百合が見たいだけです(切実)   作:オパール

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・前回のあらすじ

猟犬A「メェェェェデェェェェ」
猟犬B「夜は人肉っしょォォォォ!!」
猟犬C「さては晩飯だなオメー」
猟犬D「なんだよ……結構食えんじゃねえか……」
猟犬E口「焼肉食べたい」


※ほぼ嘘です

本編遅れて申し訳ありませんでした!!(ヨツンヴァイン)


内通疑惑? 知るか! そんなことよりかなセレだ!ー中ー

『……時間稼ぎ?』

『そう。君はシンフォギアに勝つ必要は無い(・・・・・・・・・・・・・・)

『それは、どういう意味なのですか?』

『簡単だよ。神の力さえ得られれば、こちらの勝ち。つまり完成するまで留めておけば良いのさ、シンフォギアを』

『……』

『……不服かい、サンジェルマン?』

『……いえ。その言葉にも、一理あることは。しかし、私が離れては祭壇と儀式の方は……』

『そこは僕に任せてくれていい。対策はいくらか用意してある』

『そう、ですか……』

『最終目的を忘れてはいけないよ、サンジェルマン。他は全て些末な事さ、それに比べればね』

『……些末事……』

『勝つことよりも、負けないことを主軸に置いてみることだ。……相原ヒロ。彼のように』

『相原ヒロを?』

『そうさ。彼は勝つ戦いはしない……というより、出来ない男。だから負けない戦いをするしか出来ないのさ』

『しかし、あの男はフィーネにさえ……』

『実際にフィーネを降したのはシンフォギア。彼はあくまでその手助けをしたに過ぎないよ』

『……それは』

 

『相原ヒロには無いのさ―――自分一人だけで勝てる土俵が(・・・・・・・・・・・・)、ね』

 

 

 

 

 

(……何を思い出している。今は目の前の事に専念すべきだというのに……)

 

響と切歌を相手取るサンジェルマン。その脳裏を過るのは、神出る門を開く儀式を行う前のアダムとの僅かな会話。

勝たなくてもいい、だが負けるな。

自分が執り行うはずだった儀式だが、不思議なことに自分が釘付けにならずとも神の力は確かにティキへと注がれている。

アダムが何をしたのかはサンジェルマンには知る由も無い、だがそのおかげで、眼前の敵を相手に立ち回ることが出来ている。

 

「ラピスを纏ったカリオストロとプレラーティを降したその力、確かに脅威だ。だが……それだけで、私をも押し通せると思うなよシンフォギア!!」

 

負けない戦い、というのはサンジェルマンはどうにも不慣れだった。加えて、ラピス・フィロソフィカスに対抗する機能を付与してきたシンフォギアの性能は、数的不利な点を差し引いてもサンジェルマンの実力を大きく上回っている。

だが、自身の錬金術とファウストローブをフルに活用し、あえて防衛に徹することでその差を埋めることが出来ていた。

 

 

 

「切歌ちゃん! このままじゃ埒が開かない!」

「だったらムリクリこじ開けるデース!!」

 

対する立花響と暁切歌。サンジェルマンを通らねば神の力の発現の阻止は出来ない。かといって、無防備なティキに狙いを定めれば―――

 

「させん!」

「デデース!?」

 

その間を逃さず、サンジェルマンのカットが入る。そのまま行動不能にでもさせられてしまえば、その瞬間に敗北はほぼ確定してしまう。

 

加えて

 

「くっ……奏さんやセレナさん、ヒロさんも危ないのに……!」

「この人のガード堅すぎデスよ!」

 

奏のLiNKERの時間制限、入ってきた通信から伝えられた、未知の獣に囲まれている奏とセレナ、それに加えてアダムをも相手取っているヒロ。

様々な不利な要因は、響と切歌の胸中に決して小さくない焦りを生み出していた。

 

「……本当に!」

「?」

「本当に、こんなやり方しか無かったんですか!?」

「何を今更……言葉を尽くす時など、初めから無い!」

「だとしてもッ!!」

 

撃ち込まれた弾丸を拳で弾き、響がサンジェルマンへと肉薄する。振り抜かれた拳に対し、サンジェルマンはその手の銃で以て鍔競った。

 

「もはや時は無い! 今この瞬間にも、世界はバラルの呪詛という理不尽な支配に喘いでいる! それが何故わからないッ!?」

「それをどうにかするために、関係無い誰かを犠牲にしていいだなんて……そんなこと、許されるわけが!」

「赦しなど請わぬ、要らぬ、求めぬ!! 外道に堕するとも、死を灯すしか……私に残されたのはそれだけだッ!!」

 

意趣返すかのように、響の腹へとサンジェルマンの拳が入る。

追撃を避け、距離を離す響へと、その銃口が向けられた。

 

「……目の前のことに拘うのみの貴様達に、とやかく言う道理など無いと覚えろ、シンフォギアッ!!」

「……だとしても」

 

響が胸元、イグナイトモジュールの発動キーへと手をかける。それを見た切歌もまた、同じように

 

「―――だとしても、止めてみせます! 他でもない、貴女のためにもッ!!」

「無理を通して道理なんてブッチ斬ってやるデス!!」

 

 

 

「「イグナイトモジュール、抜剣!!」」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「ッはははは! 無様がすぎるねェ、相原ヒロ?」

 

どこか遠く聞こえるアダムの哄笑を聞き流しながら、口の中に溜まった血を吐き捨てる。

アダムが造り上げた人獣……もう面倒だからキメラでいいや。アダムに加えて3匹程度のそいつら、動きと膂力は完全に獣のそれ、加えてなまじヒトの理性が残ってる影響か、俺の動きを学習してきているかのような感じさえ出てる。

頭を潰してもハラワタ撒き散らしても、死なないどころか動きが多少遅くなるだけ。

乖離剣でまとめて消し飛ばすなんて手はこの状況では最悪手、避けられるか撃つ前に喉笛噛み砕かれてオタッシャするのは間違いない

 

こんなキメラ共がほっつき歩いてるんじゃあ、並の人間に要石の起動は実質不可能、それこそ司令や緒川=サンなら話は別だけど、あの二人は司令部に缶詰

じゃあ直接ティキを叩けば良いだろうけど、それを見越してないわけもなし、サンジェルマンさんなら防戦に持ち込めば時間稼ぎ程度、なんてことないだろう。

 

早い話、詰んでね、これ?

 

「ははは……はぁ。やれやれ、気に食わないねぇ、その眼」

「あ?」

「何故抗う、絶望に? 何故歯向かう、劣勢に?」

「なに言ってんかわかんねーな」

「状況は既に決している。よもや君一人で覆せるとでも?」

 

「独力では何も為し得ない君が、一人で?」

「―――」

 

身体が固まる

思考が止まる

 

……なんだ、こいつは今、何を言った……?

 

「フィーネを降したのはシンフォギア。ネフィリムをバビロニアの宝物庫に押し込め、ノイズもろとも滅したのも。キャロル・マールス・ディーンハイムの世界の分解を止めたのも―――シンフォギアだろう、全て」

 

「その時、何をしていた、君は? 状況に介入し、引っ掻き回し、事の結末は仲間に押し付けて―――肝心な所で、君は無力だ。そう、今も」

 

「……違う」

「できはしないのさ、何も。やり遂げることも、倒すことも……守ることさえ、何も」

「違う……!」

「違わないさッ! 言っただろう、君と僕は似た者同士だと!」

「違うッ!」

 

 

 

自分一人では何も出来ない(・・・・・・・・・・・・)んだよ、僕も君もッ!!」

「―――黙れェェェェッ!!!」

 

3匹のキメラを鎖で縛って一纏めに、それを振り回してアダムへと叩き付けるように振り下ろす。

防がれるのはわかっている、だからあえて距離を取る。

 

翳したその手に、金色に輝く剣を握り締めて

 

「何も出来ないだと!?」

 

紅い波が渦を巻く

 

「俺がお前と同じだと!?」

 

空気が変わる、世界が震える……地獄が生まれるその刹那を、世界そのものが感じ取っている

 

「ナメんじゃ、ねぇ、この―――クソ無能がァァァァッ!!」

 

生命が吸われる、視界が明滅する

これを外す、或いは撃ち漏らせば終わりだと頭ではわかっていても―――胸の内のどす黒い感情を、抑えたくなかった

 

前世以来の、本気の殺意を

 

「消し飛べ人形! エヌマ―――!」

「……やれやれ」

 

 

 

瞬間

 

振りかぶった右腕に、裂けるような痛みが走る

 

「はっ――!?」

 

見ればそこには……4匹目。俺の右腕、肘辺りにその牙を食い込ませていて

 

「今いる分が全てなどと、一言も言っていないよ、僕は」

「がっ、アアアアアアア!!!」

 

すぐさま左手に乖離剣を持ち直し、獣の胴に臨界に達しているそれを突き立てる。回転を続けるそれが獣の腹を破り、肉を引き裂いて骨を砕き、臓物を辺りに撒き散らす。

―――そして、逃げ場を失った力が弾ける。俺ごと周囲を巻き込んで

 

「は……あ、ぐ」

 

獣は剥がれたが、代償は洒落になってない。真名開放までは行かなかったから意識は保っていられるし体力にもまだ余裕はある。

けど牙の食い込んだ右腕からの出血は止まる気配は無く、爆ぜた乖離剣の力で身体中火傷だらけだし、吹き飛んできた小石なんかも食い込んでる

 

(自爆で重症とか、マジでダサい……)

 

「否めないがね、拍子抜けは……けどまぁ」

 

獣がにじり寄ってくる。

顎をガチガチと鳴らし、血走った目を向けてきている

 

―――ァァ、メシ、だァ

 

―――ごハン……おナか、スイタぁ

 

―――ハァ、ァァ、アアアアアアア

 

「―――幕引だ」

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

異変が起きた。

奏が振るった槍が件の獣に触れた瞬間、先程までなら吹き飛ぶだけに留まっていたハズのそれが、消滅した。

 

厳密に言えば―――灰となって、消え去った(・・・・・・・・・・・)

 

「これ、は……!」

 

奏とセレナ、二人を取り囲む獣達をさらに囲むように、周囲に赤い紋様―――錬金術を示すそれが現れる

 

そこから現れた存在、加えて通信機から聴こえてきたその声に、奏とセレナのみならず、S.O.N.G.と全員が言葉を失った

 

 

 

 

 

 

 

『マスター。指示通り、要石を一つ起動させましたわ』

『マスター。同じく、要石の起動と構成員達の救助を派手に完遂しました』

 

聞き覚えのある、どころかありすぎる女性の声が二人分。

S.O.N.G司令部のモニターに映し出されたその姿、特に因縁のある翼とクリスの動揺は殊更に大きかった。

 

『はぁーい♪ 観てるかしらぁ、ツ・ル・ギ・ちゃん?』

「ファラ・スユーフ!?」

 

『私に地味は似合わない。雪音クリス、私を降した装者……今の私は、あの時のお前より……目立っている! 派手に!!』

「レイア・ダラーヒムじゃねぇか!?」

 

ファラ・スユーフとレイア・ダラーヒム。共にキャロルが造り出したオートスコアラー。

風と地を司るその二人、魔法少女事変に際し、S.O.N.Gと何度も衝突したかつての敵。

アルカノイズを従え、各々の得物を手にしたファラとレイアが、戦場に立っていた。

 

そして、キャロルのオートスコアラーは、二人ではない

 

『ったーく。マスターの命令だからってなんで殺しかけてくれた連中を助けないといけないんだか』

『一番ノリノリだったのガリィだゾ』

『うっさい』

 

「ガリィ・トゥーマーン、それに……!」

「ミカ・ジャウカーン……どうして……」

 

水のガリィ・トゥーマーンと火のミカ・ジャウカーン。

同じくキャロルの配下である二人も、アルカノイズ召喚のための結晶を手に、そこにいた

 

「間に合ったか……やはり劣化躯体では限界もある、か」

「キャロル、これは……!」

 

連続して起こった、まったく予想しえなかった事態。

嘆息しつつ溢したキャロルへと、周囲の疑問が向くのは当然だった。

 

「……大したことは無い。あいつらに行動を起こせるよう、以前から言ってあっただけだ」

「けど、どうしてボクらに何も……」

「相原ヒロ。奴が向こうと内通してるであろう可能性があるのにか?」

「ッ……」

「フンッ」

「……でも、どうして」

「……」

 

エルフナインの疑問に、僅かに顔を伏せる。迷いを含むその表情、だがそれでも、しっかりと顔を上げて前を見る。

 

「……オレにもわからん。そもそも記録として知るだけで、もうお前らとの間に起こった記憶など無い」

「キャロル……」

「それでも、一つだけ確証も根拠も無い確信と……言葉があった」

「こと、ば?」

 

「……パパがいたら、なんて言うか」

 

「――ッ!」

「そんなわけのわからんもの……感傷、とでも言えば良いのか、わからん。だが、それが……理由だ」

「……そう」

 

見詰めてくるエルフナインの視線から照れ臭そうに顔を背け、キャロルは自身を慕うオートスコアラー達へと、告げる。

意志は強く、決意は硬く。記憶、想い出を焼き付くそうとも、胸に宿った想いだけを導として

 

「―――オートスコアラー共! やることは変わらん!」

「レイアとファラは最優先で要石の起動!」

「ガリィとミカは足踏みしてる連中の道を開きながら、不様で不出来な、穢らわしい肉塊を優先して消してやれ!」

「不可能とは言わせん! その果てに……あの無能に、吠え面をかかせろ!!」

 

『かしこまりました』

『派手に了解!』

『はいはーい』

『やぁぁぁぁぁってやるゾ!!』

 

指示に対する言葉もテンションもバラバラで。

だが、それが逆に、不思議と安堵を覚えさせるものだった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

だが、S.O.N.G.の面々は一つだけ疑問を持っていた。

オートスコアラーの面々はとある錬金術師の手で、ただの人間と変わらないレベルにまで性能が落ちている。

それを補うためにアルカノイズを用意してきたことは理解出来るが、獣を相手に通用するのか否か、と。

 

そして、その答えは既に提示されていた。可である。

 

「マスターから聞いています。錬金術で以てヒトと獣を組み合わせた不死の猟犬。死なず、朽ちず、ヒトの姿ですらない汚物。されど」

 

「そもそもノイズは人間を殺すためだけの兵器。改良を加え、無機物さえ対象としたアルカノイズでさえも、本質は変わらない」

 

「なまじ人間らしさを残したのが逆効果。半端とはいえソレが「人間」と定義されるなら、アルカノイズは例外無く殺しにかかる」

 

「一匹残らずミナゴロシだゾ!!」

 

ファラとレイアは要石を、ガリィとミカはそれぞれ奏、セレナの二人とヒロの救援に回る。

 

「ほーら速く行きなさいな! そこにいられると邪魔!」

「お前ら……」

「……奏、行こう」

「……ああ。礼は後だ!」

 

予想よりも大幅な時間のロス。神の力が完成するよりも早く、アダムを押さえなければならない。

これ以上のロスは許されない。故に奏とセレナは急ぐ。

アダムと相対する、ヒロの所へと

 

 

 

 

 

 

 

「アルカノイズの数間違えてたゾ」

「何やってんだミカァァァァ!!」

 

一方、ヒロはヒロで再び窮地に立たされていた。

ミカ率いるアルカノイズが即座に獣を殲滅、残るはアダムとなったと思った矢先、残ったアルカノイズが一斉にヒロへと矛先を向けた。

傷の影響で満足に動けないながらも応戦するヒロと、「やっちまった」と言わんばかりの顔をしているミカ。

まさかだった救援が不可抗力とはいえまさかの敵に回った事実に、ヒロのメンタルは大いに削られた。

 

だが、それも長くは続かない。

マイナスな意味では無く、間違いなくプラスの意味。

 

数分前、奏とセレナの二人が獣の包囲を抜けた。

そしてそれを追い討つだけの数の獣は既に残らず、阻むものはもう無い。

 

即ち―――

 

「―――ヒローーーーーッ!!」

「届いたぞ、ようやく!!」

 

ガングニールの天羽奏とアガートラームのセレナ・カデンツァヴナ・イヴ

二人の刃がアダムへ届く―――!!

 

「シンフォギア……!」

 

「時間も無い、出し惜しみは無しで往くぞセレナ!!」

「うん!」

 

二人が同時に、胸元へと手をかける。

ギアの制御を司るそれを取り外し、掲げた。

 

それは、かの魔剣の発動と同じ姿

 

「イグナイトモジュール!」

限定仕様(リミテッドエディション)!」

 

「「―――抜剣!!」」




前後編と言いつつ三つに別れてしまったことは大変申し訳なく思います
加えて説明不足だなんだも補完したかったのですが、なかなかうまいこと行かず、重ねてお詫びいたします

イノセント・シスターいっぱいちゅき
原作セレナ、年齢と境遇もあるでしょうが思ってた以上に甘えたがりの天使すぎた



・童貞こじらせた主人公の一言

「コスプレギアのマリアさんハメ倒したい」
「ヒロ君、少し話をしよう」
「げぇっ、OTONA!?」
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