幻想剣帝録   作:アルクロ

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第二十六話「鬼殺しの狐」

~羽衣狐の屋敷:庭~

 

鬼と剣帝は互いに向き合い、臨戦態勢に移行する為に準備運動をしていた

 

鬼「さてと、テメェにはさっさと死んで貰うとするぜぇ、そうすりゃあの馬鹿な羽衣狐も自分の間違いを自覚するだろうしな」

 

剣帝「今、何て言った?」

 

剣帝は鬼の発言を聞き、瞬時に全身に怒気を纏った、だが、鬼は剣帝の様子などどうでも良いと言わんばかりに喋り続ける

 

鬼「だからよぉ、テメェにはとっとと死んで貰うとするって言ったんだよ、雑魚が」

 

剣帝「そこじゃねぇよ、テメェ、さっき母上の事を馬鹿って言ったよな?」

 

鬼「あぁ、言ったぜ?当然だろうがよ、俺達みたいな優秀な奴を無視してお前みたいな弱い外国の者を娘の婿に選んだんだからなぁ!」

 

鬼は叫ぶと同時に剣帝に向かって全力で走って行き、剣帝の近くに着くと同時に剣帝に殴り掛かった、すると、その拳は地面に当たり砂煙が起きた、鬼は砂煙を見ると次から次へと連打した

 

鬼「ハァーハッハッハ!!やはり雑魚か!潰してやったぜ!!」

 

鬼が砂煙に背を向けて雄叫びを上げていると砂煙は段々と晴れていった、すると、そこには無傷の剣帝が殴られる前と同じ位置に立っていて剣帝の周りには幾つもクレーターが出来ていた

 

鬼「何っ!?」

 

剣帝「ふむ…確かに力は凄まじいが、それだけだ、速度も無ければ技術力も無い、ましてや俺に逸らされている事に気付く感知能力も無いとはな」

 

剣帝は拳が自分に当たる前に右手や左手を駆使して拳の軌道をずらしていたのだ

 

鬼「それがなんだ!テメェは俺の拳を避ける事しか出来やしねぇんだろうがよ!」

 

剣帝「ふむ、ならば良いだろう、次のお前の拳、避けずに居てやる」

 

鬼は剣帝の発言を聞き内心『良しっ、今度こそ叩き潰してやる』と思い今度は力を目一杯込めてから拳を剣帝に向けて振り下ろした

 

鬼「これでテメェは終わりだぁ!!」

 

剣帝「…………」

 

拳が剣帝の頭部に当たる一瞬、剣帝は右手でその拳を難なく受け止めた

 

鬼「なっ、馬鹿な!」

 

剣帝「………ハァ、鈍い上に弱い拳だ」

 

剣帝はそのまま鬼の拳を持って鬼を持ち上げ始め、ブンブンと振り回して地面に叩き付けた

 

鬼「グッ…ガッ…テメェ…止めっ……ガハッ!!」

 

剣帝「フンッ!」

 

鬼が振り回されている間に掴まれている方とは逆の左腕で剣帝を殴ろうとしたが、剣帝にその動作を察知されて地面に振り下ろすと同時に鬼は顔を何度も蹴られた

 

剣帝「母上を侮辱する輩は許さん」

 

鬼「も、もう…許してくれ…助けてくれ」

 

剣帝「許してくれ?助けてくれ?何を言って居るんだ?俺を殺そうとした上に母上を侮辱したお前を俺が許すと思ってるのか?……殺して良いのは殺される覚悟のあるやつだけだ」

 

鬼「へっ?なっ、ギャアァァァ!!」

 

剣帝が振り回しながら蹴り続けていると鬼の顔は徐々に恐怖に歪み始め、遂には命乞いを始めたが、時既に遅し、剣帝の右腕は液体状に変化し、掴んでいる鬼の手を取り込み始めていて、更にその液体状に変化した右腕は鬼の腕を伝って鬼の体へと登っていく

 

鬼「辞めろ…来るなぁ…来ないでくれぇ!」

 

剣帝「さぁ、絶滅タイムだ、喜べ!」

 

剣帝は涙を流しながら命乞いをする鬼を無視するように急速に鬼の全身を液体状に変化した右腕で包み込んだ、そして、剣帝の右腕が縮小を始めると剣帝の右腕の中から悲鳴が聞こえた、その悲鳴と同時に咀嚼音が剣帝の右腕から聞こえてきた

 

剣帝「ふぅ……終わりました。母上!」

 

羽衣狐「っと、見ての様に剣帝の強さは申し分無かろう」

 

剣帝が全身に返り血を付けながら笑顔で羽衣狐の居る方向を振り返ると羽衣狐は剣帝を周りの妖怪に紹介していたようだった

 

剣帝「母上、さっきの輩を取り込んではまずかったですか?」

 

羽衣狐「いいや、アヤツは剣帝よりも弱かったのじゃ、故に剣帝の一部となった方がわらわ達にとっても得となろう」

 

剣帝が羽衣狐に近寄ると羽衣狐は剣帝に周りの狐妖怪に持って来させた布を渡して顔を拭かせた

 

羽衣狐「さて、皆の衆、これ程の強さを誇る剣帝ならば八剣の婿やわらわの息子として異議は無かろう?」

 

剣帝「あのぉ…母上…その婿の件なのですが…俺、八剣に婿になるなんて一度も言ってません」

 

剣帝は顔を拭き終わると近くに居た狐妖怪に有難うと言いながら布を渡し、自分は婿になるなんて言ってないと羽衣狐に告げた、すると、羽衣狐ははぁと溜息をつき

 

羽衣狐「……やはりか、そんな事じゃろうと思うて居ったわ、じゃが、剣帝も言われ続けても否定をする気は無かったのであろう?」

 

剣帝「まぁ、はい、八剣は可愛いですし……でも」

 

羽衣狐「ならば良いではないか、それに英雄色を好むとも言う、この際八剣以外が嫁になろうとわらわは文句なぞ言わん」

 

剣帝は羽衣狐の言葉を聞きながら俯いていたが、羽衣狐が喋り続けていると顔を上げた

 

剣帝「つ…つまり…」

 

羽衣狐「この際八剣と結婚は無しでも構わぬ、但し、わらわの子では居続けて欲しいのぉ」

 

剣帝「はい、有難う御座います!母上!」

 

剣帝が羽衣狐に抱き着くと羽衣狐はホッホッと笑いながらも嬉しそうに笑顔を浮かべ続けていた




はい、毎度お馴染みの俺です。
今回も最後まで読んでいただき有難う御座います。
さて、今回の話は剣帝の容姿が変わった事と剣帝が鬼を殺した話となりました。
そして、八剣との結婚も破断になる可能性が現れましたね。
さてはて、どういう未来に転ぶのでしょうかね?
皆様お楽しみに
それでは、今回はここまで、また次なる砂の舞う幻想でお会いしましょう
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