仮面ライダーソング   作:天地優介

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毎度毎度、更新も遅ければクオリティーも低くてすいません。前に始めた新作の方も、文章力と話の練りこみ不足で、半ば黒歴史化しかけている始末……完全オリジナル作品を書ける人は、本当に尊敬します。

さて、今回は2人目の七大愛が登場します。七大愛ではだいたい中間ぐらいの強さです。今の設定では。


七大愛の脅威

ーー東京都、上空

 

「では、行って参ります」

 

「…本当に大丈夫なんですか?せめてパラシュートだけでも…」

 

「必要ありません。では…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『クク……もう少しだ…もう少しで砕ける……』

 

電車内部、大勢の乗客達の前でディソナンスであるフィンに敗北したボイスは、今まさにその仮面を砕かれようとしていた。

もはやボイスには指一本動かす力すら残されておらず、車内の乗客達がディソナンス相手に何をできるというわけでもない。

 

『クク……クククク……』

 

ボイスの仮面に深々とヒビが入る。ボロボロになり、その上で正体を暴かれようとしているボイスの姿は、とても痛々しいものだった。

 

『おおっと……中身が見えてきたぞ…?』

 

そしてついに、仮面の一部が砕け、ボイスの白い髪が露出してしまう。まだ正体を特定するには足りないが、仮面ライダーの仮面が砕かれてしまったという事実に、驚きを隠せない乗客達。

そして、このままフィンはボイスの仮面を一気に砕こうとーー

 

 

「待てーーーーいっ!!!」

 

 

ーー砕こうとして、できなかった。上空から飛び降りてきた影が、電車の車両ごとフィンの片腕、ボイスの顔面を抑えていた方を切り飛ばしたのだ。

 

『……何者!?』

 

車両が切り離された事で、乗客達が乗っている前方の車両は遠ざかっていく。そして、ボイスは空から飛び降りてきた影に助けられ、今は車両の座席に横たわっている。

目にも留まらぬスピードで現れた影、その正体はーー

 

 

「仮面ライダーツルギ……いざ参る!!」

 

日本に帰国した世界的アイドルにして仮面ライダーの一人、仮面ライダーツルギこと、心刀奈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボイスとフィンが戦い始めた頃、ちょうど空港に到着していた刀奈だったが、特務対策局に一度戻ろうとしたところで、ボイスが強敵と戦っていると聞いて、直接ヘリで救援に向かう事にしたのだ。

地理的にはやや遠かったが、ボイスの粘りもあって、ギリギリ間に合ったのである。

 

「…よくも私の仲間をここまで痛めつけてくれたものだ……次はその首をもらう!」

 

『ツルギ……!ちっ、流石にこの状態では分が悪い…!』

 

フィンに斬りかかろうとする刀奈だったが、その時切り飛ばしたはずのフィンの腕が動き出し、刀奈に向かってエネルギー弾を放つ。しかし、刀奈のスピードはそれ以上だ、フィンの不意打ちをかわしながらも、その走りを止める事はない。

 

「もらった!」

 

『ちっ、ならば左腕はくれてやる!』

 

刀奈の剣がフィンの首を捉えようとした瞬間、剣を振るう腕を、フィンの左腕が抑える。切り飛ばされたフィンの左腕だが、そうとは思えないほどの、信じられない握力で刀奈の腕を抑えてきたため、流石にまずいとフィンの左腕を外しにかかる刀奈。フィンはその隙をついて、車両の窓から飛び出していく。

 

「あっ!」

 

『この左腕の借りは返す……!仮面のヒビもだ!ボイスと共にいつか葬り去ってくれる!』

 

捨て台詞を残して、線路の下へと消えていくフィン。それと同時に、フィンの左腕による拘束も緩んだため、慌ててその後を追おうとする刀奈だったが、ボロボロのボイスを残してはいけないと、追撃を断念する。

 

「……仕方ない。ボイスを助けられただけでも、良しだ」

 

その後、他のディソナンスを倒して駆けつけてきたゼブラと合流した刀奈は、ボイスを抱え、特務対策局の医療班と合流。久々に特務対策局に戻る事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……」

 

「……目が覚めたか?今、ゼブラを呼んでこよう」

 

フィンとの戦いから3日後、特務対策局の医務室で、ボイスは目を覚ました。

フィンの弾丸による傷は深く、身体に傷跡が残ってしまったが、命に別状はなく、後遺症も残らなかった。

 

「ボイスさん〜〜うう、良かったです〜!」

 

「わ、こら……あまりくっつくな!傷にさわる…」

 

「あ、すみません…でも、心配したんですよ?だから、もう少し…」

 

「……手ぐらいは握ってていいから!はぁ…あー、先輩も、ありがとうな、助けてくれて」

 

「フ……礼はいい、私は局長に会ってくるよ」

 

ボイスが無事目を覚ました事に泣きながら喜ぶゼブラと、ゼブラの涙に困惑しつつも照れるボイスと別れ、刀奈は猛に会うために医務室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…そうか、解析は順調に進んでいるんだね?」

 

「はい、左腕だけとはいえ、多くの情報を得られました。これでビートライダーシステムの方も…」

 

「うん……しかし、七大愛…か。全く、ふざけた名前のーー」

 

「…失礼します、ボイスが目をーー話の途中でしたか」

 

ノックしても返事がなかったものの、ドアは開いていたので局長室に入室した刀奈だったが、中では猛と勝が話し合いをしており、一旦退室しようとするものの、2人に引き止められる。

引き止められた刀奈は、2人にボイスの目が覚めた事と、現在の容体を報告する。ボイスの育ての親とも言える勝は刀奈の報告に安堵し、猛はボイスが無事だった事に、様々な意味で安心する。

 

「……そうか、ボイスは無事、目を覚ましてくれたか……」

 

「ボイス君には、後遺症も残らないと聞いたよ。これで色々な意味で一安心といったところだね」

 

「……は、といいますと…?」

 

「……刀奈君には先に話しておこう。勝君」

 

「そうですね……刀奈君、ビートライダーシステムの事については、聞いているね?」

 

「?はい…こちらに帰還した時に簡単に聞いてはいますが…」

 

勝の言葉に怪訝な顔をする刀装がを尻目に、勝は何らかの端末を操作して、あるデータを刀奈に見せる。基本的に脳筋である刀奈にはそのデータの意味は分からなかったが、すぐに勝による解説が入る。

 

「それはビートライダーシステム…ディスクセッターを装着した時の、君たちライダーの想定スペックだ。それは真司君のものだが、パンチ力、キック力、走力…あらゆるスペックが上昇しているのが、わかりやすいだろう?」

 

「…これは、真司のデータだったんですか。あの特徴的な巨拳が無かったので、わかりませんでした……」

 

「それがディスクセッターを装着する事による変化の一つだよ。真司君の場合、強力なパンチ力はそのままに、格段に戦い易くなっている」

 

勝の説明を受けながら、各ライダーの想定スペックを閲覧する刀奈。あくまで予想ではあるものの、ディスクセッターを装着する事による劇的なスペックの向上とフォームの変化に、流石に驚きを隠せないようだ。

 

「これは…凄いですね……」

 

「これも乙音君がショット博士に協力してくれたおかげだよ」

 

「乙音くんが!?……そうですか…元気にやっているようで良かった…。今はどうしてるんですか?」

 

刀奈の質問に、まずい事を聞かれたと言い淀む勝。その様子を不審に思った刀奈は、さらに追求する。

 

「あーー、今は……」

 

「……正直に答えてください。何か、あったのですか?」

 

何とか誤魔化そうとした勝だったが、刀奈の鋭い目線に流石に誤魔化しきれないと思い、正直に話す事にした。

 

「……実は今、ソングに変身できないんだよ、彼女」

 

「……!?何故ですか!いったい乙音くんの身に何が…!」

 

「……あー、少し長くなるけれど……局長」

 

「構わないよ。遅かれ早かれ話す必要がある」

 

局長からも許可を取った勝は、刀奈に先程まで猛と勝の会話の中心となっていた、ある存在について言及する。それは、乙音を変身不能にまで追い込んだ相手でもある。

 

「ボイスの戦闘データから解析した事だけど…天城音成が作り上げた最強のディソナンス達…七大愛。その一体が、乙音君達を襲ったんだ。3日前の事だよ」

 

「……なんですって!?」

 

「……まず、順を追って話そう。乙音君達は地下鉄でワシントンへ向かっていたんだけどーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー3日前、ワシントンへ向かう途中の地下鉄。屋根のない貨物車両で、乙音とショット博士は荷物の点検をしていた。

 

 

 

「ーーそうだ、ショット博士。局長達への連絡、ありがとうございました。積み込み作業で時間も無かったのに……」

 

「ん?ああ、構わんよ。むしろ君にはワシらは随分と助けられとるからのう、むしろもっとお礼したいぐらいじゃ」

 

当初は移動を察知したディソナンスの襲撃を警戒していた乙音達だったが、出発から2時間。追撃対策として作られた地下迷宮地帯も間近に迫り、すっかりリラックスモードである。しかし、悩める者もいた。それは、原因不明の水漏れに頭を痛めるロイドだった。

 

「?うーん」

 

「どうしたんです?ロイドさん」

 

「ああ、いや。ここの付近に水漏れがあるみたいでさ、地下水脈が近いのかな……?そんな事は無いような設計にはなってるはずなのに…」

 

端末を覗きながら、水漏れの原因を探るロイドだったが、この辺りの地形を調べたり地下鉄の整備過程を調べてみても、さっぱり原因を究明できない。

 

「……ふむ、少し見せてみい」

 

見かねたショット博士が、ロイドの端末を横から奪い、代わりに原因を調べる。すると、だんだんワシントンに近づくにつれ、水漏れの量が増えている事がわかった。もっといえば、地下鉄のスピードが上がるほどであるが。

 

「なんじゃ、これは…?まるで、この地下鉄を追っているようなーー」

 

「追って……?まさかっ!」

 

乙音が勘付いた瞬間、その頭上に水が落ちてくる。咄嗟に乙音が飛び退いた瞬間、さっきまで乙音が立っていた場所に、地下鉄車両の硬い壁や床すらも貫通する程の、鋭い水流……ウォーターカッターが飛んできた。

 

「……っ!2人とも!私の後ろに!」

 

「な、なんじゃあ!?」

 

「わ、わかりました!」

 

乙音の背後に博士とロイドが隠れた瞬間、天井からの水漏れが激しくなり、まるで地下鉄を覆うように水のドームが出来上がっていく。

 

「2人とも、車両の中に。みんなにディソナンスが現れたと伝えてください」

 

「ディソナンス!?しかしハートウェーブの反応は…!」

 

「それ以外に考えられません、とにかく早く!」

 

「…わかりました!行きましょう父さん!」

 

博士の手を引いて、ロイドが急いで車両の中に投げ込んでいく。それを確認した乙音は、腰にレコードライバーを巻き、ライダーズディスクをドライバーに挿入。そのまま仮面ライダーソング・D.Sスタイルに変身する。

 

「どこから来る……?」

 

槍を手に持ち、ディソナンスの襲来に備える乙音。その間にも水の勢いは増していき、ついに乙音のいる貨物車両も水浸しになる。それでも現れないディソナンスに、他の車両に、自分に気づかれないように襲撃を仕掛けたのかと心配になった乙音は、他の車両に、一瞬ではあるが、注意を向けてしまう。

しかし、その隙を見逃すディソナンスではなかった。

 

「…!?これ……っ!?」

 

乙音の体に、水が絡みついてくる。その水は乙音が振り払おうとしても、万力のような強さで乙音を締め上げ、徐々にその全身を拘束していく。現れたのは、黒と銀の鎧に身を包んだ、どこか魚を思わせる形状のディソナンスだった。

 

『やれやれ、手間取らせてくれて……隙をなかなか晒さないから、他の車両の奴らを殺してからにしようかと思ったが、案外我慢できないんだな』

 

「…お前は……!?」

 

『俺か?俺はディソナンス7幹部…少々ダサいが、七大愛の三、「三閃槍(トライデント)」、ゲイル。よろしくするのは、ここだけにしておいてくれ』

 

そう言うと、ゲイルはその手に水を集める。その水は槍の形状になり、ゲイルが水を打ち払うように振ると、その手には鋭い穂先の三叉槍が握られていた。

 

『さっそくだが、ここで死ね』

 

ゲイルはその槍を乙音に向かって投げつける。人間1人、いやライダーでさえも直撃すれば消滅は免れないと思わせる程の威圧感が乙音を襲う。しかし、拘束された今の状況でも、乙音は諦めない。

 

「乙女…は……ど根性ーー!!!」

 

気合いを入れ、咆哮を上げる。すると、乙音の体から大量のハートウェーブが放出され、水の拘束を弾き飛ばす。

 

「危なっ!」

 

拘束から抜け出し間一髪、ゲイルの槍を顔面スレスレで避ける。もし当たって入れば、顔に3つの穴が空くか、もしくは顔そのものが消滅していただろう。

 

『……やるじゃないか。こりゃ、俺も本気を出すしかないかな?』

 

「侮ってると、痛い目を見ると思うけど……っ!」

 

わざとらしく大仰な態度で隙を晒すゲイルに、乙音は容赦なく攻撃を仕掛ける。しかし、その攻撃のいずれもが、ゲイルの体をすり抜けてしまう。まるで水を攻撃するかの様な手応えに、乙音は驚愕する。そうして一瞬動きが止まった隙を突かれ、ゲイルに蹴りとばされ、車両の壁にぶつけられる。そこにゲイルが槍を投げつけてきたのを見た乙音は、咄嗟に横に回転してその攻撃をかわす。

 

『で?誰が痛い目を見るって?』

 

「……こりゃ、覚悟しといた方がいいかも……」

 

日本でボイスがフィンと戦っているのと時を同じくして、乙音もフィンと同じ七大愛であるディソナンス、ゲイルと戦う事となった。

地下鉄のワシントン到着まで、あと3時間。果たして、乙音はその時間までに、ゲイルを撃退できるのだろうか……。

 

「っ……くっ」

 

『フン……』

 

七大愛の脅威が、人類に迫ろうとしている……。





冒頭で刀奈に腕を切り飛ばされたフィンくんですが、正直片腕だけでも刀奈に勝てばします。行動不能のボイスもいますし。しかし、結局仕留めきれないうえ、下手したらゼブラが救援に来てしまうという可能性も考慮して、左手を犠牲にしてでも撤退したわけです。

これからどんどん強力な敵幹部が登場します。彼等にどう乙音たちが立ち向かっていくかは、次の回で。多分、きっと、メイビー。
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