~館付近の修練場~
青年「はぁ!せいやぁ!!」
青年は修練場に追加で補充されていた案山子をひたすらに木刀で殴り続けていた
青年「ふぅ………一つ実験と行くか……」
青年は案山子を殴る事を辞めると木刀の反りに指を這わせて案山子に剣先を向けた
青年「出来るかな?!牙突!!」
青年はそのまま上半身を回転させた力だけで案山子に向けて突きを撃ち放った、すると、撃ち放たれた位置から衝撃が案山子に伝わり案山子の支柱が折れて案山子は勢い良く案山子の後方にあった大岩に激突し、そのまま岩にめり込んだ
青年「めり込んだだけか……まだ修行が足りないな…きっと本家ならばあの岩に刺さる勢いだっただろうに」
青年はそう呟くとまた案山子を木刀で殴り始め、そのまま二時間程殴り続け、殴り終えると自室に戻り瞑想を始めた
~青年の精神世界~
人影「よぉ、もう来たのか」
青年「まぁね」
青年がまた真っ白な何もない景色の場所に降り立つと相変わらず全身が黒に包まれた人影が座り込んでいた
青年「修行は急ぐべきだと思ったからね」
人影「あーそーかい、なら、一つ助言をくれてやろう、テメェは取り敢えず今は本気のヴラドを''殺せる''位強くなりやがれ」
青年が人影の前に座り込むと人影は人差し指で青年を指差してからそのまま上方向に立てて指をクルクルと回しはじめた
青年「本気のヴラド公爵をだと?」
人影「おう、そうじゃないとあの人狼にゃ勝てやしねぇよ」
人影に目標を言われたが青年はその提示された助言を嫌がるような様子を顕にした
青年「何故ヴラド公爵を殺さなければならないんだよ…」
人影「ハァ…お前はこれからをずっとあの男の部下として過ごす気か?それじゃああの娘は護れんぞ、というか、会う事すら叶わんだろうな」
人影の言葉を聞くと青年は頭を抱えて蹲り悩み始めた
人影「テメェなぁ、別に悩む必要なんざねぇだろう、お前はあの娘を護りたい、護れるようになりたい、それでその道中であの男が邪魔になる、だから、切り刻んで血も身も何もかもを全て頂いて力の一部にする、ただそれだけだろう」
人影は立ち上がり喋りながら青年にゆっくりと近付き、多少屈みながら青年の耳元で囁いた
無名「だから、しっかり修行をしてからあの男を殺しゃ良いんだよ、それによぉ、一時的な恩人の男か大切な娘か、天秤に掛ける必要あるか?」
青年「…………」
青年はユラリユラリと揺れながら立ち上がると俯きつつも人影の居る方に頭を下ろした状態で頷いた
人影「それで良い、テメェはただ強くなり続けてあの娘を護り続けりゃ良いんだよ」
青年「……分かってる、それが俺の転生理由だ……」
青年はユラユラとした足取りで人影から離れるとまたこの前と同じ様に真っ黒な場所を通り抜けて去って行った
人影「頑張れよぉ……俺達の悲願の為に…」
黒い人影はやはり青年の消えた黒い上を見上げながらニヤリと笑みをこぼしていた
~修練場の中心~
青年は修練場の真ん中付近で目を覚ますと、立ち上がり周りを見回し始め、見回し終えると今度は自分の右腕を見た
青年「………本気で使ってみるか」
青年が右腕に力を込め、全力で周りに向けて手を振るうと近くにあった案山子はおろか多少距離が開いていた木々まで全て幹が両断された
青年「広さにすると……半径30mって所か…」
青年が言った範囲内の木々の三木は全てまるで鏡の上を滑るかのように横にずれて行き、倒れる事無く直立した
青年「まだまだだな」
幹が地面に当たり、木が地面に立ってから青年が何度か右手を振るうと今度は半径30m圏内の木々は全てバラバラになっていた
青年「この程度の精度じゃ、ヴラド侯爵にはきっと勝てない…」
青年はブツブツと呟きながら伐採した木の内、大きく残っている木片を左手で拾い上げて、上に投げて右手をまた振るい今度は小さな人狼の彫像のようなものを創り出した
青年「何時かはコイツも倒さなきゃな!」
青年は右手の手のひらから一本の黒い刀の刃を出して彫像を貫き、それを投げ捨てた、そして、その後に刀を手のひらの中に戻して自分の右手を凝視し始めた
青年(…………大きさが自由に変えられる刃物が創れるなら…暗器が作れるんじゃないのか?…いや、暗器を作っても実用できなきゃ無意味だな、修行だ修行)
青年はそう考えてからまた筋肉トレーニングや素振り、それから投擲練習なども自分の修行に追加して、太陽が登るギリギリまで修行を続けた
はい、毎度お馴染みの俺です。
今回は青年が恩人への裏切りを決意した回となりました。
さてはて、青年は一体どうやってヴラドを殺すのでしょうかね?
それでじゃ、今回の後書きはこの辺で終わりにします。
それでは、皆様次なる砂の舞う幻想でお会いしましょう。
さようなら