ご注文はうさぎですか? 〜New member〜 作:鈴木12
木組みの家と石畳の街で暮らしている高校生「リク」は、散歩の途中に、喫茶店「ラビットハウス」に立ち寄る。そこでお手伝いをしていた香風家の一人娘、「チノ」と共に、アルバイトをすることに!
【登場人物】(今回からは、この作品に「初めて登場するキャラクター」のみを紹介します。なので、すでに紹介されたキャラクターは省略されます)
ココア:高校1年生で、リクと同じクラス。ドジなところもあるが、元気だけは人一倍、いや、人10倍ある!
数学が得意で、2ケタかける2ケタの計算を暗算で答えられるほど。しかし、その他の教科は苦手。
タカヒロ:チノの父親。夜のラビットハウスで、バーのマスターとして働いている。料理の腕前は三ツ星級!
僕がラビットハウスでアルバイトを始めてから、2日経つ。
今日は月曜日。やはり、アルバイトというものは、とても大変なものだった。それでも、なぜか楽しく思える。おそらく、これも全てチノのおかげだろう。
まだ青空が広がっている昼頃、僕がラビットハウスに行くと、彼女はカウンターでコーヒーを淹れながら、
「こんにちは、リクさん。今日も1日、よろしくお願いします」
と笑顔で言ってくれるのだ。この言葉だけで、元気を貰える。だから、僕はチノのことを気に入っている。
僕がマグカップを洗っていたら、ベルの音が聴こえた。相変わらず気持ちの良い音だ。どうやら、お客さんが来たようだ。
「いらっしゃいませ〜」
と僕が言うと、偶然、その人と目があった。どこかで見たことのある、可愛らしい顔。綺麗なオレンジっぽいブラウンの髪。
間違い無い、絶対に彼女だ。僕は、迷うこと無く声をかけた。
「こんにちは、"ココア"」
*(本名、保登 心愛(ほと ここあ)。15歳。誕生日は4月10日。リクと同じクラスの高校1年生。「出会って3秒で友達」をモットーとしているので、友達の数は結構多い)
「こんにちは、リクくん!ラビットハウスでバイトやってたんだ!知らなかったなぁ〜」
彼女とは、学校でも特に仲の良い友達だ。お互い、色々な話題で盛り上がっていたり、たまに近くの公園で遊んだりする仲だ。
「まぁ、ほんの数日前からだけどね。ココアも、このお店の常連?」
すると突然、カウンターでコーヒーを淹れているチノが話し始めた。
「ココアさんは、ラビットハウスのアルバイトです。そして、うちの下宿人でもあります」
「へぇ〜。初耳だね、ココアもここでバイトしてたなんて」
「えへへ、すごいでしょ〜!でも、なんでリクくんもラビットハウスでバイトやってるの?」
「少し、チノのことを助けたいと思って、ね。1人だけ・・・いや、ココアと2人でも人数が足りないと思ったから、僕もここで始めたんだ」
そう僕が言うと、見間違いかもしれないが、チノが若干照れたような素ぶりを見せた。
「なるほどね〜。やっぱり、リクくんって真面目だよね〜」
まったく。褒めているのか、密かに生真面目だとからかっているのか。でも、ココアからしたら、おそらく前者の方が正しいだろう。
「それはどうも。ココアも、これからバイト?」
「うん!あっ、そうだ!リクくん、一緒にラテアートしよ?」
「ラテアート・・・って、あの、コーヒーの上にミルクで絵を描くやつ?僕に出来るかなぁ?」
「大丈夫!お姉ちゃんにまっかせて〜!さぁ、カウンターにLet's GO!!」
「ココアさん。同い年のリクさんも弟のように扱うのはどうかと思います・・・」
チノが、呆れたようにつぶやく。
「大丈夫だよ。こういうのには慣れっこだから・・・って、『リクさんも』ってことは・・・」
「・・・はい。私も、ココアさんから妹のように扱われています。あまり嬉しいものではありません」
やっぱり、と思いながらも、僕とココアはカウンターに向かった。
「さてと、リクくん、ラテアートの基本は、気合が大事!ラテアートは、精神力と忍耐力を合体させてやるものだよ!」
「えっと、ココア?ラテアートって紳士な人がやるものだから、別に力を入れなくても・・・」
「あはは、冗談だよ〜。さぁ、深呼吸して〜」
「分かった。すぅ〜・・・はぁ〜・・・」
深呼吸なんてラジオ体操くらいでしかやらないものだが、と思いながらも、念のためやっておく。
改めてやってみると、深呼吸は睡眠以外の行動で最高のリラックス効果があることが分かり始めて来た。頭の中で、川の流れる音が聞こえ、小鳥のさえずりがあちこちで聞こえる気がするからだ。
「ふぅ〜。よし、こんなところかな」
「それじゃ、リクくん。始めよっか!」
「うん!」
それから約45分間、僕はラテアートの練習を続けた。基本のハートから、応用のクローバーまで、しっかりとやり遂げた。
「・・・リクくん、やっぱり天才だよ!!こんなにも早く覚えられるなんて・・・うちで住み込みで働かない?」
「いやいや、それは言いすぎだって・・・って、ちょっと、僕はまだアルバイトなんだけど、住み込みって・・・えっ!?」
「リクくんは、わたし達と一緒に幸せな日常を過ごしたくない?」
ココアが涙目でこちらを向いて言う。
「・・・分かった。考えておくけど、その前に家族に話しておかないと。家は近いから今すぐ行くよ。あと、ココアはチノにその事を言っておいてね。それじゃ!」
そう言うと、僕は飛び出すようにラビットハウスを出た。
「ねぇねぇチノちゃん。ちょっと相談があるんだけどね・・・」
「なんですか?ティッピーは貸しませんよ」
結局、家族にこの事を話したが、満場一致で『OK』だった。まったく、本当にこの人たちは『可愛い子には旅をさせよ』の精神を貫いている。
ラビットハウスに再び戻ると、ココアとチノが目の前に立っていた。
「リクさん、ココアさんからお話は聴かせてもらいました」
「チノ・・・それで、結果は?」
「いいですよ。私たちは、正式に、リクさんをラビットハウスの一員にする事とします」
「ほ、本当に?・・・ありがとう!」
「しかし、少し問題が・・・」
「問題って?」
「お部屋の数が足りなくて・・・すみません」
「そんなの、無理に用意しなくてもいいんだよ?僕は控え室のソファでもあれば十分なんだから」
「い、いえ、そんな事はしません。そこで、少し提案があるのですが・・・」
「なに?」
「私とココアさんのお部屋を比べると、私のお部屋のベッドの方が少し大きいようです。なので、私のお部屋で生活を共にするというのは・・・」
「あぁ、なるほど・・・」
ここで僕が『NO』と答えたら、チノは逆に困ってしまうだろう。だったら、言うことは一つ・・・
「うん。じゃあ、チノの部屋にお邪魔になるよ。これからよろしくね!」
「はい、よろしくお願いします、リクさん」
すると突然、ココアが割り込んで僕に問い詰めて来た。
「えぇ〜!?なんでわたしのお部屋じゃないの〜?」
「・・・ココア。チノの説明、ちゃんと聞いてたの?」
「でも、二人でぎゅ〜ってしたらベッドも間に合うよ!」
「それだと、毎日抱き合うことになるけど。疲れるよ、多分・・・」
そんなこともありながら、今日のバイトを終わらせた。
そして日も落ち、午後7時に。キッチンの方から良い匂いがする。今日の夕食はカレーのようだ。
「いただきます」
食前の定番の挨拶を済ませ、僕がカレーライスを食べていると、ダンディな人がやって来た。
「やぁ、こんばんは。私はこのお店のオーナー、"香風タカヒロ"だ。これからよろしく頼むよ、リク君」
*(ラビットハウスのオーナー。夜のラビットハウスで、バーのマスターを務めている。また、チノのお弁当を作るなど、料理の腕にも自信ありのようだ)
「あっ、はい。これからよろしくお願いします、タカヒロさん」
「うむ、真面目で良い子だ。将来有望だな。ははは」
「ありがとうございます」
タカヒロさんからお褒めの言葉をいただき、楽しく夕食を終えた。
「ごちそうさまでした。ふぅ、美味しかったなぁ」
それから、お風呂に入り、就寝より少し前の時間、チノの部屋に入る。
「こんばんは、リクさん」
「こんばんは、チノ。となり、いい?」
「はい。どうぞ」
僕は、ベッドの横に座っていたチノの隣に座った。
「・・・なんか、ごめんね。ココアのわがままに付き合わせて、僕なんかを入れてもらっちゃて」
「いえ、迷惑ではないです。むしろ、楽しいです。友達がもう一人増えた気がして」
「それだったら、こっちも嬉しいよ。なんだか、家族みたいだね。タカヒロさんがお父さん、ココアと僕とチノが兄妹と姉妹ってところかな?」
ここで僕は、昼間に言っていたチノの発言が脳裏に浮かんだ。
『・・・はい。私も、ココアさんから妹のように扱われています。あまり嬉しいものではありません』
ひょっとして、チノは妹ではなく、姉になりたかったのではないか。そうだとすると、すごく申し訳なくなって仕方がない。僕は、チノに謝った。
「・・・ごめん、チノ。勝手に家族の想像をしちゃって。僕がお兄ちゃんになるには、まだまだ半人前なんだろうね」
「い、いえ、気にしないでください。別に、私はお兄さんがほしくないわけではありません。ただ・・・ココアさんが、なんというか、お姉ちゃんと呼ばれたがっている気がして、それで・・・」
僕の推理は外れてしまった。どうやら、元はと言えば、ココアがチノのことを妹として過剰に可愛がっているせいのようだ。
「なぁんだ。つまり、僕が悪いわけではないんだ。だったら、これからも、一緒に頑張ろうよ!ずっと一緒にね」
「・・・はい。これからも、よろしくお願いします。リクさん」
そんなチノの笑顔は、真っ白で、うさぎのようにもふもふで、すごく可愛かった。
「さて、そろそろ寝ようか」
「はい」
僕とチノは、一緒のベッドに入った。少しだけ狭かったけど、これなら多少の寝返りも出来そうだ。
「今日も一日、ご苦労さまでした。明日も、一緒に頑張りましょう、リクさん」
「うん。それじゃ、おやすみ」
「おやすみなさいです。リクさん」
そして、僕とチノは、眠りについた。今まで一人で寝ていたが、誰かと一緒に、しかも隣どうしで眠るというのは、こんなにも暖かいものなのだろうか。そんなことを考える前に、僕のまぶたはゆっくりと閉じた。
主人公が香風家で生活を共にする、まさかの超展開の第2羽でした。(予測できた人いたかな?)
いやぁ〜、ストーリー構成に手間取りました(笑)
もちろん、続ける予定です!
ご感想、誤字脱字等あれば、コメント、よろしくお願いいたします。
ご閲覧、ありがとうございました。