「こ、この姿って…!私、変身したの!?」
自分の体が変化した事に困惑していた乙音だったが、改めて自身の状態を確認する事で、まるで、テレビの中のヒーローのように鎧のようなスーツを装着している事に気づく。
スーツは白く、機械的な外見をしている。しかし、所々に丸みを帯びている所もあり、女性的な部分も見受けられるデザインだ。
「理解が早いようでなによりだ。ここで自己紹介させてもらうが、私は大地香織という。よろしく」
「あ、よろしくお願いします。……じゃなくってぇ!この姿ってなんですか!まるで、テレビのヒーローのような…」
黒スーツの女性…大地香織と名乗った女性のペースに飲まれそうになる乙音。しかし、乙音には女性の名前よりも聞きたい事があった。もちろん、この姿についてだが……。
「さっきも言ったが、その姿は仮面ライダー。未来を守る戦士の姿だ。」
「そういう事じゃなくって…!」
「冗談だ。それよりも、説明は後のほうがいいと思うが。ヤツが迫ってきている」
香織の言葉に、怪物が吹き飛んだ方向を見ると、先ほどよりも凄まじい勢いで迫って来ている怪物の姿があった。
「……後でちゃんと、あの怪物のこととか、この姿のこととか、説明してもらいますからね!とりあえず、危ないから退がっててください!」
「あの怪物の名はディソナンスという。あと、ひとつアドバイスがあるのだが」
「…なんですか?」
「戦いはノリの良い方が勝つ」
「……そういうことなら、私の得意分野だ!」
その言葉と共に、ディソナンスと呼ばれる怪物へと駆け出す乙音。怪物が目の前に来た瞬間、怪物を吹き飛ばした時と同じ様に、パンチを繰り出す。
吹き飛ばされるかと思われた怪物だったが、足の筋肉を膨張させて耐えると、そのまま蹴りを繰り出す。
蹴りを受け、たまらず吹き飛ばされる乙音だったが、すぐに立ち上がり「負けるかぁ!」と叫ぶと再び怪物に向かって駆け出そうとする。
その時、レコードライバー内のディスクが、回転とともに輝きを放ち、その輝きが乙音の手の中で収束すると、マイクスタンドほどの長さの槍が乙音の手に握られる。
「これって……なんだかよくわからないけど、やってやる!」
槍をその手に怪物に近づくと、手にした槍を乙音はがむしゃらにふるう。
素人丸出しの攻撃だったが、乙音による渾身の一撃は怪物を怯ませる。そのまま更に攻撃を加えようとする乙音だったが、再びレコードライバー内のディスクが輝き出す。
「今度はなに!?」
一旦怪物から距離を取ろうとする乙音だったが、ここで予想外の出来事が起こる。
レコードライバー内のディスクから、『曲』が流れ出したのだ。
「……え?」
突然の事に困惑する乙音。しかし、怪物は空中へと飛び上がると、乙音に蹴りを放ってくる。
槍で迎撃する乙音、しかし、怪物のパワーに押され始める。
「ぐ……うおおおお!」
負けじと気合を入れる乙音。その瞬間、『歌』が流れ始める。
『私の、魂を歌いあげればーー』
「へ?これって、私の声!?」
戸惑う乙音。しかし、『歌』を聴いていると、なにやら力が湧いてくる感覚を乙音は覚える。
『砕けぬ、敵なんかない。響かぬ、心なんてない』
その感覚に身を任せ、思い切り槍を怪物に向かって突き出す乙音。膨張した怪物の足が元のものに戻り、吹き飛ばされる。
『私の心の力をーー』
『誰かを救う武器と変えてーー』
「今だ!赤いボタンと青いボタンを同時に押せ!」
香織の言葉に従い、レコードライバーの、赤と青の二つのボタンを同時に押す乙音。その瞬間「full chorus!」という声がレコードライバーから響くと同時に、乙音の体に力が漲る。
『守る、ために戦う、戦士となぁってーー!』
力が、乙音の足に収束する。
先ほどの怪物と同じ様に、中へ飛ぶ乙音。しかし、怪物よりもずっと高く、ずっと早く。
『繰り出せ!キックを!突きだせ!槍を!』
最高度まで乙音が達した時、レコードライバーから「rider shoot!」という声が流れ、その瞬間、乙音の体は怪物へと向かって急降下を始める。
『怖くてっても、逃げ出さない。人助けが好きだから!』
「オオオオオオオオオオオオオオオッ!」
咆哮と共に、怪物に飛び蹴りをくらわせる乙音。怪物もとっさに腕をクロスさせてガードするが、あまりの威力に怪物の腕にヒビが入っていく。
『歌え!魂を!守れ!自由を!』
そして、乙音が更に力を込めた瞬間、ヒビが怪物の身体中に走りーー
『それが!それが!それが!それが!それが!』
「『仮面ライダーだぁぁぁぁ!』」
歌と共に、乙音が叫んだ瞬間。怪物の身体は粉微塵に砕け散る。
渾身のキックにより、乙音が勝利したのだ。
「やった、の……?」
「ええ…お疲れ様。木村乙音。ナイスな戦いだったわ」
「あ、ありがとうございます。………あれ?なんで、私の名前を?」
香織が自分の名前を知っている事に疑問を覚える乙音。しかし、香織は乙音の質問に答えず、一言。
「それについては、後で説明するわ。とりあえず……」
その香織の言葉と共に、2人のそばに黒塗りの車が止まる。その中から香織と同じ黒スーツの屈強な男達が現れる。
「私達に、ついてきてもらえるかしら?私達、特務対策組織に」
「あ、はい……」
自分に拒否権がない事に気付いた乙音は。大人しく香織の言葉に従い、車に乗り込むのだった。
「……ところで、このスーツってどうやって脱ぐんです?」
「……それを言うのをうっかりしてたわ」
この人たちについて行って大丈夫かな、と色々な意味で心配になる乙音だった。
はい、挿入歌です。とりあえず『』で囲ってます。
しかし、スマホで書いてるんですが、結構時間かかりますね……。楽しいですけど。
次は、設定資料の予定です。ネタバレはないのでご心配なく。