あの後、帰ってきた樹さん、お父さんにも今までちゃんと娘を出来なくてごめん、と謝ってそれからお願いをした
黒羽盗一や爆弾処理班の人たちを助けるために必要な力を手に入れるために
まずはハッキング、そして護身術、変装術を身につけるために
両親は当然疑問に思ったことだろう
しかし何も言うことはなく、頷いてくれた
そして私はハッキングを父から、護身術を母から、変装術をなんとあの黒羽盗一から学ぶことになった
今日は変装術の日、私は今黒羽盗一さんの家で変装術を教えてもらうことになっている
「やぁ、小さなお姫様。初めまして、私は黒羽盗一、君のお父さんの仕事仲間と言ったところかな」
彼はキザったらしくウインクを1つ落とすと、柔らかく微笑んだ
「初めまして、黒羽盗一さん。いえ怪盗キッドさん」
「おや、私の正体を知っていたとは……、樹くん……ではないね」
「はい、私は生まれる前から貴方が怪盗キッドである事を知っていました」
そう言うと彼は目を瞬かせ、それから面白いとでもいうように笑った
「生まれる前から?それは運命的な話だね」
「運命はどうかは分かりませんが、私は黒羽盗一さんからではなく、怪盗キッドとしての貴方からその力を学び……いえ盗みたいと思ってるのでよろしくお願いします」
ペコリ、と頭を下げると途端に笑い声が聞こえてきた
「く、くくく……アッハッハッハ」
何がツボに入ったのか、大爆笑な様子にこちらは首を傾げるしかない
「なんですか」
数分経って、
「い、いや……これは申し訳ない、小さなレディに向けるものでは無かったね」
「……ニヤニヤ笑いを止めてから言ってもらえます?」
「アハハ、これは手厳しい」
「で?何でそんなに笑ってたんですか」
「いや、君が初めてだったんだよ、この天下の大泥棒、怪盗キッドから何かを盗むだなんて予告してきたのはね」
そう言ってまたウインクを落とす彼に、今度は私がニヤリと笑い、挑戦的な瞳を向ける
「じゃあ怪盗キッドから何かを盗むのは私で2人目ですね」
「おや、初めてではないのかな?」
私はその言葉にウインクを落とし告げる
「だって、一番は貴方の心を盗んだ、
私がそう言うと黒羽盗一さんは目を見開き、ポカンと口を開ける
それを見た私は思わずレアな表情だー、とぼんやり考えていた
「くくくく、あははははは!」
先程よりも増した笑い声に、それが聞こえたのか、二階から女性の声が聞こえてきた
「もうさっきから何をそんなに笑っているの?」
現れたのは当然千影さんだった
「くくく…いや…彼女が中々どうして、鋭いのでね」
「彼女…って、樹くんの娘さん?」
「あぁ、そうだ、そう言えば名前を聞いていなかったね」
「あ!す、すみませんでした…」
あの怪盗キッドとタイマン!と意気込みすぎて、マナーを守っていなかった
やっぱり緊張していたんだな、と思い知らされた
「私は鈴凪伊織、これからよろしくお願いします!」
今度はしっかり頭を下げて、お願いをした
「(ここからだ、絶対に諦めない!皆を助けるなんて偉そうなことは言えないかもしれないけど、やってやる!)」
1つの決意を胸に、私は修行を開始した