妖精キツネの救済物語   作:雪見綾時

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プロローグ~転生~

突然ですが皆さん、質問があります

 

 

皆さんは“転生”と言うものをご存じでしょうか?

 

転生とは、生まれ変わることを指します

因みに環境や生活を一変させることも指すそうですが、まぁそちらでも大きく外れてはいないのでそちらでも可としましょう

 

ではなぜ私がこんな質問をしたのか、皆さんにはもうお判りでしょうか

 

 

「伊織~、おいでぇ~」

 

「あぅ…」

 

そう、私が転生をしたからです…

 

 

 

 

―――――

 

 

私は前世では一浪して大学に通っていた

就職活動を控え、企業研究を行っていた時分のことだった

 

その日も夜中まで課題などに追われ、帰宅は終電に近い頃で、辺りは暗闇に染まっていた

電灯がチカチカと点滅しているのを見て、電力会社に連絡しないとな、いや電話するのは市役所だっけ?とか考えている中、電灯の向こう側をふらふらと影が()ぎった

よく目を凝らすと、それが人のものだと分かり、同時にひっ、引き攣る様な声が漏れる

そこには幽鬼のようにゆらゆらと髪や手を揺らしぼろぼろの服に身を包んだ少女がいた

 

「あ、あの…」

 

恐る恐る声を掛けてみるが返答はない

 

思わず後ずさる

 

遂に電灯に姿が全身を映し出す

少女は死人の様に白い肌、髪が顔を覆い隠し表情は見えないものの、裸足にぼろぼろのワンピースを着ていた

そして、何よりも異質なのが右手に携えられた赤黒く染まった包丁だった

 

少女は速度を緩めず早めず一定で近付いてくる

 

私は逃げなければと思うものの足が言う事を聞かず、その場から動けないでいた

 

そしてついに少女が目の前まで来る

 

そこまで近づいて初めて少女が何かを呟いているのが聞こえた

 

「……のよ…」

 

「…え」

 

「…だ…、お前…おおおお前…お前お前お前お前お前だお前だお前お前だ、お前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだお前のせいだ…」

 

ズプリと、衝撃も何もなく、するりと

まるで扉を開けて風が入り込むみたいに

私のお腹に、包丁が、刺さっていた

 

 

 

 

―――――

 

 

それが私の最後の記憶

 

彼女が何だったのか、誰だったのか、私には一切分からない

何故私が殺されたのか、それも分からない

ただ、あの事件のせいで私は包丁に近寄ることができなくなってしまった

 

それに、転生当初は混乱していてとても正常な子供とは言えなかっただろう

 

だが、私の今の両親はそんな私でも受け入れ愛してくれた

だから私も二人を愛していこうと心に決めた

 

「伊織は本当に可愛いなぁ」

 

そう言って抱きしめながらキスの嵐を見舞う父親も、まぁ今日は許してやろう

 

 

 

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