリジナル神話生物。」

「・・・そう。」

 

 ぽつりぽつりとではあるが、青白い顔をしながらも飛鳥は十分に満足したかのような表情を作る。

 

「あ。・・・そうだ。☆ちゃーん♪」

「何。」

「クトゥルフの世界線に帰ったら、私専用の、☆ちゃん手作り「スターフェアリーちゃん人形」略して「ぬいぐるみ」を作って。一生の「たからもの」にするから・・・。」

「・・・飛鳥。望む。頑張る。」

「えへへ。ありがと。☆ちゃん、だーいすき。」

 

 




【後書き】
この小説には、盛大なネタバレが含まれております。

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