幻想剣帝録   作:アルクロ

45 / 45
第四十四話「変わる姿、変わる気持ち、それが剣の力」

~剣帝が屋敷に帰省してから数日が経ったとある日~

 

剣帝「………暇だ」

 

無銘『だから、良いのかって俺は言ったんだ』

 

剣帝は屋敷に帰ってきてからというもの一度も屋敷を出られていなかった、その理由は簡単なもので、外出しようとすると必ず羽衣狐に捕まっていたからだ

 

剣帝「こんな事じゃろくに修行もできないよ……」

 

無銘『なら、今のお前はこの屋敷から抜け出す方法を探すべきじゃあねぇのか?例えば蝙蝠になるとかよ』

 

剣帝「蝙蝠に…なる?」

 

無銘『あぁ、蝙蝠に自分の体を変化させるんだ、吸血鬼なんだし出来るだろうしな』

 

剣帝「…………」

 

剣帝は無銘と会話をしていると無銘の発言を聞き、それを忘れていたという顔をした

 

剣帝「そうと決まれば早速蝙蝠化をどうやるか考えないとな!」

 

無銘(影に潜ればさっさと出れると思うが、まぁ、言わねぇ方がコイツが滑稽で面白いし黙っとくか)

 

剣帝は蝙蝠に体を変化させる方法を考え始め、それを見ている無銘はニヤニヤと剣帝を嘲笑うような笑顔を浮かべている

 

剣帝(取り敢えず、狐に化ける感じだとどうなるかなぁ)

 

剣帝は自分の体を狐に変化させる際の感覚で蝙蝠になろうとしたが、変化出来なかった

 

剣帝(無理か……どうしよっかなぁ)

 

無銘『なぁ、剣帝よぉ』

 

剣帝(何だ無銘、今考え事してるんだ、無駄話ししたいなら後に)

 

無銘『狐の感じじゃ、無理だろ、変化するならその対象の特徴を思い出せよ』

 

剣帝「…………あっ」

 

剣帝は蝙蝠に変化する方法を模索している最中に無銘にツッコミを入れられてハッと何か思い付いたような表情になった

 

剣帝(そうだよ…蝙蝠は飛行する哺乳類、でも、狐は四足歩行の哺乳類、種類はかなり大まかな部分は同じ哺乳類、でも、狐は地面を走るもの、蝙蝠は空を飛ぶものだ、同じような感覚で変化出来る訳が無い……となると、まずは蝙蝠の姿から連想していくか)

 

無銘(ようやく気付いたかこのアホは、さてはて、どんな蝙蝠に化けるのかねぇー?)

 

剣帝は一旦自分の部屋の床に座り込むと胡座をかき、そのまま顎に手を当てて考え込み始めた

 

~一方その頃羽衣狐は~

 

羽衣狐「近頃、わらわの愛する剣帝の機嫌が悪い気がするのじゃが、何故じゃろうか?ぬらりひょん様よ」

 

ぬら(そりゃ、一度家出した家に軟禁のように閉じ込められれば不機嫌にもなるじゃろ)

 

羽衣狐「………ぬらりひょん様よ、無視されると困るのじゃがなぁ?」

 

ぬら「あっ?スマヌスマヌ、考え事をして居てな、それで何の話じゃったかの?」

 

羽衣狐とぬらりひょんは羽衣狐の部屋の縁側に二人並んで座りぬらりひょんは煙管を吸いながら羽衣狐の話を聞き流していた、そして、羽衣狐はそんなぬらりひょんの態度が気に食わなかったようだ

 

羽衣狐「ハァ……じゃから、剣帝が最近わらわに冷たいのじゃよ、更に言うと不機嫌気味でな」

 

ぬら「そりゃ、アレじゃろ、ストレスの発散が出来て居らぬからじゃろう」

 

羽衣狐「ストレスの発散、じゃと?」

 

ぬら「あぁ、こんなふうに屋敷に閉じ込めるような形では男子はストレスが発散出来ずに不機嫌にもなるものなんじゃよ」

 

ぬらりひょんは羽衣狐から投げ掛けられた質問に対して羽衣狐が居る方向とは逆方向を向き煙を吐きながら返答した

 

羽衣狐「なるほどのぉ、して、剣帝のストレス解消には何をすれば良いのか分からぬかの?」

 

ぬら「それは本人に聞くのが一番速いじゃろ」

 

羽衣狐「それもそうじゃのぉ、それでは行って参る」

 

羽衣狐はぬらりひょんの返答を聞き終えると素早く立ち上がりいそいそと剣帝の部屋へと向かった

 

ぬら(これで剣帝も多少は自由が効くようになるじゃろ)

 

ぬらりひょんは羽衣狐が退室した事を確認するとフゥーと部屋の中に煙を吐いた

 

~剣帝の部屋~

 

羽衣狐「剣帝や、お主のストレス解消には何をすれば……何をして居るのじゃ?」

 

剣帝「………ちょっとした変化の練習です」

 

羽衣狐が剣帝の部屋の襖を開けて部屋に入ると其処には直径2m程の大きな蝙蝠に身を変化させた剣帝が飛んでいた

 

羽衣狐「それは別に構わぬが……その姿になって何をするつもりじゃ?」

 

剣帝「えーっとぉ………暇なので出掛けて来ようかなと」

 

羽衣狐「なぬっ!?それはわらわが…」

 

羽衣狐は剣帝が出掛けようとするのを止めようとしたが、その瞬間にぬらりひょんの言葉が思い出された

 

ぬら(あぁ、こんなふうに屋敷に閉じ込めるような形では男子はストレスが発散出来ずに不機嫌にもなるものなんじゃよ)

 

羽衣狐(ぬぅぅ……これも剣帝の為じゃ)

 

羽衣狐「行ってくるが良い……但し、キチンと夕餉迄には戻るのじゃぞ」

 

剣帝「有難う御座います。母上、大好きですよ」

 

剣帝は羽衣狐から許可を貰うと部屋から飛び出し、全速力で天狗の住む山に向かって飛んで行った




はい、毎度お馴染みのうp主で御座います。
少し前に四十三話を上げましたが。
申し訳ありません、アレが今年最後ではないのです。
でも、剣帝録はこれが今年最後になると思います。
これからもどうか剣帝録を読んで頂けると幸いです。
それでは、今度こそ良いお年を
また次の話でお会いしましょうねー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。