仮面ライダーソング   作:天地優介

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今回のお話を途中まで前書きの方に気づかず書いていて、死ぬほど焦りました。
今回はさっそくの挫折と復活です。超急展開ですが、乙音の成長のためには必要な事。
最近はアクティヴレイドを見てます。また新しい小説書きたくなっちゃう…なろうでも書いてるのに…


G FANG

「この程度か…やはり、下級は下級か」

 

仮面ライダーファングーーそう名乗る仮面ライダーが現れてからたったの1分で、バッタ型のディソナンスは全滅していた。

名乗りの直後に背後から襲いかかってきたディソナンスを巨大な右手で迎撃、そのまま牙のような鋭さを持つ右手の爪で切り裂くと、残りのディソナンスも同じように切り裂いてゆく。

まるで獣のような荒々しい戦い方。しかし、その一撃はいずれも一撃必殺の威力である。

ファングはソングーー乙音の方をちらりと見ると、「よく見ておけ」というセリフと共に硬い壁を思わせるディソナンスに突撃していき、それと同時に歌が流れ始める。ファングの戦闘スタイルのように荒々しい歌が。

 

『牙を突き立てgenocide』『覚醒する血が煮え滾る』

 

『拳振り上げgardする』『熱き怒りがハート動かす』

 

 

巨大な右手、そこにある牙がディソナンスに襲いかかるが、乙音の時と同じようにディソナンスの硬さに弾かれてしまう。

 

「Gタイプ、それも中級へ進化しかけている個体か。厄介だな!」

 

『stance曲げずに突き抜ける』『牙を用いて我を通す』

 

『fang……奴ら喰らいつくすまで…』

 

そう言いつつも戦い方は変えず、攻撃し続けるファング、すると、あれだけ堅牢だったディソナンスの身体に徐々にヒビが入っていく。

 

「だが、この程度ならばいくらでもいる!」

 

『折れる事は許されない』『己の我と牙研ぎ澄ませ』

 

その言葉と共に、ディソナンスの身体が砕け散る。いや、砕け散ったのは硬い表皮の部分のみのようだ、鎧のような表皮の隙間から、柔らかな体躯が覗く。その事実に気付き、背中を見せて逃げようとするディソナンス、しかしその行動こそが命取りだった。

 

「今だ……!」

 

『full chorus』

 

『それが正義というならば……』

 

『rider crash!』

 

『「俺はそれを貫き通す!」』

 

ファングが必殺技を発動し、彼の右手にエネルギーが収束し、その拳からエネルギー波が発射される。

そして、逃げようとするディソナンスをエネルギー波が捉えーー

 

 

ゴォォォォォォン……

 

という鈍い音と共に爆発した。完全撃破だ。

 

「す、すごい…」

 

感嘆する乙音にファングが変身を解除して近づき、手を差し伸べてくる。

 

「立てるか?」

 

「は、はい。あの、ありがとうございました。」

 

「礼はいい。……それよりも、さっきの戦いを見てどう思った」

 

「……私はまだまだ弱いと思いました。さっきだって、ファングさんは敵に囲まれないように戦っていたのに、私は敵に囲まれて攻撃をいいように受けちゃいましたし……」

 

「木場真司だ」

 

「え?」

 

「俺の名前だ。戦闘時以外はそれで呼べ。呼び方は何でも構わん………二度目でそこまでわかるなら上出来だ。そう自分を責めるな」

 

「せ、責めてなんか…」

 

「ならば、なぜ泣いている」

 

「え……?」

 

その言葉に乙音が自身の頬を触ると、一筋の涙が流れていた。その事に気づき、乙音は涙を拭おうとするが、涙は止まらない。

 

「なん、で……」

 

「今のうちに泣いておけ。…今お前が泣いているのは、お前の実力が足りなかったからだ。しかし、これからは涙を流す事は許されないような戦いに身を投じていく必要があるだろう……。どうしても泣きたい時は、仮面の下で涙を流せ。俺達は仮面ライダー。人類の守護者だ。人に涙は見せられない。……どうしても戦いが怖いのなら、ライダーを辞めろ。それがお前のためだ」

 

「……怖く、ないです」

 

「だといいんだがな。……まあ、これからよろしくな、後輩」

 

「はい……」

 

こうして、乙音と、先輩ライダーである仮面ライダーファング、木場真司との邂逅は果たされた。

しかし、乙音は戦いに確かに恐怖していた。戦闘中は耐えれていたが、気を抜いた瞬間、乙音自身も気がつかないうちに涙を流してしまっていた。

その後、香織に送られて無事家へと帰り着いた乙音だったが、家には乙音以外誰もいない。

 

(……一人が、こんなに寂しかったなんて)

 

それまで孤独など感じた事はなかった乙音だったが、誰もいない部屋は、彼女を世界から遮断する鳥籠のようだ。

 

しかし、仮面ライダーとは孤独を感じて強くなるものである……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ディソナンス発生の報を受け、現場へと変身して急行する乙音。その心には、恐怖と迷い。しかしーー

 

「なに……これ……」

 

乙音の目の前にあったのは……繭。黒い、繭だ。

 

『乙音ちゃん、聞こえる?』

 

「香織さん⁉︎あ、通信機能もあるんだ…」

 

ピシ

 

『便利よ、これ。それよりも、気をつけて。奴ら…ディソナンスが進化するわ』

 

「進化…?」

 

ピシ、ピシ、ピシ

 

『ええ、今までのディソナンスが下級……そこから生まれ出てくるのは、中級のディソナンス…』

 

ピシ、ピシ、ピシ…ピシピシピシピシピシ!

 

「香織さん、繭が…!」

 

『乙音ちゃん…!気をつけて!』

 

繭が、割れる。

 

割れた繭。そこから生まれ出てきたのは……

 

赤の体躯に猛禽類を思わせる爪と翼。

 

まるで鷲のような風貌のディソナンスだった。

 

「人間……それも、仮面ライダーか、面白い……相手をしてやろう!」

 

「っ…喋った⁉︎」

 

『中級以上はより効率的にハートウェーブを摂取するために人語を解するようになるわ!そして、感情も…!』

 

「さあ、我を楽しませてみよ!我が名はファル!大鷲のディソナンスよ!」

 

『感情も、解するようになるわ!そして、奴らはその感情によって強くなる……!注意して!』

 

香織のその言葉と共に、ファルと名乗ったディソナンスが猛スピードで突っ込んできたかと思うと、乙音は空に連れ去られる。

 

「早い……⁉︎」

 

「落ちよ」

 

そして、乙音が連れ去られた事に気付いた次の瞬間、地面に首から叩きつけられる。香織との通信が途切れると同時に、仮面の中で血を吐く乙音。

 

「がっ……あ……」

 

「……この程度か、貴様は楽しませてくれるんだろうな?」

 

動かなくなってしまった乙音に対して興味を失ったファルは、急行してきた真司に興味を移す。真司はファルの質問には答えず。

 

「変……身……‼︎」

 

後輩の危機に間に合わなかった怒りを滲ませながらの、変身。その気迫を肌で感じ、ほくそ笑むファル。

 

「どうやら、貴様は楽しませてくれそうだな……」

 

「貴様……楽しめると思うなよ」

 

そして……激突する両者。猛スピードで空を飛ぶファルに対して、真司はカウンターを狙い、あまり動かず最小限の動きで敵の攻撃をかわす。しかし

 

「ハッハハハハ!そらそらそらそら!どうしたぁ!仮面ライダー!反応が鈍いなぁ⁉︎」

 

「ぐっ…相性が悪すぎる!」

 

重い一撃を叩き込む事を重視したファングに対して、高速で動き回るファルはまさに天敵ともいえる相手だった。翻弄される真司だったが、ここで退くわけにはいかない。仮面ライダーの後ろには、無辜の人々がいるのだ。

 

しかし、ファルのスピードに、なすすべもなく真司ですら追い詰められていく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、あ……」

 

自分は、何をしてるんだろう……

 

「ぐ、う」

 

あんなに、あんなに先輩が頑張っているっていうのに。自分はここで寝転がっているだけか?

 

「う、お…」

 

その程度なのか?木村乙音。

 

「おお…」

 

その程度なのか?……仮面ライダー!

 

「うおおおおおお!」

 

「⁉︎なに!?」

 

真司に膝をつかせ、油断していたファルに対して飛び起きた乙音…仮面ライダーソングの、槍による一撃が決まる。

 

とっさに回避しようとするファルだったが、足を真司に掴まれ、そのまま背中の羽根に対してダメージを負ってしまう。

 

「グオオォォォォォ!」

 

痛みに転げるファル。その隙をついて乙音は真司に手を差し伸べる。

 

「大丈夫ですか?先輩」

 

「……起きるのが、遅かった、な。あと少しで、お前の手柄がなくなってしまう所、だったぞ」

 

「それじゃ、今からは……」

 

「ああ、二人でやるぞ」

 

「はい!」

 

肩を並べて敵を見据える乙音と真司、二人の仮面ライダー。その勇姿に、しかしファルは苛立つ。

 

「ぐううううう!黙るがいい!二人になった所で…我のスピードについてこれる訳がない!」

 

再びの飛翔と攻撃、しかし…

 

「そこっ!」

 

「喰らえ!」

 

乙音と真司、二人の連携によって迎撃される。乙音の攻撃によってスピードが落ちているのもそうだが、ファルは明らかに冷静さを欠いてしまっていた。

 

「馬鹿な……この、このファルが!」

 

その言葉と共に今まで以上の高度へ飛び立つファル。高高度からの一撃で一気に勝負を決めるつもりだ。

 

「先輩…!」

 

「……よし、その手でいくか!」

 

しかし、二人は既に迎撃の手を考えついていた。そして、それを実行しようとすると同時に二人の歌が流れ始める。

二人の仮面ライダーによる歌……デュエットだ!

 

『正義ってのは意地悪で、常に正解出してくれない』

『だから足掻くさ仮面ライダー。正義でなくて自由を成すために』

 

「オオオオオオオオオオオオオオオ‼︎」

 

咆哮と共に高高度からエネルギーを纏って急降下してくるファル。そのファルを二人は迎撃する。

 

『貫く信念牙と槍』

 

「先輩!槍を!」

 

『突き立てる力技を、二人の思いで』

 

「応!」

 

『fullchorus』

『rider crash!』

 

乙音が投擲した槍を、真司が必殺技でファルにむけて打ち出す。

凄まじい勢いでファルに衝突する槍。しかし、ファルの纏うエネルギーにヒビを入れたものの弾かれてしまう。

 

『絶望迫ってきたとして』

 

「まずは貴様からだ!」

 

そのまま真司に向かって急降下してくるファル。

 

だが

 

「今だっ!後輩‼︎」

 

『なんて事ないそう言える』 『背中合わせの信頼感』

 

「はい!先輩!」

 

『fullchorus』

『rider shoot!』

 

弾かれた槍を、高く飛び上がった乙音が必殺技でファルめがけて蹴り込む。

 

「なに!?」

 

予想外の方向からの一撃に狼狽えるファル。それでも耐えようとするがーー

 

『力技で切り開く』『未来めがけて飛び上がれ!』

 

「「これで……終わりだぁぁぁぁ!」」

『『fullchorus』』

『『rider twin strike‼︎』』

 

再び必殺技を発動した二人の同時攻撃、キックとパンチの合わせ技であるライダーツインストライクによってーー

 

『二人は戦う、仮面ライダー!』

 

「馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ファルの体躯は爆砕。完全消滅したーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「答えは、見つかったか?」

 

「はい…私も、戦います!仮面ライダーとして!」

 

「そうか……頼もしいな」

 

「……ありがとうございます!」

 

こうして、乙音は仮面ライダーとなった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで、家まで送ってくれません?もう一歩も動けないんです……」

 

「……香織さん達がくるまで待ってろ」

 




燃え尽きたぜ
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