仮面ライダーソング   作:天地優介

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今回の終わり方が雑なのは、ゴ魔乙の時間が迫ってたから。
真司くん覚醒回!


Devil fang

ボイスが失踪する少し前ーーいまアメリカでは、真司の歓迎会が行われていた。

日本から渡ってきた仮面ライダーということもあり、歓迎会は盛大に……行われなかった。

あくまで今回の渡米は量産化に成功したディスクセッターの受け渡しについてなどのためのもの、しばらくはアメリカに滞在するが、ディソナンス側に気取られるわけにもいかないので、歓迎会はあくまでひっそりと行われることになった。

 

「しかし、レコードライバーが壊れるとは……災難だったな、後輩」

 

「いえいえ、もうすぐ直りますから大丈夫ですよ!あ、先輩もっとお肉食べます?」

 

ひっそりとといっても、この歓迎会はいつも研究所に働き詰めな職員達の慰安も兼ねてのものだ。主賓であるはずの真司を放って、皆思い思いにはしゃいでいる。真司の相手をしているのは、乙音とロイドぐらいなものだった。……いや、もう1人いるが。

 

「それでおたく、乙音さんとはどういう関係なワケよ?ん?随分懐かれてんじゃないの」

 

「後輩、ロイド、こいつは?」

 

「こ、こらシキ!そんな絡むんじゃない!たくっ、お前そんな酒に弱くないだろうに!」

 

真司の相手をしている……いや真司に絡んでいるのは、仲よさそうに話す真司と乙音のことが気になりすぎて、思わず酒をいつもより多くの呑んでしまった仮面ライダービート・コンダクターの変身者、四季・ブラウンだった。普段は酒を呑んでも人に絡むような性格をしていないのだが、今のシキは、真司の返答によっては変身でもしそうな雰囲気を漂わせている。

真司も最初はスルーしていたが、流石に堪忍袋の尾が切れかけているのか、乙音とロイドに向ける顔は一見してにこやかだが、目は全く笑っていなかった。

 

(ど、どうしましょうロイドさん!このままじゃ2人が喧嘩始めちゃいますよ!?)

 

(ど、どうしよう乙音さん。このままでは2人が喧嘩を始めてしまう……!)

 

一触即発の雰囲気、触れれば弾け飛びそうなそこに飛び込んで来たのは、意外にすぎる人物だった。

 

「あれ?乙音じゃん。やっほー、元気?」

 

「元気じゃ……あ、あれ?美希?」

 

睨み合う真司とシキの間に割り込み、乙音に話しかけてきたのは、乙音の高校時代の親友であり、今でも交友がある女性、港美希だった。遠い異国の地での思わぬ人との再会に乙音は驚くと同時、真司とシキの間に美希が割り込んでいるのを見て慌てる。

 

「み、美希!早くこっち来て!」

 

「へ?」

 

「……誰だ?」

 

「あん?大事な話を邪魔すん、じゃ……」

 

ここで美希の容姿について描写しよう。乙音は亜麻色の髪に人懐っこそうな容貌をしているが、美希は乙音と同じく亜麻色の髪に、やや鋭い容貌の、乙音とは真逆だが、負けず劣らずの美女である。

割と特徴的はその顔は忘れにくく、それ故に真司はすぐに目の前の美女が後輩の親友であると気づき、怒りを収めた。後輩の前でもそうだが、後輩の友人にみっともないところを見せるわけにはいかなかったからだ。

そして、シキが美女に食いつかない筈がない。なにせ道端で出会った乙音を、いきなり口説こうとするやつである。普段はそこら辺の節度なりあるので流石に他の女性が見てる前では自重するが、今は酒が入っている状態である。つまりは自重しない。

 

「……まあ、抑えるとしよ「ヘイそこのお嬢さん!このわたくしと一緒に愛を語り合いましょう。いつでもいいですよ、いつでも……」…………抑えるとしよう」

 

いきなり美希を口説き始めたシキを、真司が引きずってゆく。向かう先はトレーニングルーム。どうやらシキに特訓をつけてやるつもりのようだ。流石にシキも抵抗し、まだ美希を口説こうとする。

 

「お嬢さん!この顔を覚えてください。私はいつでも大歓迎ですよ〜!」

 

「すいません、私もう気になる人がいるんです」

 

「「えっ」」

 

美希の思わぬ返答に、シキと乙音は驚きの声を漏らす。うな垂れたシキは、そのままトレーニングルームに引きずられていく。2、3時間は帰ってこないだろう。そんなシキのことは気にせず、乙音は美希の思わぬ発言に驚き、年頃の女性らしく、美希を質問攻めにする。

 

「えっ、ええー!?どんな人!?どんな人!?惚れてるの?付き合ってるの?きゃー!美希にそんな恋バナが出来るなんて!想像もしてなかった!」

 

「ちょ、うっさい!あんたもそーいう浮ついた話なんてないでしょ!?」

 

「そ、それで相手はどんな人!?私も知ってる人!?」

 

「あー……知ってるといえば知ってるけど……聞きたい?」

 

「うんうん!」

 

乙音のキラキラとした瞳に見つめられ覚悟を決めたのか、美希はゆっくりと思い人の名を語る。

 

 

「えっとね……実は……」

 

「うん」

 

「ドキ……っていたでしょ?あのディソナンス……私、あいつの事……好きになっちゃったかもしれない……」

 

「うん……うん?………………ええええええええええええええ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー数日前、アメリカ某所にて。

 

「くっ!こんなにディソナンスがいるなんて……」

 

「日本からの人員支援……情報が漏れていたか!?」

 

「このままではまずい!何処かへ逃げなくては!」

 

乙音がビートライダーシステムの装着実験、及び実戦でのデータ取りに協力していた頃(つまりは今の研究所に移動する前)美希をはじめ、日本から多くの人員がアメリカに渡っていた。目的は当然、ディスクセッターの開発協力とその受け取りである。

しかし、その動きが察知されていたのか、それとも偶然か、アメリカに渡った時点で大量のディソナンスに美希達は襲われていた。

 

「……私が囮になります、その隙に皆さんは逃げてください!」

 

「美希君無茶だ!」

 

「無茶でも……誰かがやらなければ全滅ですよ!」

 

混乱の中、美希はより多くが生き残れるよう、自らが囮になり、ディソナンス達を引きつけることを決める。周囲の反対も押し切り、他の人員を乗せたトラックに先んじて、それなりに大きな、大勢が乗っていそうな車を乗り回し、なんとかディソナンスの目を引きつけようとする。

 

(今の装備なら、大半を引きつければなんとかできるはず……!)

 

そう信じ、囮としてディソナンス達をめいいっぱい引きつける美希。その甲斐あって多くのディソナンスをこちらに向かわせることはできたが、しかし予想よりも数が多い。このままでは自分が 捕まってしまう。だが、今捕まれば囮の意味がなくなってしまう、そう思った時ーー

 

『なんだ貴様は……!?ぐおっ!』

 

「へ……?」

 

ディソナンスの群れの一部が、文字通り爆発する。その爆発の中心地にいたのは、金色の髪をたなびかす、忘れもしない、あのディソナンスの姿。

 

 

「ど、ドキ……?」

 

『久しぶりだな、人間……美希、といったか』

 

 

ドキと美希の再会もつかの間、ドキには敵わないと悟ったのか、ディソナンス達が他の人間達の方へ向かい始める。

 

「あ、ドキ……!」

 

『わかっている、少々手荒になるが……』

 

「へ?きゃっ!」

 

美希は無意識にドキの名を呼ぶ。かつて自分を恐怖させたディソナンスだというのに、今の美希にはドキが悪者には見えなかった。ドキもその美希の声に応え、美希をお姫様抱っこの要領で抱え、走り出す。

 

『お前を放置するのは危険だ、こうさせてもらう…………舌を噛むなよ』

 

「う、うん……」

 

こうして美希が惚けている間にドキは圧倒的な戦力差でディソナンス達を殲滅。そのままドキは去っていったが、その後も美希達が危機に陥るとどこからともなく現れては助けに来てくれていた。

 

「それで、そのうち惚れてしまったと……」

 

「へ?いやいやだから好きかもしれないというだけでそんなべつにあいつが好きってわけじゃさっきのもただの方便で「でも、気になるんだ?」……うん」

 

かあっと顔を赤くして俯く美希の顔を、乙音はニマニマとした顔で眺める。久しぶりに会った友人が、こんなに可愛い反応をしているのだ。戦い続きで、碌に浮いた話もなければ聞くこともなかった乙音が思わず意地悪な反応をしてしまうのは、無理のないことだろう。

 

「それで、ドキとは手を繋いだりしたの?あ、もしかしてキーー」

 

「わーっ!イってるわけないでしょ!イきたいけど!そもそも相手ディソナンスなんだし!」

 

「いや、ディソナンスが相手でも話を聞く限りは良いと思うけど……」

 

「あーもう!ここでこの話終わり!はい!」

 

そう言うと、美希は顔を真っ赤にして走り去ってしまった。

 

「ありゃ……少し言い過ぎたかな?」

 

この主人公、天然でSなのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『先輩!こっちは終わりました!』

 

「よし、ディスクセッターを使うまでもなかったか、いいリハビリになったな」

 

「……お前ら、いつもこうなのか?戦い終わったあとぐらい少しは肩の力を抜けよ」

 

歓迎会の翌日、さっそくと言わんばかりにディソナンスの襲撃が来て以来、それから五日間もの間、絶え間なくアメリカ各地でディソナンスの目撃情報が多発し、実際の襲撃事件も増加していた。今は真司とシキが共に出撃し、乙音は経験を積ませる意味もあって、ようやく揃い始めたビート部隊を率いて、他のディソナンスの討伐に向かっていた。真司はディスクセッターを装備しているが、ディスクセッターによる強化形態はレコードライバーにかける負担も、変身者本人の体にかける負担も大きい。あくまで一武器として使うのがベストな選択なのだ。今は変身も解除し、特製の装甲車に乗って研究所への帰路についていた。

 

「……日本との連絡も取れないままか。アメリカの戦力もビートライダーシステムのおかげで整ってはきた、これは俺たちも日本に渡る時が来るかもしれんな……」

 

「軍の上の方じゃ、近いうち日本かアメリカのどちらかに大きなアクションがあるだろうという結論が出たらしい。衛星による観測では、日本は逆にあまりディソナンスの襲撃が来てないらしいが……相手は天城音成、稀代の天才科学者サマだ。なにかあってからじゃ遅いだろうな」

 

研究所への帰路の最中、2人は今後の活動について予測を立てていた。今現在、アメリカにはディソナンスによる情報封鎖が敷かれてしまっており、ネットからも海外の情報を入手する事は出来なくなっていた。そのため、近々政府主導で大規模な日本への渡航隊が結成されることになっている。当然、その中にはライダー達も含まれるだろう。

 

「ま、渡るとしても日本にはライダーが三人いるんだ、あんたか乙音さんのどちらかだけになるだろうがな」

 

「……そうだな、どちらかだけで済むことであればいいんだが」

 

その後は他愛もないことを話していた2人だったが、装甲車が突然ストップする。2人はすぐさま変身し、周囲を警戒すると同時、運転席にシキがひっそりと近づき、運転手の無事を確認しようとする。

 

「おい、大丈夫か?なにがあった?」

 

「わ、わかりません、ですが……」

 

「……なんだ?」

 

言葉を途切れさせ、ぷるぷると震える運転手に不審なものを感じたシキは、不用意にも接近し、その肩を掴む。掴んだ肩は、そのままぼとりと落ちていった。

 

「……は?」

 

「シキ!離れろ!」

 

「キモチ……きも、気持ちイイんですよォォォォ!』

 

振り向いた運転手の顔は、触手に侵食され、見るに耐えない異形と化していた。その顔にシキがぎょつとした隙に、今度はシキに取り憑こうとしたのか、その異形と化した顔を運転手ーーいやディソナンスは花弁のようにぱっくりと開き、そこに生えた鋭い牙を突き立てんとする。しかし、真司の咄嗟のディスクセッターによる射撃によって、ディソナンスの顔は吹き飛び、その活動を停止する。

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』

 

「こっちもか!?くそっ!」

 

運転席の仲間が倒れたとみるや、助手席の人間を侵食している最中だったろうディソナンスもシキに襲いかかる。しかし、そこは軍人。素早く反応し、真司と同じくディスクセッターによる射撃で怪物を灰に返す。

 

「い、いったいなんなんだ!?物体Xにでもディソナンスどもは変化したのか!?」

 

「後輩!そっちは大丈夫か!?」

 

混乱しつつも、2人は最善と思える行動をとる。真司は乙音に即座に通信、シキは運転席に何か仕掛けられていないか調べる。

 

『先輩、そっちは何があったんです!?こっちは大変なんですよ!』

 

「落ち着け、俺とシキが乗っていた車両の人員が、俺たち以外全滅した。そっちは何があった?」

 

『全滅……!?こっちは帰り道の途中にあった街の人達がいきなり襲ってきて……!今は立てこもり中です、車両は放棄せざるを得ませんでした!』

 

「何……!?」

 

乙音の通信に、真司は愕然とする。乙音の言うこととこちらでの事を合わせて考えると、最悪の可能性しか浮かばなかったからだ。

 

「まさか……!」

 

「真司!車両の外に逃げろ!」

 

真司が思考の海に入りかけたその瞬間、シキが真司の思考にストップをかける。シキの声に反応して、真司が車両の外に飛び出すと、2人が飛び出したその瞬間、突如と車両が爆発する。

 

「くあ………!」

 

「くそ、何が……」

 

『おやおや、反応速度はなかなかいいみたいですね……』

 

上空からの声に、2人が空を見上げる。するとそこには、美しい顔をした、女とも男ともつかないーーしかし、その背に生えた羽と、禍々しい感情を宿す瞳から、異形だとはっきり認識できる生物がいた。

 

『僕はピューマ。では、さようなら』

 

「っ!」

 

(まずい!)

 

ピューマと名乗ったディソナンスが両手を広げると、そこに弓と矢が出現する。咄嗟にその狙いから逃れる2人だが、地面に撃ち込まれた矢は爆発し、2人を吹き飛ばす。

 

「がっ!」

 

(ぐ……!ディスクセッターを……)

 

『させないよ』

 

吹き飛ばされつつも、ディスクセッターを用いて強化形態へと変身しようとする真司。しかし、ピューマの矢は真司を逃さない。その矢の爆発は真司の身体を容赦なく弄び、ディスクセッターを操作する暇を与えない。

 

「テメェ!」

 

『おっと、危ない』

 

(外れた!?)

 

シキが真司を助けようとピューマに向かって射撃を放つが、その何れもが命中しない。さらに射撃を加えても、ピューマはシキの方も見ずに避け続ける。

 

『はははっ!僕にはそんなんじゃ当てられないよ!それに……そらっ!』

 

「!?……ディスクセッターがっ!」

 

「真司!?ぐおっ!?」

 

シキが真司の装備するディスクセッターに矢を命中させ、的確に破壊する。その瞬間、思わず真司の方に気を取られてしまったシキを、ピューマの矢による爆風が吹き飛ばす。これによって、離れていた真司とシキは、一纏めにされてしまった。

 

『さて……そろそろ決めるか』

 

(まずい!あれを撃たれたら……)

 

「……………」

 

ピューマは矢に、これまでにないほどのエネルギーを込め始める。もしもあれを撃たれれば、ひとたまりもない。そう考えたシキがは思わず諦めかけるが、真司は既に策を練っていた。

 

「シキ…………」

 

「なんだ?…………おい、本気か!?」

 

「ああ、危険だがやるしかない。頼めるか?」

 

この時、ピューマの失策があるとすれば、それはこの2人をさっさと仕留めなかったこと、この2人を一箇所にまとめてしまったこと。

そして、この2人の正面に位置してしまったこと……!

 

『じゃーね!』

 

ピューマが矢を放とうとする、その瞬間。2人は飛び退くと同時、必殺技を発動させる。

 

『over beat disk!!』

 

『rider big knuckle !!!』

 

シキのディスクセッターから射出された光の輪、ディスクセッターが向くのはピューマの方ーーではなく、シキの足元!

 

「やれっ!」

 

「うおおおおおおおおっ!!」

 

シキの足裏を光の輪が覆い、そこを真司が巨大なエネルギーの拳で叩く、すると、シキの身体は弾丸のように加速!矢を放つ直前で回避行動をとれないピューマにシキは迫り、エルブレイシューターで一閃、ピューマのバランスを崩し、その手から矢を溢れさせる。

 

『しまっーー』

 

「自分の矢で火傷しな!」

 

ディスクセッターによる銃撃を、シキは落ちながら放つ。放たれたエネルギー弾はピューマの矢に見事命中し、爆破させる。

 

『うおおおおおおおおっ!?』

 

ピューマの身体が爆炎に包まれる。その光景を見た2人は、視線を合わせる。

 

「やったな……」

 

「ああ……」

 

達成感に包まれる。2人、しかし、その2人を、再び爆発が襲う。

 

「うおあっ!?」

 

「何だ!?」

 

『お前ら……この僕に傷を………!』

 

爆風に包まれたピューマはボロボロになっていたが、その身体には先程以上のエネルギーが満ちていた。憎悪の視線がまず向くのは、真司は方だった。

 

『まずはお前から消えろオオオオオオオッ!!!』

 

「…………!」

 

「まずい。真司!」

 

ピューマが矢を放とうとするのを見たシキは、咄嗟に真司に自身のディスクセッターを投げる。その瞬間にシキの変身は解除されるが、ディスクセッターは、真司の手にしっかりと握られた。

 

「二段…………変身っ!!」

 

『死ねエエエエエエエエエエエエエエエ!!!』

 

矢が迫る中、真司の身体を光の輪が包んでいく。そして、その光が全身を覆うその直前に、爆炎が真司の身体を包んだ。

 

 

「真司ーーッ!!!」

 

『ハァ…次は……ハァ…………』

 

 

シキの絶叫が響き、ピューマの無慈悲な眼光が降り注ぐ。絶望が荒野を支配しようとしたその時、声が響き渡る。

 

「おい…………」

 

『!?まさか……』

 

「あいつ……やりやがった」

 

シキとピューマの視線、その先に立っていたのは、これまでのように巨大な牙ではなく、小さくも鋭い牙を拳に、そして全身に備えた仮面ライダーの姿。新たな力に覚醒した、的場真司の姿だった。

 

 

「お前の相手は……俺だ!」

 

今、ディソナンスにとっての悪魔が目覚めたーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《煮え滾る、この思い、それを怒りと呼ぼう》

 

『当たれ!当たれよ!』

 

《この衝動、そのままに、牙を……振るう》

 

 

ピューマが真司に向かって次々に矢を放つが、その全てが避けられる。爆風には当たっている筈なのに、それすらものともしない。いつの間にか、ポジションの上では有利に立っているというのに、ピューマは追い詰められていた。

 

 

《ただ命、奪う者。それを悪魔と言うのならーー》

 

「仕掛ける……!」

 

《奴等視点の悪魔に、俺はなってやろうーー》

 

 

ピューマの矢を、真司は全身から飛ばず牙で次々に撃ち落とす。その光景を、シキは呆然と見つめ、ピューマは愕然とする。

 

 

《このソウルと、心の炎が》

 

『ヒッーーなんなんだ、なんなんだよぉ!』

 

《打ち鳴らす……ビートのままに、この牙を振るおうーー》

 

「さあな……何に見える?」

 

 

真司が爆風に乗り、怯えるピューマに迫る。ピューマはギリギリでその拳を避けるが、腕から伸びた牙にすれ違いざまに切られ、地面に墜落する。

 

 

《その想いすら込めて、放つ拳はDevil fang》

 

「終わらせる……!」

 

《誰もが心に抱く絶ーーー望に》

 

真司がピューマの身体にこぶしを打ち込むたび、その威力は高まる。そしてそれが最大限に高まった瞬間、真司は必殺技を発動する。

 

 

《牙を突き立て続ける、心燃やし続ける》

 

『over the song!!!』

 

『うあ、ああ……ああっーー!』

 

《そして……》

 

 

真司の全身にみなぎるエネルギーの奔流が、その拳に集まる。そして、真司はそのエネルギーを牙の形にして、ピューマに向け放つ!

 

 

《再び希望、灯してーー》

 

『rider devil fang!!!!』

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」

 

 

真司の咆哮が、大地を震わせる。牙はピューマの身体を打ち砕き、その身体を粉々に砕いた。

 

「はっ……ぐっ……」

 

「真司!」

 

必殺技を放った直後、変身解除した真司の身体は崩れ落ちる。慌てて真司の身体を支えるシキは、寝息を真司が立てていることに気づき、思わずため息をついた。

 

『先輩ーー!こっちは終わりましたよ!そっちはどうですか!?絶望感ーー!?』

 

「乙音ちゃんからの通信か……まったく、無茶しやがるぜ、彼女もあんたも」

 

その後、車両の運転手の死体を解剖し、新たなディソナンスが潜んでいることを知ったアメリカ政府は、国民に対しての秘密調査を実施すると同時、同盟国である日本に、仮面ライダーを送り返すことを決める。

決戦の日は、近い…………。

 

 





やっと投稿頻度を以前に戻せました。これからも1週間以内で頑張りますよ!
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