仮面ライダーソング   作:天地優介

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なに?文章がしっちゃかめっちゃかで駄文だって?

逆に考えるんだ、作者がズタボロでこれ以上書くのほ無理だったと考えるんだ。

今回は本当に難産でした。それはまるで長く続いた便秘の後のトイレのような……

でも書きたいことは書きました。この劇場版にキャッチコピーをつけるなら、

「ライダー史上最大スケールで送る、最強のアクション!」

になるってぐらい好き勝手には。

では、後編、お楽しみください。次の更新は各ライダーの強化フォームについてと、残りのディソナンスや劇場版ライダーであるフューチャーソングのスペックについて記載した設定資料5です。


劇場版仮面ライダーソング ザ・フューチャーソング後編

……5年後の未来。天城音成が人類に攻撃を始めてから、2年の月日が経過していた。

その戦いの中で、何度も命を落としかけたよ。親しい人の死に、涙することもあった…それでも戦えてきたんだ、ゼブラ、先輩、桜さん、刀奈さん、ボイスちゃん……それに、特務対策局のみんな…みんながいたから戦えてこれた。

 

でも、ある日突然私達は絶望の淵に落とされたんだ。今まで共に戦ってきた、グリモルド…そう、あれだ。あのグリモルドが突然敵になった。

 

それだけなら良かったよ。私達は強かった。自慢じゃないが、音成ですら焦るほどに。でも、グリモルド…いや、グリモルドを乗っ取ったクロニクルの真の恐ろしさは、力なんかじゃなかったんだ。

 

ハートウェーブを自在に生み出し、操る…それがヤツの能力の一つだ。そして、その力を使って、人を操ることができるんだ。 効果範囲も小さく、人を操るにしても制限がかかる能力で、クロニクルの能力の中でも警戒すべきものではなかった。ヤツがやっていた念動力まがいの能力のほうが、よほど恐ろしかったはずだった。

だが、ある日突然状況は一変した。東京タワーとスカイツリーをクロニクルが占拠し…そこから、洗脳電波を流したんだ。グリモルドの機能の一つ…電波ジャック能力が裏目にでた。強力過ぎたんだ。

 

結果は、ハートウェーブを利用した精神保護機能を持つ私達ライダーや、特務対策局のみんな、一部の政府要人なんかは無事で済んだ。でも、それ以外の人類は、いや、地球上に生きる生命の全てがヤツに洗脳されてしまったんだ。ショット博士も抹殺されてしまったから、もう止めようがなかった。

 

ヤツは音成にすら反旗を翻した。私達ライダーは音成のディソナンスと、クロニクルの洗脳兵両方と戦う事になった。でも…私達には倒せなかった。いや、先輩達には倒せなかったんだ。今まで自分が守ってきたものを、自分の手で壊す事なんて、彼等にはできなかった。ましてや命だ。たとえそれが顔も見たことのない他人のものだったとしても…それでも、奪えなかった。

 

だから、私が殺したんだ、奪ったんだ、その命達を。クロニクルに洗脳されたものは心を完全に破壊されてしまっている、もう元には戻れない……友人と呼べた人達も、みんな殺したよ。大よりも小の命を優先すべき事態だったんだ。

 

当然、先輩達にはバレないように工夫したよ。返り血を極力浴びないようにして、血を浴びれば自分の血で上書きをした。ディソナンスは血を流さないからな……なんでそんなことをしたかって?……今となっては推測だが、たぶん先輩達との繋がりが切れてしまうのではないかと、恐れたのだろうな、私は。随分と身勝手なものだ……結局、私の行為はバレた。でも、先輩達はそんな私と変わらず接してくれた。でも、世界は悪い方向へと変わっていった。特務対策局のみんなも死んで、私達は誰からの支援も受け取れなくなった。

 

そうして、みんな死んでいった。ディスクを砕かれ、その尊厳を侵され、誇りを踏みにじられた。私とて例外でなく、みんなが死んでいくのをただ、見送るしかなかった。

 

だが、私は諦めることだけはできなかった。私が奪った命、先輩達のように死んでいったものの命、その全てを、背負わなければならないと思ったからだ。

 

だから、奇跡が起きた。砕かれたはずのディスクの破片が集まり、一つのディスクとなったんだ。それを使って、私はあの姿…フューチャーソングへと変身した。

 

そして、私はフューチャーソングの力を使って、過去の世界へと来た。過去は変えられないが、未来は変えられるはずだと、そう信じて。

 

クロニクルの能力は絶大だが、あの洗脳能力はグリモルドのボディーあってこそのものだ。だから、グリモルドを破壊しにここに来た。まさか、クロニクルも来ているとは思わなかったがな…。

 

未来で生きる人類の数は、この時代のものと比較して、約2パーセントほどでしかない。そんな絶望を、私はあなた達に味合わせたくない。

だから、頼む。私に協力してくれないか?

 

「私に話せる事は全て話した。この身体も好きに使ってくれて構わない、だからーー!」

 

「…何を言っているんだ、後輩」

 

「え……?」

 

「私が私を助けるのは当然、そして、今ここにいる人達はみんな、あなたの力になりたいと思ってる」

 

「なんて呼べばいいかわからないけど…でも、お姉ちゃんのためならなんだって頑張れるよ…!」

 

「そうだ、お前が頼まずとも、勝手に俺達は協力する」

 

「全く、ちょっとは信頼しなさいよね!私達があんたを見捨てるワケないでしょ?」

 

「そうだな、桜の言う通りだ。私達は必ずお前の力になる」

 

『ま、そーいうことだ………こいつらのお人好し度は、お前の予想以上だぜ?ま、そりゃオレもそうなんだがな』

 

「あ……なみ、だ………」

 

「みんな…みん、な……ありがとう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー未来の乙音、フューチャーソングによって真実が語られた次の日、さっそく特務対策局局長である本山猛は、フューチャーソング含むライダー達とショット博士、そして香織の兄である大地勝を交えた、クロニクル討伐のためのブリフィーングを行う事になった。

 

「…えーと、フューチャーソング…ちゃん、あんたはこの呼び方でいいの?」

 

「ええ、私はこれで構いませんよ。本名だと極めてわかりにくいですし…」

 

「確かに、乙音という名はあまり耳にしないな」

 

「でしょう?」

 

フューチャーソングの話の直後、フューチャーソングのことをどう呼ぶかで話し合っていたライダー達だったが、フューチャーソングが今まで通りフューチャーソングと呼んでくれた方がいいと言ったので、そう呼ぶことにしたようだ。

「ヤレヤレ、マタセマシタ…」

 

「みんな揃ってるかな?では、作戦会議を始めようか」

 

ライダー達が雑談をしていると、ヤットショット博士と勝が会議室にやってきた。会議のためにグリモルドの性能を纏めていた2人だったが、クロニクルによってグリモルドの情報にプロテクトがかけられていたため、それを解除するのに苦戦してしまったようだ。

ちなみに勝は東京タワーでの決戦以降、ガスマスクを着用していない。もともと顔の火傷跡を隠すためのものだったが、特務対策局の局員全員が火傷跡など気にしない性格だったため、地味に着脱が面倒な作りのガスマスクは外すことにしたらしい。

 

「では、博士」

 

「ウム…サッソクだけど本題ニ入らせてモライマス。今君達が手に持つタブレットに、グリモルドのスペックデータを転送してオキマシタ。それを見ながら、ハナシを聞いてくださいネ」

 

さっそくショット博士がグリモルドの性能解説を行う。クロニクルがグリモルドのボディーを乗っ取っている以上、グリモルドの素よりも性能は上がっていると思われるが、なにもデータがないよりはマシであるし、クロニクルの大規模洗脳能力はグリモルドのボディーあってのものだ。作戦を立てるのには役立つ情報であるし、そこにフューチャーソングの証言から推測できる情報を加えることで、クロニクルの現在の戦闘能力がだんだんとわかってきていた。

 

「…では、やはりフューチャーソング以外ではクロニクルと戦うのは厳しいと」

 

「ウム…グリモルドのボディーを乗っ取ったアイツの強さは異常デス。今までのどのディソナンスよりも強い…ソレニ、クロニクルはディソナンス召喚能力を持っているとキキマシタ。ナノデ、2人の…いえ、3人のソング以外のライダー君達には、クロニクルと相対するソング達の援護をお願いシマス」

 

「はい…って私とゼブラちゃんも行くんですか?」

 

「フューチャーソングは強い。だが、もしもの可能性もある。だから、フューチャーソングとその同一人物である乙音君と、乙音君から生まれた、ほぼ乙音君そのものと言ってもいいゼブラ君。この3人のハートウェーブの相性は最高だ。だから、この3人でクロニクルの元に向かってもらう。東京タワーでの決戦の時、真司君達がやったように、君達3人の歌を合わせてハートウェーブを極限まで高めるんだ」

 

「はい!」

 

「2人のお姉ちゃんと一緒に…!頑張ります!」

 

「……私は、異論はない」

 

その後も作戦会議を続けていたライダー達だったが、クロニクルの居場所がわからないことには動けないということもあり、一旦解散して休息を取ろうとした。しかし、彼らがそう思った矢先、会議室に香織が飛び込んでくる。どうやら、クロニクルの居所が判明したらしい。場所はスカイタワー最上階。急がねばならないようだ。

 

「…みんな、行きましょう!」

 

乙音が言う。彼女の瞳には、絶望の未来へ立ち向かうための、闘志の炎がある。

 

『やれやれ…一世一代の大勝負ってやつだな』

 

その手に持つタブレットに、ボイスが書き込む。彼女の心には、絶望に立ち向かうための希望がある。

 

「フッ……後輩のためにも、先輩が頑張らなければな」

 

真司が呟く。彼の拳は、歪んだ未来を打ち砕くためにある。

 

(敵は歴史…いや、未来そのものか。切りがいのある敵だ…!)

 

刀奈が思う。彼女の剣は、闇に光をもたらすためのものだ。

 

「よぉぉぉっし!頑張るわよ!みんな!」

 

桜が吠える。彼女の心の中には、常に仲間達との未来がある。

 

「皆さん……!」

 

フューチャーソングが応える。

 

 

「行きましょう!世界を…未来を救う為に!」

 

「『「「「応‼︎」』」」」

 

彼女達の力は、今この時を救う為にーー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………来やがったか、ライダーども………」

 

「ちいとばかし厄介だ…ソングの相手は俺がする、後はお前達に任せたぜ…?」

 

「「「「お任せを、クロニクル様」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特務対策局を出撃したライダー達は、謎の霧に包まれた、スカイツリーのもとにいた。特務対策局の者はいない。クロニクルは狡猾だ。特務対策局の局員を連れて行けば、人質として利用される可能性もある。だからこその、ライダー達のみでの決死の作戦だった。

 

「なんだ、この霧は。やけに深い…」

 

「……待て!誰か、いる!」

 

深い霧に困惑しつつも、スカイツリー内部に侵入しようとしたライダー達の前に、謎の影が現れる。そして霧の中から謎の影が姿を現した時、ライダー達は驚愕した。なぜならその影の正体は………!

 

「俺か………!?」

 

「ちょ、なによあれ!私じゃない!」

 

「いや、よく見れば少し違うな…しかし非常に精巧な偽物だ」

 

『趣味悪いなぁ』

 

その影の正体とは、ソング達を除いたライダー達の姿を模した、黒いライダー達だった。その黒いライダー達は3人のソングを無視して、残りのライダー達に向かう。武器と武器とが火花を散らす。ライダー達の姿だけでなく、武器とその力までも黒いライダー達はコピーしていた。

 

「先輩達!」

 

「いいから先に行け!こいつらは…俺達に任せろ!」

 

「そもそも私達は露払いでしょ!?なら、振り返らないで!」

 

「…わかりました!行くぞ!」

 

黒いライダー達と戦う真司達に加勢しようとするソング達だったが、真司達に先を急ぐよう促された彼女達は、スカイツリー内部へと急ぐ。目指すはクロニクルのいる最上階だ。

 

「さぁ〜て、行ったわね…」

 

「ああ、俺達はこいつらを叩くぞ!」

 

黒いライダー達と戦い始める真司達、しかし、黒いライダー達は真司達の動きを完全にコピーしており、まるで鏡のように技を返してくる。しかも、パワーは黒いライダー達の方が上だった。当然、真司達は……

 

「ぐうっ!」

 

「真司!?きゃっ!」

 

『まずい!余所見してたら、やられるぞ!』

 

「こいつら…強い!」

 

黒いライダー達に真司達が苦戦する中、スカイツリー内部に突入したソング達も、押し寄せるディソナンス達をさばくのに苦戦していた。

フューチャーソングの破壊力で一気に殲滅もできるのだが、それではスカイツリーが崩壊してしまい、フューチャーソング以外が全滅してしまう可能性もあった。

しかしこのままでは埒があかない。そう思ったフューチャーソングは奇策に出る。乙音とゼブラに融合してもらうと、左腕で乙音を抱え上げ、そのまま足に力を込めて、一気に跳躍する。いや、それはもはや飛翔と言ってもいいほどの勢いだった。

 

「うわっ、うわわわわ!」

 

「あまり口を開くな、舌を噛むぞ」

 

フューチャーソングの跳躍はクロニクルの居るスカイツリーの最上階、その手前の階まで届いていた。下の階に詰めていたのか、半分を超えたあたりでディソナンスの姿は見えなくなった。もっとも、いたところでフューチャーソングの振るう槍によって途中の壁ごと刺し貫かれていただろうが。

 

「この上に…いるんだね」

 

「僕達で、倒せるのかな…」

 

「…心配するな、私達は未来を変えるためにここにいる。それだけを考えるんだ」

 

乙音とゼブラも分離し、フューチャーソングと共に最上階への階段を駆け上がる。そして辿り着いた最上階には、クロニクル一体だけが立っていた。乙音達の姿を確認して一瞬驚くが、すぐに真司と桜を追い詰めた時のような、悪魔の笑いを浮かべる。

 

「ようこそ、ここへ。まずは拍手でも…」

 

「いらん。せめて大人しくこの槍に貫かれることだ、クロニクル…!」

 

「おいおいそんなカッカすんな、お互いクレバーにいこうぜ?そう、クレバーにさ」

 

クロニクルが指を鳴らすと、彼の背後に映像が浮かび上がる。そこに映っていたのは、黒いライダー達に追い詰められた真司達の姿だった。

 

「なっ…!」

 

「先輩達!?」

 

「まさか…!」

 

「お前達もバカだよなぁ〜俺様が勝てない刺客を送ると思うかぁ〜?一度はライダー達をソング以外抹殺した俺様が」

 

激昂してクロニクルに飛びかかろうとするフューチャーソングだったが、それよりも早く映像の中で黒いライダーに捕まっているボイスの首が締め上げられるのを見て、動きを止める。それと同時にボイスの首も解放された。

 

「人質、か…!」

 

「そうそう、よくわかってんじゃない。だから大人しく見とけよ?お前達の目の前で、無残に世界中の人間達が俺様の言いなりになるところをよぉ!ギャハハハハハハハハ!」

 

醜く顔を歪めて高笑いするクロニクルを前にして、ソング達はその身を震わせる事しかできない。それに気を良くしたクロニクルがさらに笑い、フューチャーソング挑発する。それにも耐えるフューチャーソングだったが、すでに刻限は間近だった。

 

「さ〜て。機は熟した。今こそ!俺様の力が解放される時だぁぁっ!」

 

ソング達が止める間もなく、クロニクルの力が解放される。グリモルドほボディーに搭載された電波ジャック機能によって、スカイツリーから発せられる、強化された電波に乗って世界中へと、クロニクルの洗脳電波が広がっていくーーはずだった。

 

「な、なんでだ!?で、電波ジャックがブツ切れた!」

 

クロニクルが力を解放した瞬間、確かにジャックされていたはずの電波が正常なものへと変化する。それに驚くクロニクルを尻目に、堪え切れないとばかりにソング達は笑い始める。先ほどの震えは怒りからくるものでもなく、恐怖からくるものでもなく、単純に笑いを堪えていただけだった。

 

「て、テメェら!何がおかしい!」

 

「アハハハハハハハ!いや、なに、お前のそのボディーの設計者が健在だというのに、こんな作戦を本気で実行しようとしたお前があまりにバカバカしくてな」

 

「な……あ…あ…まさか!」

 

「そうだ!洗脳能力はお前の自前だが、それはグリモルドの電波ジャック能力あってこそのもの。そのグリモルドを作り上げたショット博士が万全の体制で手ぐすね引いて待ってたんだよ!お前が力を解放して、無力になるその瞬間を!」

 

「クロニクル、あなたの力は強い。フューチャーソングさんでも、僕達を守りながら戦えないぐらいには」

 

「でも、それもお前が万全の状態で、力を溜め込んでいる時だけ。今のお前は、私達の前には無力だ!」

 

「ば、馬鹿な…こっちは人質をとっているんだぞ!こんな!」

 

ソング達の言葉に動揺を隠せないクロニクルだったが、自身が人質を盾にしていることを思い出し、その盾で身を守ろうとする。しかし、その盾はすでに崩壊していた。

 

『…残念だったな。俺達なら無事だ』

 

「なにぃ!?」

 

クロニクルが背後の映像に目を向けると、そこには黒いライダー達の拘束から抜け出した真司達の姿があった。全く同じ動きをするうえ、パワーも真司達より強いはずの黒ライダー達からどうしてと混乱するクロニクルだったが、映像の中の真司達がその疑問に答える。

 

「どうやら、俺達のライダーシステム…その根底までは理解できなかったようだな」

 

「あんた達ディソナンスもそうだってのに、感情の力を無くしたやつらに!」

 

「私達は…負けない!」

 

『兵器としての安定感を求めたのかなんなのか知らねぇが、こいつらから感情を排除したテメェの負けだ』

 

黒ライダー達は確かに強い。そのパワーも常に真司達の上をいくように調整されているはずだった。しかし、感情の力のない黒ライダー達では、真司達の一瞬の爆発力には及ばない。普通ならば、いくら際限なくスペックが上昇するとしても、限度があるものだが……クロニクルに対しての怒りが、彼らに限界を超えさせていた。

相手が常に自分達よりも上のスペックになるのならば、対処方は簡単だ。相手が追いつけないほど凄まじい勢いで、強くなり続ければいい。そして、真司達が纏うライダーシステムはそれを実現できる力だ。

 

「クロニクル…貴様の、負けだ」

 

「だっ…黙れ!俺様は…!俺様は…!」

 

ライダー達のレコードライバーから歌が流れ始める。誰も聞いたことのない声で、誰も聞いたことがない歌が。

 

「私のこの心は、鼓動は、全て未来の人達からもらったものだ……その全てを、お前にぶつける!」

 

今、未来を越えるための決戦の幕が上がるーー!

 

《遥か流れている》

 

「はあああああっ!」

 

「ゼブラちゃん!」

 

「合わせる!」

 

《切ない時の中で》

 

スカイツリー最上階でソング達がクロニクルと戦う中、黒ライダー達と真司達は同時に必殺技を発動させていた。

この一撃で決着をつけるつもりだ。

 

《確かな真実がそこにある…》

 

『『『voltage MAX!!』』』

 

『『voltage Over!!』』

 

真司の右拳にエネルギーが集約され、刀奈の剣が何者をも切断する刃を纏う。

桜の全身に力がみなぎり、ボイスの銃に力が満ちていく。

 

《その真実こそが》

 

「おおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

「はあああああああああっ!」

 

「くらえええええええええっ!」

 

『いけええええええ!』

 

《心にヒビを入れ》

 

『rider genocide crash!!!』

 

『rider shining blade!!!』

 

『rider super storm!!!』

 

『rider ultimate Canon!!!』

 

《鼓動の音々(おとね)を止める》

 

それぞれの必殺技がぶつかり合う。真司は拳を衝突させ、刀奈は剣速を競い、桜は竜巻をぶつけ、ボイスはエネルギーを放ち続ける。

 

《桜のように儚い…!》

 

「おおおおおおおおおおああああああああ!」

 

「早く、早く、早くーー!」

 

「負けてたまるかああああああああっ!!」

 

『これで…終わりだっ!』

 

《命だとしても、そうさもう躊躇わない!》

 

ライダー達の必殺技が、黒ライダー達を討ち滅ぼしてゆく。真司のコピーは粉々に砕かれ、刀奈のコピーは光速で切り刻まれ、桜のコピーは竜巻に呑まれバラバラになり、ボイスのコピーは圧倒的なエネルギー差で消滅した。

 

「後輩達は…!」

 

ライダー達がスカイツリーを見上げる。ボロボロの彼等には決着までにスカイツリーを駆け上がる体力など残されていない。地上でソング達の無事を祈るしかないのだ。

そして、ソング達は今まさにクロニクルを追い詰めていた。フューチャーソングの槍がクロニクルの腕を抉り、ゼブラと合体した乙音の槍がクロニクルの腹を貫く。

 

《思い掲げ槍を掲げ希望を今掴む!》

 

「まさか、俺様が、こんな奴らに!」

 

『voltage Over!!』

 

「クロニクル…!」

 

『Over the Power!!!』

 

「これで終わりだ!」

 

《明日を願い夢を願いそして…未来!》

 

ソング達が必殺技をを発動する。それを防ごうと障壁を展開するクロニクル。今、思いがぶつかり合う。

 

《奇跡願い空に散らばった心をかき集め!》

 

『rider double shoot!!!』

 

『rider final shoot!!!!』

 

《行くべき道を照らし続ける…》

 

「「おおおおおおおおおおっ!!!!」」

 

《未来を越えて、自分を超えて……》

 

「グオワァァァァァァァバァァァァァァァ!!!」

 

ダブルソングの必殺の蹴りがクロニクルの身体に直撃する。荒れ狂うハートウェーブの奔流をその身に受けたクロニクルは、苦しみ悶えるが、未だ消滅してはおらず、這ってでも逃げようとする。

 

「これで…終わりだ」

 

しかし、それを許すフューチャーソングではなかった。その槍がクロニクルのボディーを貫くと、ピクリとも動かなくなる。

 

「……終わったね」

 

「…ああ、先輩達が待ってる…いこう」

 

クロニクルが取り憑いていたグリモルドのボディーは完全に破壊された。それを確認したソング達はスカイツリーを降りようとするが、その瞬間、スカイツリーが揺れ始める。

 

「な、なんだ!?」

 

「まさか、戦いの影響…!?」

 

戦いの影響で揺れているのかと思った乙音だったが、その声に応える者がいた。

 

『いや…俺様が…この電波塔と融合したのさ…』

 

「!?クロニクル…!?」

 

『その、ボディーは、もともと俺様が乗っ取っていたものだ…お前に貫かれる瞬間、なんとか逃れる事が…できた…そして、こいつと融合したのさ…』

 

「まさか、そんなことが…!」

 

『俺様がどうしてあのボディーを乗っ取れたと思う…?俺様はな、心を持たないものなら何にでも融合できるのさ、そう、この電波塔にもなぁ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ムム……」

 

「どうされましたか?ショット博士」

 

「イヤ…キノセイだといいんデスガ……クロニクルの能力…もしかすると、これハ…」

 

「…かなり、マズイ状況かもしれまセンネ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイツリーが一際揺れたかと思うと、その形をまるでシャトルのように変質させながら、地面から離れていく。

 

「何が起こって…!?スカイツリーが!」

 

「貴様…まさか!」

 

『感づいたようだなぁ!フューチャーソング!もう洗脳はできない…なら、この星の生命をみんなブチ殺す!月を堕としてなぁ!ギャハハハハハハハハ!お前達には特等席で見ててもらうぜ!』

 

シャトルと化したスカイツリーが加速する。その衝撃に、乙音は立っていられなくなる。

 

「ぐっ…つかまれ!」

 

「なんて、加速…!」

 

そして、唐突にやってきた衝撃に、乙音の意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

「な、なにが起こったってんのよ…!」

 

「スカイツリーが…!?」

 

『あいつら…!』

 

「後輩達……!俺達には、祈る事しか出来ないのか!?」

 

 

 

 

 

 

「おい、大丈夫!?大丈夫!?」

 

 

 

「……う、あ……ここ、は……」

 

「あ…良かった…無事だったか…」

 

「う…あ…ゼブラちゃんは!?」

 

「僕は無事だよ〜…なんとか、だけど…」

 

月とスカイツリーロケットの衝突時の衝撃で気絶してしまった乙音だったが、幸運にも変身は解除されず、衝突のショックで分離してしまったゼブラも無事だった。その事実に安心しつつ、立ち上がって周囲を見渡す乙音だったが、眼前に広がるのは無人の月面のみである。

 

「クロニクルは、どこに…」

 

「…ここだ」

 

「え?」

 

「今さっき探知してみたが、クロニクルはこの月と完全に融合している。奴の核と呼べる部分は月の中心にあるが、私でもそこへ到達できるかどうか…それに、月の落下はもう始まってしまった」

 

「そんな……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月の落下速度を計算しろ!」

 

「あと10分もありません!それ以上を経過すれば、危険域に突入して地球が重力で狂います!」

 

「なにぃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は…止めに行く。たとえ不可能だったとしても、やれる事はしたいから……あなたは…」

 

「…あなたは私、でしょ?なら、私の考えだってわかるんじゃない?」

 

「僕も…僕も、同じ気持ちです」

 

「そうか…なら、行こう。月を止めに」

 

月が地球へと落下して行くのを感じているソング達は、月を止めるために動き出す。フューチャーソングの力で宇宙空間へと飛び出したソング達は、月の中心部のクロニクルを目指して槍を月面に打ち込み、月を掘り進めようとする。

ーーしかし、月を削る事は出来なかった。むしろ月自体の質量に加え、クロニクルの融合による強化によって、槍のほうが軋みをあげている。今にも折れてしまいそうだ。

 

「ぐぅぅぅぅぅっ!ち、力を…もっとハートウェーブを同調させるんだ!」

 

「く、そぉぉぉぉっ!」

 

「止まれ、止まれ、止まれ!」

 

少女達の願いも虚しく、月は止まらない。ハートウェーブを限界まで振り絞ろうが、いくら声を上げようが、彼女達の力だけでは止まらないのだ。

 

「くそぉ…!」

 

「駄目、なのか…!?」

 

「諦めちゃダメっ!でも、これは…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危険域まで、あと5分!」

 

「ショット博士…!準備は出来ました!地上のライダー達にも、伝えてあります!」

 

「ヨシ……!人の総力、見せる時がキマシタ!作戦を発動シテクダサイ!」

 

「了解!全世界に呼びかけます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁっ!」

 

「もっと…踏ん張れぇぇぇぇっ!」

 

「これでもぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 

『無駄、だ…もはや月は止められん。残念だったな…ここまで俺様を追い詰めておきながら、最後の最後に完膚なきまでに敗北するのだ!お前達は!』

 

月、正面ーーそこでは、ソング達が必死に月を止めようとしていた。しかし、その力は及ばない。危険域まであと1分を切り、ソング達の力も限界まできていた。

 

『あと1分だ…1分で全てが終わる!』

 

「そんなこと、やらせるもんかぁぁぁっ!」

 

「だが、私達、では…!」

 

「だめ、なの……?」

 

『フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!』

 

不屈の心を持つ、彼女達ですら、諦めかけた、その時ーー。

 

 

「諦めるな!」

 

 

 

 

宇宙に、声が響く。

 

 

「!?なんだ…?声!?」

 

「通信機能…!僕達の声だけじゃなく、真司さん達の声まで!」

 

「これは…!それだけじゃない!みんな…特務対策局のみんなも!」

 

 

『頑張りやがれ!応援した甲斐が無かったなんて、思わせんなよ!』

 

「あんた達ならできる!私達のハートウェーブも使って!」

 

「私達だけじゃないさ、今、世界の人々が君達の背を押してくれている!」

 

「月を押し返そうとしているのは君達だけではない!僕達の心も共に!」

 

「私はライダーシステムに希望を見た!だからボイスのドライバーを…!頼む!その希望を見せてくれ!」

 

「あなた達ならできるわ!あなた達の戦いを見てきた私が言うんだから、間違いないわよ!」

 

「ライダークン達!世界中の心を!君達に!」

 

 

 

地球から、世界中からハートウェーブの光が昇ってくる。月の落下ーーそれを目の当たりにした人類に、地上のライダー達が必死に呼びかけた結果、それがこの「祈り」だった。

ハートウェーブとは心の力……人類の総力による純粋な祈りは、ライダー達に力を与えるーー!

 

「この光…!お姉ちゃん!」

 

「ああ…!乙音…私よっ!歌を…!歌って!」

 

「うん!歌で束ねて!この思いを!この力を!そしてぇぇぇぇっ!」

 

 

「「「今こそ、一つになるーー!」」」

 

 

 

『な、なんだ!?この光はぁぁぁぉぁっ!?』

 

 

 

 

 

 

 

宇宙に昇る心の光…それがソング達と一つになる。ソング達が一つになる。

 

そして、光が収まった後、そこに歌とともに現れたのは…!

 

 

「「「仮面ライダーソング、フューチャースタイル!」」」

 

 

乙音、ゼブラ、そして、フューチャーソング…規格外のハートウェーブの光が、3人のソングの融合という奇跡を起こしたのだ!

 

 

宇宙に、世界に!未来へ送る、星の歌が響くーー!

 

 

《待ってても未だに来ない》

 

「おおおおおおああああああっ!」

 

《世界へと、足を踏み出そう》

 

ソングが槍を月面に叩きつけるように投げる。先程まで表面すら削れなかったその槍が、深々と突き刺さる。

 

《そうやって、未来へ進む》

 

「押し返せぇぇぇぇぇぇっ!」

 

《そう!ここから始まる…》

 

《そう!ここから伝える…》

 

月面に突き刺さった槍の柄めがけて、ソングが蹴りを撃ち放つ。その衝撃は宇宙すらも震わし、月をゆっくりと地球から引き離して行く。

 

《止めどなく》

 

「見て!月が離れていくわ…!」

 

「やったか、後輩!」

 

《溢れ出す》

 

「乙音くん達…!」

 

『あいつら…やりやがった!』

 

《この涙》

 

 

《それを仮面で覆い隠し》

 

 

 

《そうしたら》

 

「月が…動く…!」

 

「希望…やったんだな!」

 

《笑顔まで》

 

「すごい……あれが、乙音ちゃん達の力…!」

 

「コレが…人の心の力!」

 

《隠れちゃう》

 

 

 

 

《だから仮面》

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

《脱ぎ捨てて》

 

『ぬああああああああああああああっ!』

 

《ありのまま》

 

 

《歌を、歌おうーー》

 

 

《響け、希望の歌》

 

『curtain call!!!!!!』

 

《誰だってそう1人では》

 

《生まれ、生きて行けない》

 

《だから手を取って…》

 

月が押し戻されて行く。そして、槍をも砕いて、今、必殺が放たれる!

 

《何度でも》

 

《何度でも》

 

《何度でも》

 

《絶対に!》

 

《歴史は紡がれてく!》

 

『RIDER KICK!!!!!!』

 

《だからそう》

 

《繋がった》

 

《未来を願って!》

 

「おおおおおおおおおおおおおおおおらあああああああああああああああっ!」

 

《紡いできた絆を》

 

《信じて》

 

《ありのままの思いを》

 

《唄って!》

 

『ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアガアアアアアアアアアアアア!』

 

《響け音々(おとね)!》

 

「これで、終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

《世界の空へーー!》

 

 

 

ーー月が、ゆっくりと元の軌道へと戻って行く。

 

ソングの発動した必殺技によって、月の中心部は穿たれ、そこにいたクロニクルはハートウェーブの放出とともに消滅した。

 

宇宙のハートウェーブが地球へと降り注ぎ、まるで宝石のような輝きを放ちながら、人々に降り注ぐ。

 

そして、ソングもーー

 

「…あっ!あれ!」

 

「後輩…!」

 

「ゆっくりと降りてきてるな、受け止めに行こう!」

 

『ホント無茶苦茶だな、お前は!』

 

 

クロニクルを倒したソングは、ゆっくりと地上に落下。地上に残っていたライダー達によって受け止められた。

なぜゆっくりとした落下だったのかはーーハートウェーブの成す奇跡だったのだろう。

 

 

 

こうして、クロニクルによって引き起こされた。未曾有の大事件は大惨事となる前に終わった。

そして、事件の収束から3日ーー時間移動の制限によって1週間程度しかこの時代にいられないフューチャーソングが、未来へと帰る時がきた。

 

 

「これで、お別れか…寂しくなっちゃうわね」

 

「そうだな…だが、未来も変わった筈だ。後輩、お前も…」

 

「あ、それが…私の生きる未来は、変わらないんです。変わるのはあくまでこの時代の未来だけ。パラレルワールド…って言うんですかね?クロニクルを倒すまでは確かに私の時代とこの時代は繋がってましたけど、クロニクルを倒したことで、分岐しているんです」

 

フューチャーソングの思わぬ告白に驚く乙音達。特に乙音とゼブラの驚きは大きかった。

 

「何っ!?」

 

『…ちょっと待て、お前、それを承知で…?』

 

「さあ、どうでしょう?でも、私は今とっても幸せですよ」

 

「それは、どうして?」

 

「あなた達から、いっぱい勇気をもらったから…だから、今の私なら、ほんのちょっとだけ、未来を良い方向へ向かわせることができると思います」

 

そう言うフューチャーソングの表情は、少し寂しそうにしつつも、今の乙音が見せるような、とても軽やかな笑顔だった。

 

「そうか……元気でな」

 

「ええ、そちらこそ」

 

「お姉ちゃん…!また来る事を、待ってるからね!」

 

「うん…!」

 

「……ありがとう、2人とも。それじゃあ、元気で」

 

タイムマシンに乗り込み、内部で機器を操作するフューチャーソング。そして、タイムマシンが一瞬発光したかと思うと、その姿はなくなっていた。元の時代に帰ったのだ。

 

「…別れは、随分とあっさりね……」

 

「そちらの方が寂しくはないだろうさ、俺達も、後輩も…」

 

そう言う真司の顔には、一筋の涙があった。それを目ざとく見つけたのはボイスだ。

 

『…泣いてんのか?』

 

「…………泣いてなどない」

 

「先輩、本当ですか〜?」

 

「なっ…!ええい、やめろ!俺はこういうのには弱いんだ!」

 

「全く、真司は昔からこうだからな…私が小学2年の時も」

 

「それ以上言うな!やめろー!」

 

「フフッアハハハハ!」

 

「笑うな、後輩!」

 

「すみません、先輩のそう言う顔見た事無かったから、つい…フフッ」

 

「そ、そうだね…フフフ!」

 

「ゼブラまで…笑うなと言っているだろう!?」

 

仲間と笑い合える幸せを噛み締めつつ、乙音は今回の事件を振り返る。とても短い間だったが、未来から来た、とてもお節介焼きな自分のことを。

 

(……わかってる。この幸せを、守り抜くよ)

 

(だから、さよならは言わないよ)

 

(いつか、また遥かな未来でーー)

 

 

乙音が見上げる空、彼女達が守り抜いたその空には、どこまでも続く、深い青が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劇場版、仮面ライダーソング ザ・フューチャーソング

 

 

 

 




ナニモイウコトハナイ

燃え尽きました。設定資料5の後は、暫く新作の方に労力を割こうかと思ってます。第2部は正直話を考えてな……ゲフンゲフン………難しいですからね。それほど時間を開けるつもりは無いですが。

あ、乙音ちゃんはおとねちゃんって読みます。今更なんですが、一応言っとこうかなと。
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