幻想剣帝録   作:アルクロ

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第二十五話「狐の剣は磨かれる」

~剣帝が苦しんでいた夜の翌日~

 

羽衣狐「剣帝や、入るが良いな?」

 

剣帝「あっ、はい、問題有りません」

 

羽衣狐は剣帝の部屋で起きて早々に剣帝が心配になり剣帝が居る筈の自分の部屋へと急ぎ入って行った、其処には白銀の狐の尻尾と狐の耳を生やした銀髪で整った顔の男が居た

 

羽衣狐「剣帝…なのかの?」

 

剣帝「私の他にこの部屋で寝ていた者は居りませぬよ?母上」

 

羽衣狐は剣帝の顔を見て他人かと疑問符を浮かべていたが、声を聞いて何度も聞いたことのある声だから剣帝だと確信した

 

羽衣狐「随分と格好の良い顔になったのぉ」

 

剣帝「そうなんですか?鏡が無いので確認が取れていないのです」

 

羽衣狐「ふむ、そういう事ならば、誰か鏡を持てぃ」

 

羽衣狐は剣帝が自分の容姿について頭に疑問符を浮かべていると、羽衣狐は自分の両手を叩いた、すると、地味な和服を着た狐の妖怪が鏡を持って部屋に入ってきた

 

剣帝「ふむふむ…これはぁ…八剣に見せたら驚きますね」

 

羽衣狐「じゃろうなぁ……フフッ、それでは八剣を呼ぶとするかの」

 

羽衣狐は悪巧みをしたような顔をしてから手を三回叩いた、すると、可愛らしい和服を着た八剣がやって来た

 

八剣「お呼びかの?母上………後ろのそやつは誰じゃ?母上」

 

羽衣狐「誰じゃと思う?当てられるかのぉ?」

 

羽衣狐がフフフッと扇子で口を隠しながら微笑んでいると八剣は頭を傾げて悩み始め、少し経つと頭からプスプスと煙が上がり始めた

 

八剣「うーっ……分かりませぬ!教えて下され、母上」

 

羽衣狐「ならば、直接本人に言わせるとするかのぉ、ほれ、貴様は誰じゃ?」

 

剣帝「………まぁ、これだけ顔付きが変わっていれば分からなくても当然か」

 

八剣「ふぇっ!?け、剣帝様!?」

 

羽衣狐がひとしきりほくそ笑み終わると剣帝に答えをバラさせた、すると、八剣は驚いて倒れ掛けたので、剣帝は咄嗟にお姫様抱っこで受け止めた

 

剣帝「危ないよ、八剣」

 

八剣「………け、剣帝様…降ろして下さりませんか?」

 

剣帝「何故?」

 

八剣「この体制は…恥ずかしい…」

 

剣帝が八剣にお姫様抱っこをしていると、八剣は顔を赤らめながら降ろす様に懇願した

 

剣帝「おっと、スミマセンね気付かなくて」

 

八剣「い、いや…別に良いのじゃがな………それから母上、そんなに睨まないで下さい、流石の妾も恐怖を覚えます故」

 

八剣を剣帝が降ろすと八剣は安堵したような顔をしていたが、すぐにその表情は恐怖が混じった物になった、それもその筈、八剣の視線の先では羽衣狐が恐ろしい殺気が籠もった笑顔を浮かべていたのだ

 

羽衣狐「ホホホッ、スマヌなぁ、あまりにも羨ましいのでのぉ」

 

剣帝「……母上、こちらに来て下さりますか?」

 

笑顔を浮かべている羽衣狐を見て剣帝は羽衣狐に手招きをして呼んだ、そして、その手招きに誘われ羽衣狐が剣帝に近付くと剣帝はしゃがんでから羽衣狐をお姫様抱っこで持ち上げた

 

羽衣狐「ホッホッホ、剣帝は全く母想いの良い子じゃのぉ」

 

剣帝「いえいえ、母上は私のワガママを聞いて下さりました。その程度普通です」

 

羽衣狐「そうかそうか、剣帝は本当に良い子じゃ………うむ、今晩の会談に剣帝を連れて行こうかの」

 

剣帝が羽衣狐をお姫様抱っこしたままクルクルと回っていると羽衣狐は上機嫌になった

 

剣帝「宜しいのですか?母上の立場などは」

 

羽衣狐「構わぬ、それに、そろそろ剣帝の存在を皆に教えて良い頃合いじゃろうしな」

 

剣帝「………有難う御座います。母上」

 

羽衣狐「良いのじゃよ、可愛い我が子をわらわが自慢したいだけじゃ」

 

そうして、羽衣狐や八剣と剣帝が戯れている内に時間は流れ夜になり

 

羽衣狐「では、わらわが呼んだら入ってくるのじゃぞ、良いな?剣帝」

 

剣帝「はい、了解しています」

 

羽衣狐はうむと頷くと襖を開けて剣帝の居る部屋の隣の部屋に入って行った、其処には様々な妖怪が姿を見せていた

 

羽衣狐「さて、今宵皆に集まって貰ったのは他でも無い、わらわの息子を紹介する為じゃ」

 

羽衣狐が息子と言う会談会場に居た天翔以外の妖怪はザワザワとし始めた

 

羽衣狐「それでは、呼ぶとしようかの、入って来るが良いぞ、剣帝」

 

剣帝「はい、分かりました。母上」

 

剣帝が襖を開けて部屋に入ると会場に居た妖怪はしんと静かになり、その内の数体は剣帝を睨み付けていた

 

剣帝(睨まれてるなぁ…何でだろう)

 

羽衣狐「ここに居る剣帝はわらわの娘、八剣の婚姻相手じゃ、じゃが、同時にわらわの可愛い息子でもある」

 

剣帝「わっ!母上、流石に恥ずかしいです」

 

羽衣狐「良いではないか良いではないか」

 

羽衣狐はふざけ半分で剣帝に抱き着き頭を撫でた、そして、剣帝は撫でられている間恥ずかしがっていたが、それと同時に数体の妖怪に警戒心を向けていた、その警戒心を向けていた対象は全て剣帝を睨んでいた妖怪だった、そして、羽衣狐が剣帝を撫で続けていると痺れを切らしたのか、一匹の鬼が喋り始めた

 

鬼「おうおう、羽衣狐様よぉ、アンタ、何を言ってるのか自分で理解してるのか?」

 

羽衣狐「ん?理解して居るとも、何か問題があるか?」

 

鬼「大有りだ、その男、この近辺じゃ聞かねぇ名だ、そして、俺等が聞かねぇ名って事はこの国の者じゃねぇだろう?」

 

羽衣狐「何じゃ、察しが良いのぉ、そうじゃ、剣帝は元々は外国の者じゃ」

 

鬼が剣帝に付いて質問をすると羽衣狐は隠す様子も無くサラリと剣帝が外国からやって来た事を明かした

 

鬼「やっぱりか、つまりは噂が本当だったって事か」

 

羽衣狐「噂?何の噂じゃ?天翔よ」

 

天翔「ヴェッ!?せ、拙者が答えるので御座るか?」

 

羽衣狐「当然じゃろう、この中で一番良く知って居る貴様が最も信用出来るからのぉ」

 

天翔「…分かり申した、噂とは羽衣狐様が外国の術によって弱みを握られて外国の者に好きなようにされているという噂で御座る」

 

剣帝(はぁ?何だその噂は…)

 

天翔が噂について話していると剣帝と羽衣狐は内心ハァ?という感情に包まれていた

 

鬼「つう訳でだ、俺はその男がアンタの息子になったってのは認めねぇ、そんな腑抜けそうな奴はなぁ!」

 

羽衣狐「ほぉ、そこ迄言うのならば、剣帝と戦ってみるが良い」

 

剣帝「母上…宜しいのですか?」

 

羽衣狐「構わぬ、この際剣帝の強さも見せた方が皆納得するじゃろう」

 

剣帝と羽衣狐はボソボソと耳打ちで話していた、一方鬼はよっしゃぁ!と言いながら庭に出た

 

剣帝「それじゃ、行って来ます。母上」

 

羽衣狐「あぁ、頑張ってくるが良い」

 

剣帝は羽衣狐に笑顔で手を振ってから庭に出て、即座に臨戦態勢の心構えになった




はい、毎度お馴染みの俺です。
今回も最後まで読んでいただき有難う御座います
今回の話は剣帝が大分と羽衣狐や八剣と戯れる回となりました
そして、次回は鬼との戦闘が始まりますね。
果たして剣帝は勝てるのでしょうか?
まぁ、その辺は次回になれば分かりますね
それじゃ、今回の後書きは此処まで
それでは、また次なる砂の舞う幻想でお会いしましょう
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