~館付近修練場~
青年「さて、着いたし…始めるか」
青年は修練場にある案山子の前に立つと2本の木刀を両手で掴み、構えを取ると案山子に何時も以上の攻撃速度で剣戟を浴びせる
青年(まだだ…まだこんなものではあの人狼には勝てない…)
青年は慣れない右腕の代わりを精一杯動かしながら剣を案山子に叩き込む
そして、そんな様子の青年に近付いて行く一つの影があった
青年「はぁ!せいっ!とぉりゃあ!」
ヴラド「相変わらず修練に精が出るな」
青年は後ろから突然ヴラドに声を掛けられビクリと一瞬してから急いで後ろを振り返り、跪いた
ヴラド「どうした?続けぬのか?」
青年「いえ、ヴラド公爵が来てらっしゃるのならば跪くのが当然です」
ヴラド「ならば命令だ修練を続け余を楽しませよ」
ヴラドが命令を下すと青年は了解しましたと言ってから立ち上がり案山子をまた木刀二刀で叩き始めた
その様子を見ていたヴラドはふむと言ってから青年に声を掛けた、すると、青年はヴラドの居る方に振り向いた
青年「何でしょうか?ヴラド公爵」
ヴラド「一つ、試しに余と手合わせをしてみないか?一撃でも貴様が余に入れられれば貴様の勝ちだ、勝てば貴様の望む物をやろう」
青年はヴラドの言葉を聞くと顎に手を当ててからヴラドの顔を見直し、喋り始める
青年「では、ヴラド公爵の血を頂けますか?」
ヴラド「ほぉ…良かろう」
青年「有難う御座います」
青年は目を閉じ精神を統一しながら木刀を一本納刀するとゆっくりと目を開いた
ヴラド「では、行くぞ!」
青年「はい!」
ヴラドが手に持っていた模擬の槍を振り下ろすと青年は両手で一本の木刀を持ち、槍を防いだ
ヴラド「やはり、この程度では防がれてしまうか」
青年「当然でしょう!」
青年は両手に力を込めて槍を弾き飛ばし、そのすぐ後にヴラドに向けて突きを放った、がヴラドは槍の持ち手の部分で木刀の刃を弾いた
青年「流石ですね…」
ヴラド「この程度でよもや本気とは言うまい?」
青年「無論です!」
青年は突きが弾かれると同時に流れるようにヴラドに向かって切りかかった、だが、ヴラドはそれにやすやすと対応し、槍で刃を弾き続ける
青年(中々決めきれない…)
ヴラド(ふむ、連撃としては中々だが、威力が今一つ脅威に欠けるな)
お互いに思考を巡らせ、青年は次第に木刀を振るう腕を左一本に変え、右手でもう一本の木刀を抜き、ヴラドに撃ち込んだ
ヴラド「ぬぅっ!」
青年「チッ…外れた」
青年は多少イライラした様子を見せたが、直ぐに冷静な状態に戻り二刀の木刀で構えを取った
ヴラド「貴様、もしや双剣使いだったのか?」
青年「いえ…記憶にある型を見よう見まねで行っています」
青年は少し目を俯けながらヴラドに返答をしてからまた切りかかった、その一振一振がヴラドの体を確実に捉えていた
ヴラド(これが見よう見まねとは…この男…やはり面白い!)
青年(!今だ!!)
青年はヴラドが油断した一瞬の隙を見逃さず的確にヴラドの槍をヴラドの手から弾き飛ばし、ヴラドの体に突きを叩き込んだ
ヴラド「ぐっ……」
青年「入った……」
突きを打ち込みきると青年は糸が切れたように脱力し、その場に座りこんだ
ヴラド「どうした?疲れたか?」
青年「えぇ……緊張し過ぎました……」
ヴラド「そんな事では実践となり、あの人狼と戦う事となれば確実に負けるぞ」
ヴラドは青年の様子を見ながら青年を軽く叱責した
青年「はい…スミマセン…」
ヴラド「ただ、手を抜いていたとはいえ、余に一撃を入れた褒美をやろう、手を出すが良い」
俯いていた青年だが、ヴラドに手を出せと言われるとその命令に従って手を前に出した、すると手の上に赤い液体が入った小瓶を渡された
ヴラド「約束の余の血だ、部屋に戻ってから飲むが良い」
青年「はい!了解しました!!」
青年は小瓶を受け取ると嬉しそうな表情となり立ち上がった
ヴラド「これからも余を楽しませ続けられるよう修練に励むが良い」
青年「はい!頑張ります!」
ヴラドは青年に言葉を告げるとではなと言い修練場を去って行き、青年は小瓶をズボンのポケットに入れてからまた案山子に撃ち込みを始めた
はい、毎度お馴染みの俺です。
今回はヴラド公爵との模擬戦回となりました
青年の動体視力が良かったんでしょうね。ヴラド公爵に勝てるとは
まぁ、ヴラド公爵も手を抜いて下さったんでしょう
ともかく、これでまた青年は強くなるでしょう。
さて、今回の後書きはこの辺で終わりましょうかね。
それでは、また次なる砂の舞う幻想でお会いしましょう。