8月は執筆頑張るフェアを自主開催しているので、頑張りました。目標は投稿している作品を全部8月中に更新する、です。
唐突に過去のお話です。
「……え、今なんて?」
「だァかァらァ! アスナちゃん(ついでにオレ等も)血盟騎士団から辞めさせてもらいに行くんだって!」
「嘘だよな?」
「嘘でこんな事言わねェよ!」
「そりゃそうか──って、違う!
「あんな変態野郎が居るギルドにアスナちゃんを在籍させられるかっての!」
「そりゃそうだ──って、違う! そもそも、アスナは辞めたいだなんて一言も」
「私、辞めたい」
「辞めたいの!?」
「あんなゴミ──じゃなくて、怖い人が居る団なんて、私……! 怖くて……!」
「ほら、アスナちゃんも怖くて泣いちゃってるじゃん。やっぱあそこ駄目だって」
両手でその小さい顔を覆いながら、ミツヤの胸を借りてシクシクと泣くアスナ。いやどう見ても嘘泣きじゃん何でミツヤ気付かないんだよと、人知れず冷めた目で二人を見るキリト。泣いている(泣いているのだ)アスナを慰めようと、優しく頭を撫でるミツヤ。
第55層、グランザム市での会話だった。
名前も出したくないくらいは嫌いなアイツに殺されかけたミツヤとキリトを、間一髪の所で助け出したアスナ。アスナちゃんの手を汚させる訳にはいかないと、ミツヤとキリトの二人でXの字に斬り殺し、その後のグランザム。話中の通りアスナを血盟騎士団から脱退させる為に、話を付けようとしていた。
つまりは、二度目の直談判。
「……まあ、辞めるのは本人の意思だから別に止めないし、俺も一緒に辞めるのは全然良いんだけどさ。どうやってそこまで持って行くんだ? 一度デュエルしたから分かるけど、
「確かに戦い振りを見る限り、アイツはSAO最強の生き物なんじゃないかってくらい強いし、頭も良い。おまけに人格者だし、仲間や部下からの信頼も厚い。アイツに憧れる人は数え切れないくらいいるし、それから……それから……」
「何で泣いてるんだよ」
「つい最近までソロプレイしてたオレ達って何なんだよォ」
「おまけに嫌われてるしな」
「クソが〜! モテてェ〜! 年上のお姉さんにクエスト終わりに頭撫でられながら労われてェー! 年下の女の子に手取り足取り優しく教えて慕われてェー!」
「泣きながらそんな事言ったって、今更どうしようも──ひぃっ」
ミツヤ後ろ。そう言いたいのをグッと堪えて、後退。クワバラクワバラと、自分に被害が及ばない事を祈りながら息を潜めて数歩下がっておく。ミツヤの背後、凍える程に寒く、先が見えない程に暗い笑みでうんうんと話を聞くアスナを見てしまっては、黒の剣士も縮こまるしかなかった。
「ところで、ミツヤ君は年上と年下、どっちの女の子が好みなの?」
「へ? ……うーん、悩むなァ。でも、可愛かったらどっちでも良いんじゃね? 男ってのは歳で決めるんじゃなくて、好きになった人を好きになるんだぜ。多分」
「み、ミツヤ君……!」
ぶわぁっと、ミツヤのよく聞くとしょうもないし中身も含蓄も何も無い発言に何かしらの感銘を受けたアスナが両手で顔を覆い、潤んだ瞳だけでミツヤを見る。
「ま、まぁ、兎に角。ヒースクリフの元に行かなきゃ話は始まらないだろ? 早く行って、多少禍根が残っても良いからパパっと終わらせよう」
「お、流石キリトちゃん。血気盛んだねェ」
「血気盛ん? 何が」
「つまりはアレだろ? 切り込み隊長としてクリフちゃんがいる部屋に突撃して脅してくれるって事だろ?」
「そういう意味じゃねぇよ! 喧嘩別れしても良いだろうくらいのアレだよ! ……てか、ミツヤが行けば良いだろ」
「いやいや、クリフちゃんって、何かやな予感するから会うの怖いのよ。これが」
「嫌な予感って……そんな曖昧な」
「兎に角、頼んだぜ。普通に会話するだけで良いからさ。な、お願いッ」
「……分かったよ」
ドア・イン・ザ・フェイスと呼ばれるアレを知ってか知らずか、上手い具合にキリトを交渉の矢面に立たせる事に成功したミツヤ。お人好しの気もあるキリトは、やれやれと言いながらも何だかんだ了承してしまうのだった。
✳︎
「と、言う事で。ヒースクリフさん。俺達は血盟騎士団を辞めさせていただきます」
「まぁ、待ち給え。そう決断を急ぐものではない」
団長だけが座れるメッチャ豪華な椅子に座りながら何らかの作業をしていたクリフちゃんは、ひと段落終えてから顔を上げた。特に威嚇している訳ではなさそうなのだが、その瞳と対峙したキリトちゃんが半歩引いた。
「何を言い出すかと思えば──君は一度私に敗れ、君達は血盟騎士団に所属する事になっただろう? だと言うのに、何故辞めたがるのだ」
「だ、だからそれは」
「アスナ君が心配だからか? だったら、護衛は無し。それから、君達二人は任務以外ならば誰にも縛られず好きにして良い。こうすれば辞めなくて済むかな?」
「……何を考えているんですか」
「いや、何。君達は失うには惜しい人材だからね。私としてはどうにかしてでも引き止めなければならないのだよ」
「いや、でも」
落とし所を提示するクリフちゃんと、当初の目的を達成させようと思案するキリトちゃん。頼んだ手前、口出しするのは逆に失礼かと黙っていたのだが、思うよりも上手く話が進まずに苛々しながら見てた俺は、文字通り飛び出した。
「ええい! まどろっこしい!」
バンッ。
クリフちゃんの高そうな机に飛び乗り、見下ろしながら指を指し、言い放ってやった。
「アスナちゃんはもらっていくぜ!」
──クリフちゃんの瞳がオレと合う。と同時に、キリトちゃんとアスナちゃんの二人に机から引き摺り下ろされ、挟まれ、両側から口を塞がれた。
「す、すみませんでした! 彼、根は素晴らしい人なんですけど、少し落ち着きがなくて」
「そ、そうなんですよコイツ幼卒だから敬語も使えなくて!」
「もごもご」
すぐさま謝り、フォローを入れてくれるアスナちゃん(キリトちゃんに至ってはただの悪口)。クリフちゃんは笑いながら「気にしてないよ」と懐の広さを見せた。
「君の破天荒さは前から耳にしているからね。……特に、デマに踊らされてかめはめ波のスキルを真面目に修得しようとした話は傑作だったよ。私もデマとは分かっていたが、1ファンとして思わず心と身体が動きかけたよ」
「流石クリフちゃん。分かってるね。じゃあさ、オレがデュエルでキリトちゃんに天空×字拳を食らわせた話知ってる?」
「それは初耳だ! 是非とも聞かせてくれないか」
「良いよ。あれは先々週、昼飯を賭けての──」
「なぁ、なんかあの二人仲良くなってないか?」
「うん。お互い苦手そうな性格なのに、意外だよね」
「やっぱり、名作は心を繋ぐって事か」
「ナムさんが武天老師からホイポイカプセルを渡されて、この国では水はタダだから井戸から好きなだけ持って行きなさいって言われるシーンはドラゴ○ボール屈指の名シーンだよね」
「悪い、俺ドラゴ○ボールあんま分からない」
ワイワイガヤガヤ。アスナちゃんとキリトちゃんを置いてけぼりに、クリフちゃんとひとしきり会話をしてから、途中で我に返ったクリフちゃんがコホンと咳払いを一つ。
「すまない。話に花が咲き過ぎてしまったようだね。気の合う人物との会話となれば、つい……ね」
「オレとクリフちゃんって気が合うのか?」
「好きな人造人間は何号か」
「じゃあ、いっせーので言おうぜ」
「良いだろう」
せーの。
「「8号」」
「どうやら、本当に気が合うようだ」
「確かに。こうなってくると、話が合い過ぎて初めて会った気がしねェな」
「さて、今度こそ本題に戻るとしよう。君達が望むのは、アスナ君を含む3人での退団。……どうやって私と話を付けるつもりかな? 今度は君が私とデュエルでもするか」
「嫌だ」
「これは手厳しい。本気だったのだがね──君達は血盟騎士団の貴重な人材であるアスナ副団長を引き抜き、自らも退団しようとしている訳だ。落とし前──という奴を付けねばなるまい」
「アスナちゃんの為だ。指と言わず、肩まで喜んで斬り落とすぜ」
「剣士がそんな事を言うものじゃない。しかし、その心意気は気に入った」
クックッと紳士みたいな笑い方をしてから、クリフちゃんは鋭い眼差しでオレを射抜いた。
「
前方のキリトちゃん。隣のアスナちゃんが驚く。それもその筈、前回の直談判ではキリトちゃんがメインで動き、クリフちゃんとの決闘もキリトちゃん単体でのアレだったので、前回はぶっちゃけオレ空気だったのだ。それが、何を思ったか今回は逆にオレ単体でのご指名。しかも破格(というか、利益の面を考えるならば完全に破滅的)の提案。本当に何を考えているのだろうか。
「良いよ」
「軽いな」
キリトちゃんのツッコミが空気中に霧散した。
「けど、条件がある」
「何だね」
「キリトちゃんの時みたいな、大観衆の中でやるのは無し。加えて、デュエルの場所は
「この場でやろうと言うのか。大事な書類等も多々ある為、出来れば遠慮していただきたいのだがね」
「大丈夫。お互いの腕の長さを合わせた距離でしか動けないから」
「と、言うと?」
オレの言葉の真意を探るべく思案し始めたクリフちゃんに、オレは意気揚々と言い放った。
「剣を使える押し相撲。これで勝負だ!!」
言い放って、静寂。それが数秒続いてから、クリフちゃんが笑った。
「成る程。足運びやソードスキル等は関係無く、両足を踏み締めたその場で己の技術で斬り合う……と、言う訳か。君は本当に愉快な事を考えるものだ」
「じゃあ、決定という事で」
手をパンと叩いて会話を区切ってから、メニューウィンドウを開く。それからスッスッとウィンドウを操作し、クリフちゃんにデュエルメッセージを送った。オプションは、キリトちゃんの時と同じく初撃決着モード。
「ミツヤ君。大丈夫なの?」
アスナちゃんが心配そうに問うてくる。オレはそれに親指を立てて返してから、カウントがゼロになるまで待った。
ルールは至ってシンプル。HPバーが半分を切るか、足が動いてしまえば負け。それだけだ。ソードスキルは体運びや構えによって発動されるので、両足を所定位置から動かせないこのデュエルでは発動する事が出来ないのだ。
オレは曲刀を構え、クリフちゃんは長剣と十字盾をそれぞれ両手に構えた。色々危ないので、アスナちゃんとキリトちゃんには部屋の端まで下がっていてもらってる。二人には離れた所からではあるが、どちらかの足が動いた時に止めてもらえるようになっている。
勝っても負けても、退団は確実。どちらにせよ目的は達成されるこの状況にも関わらず心が躍っているのは、クリフちゃんというトッププレーヤーと剣を交える事が出来るからだろうか。
ゲーム好きだったら、強い相手ってのは燃えるもンな。
カウントされている間に、クリフちゃんと位置どりを確認する。互いの剣が届く丁度良い範囲で改めて向き直り──その瞬間、カウントがゼロになった。
「喰らいやがれ!」
手押し相撲において下方からの打ち上げは非常に有効な手である。これは、親友とのゲーム内での先攻後攻を決める際に幾度となく行われた手押し相撲においての持論だ。今回もオレは持論に則り、逆袈裟斬りをお見舞いする。これで、ダメージが通ろうが通るまいが、身体の重心が──
「ぬんッ!」
色々な思惑やら何やらを秘めた初撃は、クリフちゃんの盾によって難無く弾かれる。
そうだった。
オレは、少し勘違いしていた。
普通の手押し相撲と違って、お互いに鎧を身に纏っているのだから、そう簡単にフラつく訳がないじゃないか、と。
現に、弾かれたオレも剣筋が外方に伸びただけで、大した危機感は無い。
一度、双方睨み合う。次はどちらが仕掛けるかと冷や汗を流しながら牽制し合っていると、クリフちゃんの手元がブレた。
「ミツヤ、危ない!」
常人では決して目で追えない斬撃も、キリトちゃんの動体視力はしっかりと捉えていたらしく、そんな声が飛んできた。オレは何も見えちゃいなかったのだが、普段一番使う防御の構えが咄嗟に出た。中腰になり、前方の攻撃を防ぐ際に使うこの構えがクリフちゃんの突きを偶然にも防ぎ、ギリギリと曲刀と長剣の間から漏れる金属音が耳に障った。
「よく防いだ、と素直に賞賛を贈らせてもらおう」
「キリトちゃんが叫んでなきゃ串刺しだッたって……のッ!」
防いだ長剣を振り解き、クリフちゃんの片足を薙ごうとする。足を切り落としてしまえば、その場に足を踏み締める事は出来ないからだ。
しかし、クリフちゃんはその攻撃を盾で防いで、オレはすぐさま反撃してきたソレを上体を後ろに逸らして避ける。
「この!」
反撃。
「ふんッ!」
斬撃。
「オラッ!」
間隙を突いて。
「そら!」
連撃に次ぐ連撃。初撃と違ってギリギリ反応出来る速度で応酬されているのは、手加減されているからだろうか。そう思うと、クリフちゃんの涼しい顔を変えてやりたくなる衝動に駆られてしまう。
「そろそろ、決めるとしようか!」
クリフちゃんによる、盾で予備動作を隠しつつの下から上への斬り上げ。死角から放たれるソレは反応速度だとかそういう問題ではなく、否応無しにオレは肘から先を持って行かれる。曲刀を持っていない方だったので助かったが、代償として肘の傷口からポリゴン状の赤が流れ、ダメージは減り続けて半分まで迫ろうとしている。あと一撃、かすりでもしたらデュエルは終了してしまうし、仮に、傷付かないように攻撃を全て完璧に防いだとしてもいずれは負け。
こうなってしまっては、オレはどうするべきなのか。
息を吐き、感覚を研ぎ澄ませる。実際にそんな事出来る訳がないのだが、あくまでノリだ。重要なのはノリで集中出来るかどうかなのだ。
斬り合って分かったが、クリフちゃんは真っ当に戦えば絶対に勝てない。あの十字盾はどんな攻撃でも防いでみせるし、あの長剣はこちらの身体に触れる直前まで十字盾によって隠され、手加減をやめたあの剣筋では躱す事も不可能。
どうすれば良いのか。
どうすれば、あの涼しい顔を何らかの表情に変えてやれるのか。
一つ、案が思い浮かぶ。思い浮かんで、ニヤリと笑ってしまった。
「どうしたんだね」
「いやァ、何。
「成る程。では、答えはデュエルの決着までに頼むよ」
そう言ってから放たれる、無慈悲な横薙ぎ。何もしなくてもいずれは勝てると踏んだのか、オレの答えが見たいのか、十字盾で挙動を隠さずの一撃。
オレはその攻撃を
「押し相撲のルールでは、足が動いた先で地面を踏んだら負け──つまり、足が地面についていないこの瞬間は、まだ負けてないッて事だァァ!」
「な、何だと!? くっ……! この!」
オレの曲刀が部屋の照明に反射して光る。
オレの曲刀を迎え撃つかのように、クリフちゃんが十字盾を構える。
「──よいしょォォォォォォッ!!」
曲刀を握った両手に伝わる確かな手応えと鈍さ。同時に、オレのダメージバーが半分を切ったのでデュエルが終了した。
「そこまで!」
キリトちゃんが審判らしく声を掛け、近寄ってくる。
「ミツヤのダメージバーが半分を切ったのと、押し相撲でもミツヤが足を動かしてしまったので、ミツヤの負けです」
「トホホ」
「ミツヤ君、早く治療しなきゃ!」
結果はダブル負け。まぁ、トッププレーヤーと戦えただけでも、ミツヤ史に残る語り草か。と前向きに捉えて、アスナちゃんからポーションを貰う。クソマズポーションをぐびぐびと飲んでいると、クリフちゃんが「待ち給え」と会話に入ってきた。
「キリト君。失礼だが、君の審判ミスだ」
「え?」
「つまり、私は負けたのだよ」
えええええええ!? と3人して驚く。中でも一番驚いたのはクリフちゃんと実際に戦っていたオレ自身で、思わず詰め寄ってしまった。
「ど、どど、どういう事だよクリフちゃん! オレは足を動かしちまったし、何よりオレの負けはデュエルで証明されてるんだぞ!」
「こればかりは、君の予想外の動きに助けられたよ。審判が最後のあの一撃に視線を奪われている時に、一撃の重さで私の足がズレてしまったのだ。デュエルが終了したのも、君の足が地面に付いたのもその後。だから、私は負けたと言ったんだ」
「……えーっと。ちょっと待ってな。今整理するから」
「おめでとう、ミツヤ君。君は、私に勝利した唯一の人間だ」
「す、凄いじゃないか、ミツヤ!」
「凄いよミツヤ君!」
頭の中で整理してる最中だと言うのに、キリトちゃんがオレの頭をわしわしと撫で回す。アスナちゃんもオレに抱き着いて興奮のあまり息を荒くしている。この番狂わせにえらく興奮しているようだ。
そうこうしている内に、ウィンドウにクリフちゃんからのフレンド申請が表示される。
「常識に囚われない君の戦い方は、私の心を動かしてくれた。これからは
「勿論だぜクリフちゃん! またドラ○ンボールの話とかしような!」
「おうとも。是非、また機会を作らせてくれ」
最初は鼻に付く(というかオレの自尊心がズタズタになるくらいの)完璧超人だと思っていたが、話してみたら普通に良い奴で、デュエルを通じて友達になる事が出来た。
王道漫画みたいな展開だなァと、この部屋に入ってから30分と経っていない濃密な時間をしみじみと振り返る。
「約束通り、君達3人の血盟騎士団の退団を許可する。アスナ君。長い間、副団長の責務を果たしてくれてありがとう。心から感謝する。キリト君。短い間ではあったが、心の躍る戦いをありがとう。また機会があったら君の二刀流を見せてくれると嬉しい」
二人の手を順番に握手してから、クリフちゃんはオレの前に立った。
「ミツヤ君。私に、こんなに気軽に話し掛けてくれる人間は君くらいだ。君のその、唯一無二のユニークな戦い方に敬意を表して、今回の出来事を盛大に団員達に伝えさせてもらおう」
「恥ずかしいからやめてよ」
「遠慮する事はない。何かあったら気軽にメッセージを送ってくれ。友人として、必ず応えよう」
面白いくらいにクリフちゃんからの株が上がった、今回の出来事。その日の晩はクリフちゃんの奢りで四人で高そうな食事処で食べて、血盟騎士団としての最後の日を終えた。
アスナちゃんは、あの日を境に毎日オレのマイホームに通って食事を作ってくれるようになった。血盟騎士団を退団してから時間が出来たのか、一緒にクエストに行く時間も増えたのがすげェ嬉しい。
キリトちゃんもいつもの黒くて格好良い服に戻り、たまにパーティーを組んで前線迷宮区耐久マラソンをして経験値稼ぎをするようになった。レベルも上がるし戦闘の勘も冴えるようになるから良いんだけど、何か人として大事な物を失いつつあるように気がしてならねェ。
そうそう、忘れちゃいけないのがクリフちゃん。オレ等3人が抜けてから血盟騎士団がマジで大変でハチャメチャにヤバいらしく、75層──つまりは次の階層攻略まで戻ってきてくれないかと涙交じりに懇願されたからアスナちゃんとキリトちゃんと一緒に何故かもう一度あの純白のユニフォームに袖を通すことになったよ!
もうね……!続きをどうやって書いたら良いのか分からないんですよ……!
という訳で、これからは現在なり過去なりを自由に書いていこうと思います。アスナちゃんのおかしいところ、アスナちゃんはこれからどうなっていくのか、はたまたアスナちゃんがいつからおかしくなったのかとかを書いていけたらなと思います。
キリト曰く、序盤でもうだいぶ出来上がってたらしいですけどね。