~剣帝の部屋~
無銘『暇だな』
剣帝「確かにな…''今''は暇だな」
無銘『何だよ、含みのある言い方だな、何か起こすのか?』
剣帝「いや、何も起こす気は無いが…もう少しで何かが起きる、そんな気がする」
剣帝は縁側に座ってゆっくりと用意されていた自分の湯飲みに入ったお茶を啜っていた
無銘『予感…か』
剣帝「あぁ、もうすぐだ」
剣帝がお茶を啜り続けていると上空から何か高速で落下してくる物体があった
???「ふぅ、やっと着きました。主と少しでも離れたく無いのですが主のお願いなので仕方無いですね」
剣帝「………どなたですか?」
屋敷の上空から剣帝の目の前の庭に落下して来たのは頭の側面にアンテナのようなものが付き、前頭部にはロボットの顔のようなものが付き、身体の腕や胸部などが機械のようになっている少女だった
少女「流石私です。計算通りの位置と時間に到着しました。嗚呼主、貴方のお蔭です!感謝いたします」
剣帝(あぁ、聞こえてない、というか、聴く気ないわ、ついでに答える気も無さそうだわこの娘)
降りてきた少女は嬉しそうな顔で上空を見上げていた
剣帝(と、取り敢えず、気を取り直して)
剣帝「………どなたですか?それから何の御用ですか?」
少女「………名乗るなら自らからでしょう?主は言いました。『世界は自分を中心に回っている。だから相手に何を言われても自分から答えてはならない』と」
剣帝「………御最もですね。俺の名前は妖悪剣帝、夜鴉様に転生させて頂いた転生者です」
少女に言われた事で剣帝は少しイラッとしたような顔をしたがすぐに元の真顔に戻してから名前を名乗り
剣帝「貴女の名前と御用件は何ですか?」
ペタン「では、答えてあげましょう。私はペタン・レイベルク。我が主である夜鴉様の命令でここに来ました」
剣帝「はぁ、夜鴉様の配下の方で……夜鴉様の配下!?こ、これは大変な無礼を!!」
剣帝は少女の、ペタンの現在の立ち位置を聞くと即座にペタンに向けて土下座をした
ペタン「良いのです、顔を上げなさい。我々は転生者の貴方に定期的に試練を与えないといけないので最初は最高位でもある夜鴉様の側近の私が挨拶にきたのです」
剣帝「あっ…はい、分かりました」
剣帝(最高位…一番偉い…つまり、無礼=即死!)
剣帝はペタンの言葉を聞き頭を上げると即座に思考を回して自分への危機の回避法を模索しようとし始めた
ペタン「ああ、それと無駄な事を考えないように。心くらい読めています」
剣帝「あっ…スミマセン」
剣帝はペタンに心を読まれていると分かるとその直後に顔を真っ青に染めた
ペタン「まぁ良いでしょう。主は許さないと思いますが私なら許します」
剣帝「スミマセン、本当に有難う御座います。ところで、例の試練とはどのような物ですか?」
ペタン「そうですね。これと戦ってもらいます。さぁ出てきなさいエースキラー!」
剣帝はペタンに許して貰うと顔色を元に戻しながら試練の内容を聞き始め、そして、ペタンが答えると同時に屋敷から少し離れた位置の上空に割れ目が現れたかと思うと、その割れ目の部分を突き破って肩や腰に金の甲冑の様な物を付け、頭には金の仮面をはめた全身赤色の巨人が現れた
剣帝「えーっと…アレと戦うのですか?」
ペタン「ええ、善戦すれば完了と見なしましょう」
剣帝「りょ…了解しましたが…ここでは家族に被害が出てしまいますので…出来れば他の場所で戦わせて下さい」
剣帝は縁側から素足のまま降りるとペタンに必死に土下座をして戦闘区域の変更を願った
ペタン「何故ですか?場所を変えたいなら誘導するや吹き飛ばす等方法はありますよ。自力でやるのも試練の1つです。さぁ後残ってる猶予は二時間ですよ」
剣帝「…………了解しました」
剣帝は屋敷の中に戻ると急いで靴を履き、蝙蝠の翼を展開するとそのまま自分体を一つの弾丸と化し、無銘を弾頭にしながらエースキラーに向かって突撃した
エースキラー『?』
剣帝「ぐぅ…当たったこっちがダメージ貰うってどれだけ硬いんだ…」
エースキラーに剣帝が当たるとエースキラーは何か石粒が当たったような反応を示し、剣帝は弾かれたせいで体に痛みを訴えた
剣帝「ちぃ…どうにか動かせないか…」
無銘『零の技はどうだ?ウルト○マン系も使えるだろ』
剣帝「多分、それでも無理だと思うな!」
剣帝が困った様子で思考を回していると無銘が脳内に喋りかけてきたが剣帝はそれを却下してエースキラーの胸部に蹴りを叩き込んだ
剣帝(それに…俺自身の力でどうにかしたい……)
エースキラー『………?』
剣帝(やっぱり無意味か……そうだとしても…俺は……)
剣帝は自分の弱さに苛立ちを覚えながら右腕に力を込めた、すると、剣帝の右腕はみるみるうちに巨大化し、エースキラーの手より少し小さいくらいの大きさになった
剣帝「おっも…でも…ぶつけてやるよ!」
剣帝は回転をして、遠心力を強く働かせながらエースキラーに向けて右腕を振り下ろした
エースキラー『!!………。』
剣帝「切れろぉ!」
剣帝は渾身の力を込めながらエースキラーに向けて刃を振り下ろすと、ようやくエースキラーは剣帝の行動に反応を示した
エースキラー『……敵、発見。主の命により攻撃開始』
剣帝「テメェ、喋れたの…がっ!」
剣帝が振るった右腕はエースキラーに受け止められ、その受け止めた方とは逆の手でエースキラーは剣帝を吹き飛ばした
エースキラー『スペ…シウム……光線。続いて、ワイルド……ショット』
剣帝「ガハッ!!」
エースキラーは吹き飛ばした剣帝に向けて畳み掛けるように腕を交差させて放つ青い光線とその後にそれと良く似た白い光線を命中させると、剣帝の身体は半分以上が焼け焦げたような姿に変わってしまった
剣帝(何で…俺はこんなに弱いんだよ、このままじゃあの娘を護り続ける事はおろか、母上や八剣達を護る事すら…出来無いじゃないか…何が怪物だ…俺は単なる雑魚に過ぎない、もっと…もっと力が欲しい!万物を超越出来るような圧倒的な力が!)
剣帝は焼け焦げたような姿で地面に落ちるとそのまま涙を流して力を欲し始めた
ペタン「ふぅ早すぎましたか。善戦すれば褒美が待っていたのですが諦めますか?」
剣帝「諦めて…たまるか……」
剣帝はずたずたな姿になりながらも歯を食いしばり必死に立ち上がり、右腕を形状変化させて全身に纏った
ペタン「それで良いのです。主を楽しませて下さいね。ふふふふふ」
剣帝「俺は…俺が大切とする護れるようになるんだ…その為にも、負けられないんだよ!」
剣帝が立ち上がると剣帝を纏っていた黒い鎧の姿になっていた無銘が剣帝の全身を呑み込んだ
無銘「少しの間、体を借りるぜ」
無名は両手の指をコキコキと鳴らすとエースキラーに向けて手を伸ばし
無銘「喰らい尽くしてやるよ、骨身に至るまでな!」
エースキラー『敵意確認。体の起動完全完了!これよりこの時空の殲滅を始めます』
無銘が右手を地面に付けると右手が地面に溶けるように吸い付き、右腕が何かを吸い取り始めた、そして、無名がエースキラーに向けている方の左手にその吸い取られたものは向かい、左手から大量の岩が発射された
エースキラー『この程度目眩ましにもなりませんよ』
無名「痛かねぇだろうが、当たりゃ良いと思ってたんだがな……目くらましにもならねぇか」
無銘が発射した岩は一発残らずエースキラーの顔面にめがけて発射されていたが、全てエースキラーに弾き落とされた
無名「チッ、どうすっかなぁ?」
エースキラー『自動強化発動。エースキラーからメビウスキラーへ』
エースキラーが自分の状態を進化させて右手の手首から剣を生やした、その様子を見ていた無銘は少し冷汗をかきつつ
無銘(どうにかして撤退する策を考えたいが…それにはアイツの目を潰さにゃならねぇし…)
剣帝(撤退したら…アイツはこの次元を破壊しはじめる…それは見過ごせない…)
無銘「だったら、無茶を通すしかねぇかなぁ」
無銘は全身に力を少しの間貯めると順次にメビウスキラーの頭部に近付きメビウスキラーの頭部に正拳突きを叩き込んだ
無銘「効果あるかは知らねぇがな!」
無銘は正拳突きを叩き込んでから流れるように連打をメビウスキラーの顔面に叩き込んだ
無銘「これで、どうだ?」
メビウスキラー『攻撃認定不可。排除に入ります』
無銘(多分だが、ウルトラマン系の技は撃ち込んで無意味だろうな、更にライダー系も無意味と来た、こりゃ打つ手なしに近いな)
剣帝(変われ無銘)
無銘(オイオイ、俺等の攻撃まるで寄せ付けない相手だぞ?)
剣帝を(良いから変われ!速く)
無銘(はいはい、仰せのままにってな!)
剣帝と無銘はメビウスキラーの言葉を聞きながら会話をかわして姿が剣帝に戻った
剣帝「この世界、この時代は壊させやしない!」
剣帝は全身血塗れで傷だらけの姿ながらもメビウスキラーに向かって突撃していく
無銘(この世界はどこぞの仮面ライダーやご都合主義のアニメみたいに覚醒は無い、ただあるのは恩恵の努力だけだ、それらが全てを結果に結びつける世界だ…)
剣帝(俺にもっと力が有れば…欲しい…力が欲しい…コイツの力が……欲しい!)
剣帝が心の中で力への欲求を強くしていると剣帝の右腕が突然蠢き、メビウスキラーに向かって液状化しながら襲い掛かった
メビウスキラー『脅威?驚異ですねこれは』
剣帝「お前を……寄越せ!!」
剣帝の目はメビウスキラーをまるで食べ物のように見つめ、その瞳は光を失った転生した最初の頃に戻ったようだ
ビクトリーキラー『仕方無いですね。ランクアップ、ビクトリーキラー』
メビウスキラーはまたも進化してビクトリーキラーになった、その姿はエースキラーの時の様な姿だったが左手は無くなっていた
エースキラー『エレキングテイル。痺れてしまえ』
剣帝「アハハハ!また新しい力だな!」
メビウスキラーがビクトリーキラーに変化して左手を斑模様の尻尾に、エレキングテイルに変化させたが、剣帝のそれに向けて反応は光の無い瞳のまま狂ったように笑い、エレキングテイルで電流を流されたながら叩かれて全身傷だらけになっているのに痛がる様子も何もなくビクトリーキラーへの攻撃を辞めようとしない
ペタン「そろそろ良いですかね。キラー、帰宅して停止です」
剣帝「………逃さない…俺の餌…」
剣帝は全身から闇を出現させるとビクトリーキラーに向けて伸ばしビクトリーキラーを捕まえようとし始める
ペタン「100倍グラビティー」
剣帝「……動けない……離して……」
剣帝は百倍の重みを受けながらもビクトリーキラーに向かって進もうとし続ける
剣帝「俺に…力を…寄越せ…」
ペタン「授けて差し上げましょう。主の許可も今降りましたしね」
剣帝「ビクトリーキラーの全てを…寄越せ…俺に…他を圧倒して、潰すための力を…寄越せぇぇ!!」
剣帝は何かの糸が切れたように叫ぶと体に掛かっていたはずの重圧を無視するように走り始めた
ペタン「黙りなさい。その姿を見て貴方の家族は楽しく受けれてくれますか?違うでしょう。元に戻り次第授けます」
剣帝「ふぅ……ふぅ…俺に…家族なんて居ない…皆俺の敵だ…」
剣帝の目は元には戻らず、まるで獣のような目をしてペタンを見つめる
ペタン「………そうですか。ならばこの世界で貴方の好きな者が生まれて直後に殺してあげましょう。」
剣帝「!……許…さない…」
剣帝の目は先程までとは変わって激しい怒りが込められた目に変わり、剣帝の全身からは明らかなまでの怒気が放たれ始める
剣帝&無銘「『あの娘を護り続ける事が俺の生きる意味だ…それを奪おうとするならばその対象は容赦も情けも掛けずに殺す』」
剣帝が喋り始めると無銘の声も重なり、多重音声のように辺りに響きわたった
ペタン「ふふ、今の貴方はまだ弱い私に近付く事すら出来ていません。これを受け取りなさい、これで強くなり私を越えてみなさい。いえ、それで成果をあげれば殺さないであげましょう」
剣帝「………約束?」
ペタンの発言に反応してか剣帝の怒りが多少収まったように感じられる
ペタン「いえ、強引な神との契約です。断れば彼女を殺します」
剣帝「………了解した…ならば成果として近日中に俺の家にやってきていた人間を全員殺す」
剣帝はほぼ元に戻った、ただ瞳には光は戻らず全身には闇を纏い続けている
ペタン「それで良いでしょう。なるべく惨く殺しなさい。それが貴方の出来ることです。では失礼」
剣帝「惨く……了解…した」
ペタンが上空に去ると剣帝は糸人形の糸が切れたように地面に倒れ込むとそのまま深い眠りに落ちた
はい、毎度お馴染みの俺です。
今回も最後まで読んで頂き有り難う御座います。
昨日は休んでしまいスミマセン、今回が長めとなったので休ませて頂きました。
また次の話数も長くなりそうですが。出来うるだけ間にあわせますのでお待ち下さい
それでは、今回の後書きは愚痴っぽくなりました。ここまで
また次なる砂の舞う幻想でお会いしましょう