幻想剣帝録   作:アルクロ

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第三十三話「剣は糸を垂らして獲物を待つ」

~剣帝が人里に忍び込んだ少し後~

 

剣帝は屋敷に向かって走っていたが途中の森に差し掛かると少し速度を落とした

 

剣帝「急がないとヤバイだろうからなぁ」

 

無銘『確かにそうだな…で、お前は何をしてるんだ?』

 

剣帝は屋敷の周りの木々の間を縫うように走り回っていた

 

剣帝「まぁ、ちょっとした細工をねっと、良し、細工完了、帰るとしようかな」

 

無銘『ん?……あぁそういう事か』

 

剣帝はニヤリと笑みをこぼしながら屋敷に帰り始めた

 

~羽衣狐の屋敷~

 

剣帝「母上、ただいま戻りました」

 

ぬら「お帰り、何処に行っておったんじゃ?剣帝」

 

剣帝「あぁ、父上、まぁ少しばかり情報収集に人里に行ってました」

 

ぬら「ほぉ、人里か、別に行くのは構わんが危ない目には気をつけるのじゃぞ?お主が死んでは羽衣狐が悲しむからのぉ」

 

剣帝はぬらりひょんに自分の行った先を伝え、言われた事に「分かりました」と言いながら靴を脱いでいた

 

剣帝「あぁ、そういえば、もしかすると今晩、面倒な事が起きるかも知れません」

 

ぬら「面倒な事?何じゃそれは」

 

剣帝「まぁ、その辺はご飯を食べながら話します」

 

ぬら「そうか」

 

剣帝の発言にぬらりひょんは頭に疑問符を浮かべていたがそろそろ飯時だと思い、その疑問符を消し二人揃って居間に向かった

 

~羽衣狐の屋敷:居間~

 

剣帝や羽衣狐、八剣とぬらりひょんは仲良く料理を囲んで食べていた

 

ぬら「そういえば、剣帝よ、お主が言っておった面倒な事って何なんじゃ?」

 

剣帝「あぁ、それはですね……ハァ、来るのが速い」

 

八剣「どうしたのじゃ?剣帝様」

 

羽衣狐「これこれ、食事中に立ち上がるではない、行儀が悪いぞ」

 

剣帝は机に手を付き立ち上がり、そのまま庭の方を向き、右手の親指と人差し指を擦っていた

 

剣帝「うーん……多そうだなぁ」

 

羽衣狐「何の話じゃ?剣帝」

 

剣帝「例の面倒な事、人間が攻め込んで来ました」

 

ぬら「何?人間が攻め込んで来たじゃと?」

 

剣帝は羽衣狐に何があるのか問われて自分が人里で聞いたことを含めて考えて答えをすぐに出した、そして、剣帝の返答を聞いてぬらりひょんや羽衣狐達は立ち上がった

 

剣帝「数にして五十は超えているでしょうね」

 

ぬら「何故分かるんじゃ?」

 

剣帝「答えは簡単、これのお陰です」

 

ぬら「何じゃそれは…糸か?」

 

剣帝はぬらりひょんに相手方の人数が分かる理由を聞かれると右手で何かを引っ張る動作をした、すると、剣帝の右手から外に向かって何か細い物が伸びていた

 

剣帝「えぇ、帰って来る前に森に仕込んでおきました」

 

ぬら「抜かりないのぉ」

 

剣帝はぬらりひょんに褒められるとえへへと照れていた

 

ぬら「それじゃ、行くとするかのぉ?」

 

剣帝「えぇ、そうですね。先に行っています」

 

剣帝は屋敷の縁側から外に出ると背中から一対の蝙蝠の翼を生やして、空に飛び上がった

 

剣帝「さぁ、喜べ、殺戮タイムだ!」

 

剣帝は翼で自分の体を包みながら森の中に向かって突撃していった

 

~時は少々遡り:人間サイド~

 

鎧男α「この辺りに羽衣狐一派が住み着いているそうだ、森の中を進み奴等を滅ぼすぞ!」

 

鎧男達「「「オォー!!!」」」

 

一人のリーダーらしき鎧姿の男が村の入り口で手を振り上げると周りの鎧姿の男達も惹かれるように手を上げながら大声を上げた

 

鎧男α「良しっ、進軍!!」

 

鎧姿の男のリーダーが剣を羽衣狐の屋敷のある森へと向けると周りに居た鎧姿の男達は森へと走って行った

 

~羽衣狐の屋敷付近:森内部~

 

鎧男A「くっ、枝が邪魔だ」

 

鎧男B「うぉっ!」

 

鎧男A「何を転けているんだ」

 

鎧男B「悪い、何かが脚に引っかかって」

 

鎧男達はバラバラになって進んでいたが、その内の二人が森の中を進んでいる内に片割れの脚が剣帝の仕掛けた糸に引っ掛かり、転けた

 

鎧男A「全く、転けたりするんじゃない、全身に鎧を着込んでいるから重いんだぞ」

 

鎧男B「あぁ、悪い悪い…」

 

鎧男A「どうしたんだよ、急に黙りこんだりして」

 

鎧男B「あ…アレは…一体何だ……」

 

鎧男Bが鎧男Aに引っ張られながら立ち上がっていると自分たちの進行方向上の上空に黒い槍のような物が勢い良く落下して来て居るのが見えていた




はい、毎度お馴染みの俺です。
今回も最後まで読んで頂き有難う御座います。
今回は人間との殺し合いの前段階の話となりました。
まぁ、剣帝はきっちりと相手が来ることに対応してますがね。
はぁ、やはり情報とは何にも勝る武器となりうるのでしょうね。
さて、今回の後書きはこの辺で終わりますかね。
それではまた次なる砂の舞う幻想でお会いしましょう
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